ホームズ二世のロシア秘録



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    初公開日(参考)2006年08月
    分類

    長編小説

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    ホームズ二世のロシア秘録 (新潮文庫)

    2006年08月31日 ホームズ二世のロシア秘録 (新潮文庫)

    第一次世界大戦前夜のロンドン。ホームズの息子セバスチャンは、ロシア情勢を探るようチャーチルから依頼を受ける。新聞記者を装い単身ロシアに潜入したセバスチャンだが、いきなり皇帝の秘密警察に逮捕されてしまう。釈放はされたものの常に尾行が付きまとう。ロマノフ王朝崩壊の噂を探るべく、なんとかスターリンと接触したセバスチャン。そこで彼が耳にした恐るべき情報とは。 (「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt

    ホームズ二世のロシア秘録の総合評価:7.00/10点レビュー 5件。Dランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (3pt)

    “スター”に人間臭さは似合わない

    本作も前作同様、第一次大戦開戦の火花がいつ起こるか解らない1913年を舞台に歴史上の人物らとシャーロック、マイクロフト、セバスチャン、ワトスンらが共同し、諜報活動に乗り出す。

    前回はアメリカが舞台だったが今回はタイトルにもあるように、ロシア。
    自由の国の諜報活動とは勝手が違い、社会主義国家のロシアでは警察以外にも総国民が皇帝秘密警察の手先のように、異分子に対して監視の目を配り、何かあれば報告されているという、セバスチャンにとっては四面楚歌状態がさらに強まった困難な任務となった。

    しかもまだロマノフ王朝が国を治める時代の話。
    しかしレーニン、スターリンら、後のロシア革命の立役者たちの暗躍も同時に語られ、ロシアの歴史の大転換期と第一次大戦が起こるか否かの瀬戸際の非常に緊迫した雰囲気の中にセバスチャンは晒されており、前作にも増して状況はスリリング。
    さらに前作同様、皇帝一族の娘とのロマンスもあり、諜報活動に加え、仕事先の恋もありと、イアン・フレミングのジェームズ・ボンド張りの活躍を見せるセバスチャン。

    しかしそれでもなお、なんだか割り切れない物を感じてしまう。

    シャーロック・ホームズのパスティーシュ物でありながら、エスピオナージュ作家フリーマントルの特性を生かしたスパイ小説という新たな側面を持ったこのシリーズ。前回はホームズ物という先入観から感じた違和感を拭いきれなかったと述べたが、どうも本作を読むに当たり、違和感の正体はどうもそれだけではないことに気付いた。
    それは本作で描かれるシャーロック・ホームズ像である。

    正典で描かれるホームズとは超然とし、達観した人物像であり、全てを見抜く全能の神的存在であるのだが、本作では息子とうまくコミュニケーションが取れずに苦悩する父親像、自身の叡智を絶対な物と信ずる自信家、躁鬱の気が見られる非常に情緒不安定な人物像が前面に押し出されている。
    従って本作のホームズは時に麻薬の力を借りられずにはいられない弱さを持った人物であり、それを息子のセバスチャンは当然のこと、パートナーのワトスン、兄のマイクロフトらが常に心配している。

    特に「わたしは失敗によって苦しむという経験をほとんど味わったことのない男だ」といいつつ、セバスチャンを兄に預け、長く別れていた事を悔いていると自戒するのが象徴的だ。鋭敏さよりも他国で危ない橋を渡る息子に心配し、息子との心の和解を望む弱さを持ったホームズ。

    つまりフリーマントルの狙いは云わば御伽噺の人物であった正典のシャーロック・ホームズを長所もあれば欠点もあるという現実的な非常に人間くさい人物として描く事にあったと云えるだろう。私見を云えば、もはや世界一有名なこの探偵はもはや偶像視されており、正典のイメージが定着しているので、この手法はやはり合わないのではないかと思う。

    世の中にはいわゆる“スター”と呼ばれる人々がいる。ミュージシャンや映画俳優など、多数の人々が崇拝する存在。彼らは私生活が謎めいているのもまた自身の魅力の1つになっていると思う。
    もしそのような人物の私生活、家族内での立場などを知らされ、それがもし我々もしくは近所に住んでいる人たちとあまり変わらないものであれば、自らが描いていた偶像が壊れるような失望感を得るのではないだろうか?
    本書で抱くのは正にそういった類いの感覚である。

    こういうホームズをシャーロッキアンが期待しているのかどうかというと疑問を持たざるを得ない。他の人の意見も訊きたいものだ。
    私なりにこの設定を効果的に活かされる方法を考えてみた。それはセバスチャンが何者か知らされず、彼の協力者を叔父マイク、父の友人ジョンといった具合にファースト・ネームや愛称だけの表記にして、物語の最後に実は彼のラスト・ネームはホームズであり、父親はあのシャーロック・ホームズだったと明かされる手法だ。
    これだともし作中でシャーロックが上記のように描かれていても、サプライズと共にすんなり受け入れられたように思う。

