鬼女の都
- 本格ミステリ (563)
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昔、京都で業界の催す宴会に出席した時のことです。着物を着た若い女性がお酌しに客席を回っており、私の 所に来ました。下戸な私は「申し訳ない。私はお酒が弱くてもう飲めません。ごめんなさい」と手を合わせて必 死に丁寧にお詫びし断りました。とたん、そのお嬢さんの顔色が変わりキッとにらむ様に「そんなにきつく断ら なくても良いのに・・・」と怒って行ってしまいました。私はえっ!どうしたの?何があったの?最上級の丁寧 さで辞退した(お断りした)のに何怒ってんの?と訳が分かりませんでした。 後でこの話を大坂の友人(奥さんが京都の女性)に話したら、「そりゃーやっぱり怒るわな―」との事。この 瞬間、私は思いました。「私は、一生京都の女性とはお友達になれない」・・・と。 さて本書を手に取った理由は上記体験とタイトル「鬼女の都」との縁(えにし)のようなものを感じたからで す。千年の古都。時の蓄積にともなう怨念や亡霊が凝縮して、目に見えないものとなり存在する。ひょっとして 本当に存在するかもしれない。居ても不思議ではない・・・というイメージがぴったりの街で、デビュー間近の 女性作家が自殺。生粋の京女が京都の神髄に殺されたとするファンタジー色の濃い舞台設定。主人公の「優希」 が本格推理で追及して行く物語で、著者は豊かな語彙を駆使し、京都の持つ雅で不気味で底知れぬ風景を濃密に 描写。この世とあの世の狭間の世界へと誘っていきます。 所詮、よそ者・田舎者の優希に「京都の神髄」鬼の「ミヤコ」の意志は伝わるのか、察してもらえるのだろう か? 京都の持つ時空の奥深さに優希はどこまで迫れるのだろう?じっくりと読ませてもらいました。 読了後始めに戻って、何故お酌の女性が気分を害したのか理解できたような気がしました。 | ||||
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この著者の小説はまずホラーから入った。京都を舞台に京都出身であることを有効に使った独特の雰囲気のホラーを数編読み、それらはとても気に入っていた。そういうものを期待していたらまったく違っていて、個人的にはちょっとがっかりだった。 最初に出てくる主要登場人物3人がみんな東京から来た少女たちで、1人は自分のことを「ボクは・・・なんだ」というしゃべり方をする女の子、もう1人はフリルいっぱいの少女っぽい服を着て甘ったれた声を出し、それを売りにしている女の子、もう1人は理屈屋で冷静なタイプ。「ボクは・・」のしゃべり方や、裏は結構計算づくでしたたかなくせに甘ったれたしゃべり方をする子、などなど、この3名に最後まで好感が持てずに終わってしまった。 主人公たちを標準語で東京方面の人間にしたのは、全国マーケットを狙ったことなんだろうか(笑)。確かに全編由緒正しいまともな京都弁で通したら、それは読みにくいだろうと思う。それにしても、ずっと目上の大人の京都人に対しても「だってボクはOOなんだもの。そうじゃないよ!」みたいなしゃべり方で話かけ、自然に敬語が出てくるはずの場合にこんな言葉使いは不自然だと思った。ということは、10代からせいぜい20歳程度の目線から描かれている?読者に想定されたのはジュニアだけ?会話になんだか違和感が残った。 それに、京都の雰囲気を売り物にした作家が自殺したという原因も「たかがそんなことで自殺するだろうか?」という程度のものとしか思えず、犯人の犯行声明らしき手紙も、京都の奥深さ、不気味さを強調したいががめに、無理やりこじつけているような。全般にご都合主義というか不自然なのだ。だいたい一応事件なのに警察が一度も出てきませんか? 自分も京都生まれの京都育ち、京都の描写や京都人の心理を描いたところは、なるほどとか、そうだそうだとうなずきながら読めるところもあった。けれど・・・大人の小説を期待して読まない方がいい、これはジュニア小説ですね。 | ||||
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怪奇現象(と思われること)を起こした犯人とその意図を、主に犯人の残した手紙の解釈から探るミステリ。この手紙のために登場人物らは混乱に陥るのだが、書いた当人に皆を混乱させる意図がないなら、あそこまで誤解されそうな書き方はしないでしょう、普通は。この部分が強引だったことと、スケールの小ささが気になりました。京都を舞台にしたアイデアは面白かったのですが。 | ||||
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失われていくものへの憧憬。 古典を引用した馴染みにくい道具立て、芝居がかった登場人物に辟易したものの、読むに従い、徐々に作品に引き込まれてゆく。 以前の鷺娘では、日々失われる京都への愛着と反感が強く出ていたが、今作では失われていく町の光景そのものへの回顧と憧憬を強く感じた。 私の育った、市電の走る町。黒い甍のどこまでも続く町。鳩で溢れかえっていた旧京都駅。 時折、途方もなく懐かしくなり、読み返しています。 | ||||
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京都を知り尽くした著者による京都を舞台にした作品で、日本の伝統文化や伝統芸能を題材に書かれており、不安感を煽る構成はホラーのようにゾクゾクさせられます。しかし得体の知れない怪奇現象も、京都の特殊な歴史や地理によるものであり、それが京都人によって論理的に暴かれていくところもまた見事としか言いようがありません。不安に陥れられ、その直後に爽快な気分にさせられるという繰り返しで、最後まで読ませる勢いがあります。 本書に登場する主人公や、主人公が頼る名探偵役、脇役たちもみな個性的で面白い。推理小説ファンだけでなく、SF ファンもハマるのではないかと思います。 | ||||
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