爆魔



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初公開日(参考)2004年10月
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長編小説

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爆魔〈上〉 (新潮文庫)

2004年10月31日 爆魔〈上〉 (新潮文庫)

ミサイルが国連本部ビルに撃ちこまれた―双頭の弾頭にはサリンと炭疽菌が積まれていた。不発に終わり被害の拡大は免れたものの、ニューヨークやワシントンでは爆弾テロが続発。捜査の結果、使用された爆弾はいずれもロシア製と判明した。FBI捜査官カウリーは、急遽モスクワ民警のダニーロフに協力を要請する。ふたりは、国境を越えて三たびコンビを組むことになったが…。 (「BOOK」データベースより)




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爆魔の総合評価:9.00/10点レビュー 3件。Cランク


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No.1:
(7pt)

フリーマントル版『24』!?

今回の作品は今までになく派手だ。ニューヨークの国連事務局タワーにミサイルが着弾するのを皮切りに、ボートの爆破、ワシントン記念塔の階段爆破、ペンタゴンのコンピューター・セキュリティー・システムを破ってのクラッカーの侵入、そして海を越えてモスクワのアメリカ大使館へのミサイル襲撃と、次から次へと事件が発生する。

フリーマントルの他のシリーズが発端の事件に絡んで政治的駆け引きや国交的な問題、各国の歴史の暗部の隠匿という妨害を主人公が知恵と行動力と大胆さでクリアしていく過程を描き、1つの事件をじっくり描くのに対し、確かにこのシリーズでは捜査中に殺人事件が連続して起きる傾向ではあったが、本作では前2作を上回る大規模テロが連続して起きるところがミソだろう。
これはやはり9・11が影響しているように思う。あの小説を超えた未曾有のテロは内外の作家に多大なショックを与え、それはフリーマントルも例外ではなかっただろう。特に世界のジャーナリズムに精通している彼にとっては。
一応作者本人は本作が9・11の前には既に書き上げられていたと言及しているが、事件後、加筆したともあり、少なくとも、いや大いに影響は受けている物と思われる。従ってあの現実を超えるにはもっと派手な事件を設定しないと現実を凌駕できないという焦りがあったのではないだろうか。それが作家の矜持を奮い立たせたように私は感じた。

本作でアメリカ・ロシアの二国間に渡って次々と襲撃する脅威を一言で云うならば次の一言に尽きるだろう。
テロの分業化。
民間人がテロリストから指示を受け、それぞれの職業を利用して資金調達、物資調達をし、テロに加担する。彼らは罪悪感を持ちながらも普段の生活では決して得られる事のない莫大な収入に目が眩み、止めることが出来ない。
そしてそれを可能にするのが、今やなくてはならないツールであるインターネットである。仮想空間に増殖し続けるサイトに集うハッカー、クラッカー達に法外な報酬をチラつかせて協力を頼む事でそれらはいとも簡単に成立する。本作ではアメリカとロシア2つの国に限定されているが、これらのテロは世界規模で起こる可能性を秘めている。

さてこのシリーズの前2作では割合ロシアのダニーロフ側に物語のウェートが占められていたが、本書では頻発するテロがアメリカという事もあり、カウリー側が前面に押し出されている。冒頭にいきなりカウリーが爆破テロに巻き込まれて重傷を負い、この事件を彼自身の事件として決意するなどと熱い一面を見せるのも今までになかった趣向である。
そしてダニーロフと云えば、前作の活躍により昇進し、ロシア民警の頂点、将軍になっていた。それから来る自信が彼を以前と変えており、泰然自若とし、大統領首席補佐官と内務大臣との権力抗争の狭間に置かれながらもそれを手玉に取るまでの落ち着き振りを見せる。破綻した私生活と愛する同僚の妻との愛情とでウジウジしていた彼の影は、物語の冒頭では見られるものの、最後では雲散霧消してしまう。

また今回から彼ら2人のコンビに新しいメンバーが加わる。パメラ・ダーンリーというFBI捜査官だ。彼女は強い上昇志向の持ち主で、ボート爆破に巻き込まれて瀕死の重傷を負ったカウリーの代行を命ぜられる。これを足がかりに更に上を目指そうとする野心家だ。自分の未熟さを認めつつも、邪魔する者を排除する事を全く厭わない、攻撃的な女性である。
通常フリーマントルはこういった人物を空回りさせ、自滅の道を歩ませるのだが、パメラは大いに彼ら2人に貢献し、更にどんどん活躍の場が増えてくる。シリーズのマンネリ化を防ぐ一つのカンフル剤として彼女を導入したようだが、この扱い方は今までに見られなかった傾向だ。なぜならその押しの強さは恐らく読者全員の好意を得られないだろうから。
しかし物語が終盤に近づくにつれて、彼女のこのシリーズでの役割―ポーリーン去った後のカウリーの公私に渡るパートナー―もはっきりしてくる。

この作品は前作のタイトルどおり、ロシア民警ダニーロフとFBI捜査官カウリー2人の「英雄」の姿が描かれるが、彼らの私生活は共に幸せではない。
カウリーは寄りを戻しつつあった前妻のポーリーンに去られ、ダニーロフは元々上手く行っていなかった妻オリガがこの世を去る。しかもオリガは浮気が基で妊娠し、それを隠すためにダニーロフと寝ようとするが上手く行かず、中絶に失敗して死んでしまうという悲惨さだ。
仕事の出来る双方は温かな家庭に恵まれない。これは万国共通のアイロニーなんだろうか。

さてかなり練られたプロットで、意外性のある共犯者と相変わらずの筆功者振りを見せ付けてくれるのだが、どことなくアメリカの大ヒットドラマ『24』の影がちらついてならない。爆破テロもそうだが、特にペンタゴンの内部スパイの存在、そして次の脅威の萌芽を予兆する終わり方など、すごく既視感を感じた。最後の犯人を捕らえるシーンなどはそっくりだと云える。
どちらが先かという問題もあろうが、件のドラマを観た後で読んだがためにちょっと損な受取り方をしてしまった。

ここまで派手な事件を繰り広げると次作の展開を懸念する向きもあるが、その心配は無用だろう。なぜならそれはチャーリー・マフィンシリーズで既に何度も杞憂となっているから。
だから私は次作も大いに期待して待ちたいと思う。


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No.2:
(5pt)

チャーリーマフィンも好きだけど

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