フランス人モデルに変装して扼殺された日本人女性。

忘れないで。―私が生きていたことを。

釣りというのは、魚を釣ることもそうだが、風景をも釣ることではないか―釣り師は、清流や渓流沿いの風景に身を濯われることが何よりもたのしいのだ。

人は生得あさましいものであるが、南無阿弥陀仏と称えれば、必ず救われる―平易な言葉で教えを説き、近畿一帯に大勢力を振った英邁なる高僧は、私的にはどのような男であったか。

新宿署刑事・鮫島―犯罪者は、恐れを込めて呼ぶ、「新宿鮫」と。

愛する女は死に男は罠に落ちた。雨にけむるシンガポール「白楼夢」の日々。

どこまでも救いのない物語。それはある瞬間、ふとどこかに突き抜ける。

幽霊ビルで相次いで起こった怪死事件。浅見光彦、湯の町・城崎を疾る―。

舞台はパリ―放蕩生活を送った祖父の足跡を追って、僕はここにやって来た。

“宗教法人炎矢教団総本部”この教団から娘・葉子を連れ戻してほしい―というのが今回の僕への依頼であった。

新幹線に乗り遅れたと、東京駅から新潟までタクシーを飛ばした女は、好物のはずの夕食の蕎麦をなぜ残したのか?―「乗り遅れた女」。

「僕は少し疲れているのかも知れない。頭の中にワラが詰まっている感じがする。

もと消防署だった建物を購入した男は、施設の一部として残った「見張り塔」から、毎日写真を撮りつづけた。

「これはひどい」凄惨な光景に、熟練の鑑識が目を背けた。

近年レベルの低下が進む名門女子高校、小町学園。女校長のゲンバクは、学園の活性化を図るべく男子生徒の受け入れを決定。

警視庁生活安全部少年課に所属する警察官宇津木真が、遭遇したのは実に奇妙なコンサートだった。

人は生得あさましいものであるが、南無阿弥陀仏と称えれば、必ず救われる―平易な言葉で教えを説き、近畿一帯に大勢力を振った英邁なる高僧は、私的にはどのような男であったか。

