エニグマ奇襲指令



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    初公開日(参考)1980年09月
    分類

    長編小説

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    エニグマ奇襲指令 (ハヤカワ文庫 NV 234)

    1980年09月01日 エニグマ奇襲指令 (ハヤカワ文庫 NV 234)

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    エニグマ奇襲指令の総合評価:9.43/10点レビュー 7件。Aランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (10pt)

    痛快な怪盗劇の最後に訪れる歪んだ大国の闘争原理

    これは傑作!正に掘り出し物だ。
    予想以上に面白かった!ドキドキハラハラの連続活劇だ。

    エニグマ強奪の任を受けてドイツ支配下のパリ潜入行を行うベルヴォアールが、盗賊時代の仲間達の協力を得ながらドイツの包囲網を常に相手の想定の斜め上を走りながら潜り抜けていく。
    一歩遅れれば囚われの身となり、拷問に晒される状況下、時には鮮やかに、時にはギリギリの所で、はたまた敵の目前で包囲網をかいくぐるスリリングな展開が目白押しだ。

    そんな物語を彩る登場人物たちの個性が際立っている。

    まず主人公の盗賊、自らを男爵と名乗るフランシス・ド・ベルヴォアールの造形が素晴らしい。
    フランス人で大泥棒の父と駆け落ちした鉄道王の娘との間に生まれたこの男は幼い頃から父の稼業を手伝いながら盗賊としての腕を着々と磨き、世界中で盗みを働く。サイゴン、マカオ、香港の東南アジアで活躍し、その後エチオピア、コンゴ、アルジェリアと西アジアから北アフリカを蹂躙。そして生まれ故郷のヨーロッパに戻り、大仕事を幾度と無く成功させ、ゲシュタポの金塊強奪事件で英国で捕まるまで一度も逮捕された事がない。変装を得意とし、人殺しは無論の事、銃器を使わぬことを信条とし、大胆不敵さと情の厚さを兼ね備えたその性格は、周囲の人物を魅了し、次々と仲間―女性の場合は恋人―に引き込み、協力者のネットワークを世界中に築き上げている。

    彼の標的である暗号機エニグマを所有するドイツ軍にあって、彼の宿敵とされるのはルドルフ・フォン・ベック大佐。厳格なる職業軍人の血筋に生まれた生粋の軍人である彼は34歳にして軍情報部の大佐の地位にあり、ドイツ軍の本道を進むエリートである。
    しかし彼は幼き頃からジュール・ヴェルヌの冒険小説を好み、バイロン卿やラファイエットといった自由のために戦ったロマンティックな勇士に憧れる心を持ち、またフランスの華やかな文化を愛でるロマンティストでもある。そして彼はベルヴォアールの波乱万丈の人生を読んで、かつて叶えられなかった理想の人生を彼に見る。敵でありながら憧れであるベルヴォアールを尊敬の心でもって相見える。

    さらにパリでベルヴォアールを助けるブリュノー・モレールを中心としたかつての仲間たちも個性的であり、彼らは敵のドイツ軍、特にゲシュタポのパリ本部長クルト・リマーの残酷さが物語の闇の部分を際立たせ、陽と陰が適度にブレンドされ、読者のハートをゆすぶる。
    彼リマーの残忍な手口によって拷問に晒され、命を落としていくレジスタンスにイギリス軍の協力者達。第2次大戦時のドイツ占領下におけるパリの明日をも知れない緊迫したムードが、このコンゲームにスリルをもたらしている。

    さて、上に書いたベルヴォアールの経歴を読んで、何か連想しないだろうか。
    そう、フランス人の大泥棒ベルヴォアールはもうルパンそのものである。これはバー=ゾウハーの手による怪盗ルパン譚、パスティーシュでもあるのだ。

    本家ルパンが書かれた時代は第1次大戦から第2次大戦時の動乱の最中である。作者ルブランは篤い愛国者であり、実際ルパン物で自国フランスを救うエスピオナージュを書いている。しかしそれはあくまで怪盗ルパンの活躍を中心にした創作であり、全面的に政治的側面を押し出したものではない。
    翻ってバー=ゾウハーによる本書はまずV-2ミサイルというドイツの脅威の新兵器がありきで、その侵攻を阻止するために暗号機エニグマの強奪という側面が浮かび上がってくる。つまりルブランの創作姿勢とは全く逆なのだ。
    従ってバー=ゾウハーの書く怪盗ベルヴォアールの活躍は非常に現実的であり、緊張感溢れるスパイ小説としても読めるのだ。
    いやあ、スパイ小説でありながら、ピカレスク小説でもあり、さらにルパンのパスティーシュでもあるという、非常に贅沢な作品だ。そしてそれを難なく作品として纏めているバー=ゾウハーの手腕に改めて感服する。

    そして明かされる事実は情報戦の非情さを象徴するが如く、皮肉な物だった。
    大局的勝利のために少数の犠牲を出すことも厭わない戦時中の歪んだ闘争原理。バー=ゾウハーはそんなパワー・ウォーに巻き込まれた尊い命の数々を描いたのだ。

    しかしこの邦題はなんとも魅力がない。このガチガチの国際謀略小説を思わせる堅苦しい題名を見てこのようなドキドキハラハラの冒険譚を想像するだろうか。
    バー=ゾウハーの多くの作品が絶版になった中で、なぜ1980年に訳出された本書が21世紀も18年過ぎた今なお刊行されているにはやはりそれなりの訳があるのだ。
    それを想像させるにはこの題名が足を引っ張っているように思えてならない。


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    No.6:
    (3pt)

