裏切り



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裏切り (新潮文庫)
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初公開日(参考)1991年07月
分類

長編小説

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裏切り (新潮文庫)

1991年07月25日 裏切り (新潮文庫)

癌で夫を亡くし、暗い日々を送っていたジャネットは、あるパーティーで魅力的な男性シェリダンと出会う。二人はやがて、結婚の約束を交わすまでの仲に。が、幸福の絶頂で事件は起きた。シェリダンがレバノンでテロリストに誘拐されたのだ。しかも、彼の正体はCIAのスパイ。人質解放交渉は遅々として進まず、CIAの対応に業を煮やしたジャネットは、単身、中東へ飛んだが…。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt

裏切りの総合評価:5.00/10点レビュー 2件。Dランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(4pt)

この行動力の源は一体何?

最愛の人が政情不安定な異国の危険地帯で拉致されたら貴方はどうしますか?

本書の主人公ジャネット・ストーンはCIAや関連組織に連絡を取ってもなしのつぶてだったため、マスコミと政治家を味方につけ、世論を巻き起こし、さらに若き女性のみでありながら単身、現地へ乗り込むことを選択する。

そうした時に起こりうる利害関係者が取る対応について知るのにうってつけの小説と云えるだろう。CIAの慇懃無礼な対応や現地大使館、現地警察の圧力など非常にリアルに迫ってくるものがある。

過去に夫を肝臓癌で亡くし、そのときに何もしてやれなかった無力感がジャネットのレバノン行の原動力となっているのはわかるものの、非常に脇の甘い女性だなぁと終始思ってしまった。
レバノン渡航へのつてを得ようと、現地の詐欺師に簡単に騙され、一万ポンドのもの大金を簡単に渡してしまうわ、漁師たちの船に若い女性の身でありながら単身で乗り、強姦されそうになるわと、作中でキプロスの刑事がいうように「甘やかされた、金持ちの、愚かな女」で、「安っぽい小説の主人公のようにふるまっている」のだ。
この台詞は本書が安っぽい小説だと作者が自虐的に述べているようにも読み取れるがさすがにそれは穿った読み方か。

しかしハーレクインとして発表されてもおかしくないほど典型的なロマンスミステリではないか。フリーマントルが別名義で発表した作品かと思ったが、調べてみると違っていた。

ジャネットの年齢は明記されていないが、前夫との死別を経験していることから、おそらくは20代後半から30代前半と推測できる。つまりは分別のついた大人の女性であるはずなのだが、何かにつけ女性蔑視だと決め付け、それに対し激しく嫌悪し、激怒する。特に微妙な国際間の緊張を孕んでいるだけに無難かつ穏当に拉致事件を処理したい政府側に対して常に喚き、強引に関わろうとする。
さらに読み進めるにつれ、ジャネットはジョンの救出に力を貸すフリージャーナリストデイヴィッド・バクスターと恋に落ち、愛を重ねるようになるのだ。この辺、それまでのジャネットが経験してきた辛い仕打ちを考えれば、ようやく辿り着いた拠り所となるのだから判らないでもないが、救出するのが婚約者であることを考えると、どうにも共感できかねる背徳行為だと云わざるを得ない。
フリーマントルには『ディーケンの戦い』という誘拐された妻のために夫が奮闘するという小説があるのだが、本書の展開はその作品のやるせなさと救いのなさを思わせる。このような似た趣向の趣向の作品を2作も書いているフリーマントルは男女の真実の愛なんてものは存在しないとはなどと鼻であしらっているように思える。

以上のような性格だから、このジャネット・ストーンはなかなか読者の共感を覚えるキャラクターではなく、境遇は解るものの、物分りの悪い上昇志向の自意識過剰のヒステリックな女性としか見えず、応援しようと思えないのが本書の欠点だろう。

さて本書のタイトル『裏切り』。実に素っ気無い題名だが、この本には数々の裏切りが含まれている。
まず夫ジョンのジャネットに対する裏切り。職業が実はCIA工作員だったことを婚約者ジャネットに隠す。
まあ、これは裏切りと捉えるかは微妙なところだろう。文中にもあったがスパイは職業柄家族にも自らの職業については伏せておくようだから。

さらにジャネットの金を狙って次々と協力を装い、大金をせしめようとする詐欺師ども。これも裏切りだ。
そして最大の裏切りはジャネットのバクスターへの愛情だ。その他ストーリーが進むにつれてCIAのジャネットを利用した作戦やバクスターが実はモサドの工作員で自分達の捕虜を奪還する為にジャネットの愛情を利用して取引する作戦など、裏切りとも取れる物は数々ある。
しかしこういった諜報物にはこの手の二重三重のカバーストーリーは付き物だから、上のように書いていてもしっくりこない。通常諜報物にはFBI、CIA、KGBやSISなど情報を操作することに長けた人物達しか出てこないが、本書はそれらの人物に素人の女性が関わっているところが特徴なのだろう。
つまり一般人にとって彼らのやる情報戦やカバーストーリーは裏切り行為としか取れないのだ。
が、やはりタイトルの真の意味は最後にジョンが語る、自身を正気に繋ぎ止めておいたジャネットへの想いを読むと、ジャネットの浮気以外何ものでもないことは明白だ。

さて冒頭に書いた問いかけの答えとなりうる手法がここには書かれているが、マスコミ、政治家を利用するというのは実に普通だったなと思ったものだ。もう少し捻りが欲しかったが、一個人が同様の事態に陥ったときに取るべき行動の指南書としては参考になるだろうと思う。

しかしどうしてフリーマントルはこういう後味の悪い作品を書くのだろう?英国人はこういう苦いジョークが好きなのだろうか。不思議でならない。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.1:
(3pt)

現代欧米女性を風刺してるとも解釈できますが・・・

ジャネット・ストーンは病で夫を失い、失意のどん底にあった。そんな中、パーティーで
知り合ったジョン・シェリダンとの交際が始まり、やがて婚約に至る。幸せの絶頂の中、
シェリダンのレバノンへの転勤を知らされ動揺するジャネット。無政府状態の国からの
帰国を待ちわびることになるが、シェリダンはテロリストグループに誘拐されてしまう。
しかもジョンは国務省勤務のはずが実はCIAの工作員であることを報道で知らされる。

ここまではわくわくさせられたのだが、主人公が単身現地に乗り込もうとする辺りから
この女性にうんざりしてきた。巻末の解説で「主人公ジャネットの行動は一見無謀とも
思われ、はらはらさせられるが、いかにも欧米女性らしい気丈さと、独りよがりな一面
はあるものの、正しいと信じたことでは一歩も後に引かないひたむきな姿勢は読者の
共感を呼ぶに違いない」とあるが、私は全く共感できない。ひたすら無分別で場当たり
的、そのうえ気位は高く、周囲の真っ当な忠言をことごとく女性蔑視の表れと決めつけ
る鼻持ちならないヒス女にしか見えない。しかもやることなすことヘマばかり、最後には
背徳行為にも及ぶのだから、初めの同情心は消し飛んでしまった。おそらくフリーマン
トルのことだから、そのように描いてるんだろうけど。読後感は爽快とはいかない一作。
裏切り (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:裏切り (新潮文庫)より
4102165215



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