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鬼女の都



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【この小説が収録されている参考書籍】
鬼女の都
鬼女の都 (ノン・ノベル)
鬼女の都 (祥伝社文庫)

鬼女の都の評価: 3.71/5点 レビュー 7件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.71pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(4pt)

京のことは京の人の手にゆだねよう。よそ者はただ彼らの紡ぐ夢を見ていればいい(情緒的ネタバレ有り)?

昔、京都で業界の催す宴会に出席した時のことです。着物を着た若い女性がお酌しに客席を回っており、私の
所に来ました。下戸な私は「申し訳ない。私はお酒が弱くてもう飲めません。ごめんなさい」と手を合わせて必
死に丁寧にお詫びし断りました。とたん、そのお嬢さんの顔色が変わりキッとにらむ様に「そんなにきつく断ら
なくても良いのに・・・」と怒って行ってしまいました。私はえっ!どうしたの?何があったの?最上級の丁寧
さで辞退した(お断りした)のに何怒ってんの?と訳が分かりませんでした。
 後でこの話を大坂の友人(奥さんが京都の女性)に話したら、「そりゃーやっぱり怒るわな―」との事。この
瞬間、私は思いました。「私は、一生京都の女性とはお友達になれない」・・・と。

 さて本書を手に取った理由は上記体験とタイトル「鬼女の都」との縁(えにし)のようなものを感じたからで
す。千年の古都。時の蓄積にともなう怨念や亡霊が凝縮して、目に見えないものとなり存在する。ひょっとして
本当に存在するかもしれない。居ても不思議ではない・・・というイメージがぴったりの街で、デビュー間近の
女性作家が自殺。生粋の京女が京都の神髄に殺されたとするファンタジー色の濃い舞台設定。主人公の「優希」
が本格推理で追及して行く物語で、著者は豊かな語彙を駆使し、京都の持つ雅で不気味で底知れぬ風景を濃密に
描写。この世とあの世の狭間の世界へと誘っていきます。

 所詮、よそ者・田舎者の優希に「京都の神髄」鬼の「ミヤコ」の意志は伝わるのか、察してもらえるのだろう
か? 京都の持つ時空の奥深さに優希はどこまで迫れるのだろう?じっくりと読ませてもらいました。

 読了後始めに戻って、何故お酌の女性が気分を害したのか理解できたような気がしました。
鬼女の都 (ノン・ノベル)Amazon書評・レビュー:鬼女の都 (ノン・ノベル)より
4396207255
No.6:
(2pt)

ジュニア小説だったんですね

この著者の小説はまずホラーから入った。京都を舞台に京都出身であることを有効に使った独特の雰囲気のホラーを数編読み、それらはとても気に入っていた。そういうものを期待していたらまったく違っていて、個人的にはちょっとがっかりだった。

最初に出てくる主要登場人物3人がみんな東京から来た少女たちで、1人は自分のことを「ボクは・・・なんだ」というしゃべり方をする女の子、もう1人はフリルいっぱいの少女っぽい服を着て甘ったれた声を出し、それを売りにしている女の子、もう1人は理屈屋で冷静なタイプ。「ボクは・・」のしゃべり方や、裏は結構計算づくでしたたかなくせに甘ったれたしゃべり方をする子、などなど、この3名に最後まで好感が持てずに終わってしまった。

主人公たちを標準語で東京方面の人間にしたのは、全国マーケットを狙ったことなんだろうか(笑)。確かに全編由緒正しいまともな京都弁で通したら、それは読みにくいだろうと思う。それにしても、ずっと目上の大人の京都人に対しても「だってボクはOOなんだもの。そうじゃないよ!」みたいなしゃべり方で話かけ、自然に敬語が出てくるはずの場合にこんな言葉使いは不自然だと思った。ということは、10代からせいぜい20歳程度の目線から描かれている?読者に想定されたのはジュニアだけ?会話になんだか違和感が残った。
それに、京都の雰囲気を売り物にした作家が自殺したという原因も「たかがそんなことで自殺するだろうか?」という程度のものとしか思えず、犯人の犯行声明らしき手紙も、京都の奥深さ、不気味さを強調したいががめに、無理やりこじつけているような。全般にご都合主義というか不自然なのだ。だいたい一応事件なのに警察が一度も出てきませんか?

