おとり捜査



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おとり捜査 (新潮文庫)
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初公開日(参考)1995年03月
分類

長編小説

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おとり捜査 (新潮文庫)

1995年03月01日 おとり捜査 (新潮文庫)

マンハッタンで堅実な投資顧問会社を経営するファーは麻薬密売で逮補された息子の将来と引換えにFBIとの取引を受け入れた。カリブのカイマン島にファーは工作員数名と傍受装置を完備した投資顧問会社を作り、おとり捜査が開始された。巨額の資金洗浄を持ちかけてきたのはコロンピアのコカイン・ブローカーとニューヨーク・マフィアだった。一味は罠にはまったかに見えたのだが。(「BOOK」データベースより)




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おとり捜査の総合評価:6.50/10点レビュー 2件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

1985年の『犬の力』

おとり捜査と云えばたとえば婦人警官が一般女性に成りすまして、痴漢を誘って実行犯逮捕するといったチープな物を日本では想像するが、アメリカでは特にFBIによって大々的に行われており、その仕組みも複雑だ。
題名がその物ズバリである本書ではさすが一流ジャーナリスト出身であるフリーマントルだけあってダミーの投資会社設立による麻薬カルテルのマネー・ロンダリングの実体を掴んで検挙する方法での一斉検挙を目論むFBI捜査官と、図らずもFBIの思惑で架空の投資会社の代表取締役を担うことになったウォール街随一の投資家ウォルター・ファーを主人公に物語が進む(ちなみに原題は“The Laundryman”つまり『資金洗浄屋』とこれもかなり直接的)。
このウォルター・ファーの深い知識を通じて会社設立の詳しいノウハウやさらには中南米のいわゆるタックスヘイヴンと呼ばれる小国で実際に行われている複雑な資金洗浄の方法や資金運営のカラクリが語られ、一流の企業小説、情報小説になっているところが面白い。

本書では囮捜査のターゲットとしてフリーマントルは麻薬大国コロンビアの一大麻薬カルテルの元締めの検挙を取り上げている。南米、とりわけコロンビアやボリビアの麻薬事業はもはや地元の警察も袖の下を摑まれ、全てが麻薬カルテルの意のままにされており、その市場がアメリカのマフィアを通じて拡大しているのは現代でも問題となっており、ドン・ウィンズロウの『犬の力』でも圧倒的な熱を持って語られたのは記憶に新しいところだ。
1985年に発表された本書でもその状況は変わらず、唯一違うのは本書でFBIのターゲットとされる元締めのホルヘ・エレーラ・ゴメスが一大麻薬組織のボスとなるため、アメリカのイタリア系マフィア、アントニオ・スカルレッティと組んで、一大麻薬コネクションを作り、さらに市場をヨーロッパに拡大する取っ掛かりであることだ。つまり現在の大組織メデジン・カルテルをモデルにした物語であるということだろうか。

高校生の息子が実はヤクの売人だった廉でFBIの麻薬捜査に協力するため、業務の合間を縫ってカイマン諸島に資金洗浄を目的とした投資会社を設立させられるマンハッタンの一流投資家ウォルター・ファーの敏腕ぶりが実に際立つ。
業務の合間を縫ってカイマン諸島とニューヨークを行き来し、長らく没交渉だった息子の回復の様子を見にボストンにも赴く。さらに作戦に参加したFBI女性捜査官ハリエット・ベッカー(美人でグラマラス!)と恋に落ち、再婚するに至る。開巻当初は8年前に病気で亡くした妻アンへの未練を引きずっているセンチメンタルな人間だったが、ハリエットと出遭ってほとんど一目惚れ同然で徐々にアタックしていき、恋を成就させる、まさに仕事もでき、恋も充実する絵に描いたような理想の男性像で少々嫌味な感じがしたが、いやいやながら協力させられた囮捜査で頭角を現し、作戦の指揮を執るFBI捜査官ピーター・ブレナンを凌駕して捜査のイニシアチブを取るほどまでになる。
世界を股にかけた彼の投資に関する緻密で深い知識も―正直私が全てを理解したとは云い難いが―彼の有能ぶりを際立たせ、次第に彼を応援するようになっていく。

しかしそこはフリーマントル。すんなりとハッピーエンドとはいかない。
現実は甘くないと、マフィアの恐ろしさを読者に突き付ける。主人公のやむを得ない善行の報いがこの仕打ちとは何とも遣る瀬無い。
本当、フリーマントルは夢を見させない作家だなぁ。

目には目を。歯には歯を。古くはハムラビ法典にも書かれている復讐法をウォルター・ファーは実行する。
しかしそこに達成感はなく、荒涼とした虚無が広がるばかりだ。正義を成すにはその代償も大きい。
フリーマントルはフィクションだからと云って単純なヒーロー物語を描かない。しかしこれほど現実的なエンディングを描くことでますます市民が正義を成すことで恐れを抱くことを助長させているように思われ、正直手放しで歓迎できない。
せめて物語の中では勧善懲悪の爽快感を、市井のヒーローの活躍譚を味わいたいものだ。

しかし今なお麻薬カルテルの際限ない戦いの物語は紡がれており、それらの読後感は皆同じような虚無感を抱かせる。
それは麻薬社会アメリカの深い病巣とも関係しているのかもしれない。麻薬を巡る現実は今も昔もどうやら変わらないようだ。


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Tetchy
WHOKS60S
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No.1:
(3pt)

こいつはなかなか薦めるのが難しいや

フリーマントル好きならば、やっぱ読むでしょうね。

しかし、なかなか薦めるには難しいなぁ。

なんちゅうか、冷静にストーリー、プロットを楽しむだけの人には、多分こたえられない話だと思う。

でも、ヒトに感情移入してしまう、ストーリーに自分の身を置いてしまう人にはどうだろう。かなりきつい話の展開だと思う。

確かにそうなんだろうが、うーん、と唸る。

と言う意味で、単純なハッピーエンドなんてはなから期待していない、あり得ないと思っている従来のフリーマントルフアンには、オッケイです。でも。。。お初なら、ちょっと薦めないなぁ。
おとり捜査 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:おとり捜査 (新潮文庫)より
4102165266



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