    再読したら案外つまらなかった

    昔、読んで面白かったので買いましたが、今読むと表現が大げさで時代遅れな感じ。フォーサイスのような時代を越えた普遍性を感じられない。
    エニグマ奇襲指令 (ハヤカワ文庫 NV 234)Amazon書評・レビュー:エニグマ奇襲指令 (ハヤカワ文庫 NV 234)より
    4150402345
    No.5:
    (5pt)

    迅速な対応

    配送も翌日で、届いた本もコンディションが良く、ありがとうございました!
    エニグマ奇襲指令 (ハヤカワ文庫 NV 234)Amazon書評・レビュー:エニグマ奇襲指令 (ハヤカワ文庫 NV 234)より
    4150402345
    No.4:
    (5pt)

    パリは燃えているか

     時に1940年代。開戦以来、破竹の進撃を続けてついにはフランスをも手中に収めたドイツ第三帝国の作戦遂行の要、エニグマ暗号機を奪取せよ! パリ陥落の年、ウィンストン・チャーチルの「ヨーロッパに火をかけよ」という言葉と共に新設されたSOE(英国特殊作戦執行部)は、占領下のパリに潜入し、秘密警察(ゲシュタポ)と軍情報部の厳重な監視と警備の網の目をかいくぐってエニグマ暗号機に迫るという困難どころか不可能に近い任務を、獄中にあった一人のフランス人に打診する。彼の名はフランシス・ド・ベルヴォアール。通称、「男爵」。かつて世界を股にかけて暗躍した犯罪者にして、ナチの秘密警察すらもペテンにかけてみせたことのある、半伝説的な大怪盗である。
     スパイ小説の大家にして後にイスラエル国会議員となったマイケル・バー=ゾウハーの手になる活劇風の冒険小説。スリルとサスペンスは勿論のこと、裏切りもあればどんでんがえしもあり。これに薄幸の美少女との恋と、尊敬に値する好敵手とのコン・ゲームが加わるのだから、まさに全方位隙なし。これ以上何を望むことが出来ようかという極上の娯楽作品である。映画化もされているが、舞台が冷戦時代の東ベルリンに移されてしまっており、アルセーヌ・リュパンばりの怪盗も登場しない普通のスパイ・ドラマになってしまったのがファンとしては残念なところだ。
    エニグマ奇襲指令 (ハヤカワ文庫 NV 234)Amazon書評・レビュー:エニグマ奇襲指令 (ハヤカワ文庫 NV 234)より
    4150402345
    No.3:
    (5pt)

    パリは燃えているか

    時に1940年代。開戦以来、破竹の進撃を続けてついにはフランスをも手中に収めたドイツ第三帝国の作戦遂行の要、エニグマ暗号機を奪取せよ! パリ陥落の年、ウィンストン・チャーチルの「ヨーロッパに火をかけよ」という言葉と共に新設されたSOE(英国特殊作戦執行部)は、占領下のパリに潜入し、秘密警察(ゲシュタポ)と軍情報部の厳重な監視と警備の網の目をかいくぐってエニグマ暗号機に迫るという困難どころか不可能に近い任務を、獄中にあった一人のフランス人に打診する。彼の名はフランシス・ド・ベルヴォアール。通称、「男爵」。かつて世界を股にかけて暗躍した犯罪者にして、ナチの秘密警察すらもペテンにかけてみせたことのある、半伝説的な大怪盗である。

     スパイ小説の大家にして後にイスラエル国会議員となったマイケル・バー=ゾウハーの手になる活劇風の冒険小説。スリルとサスペンスは勿論のこと、裏切りもあればどんでんがえしもあり。これに薄幸の美少女との恋と、尊敬に値する好敵手とのコン・ゲームが加わるのだから、まさに全方位隙なし。これ以上何を望むことが出来ようかという極上の娯楽作品である。映画化もされているが、舞台が冷戦時代の東ベルリンに移されてしまっており、アルセーヌ・リュパンばりの怪盗も登場しない普通のスパイ・ドラマになってしまったのがファンとしては残念なところだ。
    エニグマ奇襲指令 (1980年) (ハヤカワ文庫―NV)Amazon書評・レビュー:エニグマ奇襲指令 (1980年) (ハヤカワ文庫―NV)より
    B000J84ZUO
    No.2:
    (5pt)

    印象的なキャラクター達

    舞台は一転して第2次世界大戦中のヨーロッパ。英国情報部は、ドイツの暗号機エニグマを盗み出すよう、フランス人の怪盗ベルヴォアールに持ちかける。バー=ゾウハー作品をいくつか読んでいれば、オチはさほど意外ではない。また、エニグマは実在した暗号機なので、その逸話を知っている人なら、容易にオチを予想できるだろう。だが、オチがわかっていてもおもしろい話があるが、本書はまさにそれである。話はとにかくおもしろい。ページ数は少ないが、とても密度が濃い。波瀾万丈、スリル満点の展開。シビアなスパイ小説と、古き良き時代の冒険小説との、絶妙なブレンドが楽しめる。そして、何と言ってもキャラクターが魅力的。アルセーヌ・ルパンを彷彿とさせる怪盗ベルヴォアールを筆頭に、男気たっぷりの親友ブルーノ、薄幸のユダヤ人娘ミッシェル、切れ者だが良心的なドイツ国防省情報部員フォン・ベック…と印象的なキャラクターが顔をそろえる。無惨な死を遂げるレジスタンス戦士エマールも、チョイ役なのだが鮮烈な印象を残す。だが最も印象的なのは、英国情報部のブライアン・ボドリー長官。目的のためには手段を選ばない、冷酷非情きわまる人物なのだが、私情を排した徹底した非情さには、かえって感嘆させられる。
    エニグマ奇襲指令 (ハヤカワ文庫 NV 234)Amazon書評・レビュー:エニグマ奇襲指令 (ハヤカワ文庫 NV 234)より
    4150402345



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