英雄



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初公開日(参考)2000年11月
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長編小説

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英雄〈上〉 (新潮文庫)

2000年11月30日 英雄〈上〉 (新潮文庫)

口中を銃で撃たれた惨殺体がワシントンで発見された。マフィアの抗争に絡む事件かと思われたが、被害者がロシア大使館員だと判明。FBI捜査官カウリーは、急遽、モスクワ民警のダニーロフに協力を要請した。再度コンビを組んだ二人だが、捜査の前に立ちはだかったのはマフィアと癒着する民警上層部だった!国境を超えた捜査官コンビの英雄的活躍を描く、国際サスペンスの傑作。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

英雄の総合評価:7.67/10点レビュー 3件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

シリーズ第2作目から読んで第1作目のネタバレに(ノд-。)あぅ。。

ロシアの民警ダニーロフとアメリカのFBI捜査官カウリーが国境を越えてコンビを組むダニーロフ&カウリーシリーズ第2弾。不幸な事に第1弾である『猟鬼』は絶版で手に入れることが叶わず、未読。そして本書はその『猟鬼』の真相に存分に触れているというシリーズ読者には親切な作品。

前回の事件で活躍をしたダニーロフはロシア国民には英雄視される一方、モスクワ民警では“便宜には便宜を”図らない清廉潔白な捜査官であったため、約束されていたと見込んでいた本部長の座を格下のメトキンに奪われ、憤懣やるかたない日々を送っていた。
一方、アメリカではロシア大使館員が銃殺されるという事件が起き、続いてスイスの投資会社社長が同様の手口で銃殺される事件が連続して起きていた。事件解明にはロシアの協力が必要と感じたFBIはカウリーを捜査の担当者に任命し、またダニーロフを協力者としてロシア政府に要請した。
アメリカに飛んだダニーロフは再びカウリーとコンビを組む事になったが、意外にも捜査は一向に進まなかった。ロシア大使館の監視の中、ダニーロフは被害者セロフのメモ帳にある符号を見出す。果たしてそれは暗号で、7人のロシア人の名前が浮かび上がる。ようやく得た手掛かりに沸き立つ捜査陣。しかし事件はこの後、ロシアマフィアの恐怖に彩られた戒厳令の下、更に混迷を深めていく。

ダニーロフの人物造形がまず面白い。不当な扱いを受けながらもそれを糧に有能振りを発揮し、上司をいいようにあしらう辣腕ぶりは痛快だ。そしてそれが強固な背骨を持った、やわな虚勢でない事をロシアマフィアとの対話で知る事になる。
またストイックな性格のカウリーは心理学に基づいた尋問をしたり、FBIの最新捜査技術を駆使して、ロシア側だけなら何ヶ月もかかる捜査をあれよあれよという間に進めていく。
無骨ながらも少ない頭髪を気にしたり、友人の妻と浮気をしているロシアの警察官、酒を控え、ストイックなまでに任務を遂行するFBI捜査官。ロシア人とアメリカ人とで比べれば、大方その人物設定は逆になるであろうと思われる。これこそフリーマントルならではの味付けといったところか。

事件の真相はゴルバチョフの時代に起きたクーデターで紛失した2,000万ドルにもなる共産党資金についての争奪戦の様相を深めていく。
ロシアの大使館員とスイスの投資会社社長のパイプ、そしてマフィアネットワークの構築など、話が進めていくにつれ、事は大きくなっていく。

この辺は後に読むノンフィクション『ユーロマフィア』で培った取材に基づくところによるものだろうが、よく考えられている。何しろ破綻が無い。
かつて天敵であったロシアとアメリカがチームを組むが、やはり冷戦の頃の根は深く、お互いが大団円で利益を分け合うようにはいかない。この辺のリアルさが作者の誠実さなのだろう。
ロシアの大使館員が被害者という事で両者のうちダニーロフに関する描写・挿話の比重が高く、カウリーの印象が薄かった。前作『猟鬼』が未読なので不明だが、カウリーについては前作で語られたのかもしれない。もしそうでなければ作者はダニーロフの方が好きなのかも。

色々思うところは他にもある。
例えば上巻のラストでダニーロフがロシア高官の歴々の面前で上司を伴いながら公然と批判するところ。批判だけでなく、証拠無しで本部長罷免の要請をするのだ。ここを読んでたら映画『ア・フュー・グッド・メン』を思い出した。畳み掛ける挑発で証拠無しで自供を勝ち取るあの緊迫感。こういう手法もロシアならではなのか。
あとやはりダニーロフの私生活について、特に愛人と妻との間で揺れる感情の機微について感銘を受けた。歳を取るにつれ、肉体を求める事が無くなり、じわじわと蝕まれるように愛情が損なわれ、破綻していく二人の関係。一方で魅力を増す友人の妻。どきりとするところがあり、思わず我が身を振り返る。幸いな事に自分には浮気や不倫などという事には縁がないが、ふとした時に過ぎるセックスレスの心情などは胸が痛くなる思いがした。
そして意図せず自らが行った親切に無邪気に喜ぶ妻を見た時に訪れる憐憫の情。これは解るなぁ。私自身、大学当時、毛嫌いしていた親父がTVのつまらないギャグで大笑いしているのを見て、「こんなことぐらいしか楽しい事がないのか」と感じたあの感覚。忘れていたあの時のことをふと思い出してしまった。

しかし、全体的に冗漫だと感じた。特にマフィアと繋がっているダニーロフの悪友コソフや上巻で道化師役を割り当てられるメトキンの二人の狂言回しが長すぎる。これもダニーロフの人物像を深めるためのエピソードなのだろうが、なかなか核心に行かず、焦れた。
こういう冗漫さを感じるところが傑作と佳作の壁なのだろう。面白いがその面白さが突き抜けなかったなあ。

Tetchy
WHOKS60S
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No.2:
(4pt)

滾り立つ正義感が嬉しい原点回帰作品!