    第一次大戦前のロシアの情勢を詳らかに描く歴史ミステリであり、スパイ小説であり、またホームズ物のパスティーシュでもある本書。確かにこの上なく贅沢な作品なのだが、上記のような理由でどうしても私には手放しに賞賛できなかった。

    Tetchy
    WHOKS60S
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    No.4:
    (4pt)

    革命前夜のホームズ二世

    コナンドイルの作品を下敷きにしたパスティーシュ(作風の模倣)ものです。
    模倣というよりも、世界観を借りてきたという方が近いかもしれません。
    なにせ、主役がホームズからホームズJrに変わっているし、
    内容もミステリーからエスピオナージュ(スパイと政府の緊迫した関係を描いたもの)に変わってますしね。
    好きな世界観を使って、自分の得意なジャンルで書くというのも面白いですね。
    帝政ロシア崩壊前夜の中にセバスチャン(ホームズ二世)が単身乗り込んで行って、
    歴史の教科書に載ってるような人物たちとまじりあってく様子がなかなか面白いですが、
    せっかくホームズの世界観を使っているので、
    もう少しだけ、ホームズに活躍して欲しいとも思っちゃいました。
    ホームズ二世のロシア秘録 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ホームズ二世のロシア秘録 (新潮文庫)より
    4102165541
    No.3:
    (4pt)

    一級のエスピオナージュ

    シリーズ第二作。前作同様、ホームズ・パスティーシュを期待するとあてが外れる。
    本書は20世紀初頭、革命前夜のロシアを舞台にしたエスピオナージュであり、冒険活劇である。チャーチル、ラスプーチン、レーニンやスターリンなど実在の人物が出てくる。
    結局、ホームズ二世を主人公にしても、フリーマントル節なんですな。
    ちょうど大エミルタージュ展を観たばかりだったので、重なる部分も多く、楽しめた。
    ホームズ二世のロシア秘録 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ホームズ二世のロシア秘録 (新潮文庫)より
    4102165541
    No.2:
    (3pt)

    逼迫した、革命前夜のロシア。諜報戦を制するのは誰か?

     ホームズの息子セバスチャンが活躍する、その後のホームズ物の一つ。
     革命前夜のロシア、サンクトペテルブルグを舞台に、英露両国のスパイが暗躍する。
     ロマノフ王朝ニコライ2世や王妃と英国のキングジョージ5世は姻戚関係にあり、「血の日曜日」事件など
    帝政が揺るぎ始めたロシアには、英国も少なからぬ関心を寄せていた。
     戦争の足音がしのび寄る往時の欧州の複雑な政治状況とあいまって、なかなか面白くストーリーが展開する。
     セバスチャンとプリンセスとのロマンスも、物語に花を添えること大といえる。
     ただ、複文が多かったり、直訳調だったり、文章にいかにも翻訳文らしい生硬さがあるのが読みづらいので
    評価は3。
     私としては、ローリー・キングの「ホームズの愛弟子」シリーズをおすすめしたい。
     
    ホームズ二世のロシア秘録 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ホームズ二世のロシア秘録 (新潮文庫)より
    4102165541
    No.1:
    (5pt)

    さすがにフリーマントル

    ホームズ物のパスティーシュ、セバスチャン・ホームズが活躍するシリーズ2作目。
    今回は革命前夜のロシア帝国が舞台だが・・・。その舞台のスケールの大きさと、
    変わらないストーリーの面白さ、もちろん作者らしい入り組んだ筋書き。
    誰が敵か味方(一時のものでさえ)か分らない。
    前作はホームズ物にしなければという力みがあったように思えたが、本作はセバスチャンの
    活躍が活き活きと書かれている。
    もちろん、ホームズとマイクロフト、そしてワトソンのことも。彼ら三人の関係がここまで
    ホームズが原因とは言いながら壊れやすいもので、それながらも三人が各々を必要としている
    ことをよく描けていると思う。
    これはホームズ物として読むより、フリーマントルが描くスパイ物(エスピオナージュ)としして
    読むべき作品だろう。もし本来のホームズ物として読むと評価を間違えると思う一作。
    最後に衝撃を受けたこと。あの「ラスプーチン」のことを意味する当時の英国の暗号が、
    「闇の力(ダーク・フォース)」であったこと。
    ルーカスはこれを知っていたのか?
    ホームズ二世のロシア秘録 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ホームズ二世のロシア秘録 (新潮文庫)より
    4102165541



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