猟鬼



※タグの編集はログイン後行えます

※以下のグループに登録されています。


【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

8.00pt (10max) / 1件

8.00pt (10max) / 1件

Amazon平均点

1.00pt ( 5max) / 1件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
1pt
サイト内ランク []B総合:1330位
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

0.00pt

61.00pt

22.00pt

0.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)1998年09月
分類

長編小説

閲覧回数1,973回
お気に入りにされた回数0
読書済みに登録された回数1

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

猟鬼―ダニーロフ&カウリーシリーズ (新潮文庫)

1998年09月01日 猟鬼―ダニーロフ&カウリーシリーズ (新潮文庫)

その夜またモスクワの路地裏に転がった死体からは、髪の毛とボタンが奪われていた。民警のダニーロフは、猟奇的な手口から連続殺人犯は異常者だと考える。だが被害者のひとりがアメリカ大使館員の女性だったため、事件にはFBIが介入することになった。風采のあがらぬロシア人刑事ダニーロフと、翳りをおびたFBI捜査官カウリーによる共同捜査が始まったが…。新シリーズ誕生。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

猟鬼の総合評価:5.00/10点レビュー 2件。Bランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

ミステリよりも男の卑小なプライドに共感

ダニーロフ&カウリーシリーズ第1作目。
アメリカの政治原理とロシアの政治原理が交錯するやり取りは正にフリーマントルの真骨頂なのだが、今回はそれだけでなく、全編に事件解決の手掛かりが周到に散りばめられている、一種本格ミステリの要素も含まれているのだ。ここにフリーマントルのこのシリーズに賭ける意気込み、並々ならぬ創作意欲の迸りをびしびし感じた。まさに記念すべき新シリーズの幕開けだと云える1作だ。

図らずも第2作『英雄』から本シリーズに入ってしまった私。その時の感想に、『英雄』には前作の犯人と真相が明からさまに書かれていると述べてあるのだが、本書ではその人物がどのような者かは朧気ながら覚えていたものの、誰かまではすっかり忘れていた。
しかし、この前知識が今回の真犯人を当てる一助になった事は間違いないだろう。しかし、それでも巻末で繰り広げられるカウリーの謎解きに謳われたある文中の違和感には気付いたのだから、よしとしよう。

まあ、そんなことはさておき、今回、作者フリーマントルがロシア民警の警官とFBIエージェントを組ませて捜査を行うこの設定を思いついたのは単純に犬猿の仲とも云える相反する両国のミスマッチの妙と、水と油の関係の二国のそれぞれに属する者同士が国の利害を超え、結ばれる友情を描きたかった、それだけではないだろう。
90年代後半に起きたソ連の民主化政策、グラスノスチとペレストロイカという二大ムーヴメントによってもたらされた欧米的生活様式と価値観。それはまた同時に犯罪の欧米化を促す事でもあったのだ。従って、今まで官吏が独裁的に行う犯罪捜査では解決しえない類いの犯罪も頻発する可能性があり、それを解決すべく東側もアメリカ式の犯罪捜査システムの導入が必要になる。こういった洞察からこの二国間のそれぞれの腕利きが協力し合うという構想が具体化していったに違いない。これこそ、フリーマントルの素晴らしき慧眼だといえる。

そして本書を彩るのが登場人物たちの複雑な人間関係だ。
かつての同僚であり、友人の妻と不倫関係にあるダニーロフ。同じくかつての同僚で親友に妻を奪われ、そしてモスクワの地でその2人に再開することになったカウリー。
ダニーロフは不倫相手の夫婦の家に招待され、危うく不倫がばれそうになるし、カウリーは再びパートナーとなった元妻の略奪者と仕事に私情を挟まないよう、終始注意を払う。そして同じくパートナーの夫婦に食事に招待され、元妻への思いが再燃する。

