アヴェンジャー
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本書の底本は、Frederick Forsyth の "Avenger"(2003)です。 動詞 avenge (アヴェンジ)を辞書で引きますと 「復讐する、被害者に代わって復讐する」と あります。既に日本語として定着している 動詞 revenge(リヴェンジ)も「復讐する」 あるいは名詞で「復讐」の意味があります。 リヴェンジとアヴェンジの違いは リヴェンジが「個人的な怨みを晴らすために 仕返しをすること」を含意するのに対し アヴェンジは「当然の懲罰を与えること」 という点にあります。本書のテーマは後者で 「天に代わりて不義を討つ」(古い!)です。 いわゆるネタバレにならない範囲で言及しますと 被害者は米国人の青年リッキー・コレンソで 1995年、ボスニアで、命を落とします (ある人物の命令で殺されたわけです)。 その遺族の中でも、祖父にあたる スティーヴ・エドモンド(カナダの財界人)は かつての「戦友」、米国上院議員 ピーター・ルーカスに(復讐を)相談します。 ルーカスはその筋(FBIなど)に働きかけ ある情報を得てエドモンドに伝えます。それが 復讐請負人(コードネーム=アヴェンジャー) に関する情報でした。 エドモンドから「仕事」を請け負った アヴェンジャーこと、キャル・デクスターは (本職は弁護士です)復讐に着手します。 いつ、どこで、どのように、ターゲットを狙う のか、その具体的な手続きが、本書の中核で、 邦訳なら文庫の下巻になります。 アヴェンジャーの仕事は、米国 FBI の監視下に あったのですが、それはなぜか、監視していた のは誰か? 最後に「実は…」という秘密の暴露 があります。「どんでん返し」と呼ぶよりは 「ああ、そうだったのか」という印象です。 結末に向け、著者は、前半で重要な伏線を張って います。邦訳文庫上巻は、復讐譚の「起こり」と 結末の伏線に充てられています。 劇画「ゴルゴ13」シリーズの読者ならば、仕事を 依頼する際、「賛美歌13番をリクエストする」、 「G-13型トラクターを注文する」、という設定を ご記憶のことでしょう。本書では「アヴェンジャー に連絡を取りたい者は、古い飛行機に関する雑誌 『ヴィンテージ・エアプレーン』において 「求む アヴェンジャー 電話乞う」と広告を出す のが決まりになっています。ここで言う アヴェンジャーは第二次世界大戦中に運用された 米国の雷撃機の名前です。グラマン社が開発し 1942年6月のミッドウェー海戦から投入されま した。雷撃機というのは、水上艦(空母や戦艦) をターゲットに、水平位で接近して魚雷を投下 するのに特化した飛行機のことです。英国、 カナダなどでも運用されましたが、1960年代に 退役しました。パイロットになりたかった (パイロットでもある)フォーサイスは 「復讐者」と「雷撃樹」をかける小技をきかせ たのかもしれません。 よく知られている通り、フォーサイスは 「ストーリー・テラー」マスターと呼ばれます。 執筆前に膨大かつ綿密な取材をするのはさすが ですが、各国の組織にしても、個人名にしても 実在するものと、実在しないものが、混在して いるのが特徴です。どこまでが取材による事実で どこからが著者による創作なのかは、本文中には 明示されておりませんので、混同しないように 注意が必要だろうと思います。逆に考えると 詳細な取材によって物語のリアリティーを増す という効果が絶大であるのがフォーサイスの 小説の真骨頂であると言えます。 小説家としてのフォーサイスは 1971年 "The Day of the Jackal" でデヴュー "The Odessa File" 後、早々に引退宣言しますが "The Dogs of War" のモデルになるような体験を していたとも言われます。その後も何回か 引退宣言がありましたが、執筆に復活し、今なお 書き続けています。その理由について本人は "money" が止むに止まれぬ動機であると答えて います。フォーサイスらしいと感じます。 最後に、1989年に冷戦が終結(マルタ会談)し、 1991年にソ連が崩壊してからは、情報部員小説は そのテーマを何にするか、取捨選択がたいへんに なってきたであろうと思います。 本書で、著者は、ヴェトナム戦争を下敷きとし ボスニア(東欧)や中東(UAE)や中南米を絡め 工夫をこらしているようです。 冷戦時代のインテリジェンス小説と、21世紀の それはパラダイム自体が変化してしまったのは 否定できません。本書はファーサイスなりの そのひとつの解答なのでしょう。 | ||||
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特にありません。 | ||||
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特にありません。 | ||||
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CIAテロ対策チームのチーフであるポール・デブローの片腕として働いてきたケヴィン・マクブライトが、この物語のエピローグで一人語りすることから「アヴェンジャー」ことキャル・デクスターの留守電に残した警告が誰だったか明らかになった。 ベトナム戦争でキャル・デクスターの「穴ネズミ」相棒(階級は上だった)だったのがケヴィン・マクブライトだったのである。 二人の「穴ネズミ」の30年後の友情を、物語の最期に知らせるサプライズもフォーサイスならではの上手さである。 CIA本部ビルのトイレでマクブライトが一人語りしているのは、世界貿易センタービルが崩壊する9・11テロの前日のことである。 旧ユーゴの悪逆非道のゾラン・ジリチの力を借りてアルカイダのテロを阻止するというデブローの計画に懐疑的だったマクブライトの考えは正しかった(ジリチにそんな力などないとマクブライトは判断していた)。 デクスターが弁護士なりたての頃に助けたコンピューターオタクのワシントン・リーやパスポートなどを偽造する天才的テクニックを持ったベトナム移民のグエン・ヴアン・チァンなどがデクスターに恩返しするエピソードなどがなければこの物語は成り立たない。 とにかくディテールに拘り、登場人物ひとり一人の性格描写など疎かにしないのがフォーサイス流なのです。 物語のテーマの重さを感じながらも『アヴェンジャー』下巻を楽しみながら読み終えました。 | ||||
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フレデリック・フォーサイスの小説で読んでいない『アヴェンジャー』(2003年)を読むことにした。 読み始めて主人公のキャル・デクスターがマイクル・コナリー描くハリー・ボッシュにそっくりなのである。 ベトナム戦において地下トンネルで穴ネズミとして熾烈な戦いを二人が経験していたことである。 二人とも徴兵ではなく志願兵としてベトナムへ行くところまで似ていたから驚いてしまった。 ハリー・ボッシュは帰還後刑事になるが、キャル・デクスターは弁護士になるところが異なっている。 キャル・デクスターはただの弁護士ではなく、愛する娘を殺した犯人グループを見つけ出しパナマへ別人になりすまして潜入して皆殺しにして敵討ちしてきた。 このパナマへ行くときに偽のパスポートなど作成してくれるベトナム人夫婦のエピソードが彼が弁護士になったばかりのころに布石されているから、さすがと思って読み進んでしまったのです。 弁護士であるが「アヴェンジャー」としての裏稼業は娘の仇を打ったところから始まった。 依頼人のカナダの大富豪スティーブ・エドモンドとピーター・ルーカス米上院議員が第二次大戦の戦友となるエピソードなど時間が交錯する物語は、第一章「建設作業員」から始まるが、さすがフォーサイスならではの手法の上手さに読者は引き込まれてしまうだろう。 ユーゴスラビア連邦解体の過程で起こった内戦を、ストーリーの中枢に据えるフォーサイスの問題提起も伺うことも出来る作品になっている。 | ||||
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