ミュンヘン―オリンピック・テロ事件の黒幕を追え



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初公開日(参考)2006年01月
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長編小説

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ミュンヘン―オリンピック・テロ事件の黒幕を追え (ハヤカワ文庫NF)

2006年01月01日 ミュンヘン―オリンピック・テロ事件の黒幕を追え (ハヤカワ文庫NF)

1972年9月、ミュンヘン・オリンピックの選手村をパレスチナ・ゲリラ“黒い九月”が襲い、イスラエル選手団の11人を惨殺した。イスラエル政府は報復を決意、情報機関モサドが暗殺チームを組織し、“黒い九月”の幹部を次々と抹殺し始める。スパイ小説の巨匠が、衝撃のテロ事件とその後の復讐を克明に再現し、アラブとイスラエルの対立の原因と歴史を明らかにする。(「BOOK」データベースより)




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ミュンヘン―オリンピック・テロ事件の黒幕を追えの総合評価:7.63/10点レビュー 8件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

血に刻まれた殺戮の民族史

裏表紙の本書の紹介にはスピルバーグによって映画にもなったミュンヘン・オリンピックでのイスラエル選手団惨殺事件の背景を描いた事がメインのように書かれているが、実はそうではない。通称“血まみれの王子”と呼ばれたパレスチナ・ゲリラ“黒い九月”のリーダー、アリ・ハサン・サラメの生涯を70年代に繰り広げられたアラブとイスラエルの対立の時代から詳細に綴ったドキュメントである。
また本書の原題は“The Quest For The Red Prince”、つまり『血まみれ王子の追跡』であり、題名のミュンヘンでの事件は彼の人生における断片にしか過ぎない。明らかにこれは版元である早川書房の、映画に便乗した商業戦略が加味された題名である。

中学・高校と歴史を習ってきたが、なぜか第二次大戦以後の歴史は概要をなぞるだけで詳細に教えられた記憶がない。従って本書で語られる70年代のパレスチナ問題に関しては単純にその単語を知るだけで、どのような物だったのかは今まで知らないままだった。私にとって歴史の空白部分であるその時代を知るのに本書はいい教科書となった。

これは報復の時代に生まれた人間の血の物語だ。

血とは流血も指すが、それ以上にテロリストの息子として生まれた男が引き継ぐ血筋をも指す。

住み慣れた領地の奪い合いがイスラムとユダヤの宗教間の争いのみならず、アラブ人・ユダヤ人の民族間の争い、更には国を跨っての戦争にまで発展していく。そしてそれを利用して己の領土を拡張しようと企むものまで出てくる。

特に驚いたのは第二次大戦においてパレスチナ・ゲリラがドイツ軍と手を組んでいたことだ。確かに双方ユダヤ人を憎んでいたのだから利害は一致する。そして逆にイギリス軍がユダヤ人を利用して軍隊を組織しようとしていた事も今の今まで知らなかった。

これら歴史の暗部とも云うべきイスラエルとパレスチナの血を血で洗う暗闘の日々を詳らかにしていく。

本書の主人公とも云うべきアリ・ハサン・サラメは父親ハサン・サラメの遺志を継いでテロリストとなる。忘れてならないのは父サラメは元々貧困層の出身で彼が成り上がっていくために選んだ手段が暴力だったという事だ。これが発展途上国が抱える闇だろう。

私がいたフィリピンでも銃は簡単に手に入り、たった4,000円の報酬で人を殺す輩が大勢いる。

そんな事実に輪を掛けて驚くのはカリスマ性を持った指導者がいれば、アラブ人は国民全てが残虐の徒と化し、一般市民でも即席の兵士となってユダヤ人を殺すことを全く厭わないということだ。これは文化的な暮らしをしている欧米、日本では全く考えられない事だ。

彼らが憎むユダヤ人のバスが通りかかるとそれを襲撃し、平気で乗客や運転手を八つ裂きにするのだ。なんとも恐ろしい種族ではないか。
中東が危ない危ないと云われているが、それは犯罪者が蔓延っているのと、テロやクーデターのような事件がいきなり起こること、イスラム過激派がのさばっている事などを想像していたが、実は普通に歩いている人々が一瞬にしてみな人殺し集団と化すというのが危険の根源だと悟った。