そしてこの2人の色恋の挿話に対して、特に印象に残った箇所がある。
まずダニーロフは妻に不倫を疑われ、不倫相手のラリサに別れを告げるシーン。彼は最初はほんの遊びのつもりだったのが、なぜこれほどまでに深入りしてしまったのかと自問する。そして得た答えというのが、それが安心の裏づけだというもの。その気になればまだ美しい女を物に出来るという自尊心の裏づけなのだという述懐だ。
ここで私ははたと立ち止まる。男はいつでも自分を若いと思い、そして若く見せようと努力する。
かくゆう私もそう。それは老け込みたくないという気持ちから来るものなのだが、潜在的にはこのダニーロフが云うようにいつまでも女性の目を惹きたい、いつでも俺は現役なのだという自負心を抱きたいからだ。そして不倫はそれを裏づける何よりも証拠、男としての現役の証明なのだ。不倫は文化だ、などと触れ回る男もいたが、そんな軽薄な言葉よりもこちらの方がもっと真実味がある。
そしてカウリーはパートナーのバリー夫妻に自宅に招待され、夕食をご馳走になった後、一人考え込むシーン。元妻ポーリーンに「あなたは奥さんがいなくちゃならないタイプだもの」と云われたことを振り返り、激しく動揺するシーンだ。彼はその言葉で1人で生きていく事は大したことではないと思っていた矢先に常に孤独を感じていたことに気付かされる。しかし、結婚はその孤独を癒すためにする物とは違うとも解っている。では何なのかという自問に対する答えをカウリーは得ていない。
そこで私は考える。それは単純に失望なのだと。カウリーは元妻にまた一緒になりたいという言葉をかけてほしかったのだが、返ってきた言葉が、再婚していないのが意外だという意味の言葉だったからだ。まだ続いていると思っていたお互いの想いが他方では既に決着が着いていたのだと知らされた言葉に激しく動揺したのだ。その事に気付かず―敢えて目を向けず?―、自分が孤独を感じていることに向き合ってしまったのは、カウリーの未練を表している。これは振られたことのある男にしか解らない気持ちなのかもしれませんね。

さらにダニーロフはかつてある地区の署長をやっていた際に得た密売組織との“密接な関係”によって得た特権を異動によって破棄し、家庭の電化製品はもとより、その日着ていくスーツやYシャツにも困るような逼迫した生活を強いられている。皺の寄れた衣服が、スクラップ寸前のくたびれた電化製品の数々がダニーロフの眼に妻をも使用済みのように映らせている、この辺のフリーマントルの筆致の上手さにも唸らされた。
『英雄』を読んだ時に思ったのは、カウリーよりもダニーロフに関する叙述が多かった事だが、今回モスクワを舞台にした本書でもその比重は変らないように思う。確かにカウリーはアメリカ人であり、異国の地で勝手違う捜査を強いられる存在ながらも、ロシア語も堪能で、FBIロシア課の課長という役柄、ロシアにも精通しており、そのギャップが少ないように感じた。むしろロシアという特異な文化の中でのダニーロフの生活や性格が興味深く語られ、作者自身、取材の成果を存分に揮って楽しんで書いているように思えた。やっぱりダニーロフの方が好きなのだろう。

しかし今回のこのタイトル、フリーマントルの作品とは思えないセンセーショナルな題である。一瞬大沢在昌の『新宿鮫』シリーズの1作かと思った。
訳者の松本剛史氏がこのシリーズのファンなのだろうか。それともこの後シリーズの邦題は『英雄』、『爆魔』と二文字で続くからディック・フランシスの諸作のファンなのかもしれない。まあ、どうでもいいことだが。

Tetchy
WHOKS60S
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.1:
(1pt)

人種差別ではないけれど、

フリ-マントルの作品は好きだけれど、このシリ-ズの主人公がロシア人というのに凄く違和感があって好きになれない。この頃の作品はロシアが舞台になってるがこの作品では主人公までロシア人だ。
猟鬼―ダニーロフ&カウリーシリーズ (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:猟鬼―ダニーロフ&カウリーシリーズ (新潮文庫)より
4102165312



その他、Amazon書評・レビューが 1件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク