シャングリラ病原体



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初公開日(参考)2003年01月
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長編小説

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シャングリラ病原体〈上〉 (新潮文庫)

2003年01月31日 シャングリラ病原体〈上〉 (新潮文庫)

南極のアメリカ観測基地からの連絡が途絶えた。現地に急行した救助隊は、無残に老衰死した4人を発見する。深くきざまれたしわ。肝斑。抜け落ちた白髪。白濁した眼球。36歳だった科学者が、5日間で90歳の老人へと激変していた。北極の英仏基地、シベリアのロシア基地でも同様な事態が発生。奇病の原因は未知の細菌か?あるいは新型の生物兵器か?巨匠が挑む近未来サスペンス。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

シャングリラ病原体の総合評価:7.19/10点レビュー 16件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(8pt)

パンデミックを前に政治家たちが狂宴する

とにかく冷静に読めない小説だ。なぜならあまりにリアルすぎるからだ。

老化が一気に進む恐るべき奇病のパンデミック(世界的大流行)を扱った本書。
前書きでも言及されている鳥インフルエンザから進化した新型インフルエンザのパンデミックが恐れられている昨今、正にタイムリーな小説だった。とはいえ、本作が書かれたのはなんと16年前の2002年。この頃、既に現在の新型インフルエンザの発症は実は予見されていることに驚いてしまった。

本作ではフィクションの形を取っていながらも実はかなり真実に近い内容だという。地球温暖化で北極・南極の氷が溶け出し、その厚い氷に眠っているのは古代に流行した未知の病原体であったというのが発想の素になっているが、実際にこういう事実は発見されているのだという。
本書の中には前書きにも言及されている、クジラやアザラシなどの海洋動物ではありえなかったインフルエンザの発症、世界最新の湖、バイカル湖に眠る紀元前数万年前の汚泥に潜むウィルスなど、世界的な異変の実体についても物語に盛り込まれており、これが絵空事とは思えない迫真性をもたらしている。

そしてこの時点でこんな小説が書かれているのにも関わらず、パリ協定から離脱宣言をしたアメリカはなんとバカな国だろうと義憤に燃えずにいられなかった。無論、フリーマントルはその事も念頭に置き、地球温暖化を否定したアメリカが、それが原因としか思えない未知の病原体の発症を認めるという一流の皮肉を使っている。これを物語の発端にすることこそ、フリーマントルが実施したアメリカへの痛烈な罵倒であろう。
しかしこの作家が凄いのはそのアメリカのシンクタンクの連中ならばこういうストーリーで温暖化を認め、逆にそれを糧にして更に世界のリーダーシップをアピールするに違いないときちんとシミュレーションし、淀みなく物語に溶け込ませているところだろう。本書を読んだアメリカ人のなんとも云い難い顔が目に浮かぶようだ。

裏を返せばフリーマントルがアメリカにパリ協定の同意をさせるにはどうしたらよいかを示した一つの指針であるとも云える。
あの国の巨大産業と政治との癒着が根源と成っている愚行を正すにはこういう人類を滅ぼすぐらいの奇病が発生し、それが地球温暖化が原因である事を認めさせるくらいでないと、あの国は決してその重い腰を上げないし、固い頭を柔らかくしないだろうと声高に叫んでいるように読めた。もし同様のことが起きた場合に、こうすればあの国も協定に同意するだろうというプロセスを、詳らかに記した一例とも云える。

そしてこういうパニック小説を書きながらもフリーマントルは内外の政治的駆け引きを盛り込む事を忘れない。調査の主導権を握ったアメリカではこの機会を利用して成り上がろうと野心を燃やすアマンダとポールのせめぎ合い、協力国の1つ、イギリスではクーデターに失敗した科学相ピーター・レネルが再度首相の支持者を略奪すべく、画策する。
はたまたそれらの国々が病原体撲滅が成功した暁に、世界中からの賞賛を得、国際的信用と影響力を獲得するために、また逆に病原体が世界中に蔓延し、戒厳令がもはや意味を成さなくなった時の事態に備え、責任逃れをすべく、政治的交渉・策略に頭脳の全てを傾ける。
未知の病原体の正体の解明、そしてそれを自身の地位向上に利用しようと画策する政治家たちの陰謀、これらが50:50の割合で絶妙にブレンドされて物語が進行していく。

意外だったのは今までのフリーマントルの諸作では最も人非人として描かれていたロシア人が、最も人道的な考えを持っていることだ。
曰く、哀しい事に、こういった各国の協調姿勢が医学的観点から観て世界保健機関WHOに警告を与える事は絶対に必要だという議論が一切無く、彼ら全てが真っ先に個人への反発もしくは政治的反動を最小限に抑えることに専心している。

逆に云えば、この小説が出るまで、なぜ今までのパニック小説にはこういった政治的駆け引きの一切が考慮されていなかったのだろうかと疑問を持ってしまう。それらはあえて添え物でしかなく、常に物語の核心は敵であるパニックの正体に注がれていた。
翻せばこれこそフリーマントルでしか書けないパニック小説という事なのかもしれない。

しかし畏れ入るのは、およそ門外漢である遺伝子学、ウィルス学、病理科学の分野に関して、かなり詳細な考察を述べていることだ。同じくこれら専門知識に関して無知である一般読者に理解させるために、それぞれの調査・検査のプロセスを事細かに、秩序立って述べる様は一朝一夕で仕入れた付け焼刃的な知識では到底書けない域にまで達している。
しかもこの未知の病原体の正体を数々の症例、世界中から寄せられた感染の情報を手掛かりにして、一流の頭脳集団がディスカッションを重ねて解き明かす様は、謎を解き明かすミステリになっているのだから脱帽である。この作家の取材力とそれを噛み砕く理解力の凄さを改めて思い知らされた。

そして本作ではこういうパニック小説にありがちなハッピーエンドが用意されていない。これはこのフリーマントルという作家が時折見せる非情などんでん返しである。正に衝撃のラストである。これは手遅れになる前に行動を!と叫ぶフリーマントルが投げかけた冷徹なる警告であろう。
しかし本書を読むには今が最適の時期だと改めて思う。今、正に新たなる未知の病原体の恐怖という危機に直面しているからこそ、多くの人に読んでもらいたい作品だ。

Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

シャングリラ病原体の感想

パニック×ミステリー×歴史 というジャンルに目のない私としては、外せない作品です。シグマフォースシリーズの愛読者なら外してはいけない逸品だと信じて読みましたが・・・
人類史や考古学の重箱の隅マニアには面白くもないストーリーですが、新たな視点を提供してくれました。
ここでは、政治的駆け引きに主眼が置かれています。登場人物の行動を束縛するのは、すべてが当事者各国の国益です。「シグマフォースシリーズ」を期待していましたが、どちらかというと、「レッドオクトーバーを追え」(潜水艦アクションと思わせて、実は政治問題を扱った秀逸な長編大作)の政治的駆け引きを増大させた作品です。

期待とは違っていましたが、失望は無く、大いに勉強させられました。

absinthe
BZLMTCHK
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.14:
(1pt)

登場人物が悪い人間ばっかり

冒頭、「身勝手なお前のせいでみんな死んだじゃないか」と腹が立つ登場人物がいるのですが、その人がなんと主役です…。その後も、この主人公の行動のせいで恋人が死んだのに、そのことを後悔し苦しむわけでもなく、あっさり別の女科学者とくっつく。他にも、政治家を中心に、誰一人、いいやつが出てこない。誰かと誰かがすぐ寝る。感情移入もできないし、誰にも共感できず、読んでいてひたすら苦痛です。病気の正体もいまいち(そもそも原題は「~病原体」じゃなくて「アイスエイジ」です)。最後の最後に驚かせる展開だけは、少し面白いかもしれません。下巻の332ページあたりから読めば十分だと思います。
シャングリラ病原体〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:シャングリラ病原体〈上〉 (新潮文庫)より
4102165452
No.13:
(4pt)

OK

本屋さんを探したけど無かった。

状態が とても綺麗で 予想以上に良かった。
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4102165452
No.12:
(2pt)

なんだか難しい

上下2巻の長編で題名もシャングリラってなんか冒険ものかつ病原菌のスリラーっぽいから面白いと思い購入したが初めはワクワクしたがいろんな登場人物が出て来てあーだこーだと言い合い、プライドがどうのこうのとか対人関係悪いし肝心のシャングリラはあんまり関係ない。
読んでいて苦痛でした。
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4102165452
No.11:
(3pt)

なかなかの力作ですが

テーマも今日的で、そこそこエンターテイメント、
そこそこ専門的でおもしろいのですが・・
個人的には今ひとつ・・・。

まず、翻訳が少々ぎこちないこと。
それから、未知の病原体を扱い、対処する人々が科学者と政治家ばかりで、なんだか国際会議上での言葉のやり取りだけが延々と書かれているような気がしてしまうこと。
政治家のセリフは、ひとつずつに括弧書きが付いていて
建前と本音が書き分けがあり、
「政治家というのは、普通の会話でも自分に不利にならないように、
後で責任を取らなくてもいいように、
こんなややこしい言い回しばかり考えているんだ!」と呆然とさせられますが、
それが興味深いと同時に、娯楽作品としてみると、くどい感じを受けます。
あまりにも同じような駆け引きの表現ばかり出てくるもので。

途中で思ったのですが、タイトルが病原体名なこと、
(原題は「アイス・エイジ」ですが)
最初に出てくるシーンが、病原体に感染して死亡してしまった人たちの描写なことなどから、
なんとなくたとえば瀬名秀明作品のようなサイエンス・スリラー風を
期待してしまったのだと思います。
人類を滅亡させてしまうかもしれない未知の病原菌を前にして、
なんで登場人物はメンツや出世のことしか頭になく、
政治家も科学者も他の国を出し抜くことしか考えていないのか?
それとも、わざとそれを皮肉に描こうと意図した作品なのか?と考えてしまいました。
フリーマントルが描きたかったのは、病原菌を前に危機を迎えた人類というよりは
国際政治の裏舞台での駆け引きだった?

個人的には、なんだか消化不良で終わってしまった読後感でした。



シャングリラ病原体〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:シャングリラ病原体〈上〉 (新潮文庫)より
4102165452
No.10:
(3pt)

なかなかの力作ですが

テーマも今日的で、そこそこエンターテイメント、
そこそこ専門的でおもしろいのですが・・
個人的には今ひとつ・・・。

まず、翻訳が少々ぎこちないこと。
それから、未知の病原体を扱い、対処する人々が科学者と政治家ばかりで、なんだか国際会議上での言葉のやり取りだけが延々と書かれているような気がしてしまうこと。
政治家のセリフは、ひとつずつに括弧書きが付いていて
建前と本音が書き分けがあり、
「政治家というのは、普通の会話でも自分に不利にならないように、
後で責任を取らなくてもいいように、
こんなややこしい言い回しばかり考えているんだ!」と呆然とさせられますが、
それが興味深いと同時に、娯楽作品としてみると、くどい感じを受けます。
あまりにも同じような駆け引きの表現ばかり出てくるもので。

途中で思ったのですが、タイトルが病原体名なこと、
(原題は「アイス・エイジ」ですが)
最初に出てくるシーンが、病原体に感染して死亡してしまった人たちの描写なことなどから、
なんとなくたとえば瀬名秀明作品のようなサイエンス・スリラー風を
期待してしまったのだと思います。
人類を滅亡させてしまうかもしれない未知の病原菌を前にして、
なんで登場人物はメンツや出世のことしか頭になく、
政治家も科学者も他の国を出し抜くことしか考えていないのか?
それとも、わざとそれを皮肉に描こうと意図した作品なのか?と考えてしまいました。
フリーマントルが描きたかったのは、病原菌を前に危機を迎えた人類というよりは
国際政治の裏舞台での駆け引きだった?

個人的には、なんだか消化不良で終わってしまった読後感でした。
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