原因不明の突然死を追うルポライターがたどりついたのは呪詛にまみれた一本のビデオテープ。

映画に出演することになった亜衣、真衣、美衣は、映画スタッフやおまけの夢水名(迷)探偵と、鬼伝説のある総生島へロケにやってきた。

相模屋の店先で雪駄(せった)が一足盗まれた。上野山下の助五郎親分は、懸命に追い、下手人・仙八を挙げた。

「若き日の大観の傑作、発見さる―」若手画家・茂木貞澄は、この大ニュースに疑惑を抱いた。

江戸時代から遊郭を営んできた一家をめぐる殺人予告。狂死した遊女の怨霊祓いの夜、はたして二つの殺人が…。

日本最大の貯水量を誇るダムが乗っ取られた。人質は発電所員と下流域の市町村。

祖母の死でひとりぼっちになった麻生智子。8歳のとき交通事故で両親を亡くし、同乗していた智子は助かったものの記憶喪失に…。

真夜中…十津川警部の家の電話が鳴った。電話の主は八年前、妻殺しで服役していた平野という男だった。

贋作を巡る殺人事件。実家の土蔵から雪舟の水墨画を見つけた大学生、広田。

それぞれの結婚式二時間前、運命的な出会いをした航平と愛永。

両足両手を切断してなお舞台に立ち続けた名立女形、沢村田之助、その周辺で起こる連続殺人の謎を追う時代ミステリの秀作。

東に相模の北条、北に甲斐の武田、駿河の今川は強国との戦乱が絶えない。戦国の世を生きのびる政略と陰謀。

音響機器メーカーに勤める早瀬喬は、人生の恩人である宗田克人の突然の訃報を聞き、愕然とした。

シカゴ郊外の町パクストン。

人形に隠された手紙が明かす眠れる殺人、人生のほろ苦さをリリカルに描く青春ミステリの佳品。第六回鮎川哲也賞佳作。

警視庁捜査一課の美人刑事・今野真弓は殺人事件発生の報せを受けて、原人の骨を展示中のM博物館に急行した。

二流講演屋と蔑まれながら、屈辱的地方回りを続ける河合清重は奇妙な物を拾得した。それは一挺の拳銃だった。

’95年1月17日、未曾有の関西大震災発生。

「あーっ」という悲鳴で友人からの電話は切れた。

天国から「地上研修」に来ている天使のマリと、地獄から「成績不良」で叩き出された悪魔・黒犬のポチ。

その旅客機が墜落したのは灼熱の大砂漠だった。辛くも助かったのは鶴見浩二と何人かの女性たちだけ。

心中事件でなくなった花魁の名を継いだ幻太夫は三菱の総帥を別の遊廓の遊女に奪われて、自分の小指を切り落として岩崎家に届けた

熱海市・網代の作家・内田康夫の仕事場に、浅見光彦が訪ねてきた。

東京・新宿の公園で爆破事件が発生、多数の死者が出た。犠牲者のなかに「私」の、ただひとりの女性、ただひとりの友人がいた…。

杉原爽香、二十二歳の夏。

不思議な魔法で生徒の心を掴んだ小学校教師の愛情溢れる教育法。その華麗なマジックの陰に隠された藤田先生の秘密とは。

いよいよ、キッド・ピストルズが講談社ノベルス初登場!名探偵が活躍する「パラレル英国」で起こるのは、童謡がらみの連続変死に、「靴の館」の雪の密室、死んだはずの子供の誘拐に、「最後の偉大な執事」の謎、拘束具に身を包んだ娼婦の惨殺と五つの怪事件!全編に溢れる、本

