フリーマントルの恐怖劇場
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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タイトルが示すように、エスピオナージュ作家フリーマントルが紡いだ怪奇短編集。これが実にヴァラエティーに富んだ短編集となった。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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原題が“The Ghost Stories”つまり「怪談集」。12話を収め1993年に出ている。 同じ著者のチャーリー・マフィン・シリーズ第一作「消されかけた男」1977 を読んだとき“驚愕の結末”に仰天し、どんでん返しの面白さを初めて知った。その後、同シリーズをいろいろ読んだが、第一作を越えるものはなかった。短篇ならあのレベルのオチが楽しめるのではと期待して本書に手を出したが、外れだった。 テーマは多彩だしプロットはどれも上手くできている。しかし複雑に作り過ぎて筋を淡々と追うしかなく、コクもなければオチも決まらない。山場でも淡々としているのでメリハリに欠け、怖さを強調することも出来ない。長篇のあらすじか新聞の報道記事を読む感じで、怖さはまったくない(そういえば、フリーマントルは記者出身だった)。 それでも面白かったものを順に挙げれば・・・ 第6話「ゾンビ」。 悪魔崇拝研究の権威である神父が、カメルーン奥地で消息不明になった宣教師の救出に向かう。たどり着いた村はブードゥ妖術師のゾンビ王国。神父は妖術師と対決し、幻覚剤や催眠剤の知識を駆使して勝利するが・・・ かなりの残酷味があり、皮肉な結末もそこそこ決まっている。 第10話「洞窟」。 フランスの大地下洞窟で三代にわたって有能なガイドをつとめた男が、息子と妻をその洞窟で失い、生きる気力も失ってしまう。友人のガイドの息子が同じように洞窟で行方不明になり、捜索に出た男は首尾よく息子を発見するが・・・ ちょっと悲しい結末だが、ジェントル・ゴースト・ストーリーとしてよい出来と思う。 第9話「ゴーストライター」も上質のジェントル・ゴーストもの。 チャップリンやマルクス兄弟が出演するあの世のコメディ・クラブで、台本作家の腕を磨いた主人公。幽霊としてこの世に戻り、文字通りのゴーストライターになって売れない芸人を大スターにする。面白いのだが、メリハリがなく長い。半分にしてと大声で言いたくなる。 第7話「魂を探せ」は著者らしいスパイもの。 東ベルリンでKGBに殺されたCIA諜報員が、あの世の入り口から自分の魂を探しにベルリンへ舞い戻る。幽霊があの世の善し悪しを長々語るのがいいし、キャラ設定が皮肉っぽくて面白く、全体にコミカルなムードもいい。オチは一瞬、よい出来に思えたが、考えてみると「微妙」レベルだった。 | ||||
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12の怖い物語。ウィスキーの水割り片手に、毎晩一話づつ読むのがおすすめです。ホラーといってもおどろおどろしいものではなく、上質の短編映画を見ている気分にさせられます。特におすすめが第2話の「遊び友だち」と第8話の「愛情深い妻」。前者は母親の切ない心情にグッときて、後者は妻の怖い心情にゾクッときます。秋の夜長のお供にいかがでしょうか? | ||||
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