フリーマントルのキャラクターには若さはまずない。その代わり、毎度と言っていいほど必ず見られるポイントは、百戦錬磨の権謀術策、派閥争い、騙し合い。大なり小なりの腹の探り合い。化かし合い。はったり、罠、組織のなかでのサバイバル。そうした人間界の業(ごう)ともいうべき静かで神経質な組織内闘争に、一方で起こる国際的事件が絡んで、ミクロ&マクロのシームレスな葛藤こそが、泥濘のように粘っこく執拗に纏わりつくように描写されてゆく。  本書は米露それぞれの捜査官を主人公に据えてのダニーロフ&カウリー・シリーズ第二作。遠い国に暮らす二人の捜査官たちが、それぞれの国で抱える殺人を繋ぐ巨大なシステムのギアのような存在を演じて奮戦する物語だ。  かくも執拗に人間臭いドラマでありながら、フリーマントルが飽くまで描き続けるのは、実は単純明快なヒーロー話でもある。 チャーリー・マフィンはぎりぎりのところで、いつもヒーローをものにしてゆく天才であったと思う。風采が上がらないだけにその能力の高さに関しては遠慮のない記述でチャーリーをべた誉めしてゆくのがフリーマントルのやり口である。 こちらのシリーズでも、米露の二人の英雄たちは、重く引きずる日常を抱えながら、最後にはひたすら闘いに身を投じ、何よりも互いを案じるほど優しく、滾り立つ正義感のやり場に身を焦がす。 チェチェン、そして遠くシチリアを繋ぐマフィアン・ネットワークを壊滅させるために身の危険を侵し、恐怖に震えながら敵陣に乗り込んでゆくダニーロフは、その外見とは裏腹にやっぱり随分と英雄っぽく見える。 起死回生の挽回に賭ける二人の捜査官の、マフィアどもとの知恵比べは、少し錯綜して難しい部分もあるけれど、十分に練られたプロットの妙を感じさせるし、何よりもこの作家最初の傑作『消されかけた男』に通じる知略の痛快を思い起こさせる。組織に属しながらも結局は個人の能力で切り抜けてゆく男たちを書かせると、フリーマントルの右に出る者はいない。原点回帰みたいな作品だったので、ちょっと嬉しくなった。
英雄〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:英雄〈上〉 (新潮文庫)より
4102165371
No.1:
(4pt)

アイロニカルな結末にマフィンの影を見た

 言わずと知れたダニーロフ&カウリー・シリーズ第2弾であります。『猟鬼』を読んでない方は読む資格がないと敢えて申し上げておこう。なんせストーリーは前作のしがらみ引き摺ったまま解決されなかった不倫問題(^_^;)も持ち越したままだし、底辺を流れる重苦しさの中身を知っててこのシリーズ追っかけてるファンの特権とも言えるでありましょう。ロシアとアメリカゆえ、外交という大いなる壁が立ちはだかるのは当然の展開。二人の間の連係プレーの妙が異なる国家システムの間隙を縫ってロシアの暗黒面に切り入って暴き出す巨悪の存在が警察小説を超えた面白さを醸し出す。政治絡みの大風呂敷はちと遠慮したい部分もあったりして、苦笑気味に読んだのもまた事実(^_^;)。捜査対象が個の犯罪者からグレードアッ!プしたのはいいけれど、あれよあれよと事件が上の方まで行っちゃうと、おいおい待ってよと呼び止めたくなる展開には、ちょいと閉口四辺形でありますぞ(^_^;)。 フリーマントルの著書にある『CIA』と『KGB』を読めば分かるでしょうけれど、こういう得意ジャンルに踏み込んだらこの人の筆先鋭く解剖していく作業がメインになってしまい、巨悪の下で蠢く個の犯罪者の肖像の掘り下げが十分ではなかった感もある。なんせ登場人物が多すぎて、読む方だって消化しきれないんだもの。今回はダニーロフ夫妻を縦軸に、彼らの色恋沙汰と犯罪対象が微妙に絡み合う綱渡りの展開にハラハラしつつも迎えたある悲劇的な結末。さすがチャーリー・マフィン・シリーズの作家らしいアイロニカルな手駒の配置ではあるね。まだ衊¦‹ぬ第3作でのダニーロフの神経が均衡を保って行かれるのか心配だったりする。ま、ラストの復讐戦での手練手管を見れば杞憂に終わりそうですけれど…(^_^;)。 このシリーズには珍しく冒険アクション的なシーン満載で、フリーマントルにしてはサービス度高いです。副主人公的活躍でやや影が薄かったカウリーも、モスクワでの物語に比重が掛かるゆえ致し方ないか。毎回米ソ両国を巻き込んだ題材を練り上げてダニーロフとカウリーをどう絡ませるか、本当に頭を捻らなくてはいけないシリーズになってしまったけれど、マフィンと二本立てで今後も健筆を揮って頂きたいものである。これだけ面白い英国仕込みの大人の小説を描ける作家を今失うわけにはいかないからねえ。次回作はカウリーがメインで展開する順番ですが、さて如何?
英雄〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:英雄〈上〉 (新潮文庫)より
4102165371



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