冬山に轟く愛と涙の極道賛歌。外は一面の雪景色―それでも事情(ワケ)ありの客人たちは再出発を賭けてプリズンホテルへ。

ミステリ界に登場した『覆面作家』は、天国的な美貌で、大邸宅に住む20歳の御令嬢。

冷ややかな水に身を委ねうたかたのように流されてゆく―ただいちどの恋のゆくえ。水の響きが奏でる恋愛小説。

近江屋藤兵衛が殺された。下手人は藤兵衛と折り合いの悪かった娘のお美津だという噂が流れたが…。

高校生の通学列車で「戦争」が勃発、。その顛末の“エクリチュール”を読み解く悦び。

夏のバカンスで愛知県の伊良湖岬に出かけていたキャサリンと恋人の浜口。恋路が浜を散歩中、女性の他殺死体を発見してしまう。

一本のビデオを見た直後謎の死を遂げた男の解剖を担当した安藤は、人類の存在をも覆す暗号を発見した!!　神の啓示“リング”に抗う人間、最後の叡知。

森江春策の法律事務所に中年の女性が訪れた。娘の川越理奈が消息を絶っているので探してほしい、という依頼だった。

今やリゾート・マンションが林立する名作「雪国」の街、越後湯沢。その一室で美貌の芸妓・由美の絞殺死体が発見された。

失恋。引越し。

円形の敷地の中央ではお堂がゆっくり回転していた。その四方に同じ形の四つの館という奇観の高槻邸。

元刑事で私立探偵の橋本は、ある女性から河西弘という男を探して欲しいとの依頼を受け城崎へ向った。

憎悪、殺意、怨念がものに宿る。人の心が読めるってしんどい。

「この子をお願い…」特急「あさま」で幼児を連れた小田ゆみ子は、隣席の北条早苗刑事にそう言い遺して毒死した。

長崎を、一瞬のうちに火の海に沈めた原爆は一発だけのはずだった。ところが予備の「第三の原爆」が不発のまま投下されていた。

奇妙な夏が終わり、井戸は埋められた。そして人々はみんなどこかに去っていった。

大阪のテレビ局の美人レポーター杉山かおるが何者かに誘拐された後、浜名湖畔で死体で発見された。

本格ミステリーをトリック別に分類したアンソロジーの密室編。大乱歩から新本格派までを網羅。

坂巻内科医院の院長、倫三が急死した。死因はウイルス性の脳炎によるものだった。

ヨーロッパきっての小国リヒアルト公国から、コリンヌ王女が来日した。ボディガード役はもちろん朝日刑事と迷犬ルパン。

15歳の少年に25歳のお妾。出家を望む三春丸(足利義政)に仕掛けられた秘策が引き起こす花の御所の奇々怪々。

クリッ、クリッ、クリッ、マニ車の回る音とともに秘めた過去が暴かれる恐怖の一瞬。

母なる大洋より生み落とされた狂える波動物体は、ついに本能の赴くまま、破壊を繰り返し始めた。

時間のねじれのなかで「17歳」の力が25年の時空を超えて、動き出す。人生の時間の謎に挑む書下ろし長編。

東京から青森まで―緑まぶしい五月の国道四号線を完全装備の自転車でツーリングする中年グラフィク・デザイナー、桐沢風太郎。

灯がついた刑事部屋には、誰の姿もなかった。半開きのロッカー、散乱した吸殻、音だけの無線。

雪のように白い肌と鋭い目、びっしり生やした髭面―それが総美学園中等部三年A組の担任として赴任してきた北薗雪夫先生だった。

坂巻里加、28歳、宣伝部チーフは、遅刻の理由を「男と会っていたものだから。

大手デパート「赤看板」の社長の運転手竹場が轢き逃げ犯として逮捕され、獄死した。

ある秋の日曜日、高校生の朝枝正吉は遠乗りに出かけた。それが彼の最期だった。

昭和十七年二月、日本軍が英領シンガポールを占領し、昭南島と改名した日、彼は二つに引き裂かれた。帝国の臣民か、中華の民か。

軽井沢で殺された外国婦人はマレーシアの密林に消えたタイ・シルク王の妹だった。熱帯蝶の標本が二つの事件を結ぶ。

「一度目」は戦時下の強制連行だった。朝鮮から九州の炭鉱に送られた私は、口では言えぬ暴力と辱めを受け続けた。

オレはガンではないか。―経営者としてわずか2年半、夢と志を賭けた事業なかばにして倒れた男の無念の生涯。

白虎隊のふるさと、会津を訪れた浅見光彦の目の前で塗師平野が謎の死を遂げた。

深夜の交差点で衝突事故が発生。信号を無視したのはどちらの車か。

新劇出身の役者・永井光三、人気コラムを持つ演劇評論家・大木良二、酒場のマスター・井木荘一。

新劇出身の役者・永井光三、人気コラムを持つ演劇評論家・大木良二、酒場のマスター・井木荘一。

冴木涼介は六本木の私立探偵。ずぼらで女好きの不良親父だがヒゲの似合う顔つきで見てくれは悪くない。

世間様では、あたし“なんでも屋の大蔵”と呼ばれておりまして、ご用命さえあれば引っ越しのお手伝いから、留守中のペットの世話、雨漏りの修理までなんでも格安で承ります。

「スピードをもっとあげろ。ぶっ飛ばせ」私、めぐみ幼稚園の妹尾睦月です。

ここ“エッグ・スタンド”はカクテルリストの充実した小粋な店。

過去を隠しカタギのサラリーマンと幸せな生活を送っていた多恵子は、札幌に進出をねらう関西資本と、それを阻止しようとする地元ヤクザとの抗争に突然巻き込まれる。

「トンネル内で幼稚園児の送迎バスが消失」柊正雄判事補は、ドライブ途中、清滝トンネルの手前で警官から停止を命じられた。

「どこまでも殺されていく僕がいる。

人気超能力者の田代貢が念力による殺人を宣言、批判者の大学助教授が自宅で死んだ。凶器、目撃者がない、立証不能の犯罪である。

江馬淳二は交通事故で記憶喪失になる直前、看護婦殺人事件の犯人を目撃していた。

「〈自閉〉から往還へ」の軌跡を追い、大江健三郎が「経験の弁証法」により作家であり続けた意味を問う。

平家ゆかりの四国・徳島で惨劇は始まった。男女5人のグループ旅行で出掛けた祖谷渓で吊橋から転落して男が死んだのだ。

香月千晶は、ミステリー好きの十八才。

太平洋戦争末期、劣勢の戦局を挽回するべくビルマから東インド・インパールへの侵攻作戦が強行された。

江戸から明治へ―時代の波に翻弄される人々の哀歓。築地の旅籠で女一人男二人の心中と思われる死体が発見された。

「新本格」の旗手の1人としてデビューしながら、4年間の沈黙を破り挑む、ミステリのフロンティア。