十一月の男



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    十一月の男 (新潮文庫)
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    初公開日(参考)1985年10月
    分類

    長編小説

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    十一月の男 (新潮文庫)

    1985年10月01日 十一月の男 (新潮文庫)

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    十一月の男の総合評価:6.50/10点レビュー 2件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    チャーリー・マフィンシリーズへの大いなる助走?

    フリーマントル4作目の本書ではアメリカ次期大統領の有力候補と目されるアメリカ大使が大統領選を優位に運ぶためにソ連に対して行った駆引きに巻き込まれる老スパイとイギリス人大富豪の姿を描いた作品だ。

    フリーマントルの定番とも云えるスパイ物だが、本書に登場するのはナチス時代に収容所に入れられ、屈辱の日々の末に解放され、スパイとなったユダヤ系オーストリア人フーゴー・アルトマン。彼はアメリカとソ連の陰謀の渦中に否応なく巻き込まれる。

    しかし本書では各国政府の思惑の狭間に翻弄されるのは老スパイ、フーゴー・アルトマンだけではない。上に書いたように作戦成功のキーマンとしてロシアによって標的にされたイギリスの大富豪でアメリカ次期大統領候補ジェイムズ・マレーの義弟であるジョスリン・ホリスもまた運命と云う名の歯車に巻き込まれる。彼はロシアに仕組まれたアルトマン、チェコ貿易相コーデス、東ドイツ貿易相ユンカースらによって国際的取引を持ちかけられることでスパイ容疑を掛けられる。

    今まで順風満帆だった実業家がある巨大国家の思惑によって囮スパイに仕立てられるこの恐怖。知らず知らずに知り合った外交官が実は共産主義国から送り込まれたスパイだったことで自身にも容疑が掛けられる、まさに突然の災厄以外何物でもない。
    本書にもちらりと出てくるがいわゆるキム・フィルビー事件に関わった人々は同様の恐怖のどん底に陥れられたことだろう。

    ところで2、3作目に続いてフリーマントルは本書でも収容所に入れられた男を題材に選んでいる。恐らくは収容所をストーリーに絡めた2作目を著すに当たり、取材の過程でたくさんのエピソードを手に入れたのだろう。そしてそれらのエピソードを1つの物語に圧縮するには分量が多すぎて、3作も連続して収容所に纏わる男たちを主人公にした物語を綴ったのではないだろうか。

    凄腕の、国に貢献をしたピークを超えた一介のスパイが、その実績ゆえにそれぞれの国の暗部を抱えていることを危惧した政府によって抹殺されることを余儀なくされ、どうにか自分の運命に抗う姿を描くのはフリーマントル作品には多々ある構成だ。そしてそのどれもが悲劇的な結末を迎え、読者を暗鬱な気持ちにさせる。

    それは本書でも例外ではなく、熟練の老練さでロシア外相の指令に従い、行動し、自らのアメリカへの亡命をも成功させようと企むアルトマンの末路は想像以上に悲惨だった。

    こう考えると用無しとみなされたスパイの悲劇的な末路を描くフリーマントル流常套手段を打ち破ったのが今なお新作が書かれている窓際スパイ、チャーリー・マフィンシリーズだろう。
    そして同シリーズは第1作目が本書の後に書かれるのだ。

    つまりこのフリーマントル的悲劇を知る者にとっては実はチャーリー・マフィンシリーズとは彼の作品群の中で異色の部類に入ると云えるだろう。

    さて題名『十一月の男』は原題“The November Man”そのままである。この11月とは即ちアメリカ大統領選挙の行われる月を指す。
    しかし一方で陰謀の渦中に飲み込まれようとしている富豪ジョスリン・ホリスもまたこの11月に大きな取引を控えていた。そしてアルトマンは来るべき11月を迎えることはできなかった。“Man”と原題では単数形が用いられているが、本書は男たちそれぞれが迎える11月を指しているのではないだろうか。

    しかし毎度暗鬱になる物語を書く作家だ、フリーマントルは。
    これらの作品群があって次作の『消されかけた男』が光るのかもしれない。今なお書かれ継がれるそのシリーズのマーケット戦略は見事に成功したわけだ。
    それを当時のフリーマントルが実際に考えていたかどうかは解らないのだけれど。


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    No.1:
    (3pt)

    人間の醜さを描かせたら一級の作家

    フリーマントルがデイリー・メールの外報部長を辞して、作家専業に身を転じてからの
    第一作であり、"チャーリー・マフィンシリーズ"が始まる直前の1976年の作品でもある。
    四年に一度、11月に実施される米大統領選挙に絡んで、KGBが巡らす陰謀を背景に、
    大富豪ホラスを陥れるための作戦のカギを握る老スパイ・アルトマンの苦悩と闘いを
    描くスパイ物。念入りな人物造形とねちっこいまでの心理描写はフリーマントルらしさ
    でもあるが、読者を選ぶ作風でもある。彼の初期作品は、人を道具扱いする諜報戦の
    持つ非人間性の告発、その世界に生きる者の苦悩を描く、丁度グレアム・グリーンや
    ジョン・ル・カレなどに通底するものだ。チャーリー・マフィン以降は娯楽性も加味した
    作品も増えてくるが、本作品はうらぶれた老スパイが抱える過去と、現在も続く悲劇が
    印象的で、物語の色調は暗いし結末も救いがない。話の筋は想像力で補わなければ
    ならず、何が進行してるのか解説してくれるわけではないので、工作戦の把握に骨が
    折れる。当節風のテンポのよい娯楽小説を求める人は手に取らない方がいいだろう。
    十一月の男 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:十一月の男 (新潮文庫)より
    4102165088



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