そして彼らの民族は復讐こそが絶対だという倫理観に捉われているようだ。このほぼ1世紀にも渡る民族間の闘争で犠牲になった一般市民の多いこと。しかもこの闘争の火種は中東だけに留まらず、ヨーロッパまで飛び火し、無垢な命が数多く奪われた。
暴力には暴力を、という非文化的な行動原理、思想が何も生み出さないことをなかなか解らない。単なる動物的な闘争本能で彼らは行動しているだけに見える。唯一無二神という幻想に抱かれ、殺戮を繰り返す狂信的民族、そういう風にしか私には見えなかった。

本書で残念なところはイスラエルとパレスチナを始め、レバノンやエジプトなど中東諸国の当時テロに関わった人間が数多く登場するが、彼らムスリム系の名前はどれもが似たり寄ったりで、どちらがイスラエル側でどちらがパレスチナ側なのか混乱する事が多かった。恐らくムスリム系の名前にはさほどヴァリエーションがないのだろう。数多くのアブーやらムハンマドやらが敵味方の区別なく登場するので、非常に理解に困った。多分半分ほど誤解している部分があるだろう。

前世紀に中東で起こったシオニズム運動に端を発した民族間抗争を総括するのに本書は優れた書物であるといえよう。本書の末尾でも語られているように、第2の“血まみれ王子”は既に生まれている。
オサマ・ビンラディンという新たな恐怖の王にいかにして世界は対抗していくのか。いや、それだけではなく、なぜビンラディンを差し出す人間が現れないのか。
この本を読めばその理由がはっきりと解るだろう。世界の正義は必ずしも1つではないことが。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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No.7:
(4pt)

本は奇麗だった

届いた「本」は、奇麗で気持ちよく読むことが出来た。頁の「折れ」も「書き込み」も無く、・・。何時も「こうであって欲しい」ものだ。今回は、満足している。以上
ミュンヘン―オリンピック・テロ事件の黒幕を追え (ハヤカワ文庫NF)Amazon書評・レビュー:ミュンヘン―オリンピック・テロ事件の黒幕を追え (ハヤカワ文庫NF)より
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No.6:
(3pt)

イスラエルと闘い続けた父子の生涯

オリンピック・テロ事件のことは十頁程度しか出てきません。犯人、殺された選手、他国の選手たち、OP関係者等々の動向、素顔や生の声が書かれているのかと勝手に思い込んで買った私が馬鹿でした。イスラエルと闘い続けたサラメ父子の生涯が時系列で比較的坦々と書かれています。中東の歴史を知りたい方にはよい本かもしれません。ノンフィクションにしてはスパイ小説風、小説にしては登場人物に入り込めないという感じで、ちょっと中途半端だったかなと思います。
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No.5:
(5pt)

全ては繋がっている

昨今世界規模で猛威を振るっているイスラム国を筆頭とするイスラム過激派テロリストたち。
彼らがどこから来て、どこへ向かおうとしているのかを考えるヒントになりうる一冊となるでしょう。
ミュンヘンオリンピック事件を起こしたテロリストたちのルーツを辿っていけばナチスドイツも関わっていたというのは衝撃でした。
中東問題というあまりにも根深い問題。本の中にもありましたが、いつまでこれは続くのでしょうか…
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No.4:
(4pt)

映画「ミュンヘン」の原作ではありませんが優れた一冊

スピルバーグの映画は、1972年ミュンヘンオリンピックで発生したパレスチナテロ集団「黒い九月」によるイスラエル選手団虐殺テロに対するイスラエルス諜報機関モサドの復讐暗殺を描いています。映画は2005年12月公開です。一方本書のオリジナル版は1983年に出版された「The Quest for the Red Prince」(赤い貴公子の追跡)で、「Munich」(ミュンヘン)ではありません。その翻訳版が本書であり、映画タイトルにあやかったのか、「ミュンヘン」と改名されて2006年に出版されています。スピルバーグの映画の公開のタイミングで、これに合わせた書籍を売ろうという目論見でしょう。