自分も京都生まれの京都育ち、京都の描写や京都人の心理を描いたところは、なるほどとか、そうだそうだとうなずきながら読めるところもあった。けれど・・・大人の小説を期待して読まない方がいい、これはジュニア小説ですね。
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4396207255
No.5:
(2pt)

読み手がどう解釈するか考えるのは書き手の義務

怪奇現象(と思われること)を起こした犯人とその意図を、主に犯人の残した手紙の解釈から探るミステリ。この手紙のために登場人物らは混乱に陥るのだが、書いた当人に皆を混乱させる意図がないなら、あそこまで誤解されそうな書き方はしないでしょう、普通は。この部分が強引だったことと、スケールの小ささが気になりました。京都を舞台にしたアイデアは面白かったのですが。


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No.4:
(5pt)

憧憬

失われていくものへの憧憬。
古典を引用した馴染みにくい道具立て、芝居がかった登場人物に辟易したものの、読むに従い、徐々に作品に引き込まれてゆく。
以前の鷺娘では、日々失われる京都への愛着と反感が強く出ていたが、今作では失われていく町の光景そのものへの回顧と憧憬を強く感じた。
私の育った、市電の走る町。黒い甍のどこまでも続く町。鳩で溢れかえっていた旧京都駅。
時折、途方もなく懐かしくなり、読み返しています。
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No.3:
(4pt)

京都を知り尽くしたSF作家による本格長編推理小説

京都を知り尽くした著者による京都を舞台にした作品で、日本の伝統文化や伝統芸能を題材に書かれており、不安感を煽る構成はホラーのようにゾクゾクさせられます。しかし得体の知れない怪奇現象も、京都の特殊な歴史や地理によるものであり、それが京都人によって論理的に暴かれていくところもまた見事としか言いようがありません。不安に陥れられ、その直後に爽快な気分にさせられるという繰り返しで、最後まで読ませる勢いがあります。

本書に登場する主人公や、主人公が頼る名探偵役、脇役たちもみな個性的で面白い。推理小説ファンだけでなく、SF ファンもハマるのではないかと思います。
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No.2:
(4pt)

京の都に潜む鬼

京都出身、在住の作家菅浩江氏の描く”あやかしの都”。
表紙を飾るイラストを担当されている山田章博氏も
京都在住で雰囲気もバッチリです。京都もので人気のある同人作家が自殺します。
それもプロデビューも間近に控えているにもかかわらず。
彼女の死に深くかかわる「ミヤコ」とは?。
真相を追う女子大生を京の怪異が襲う!。数々ある京都を舞台とした推理小説のなかでも面白さ、
薀蓄の深さともに群をぬいています。京都通になりたい人には
お勧め。私自身が京都生まれの京都育ちという事もあり、自分では
当り前と思っていたことが他の地方では違うんだ、とか新たな発見
も多々ありました。
観光案内にはないディープな京都が描かれています。
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No.1:
(5pt)

もう一度修学旅行に行こうかな

とにかく京都の描写が細かい。京都には修学旅行しか行っていない私としては、「清水寺とか、金閣寺を見たからもういいや」と思っていたが、もう一度京都に行って、何が変わって、何が変わらないのか、自分の目で見極めたくなった。私は菅さんの本はけっこう読んでいるけれど、あまり作者には関心を持たなかった。でもこの本を読むと、「一体どんな人なんだ?」と思ってしまう。ここまで京都人の心の奥を書けるということは、本当にすごい。私はずっと道産子だけど、道産子の心なんて絶対に書けない・・・。
京都の名所について詳しいのは勿論、奥ゆかしく、それでいて激しい京女の心、憧れに向かって突っ走っていく、現代の少女の心、狡猾な女同士の関係まで、作者は緻密に描いている。「博物館惑星」とか「五人姉妹」とか、ふわふわしていて、ちょっと切ない感じも好きだけれど、こういうはっきりした感じもいいと思う。
鬼女の都 (ノン・ノベル)Amazon書評・レビュー:鬼女の都 (ノン・ノベル)より
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