「The Quest for the Red Prince」(つまり本書)は、「黒い九月」団の首謀者であるサラメが、パレスチナテロの世界でのし上がり、さまざまなテロを企画実行し、遂にはイスラエルを代表するオリンピック選手団を殺害するというミュンヘンテロを仕掛け、復讐に燃えるモサドに復讐暗殺されるまでの過程を通して、パレスチナテロの闇に迫ったノンフィクションです。一方映画の方は、スピルバーグがインタビューで語っているように、3つの確たる事実、ミュンヘンでの虐殺テロでイスラエル選手団が殺された事実、当時のイスラエル首相メイアが非合法に「黒い九月」団幹部の暗殺命令を下した事実、サラメが暗殺されたという事実を結び付けて、イスラエルによる暗殺行動を想像で描いたフィクションです。映画公開にあわせて、早川書房が急遽「ミュンヘン」という題名に変更して出版したものと思われます。私は映画を見て、イスラエルの暗殺活動の組織や情報収集方法を知りたくて、てっきり映画の原本と勘違いして読んだのですが、その観点では選択ミスでした。しかしです。本書の内容は、アラブ・パレスチナ対イスラエルの歴史的背景がサラメの父の時代からサラメの時代にわたり緻密に描写されており、パレスチナ問題、アラブ系民族によるテロの背景を理解するうえで大変に優れた一冊だといえます。

●なぜアラブ系民族は過去から残虐なテロを平気で繰り返しているのか?
●アラブ民族のDNAには共通の凶暴性が宿っているのか?
という疑問、というより偏見に近い感情を私はずっと抱いてきました。

しかし本書により、偏狭な偏見は解けつつあります。彼らは、決して許されないゆうな暴力闘争にしか自己実現をみいだせない世界に閉じ込められているのではないのかという考え方に変わりつつあります。ミュンヘンテロ、911テロ、イスラム国(国ではないし、イスラムを代表しているわけではないのでこの名称には疑問符がつきますが)と続く滅茶苦茶な残虐行為が、長期間白人社会から虐げられて圧縮されてきた歴史を原料とした燃焼であるとも思えてきました。国になどという立派なシステムの整っていなかったころにヨーロッパ列強に支配されてしまった時代に始まり、イスラエル建国により土地を追われ、ユダヤ民族滅亡を図ったナチスに加担して夢破れ、世界に散らばっていたユダヤ民族のイスラエル流入によってさらに土地を侵食されてきたという悲しい歴史です。著者はイスラエル系ですのでユダヤ民族の立場から書いてはいますが、テロ集団の事実や歴史的背景を客観的に描く努力もうかがわれ、その点もこの読み物を重厚なものにしている要因になっています。読後は、ニュースを見る時に、単純なアラブ憎しの怒りから、怒りつつも問題の深遠さに思いをはせられるようになり、知識武装の大切さを再認識しました。

読中に映画とは直接の関係がないことを知り、「ミュンヘン」という題名をつけた早川書房の小賢しさがプンプン臭いましたが、お蔭でいい勉強ができ結果良しです。でも、内容が優れた本なので、もう少しタイトルメークにセンスを働かせてほしいところです。ハヤカワのノンフィクションには概して内容の良いものが多く、また翻訳も上手で読みやすいです。下手な新書版よりあたり外れがすくなくおすすめです。「マネーボール」など」は映画の原作そのものですし、内容は映画よりずっと深く面白いです。、早川書房さん、今後もがんばってください。
ミュンヘン―オリンピック・テロ事件の黒幕を追え (ハヤカワ文庫NF)Amazon書評・レビュー:ミュンヘン―オリンピック・テロ事件の黒幕を追え (ハヤカワ文庫NF)より
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No.3:
(3pt)

事件への言及は少ない

自分はテレビで黒い9月を見ていた。
ミュンヘンの惨劇は平和の祭典を脅かしていた。
その真実偽買ってくれる内容ではなかった。
彼らにとっては一つの通過点だったようだ。
内容は悪くないけれども、タイトルはどうかなぁ。
ミュンヘン―オリンピック・テロ事件の黒幕を追え (ハヤカワ文庫NF)Amazon書評・レビュー:ミュンヘン―オリンピック・テロ事件の黒幕を追え (ハヤカワ文庫NF)より
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