深紅の碑文
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人類は対立しないと自分のアイデンティティを確立できないようだ。そのために血みどろの戦いを求めているかのようにも思える。“深紅”にはこれまで人類が流してきた血という意味もあろう。その流れた血の上に現在があり、さらに未来を見ることになる。人類滅亡の可能性がある〈大異変〉の到来前に、海上民のザフィール(ラブカのリーダー)、青澄(救援団体理事長)、星川ユイ(宇宙船建造関係者)を中心とした活躍が下巻で動く。長めのスパンの活躍を描き、それぞれの生き方など人間ドラマも面白い。 | ||||
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オーシャンクロニクル・シリーズの1冊。人類が滅亡する危機が数十年以内に到来する状況で、地上民と海上民との対立が激化する。どちらの民の言い分も正しいのだが、物語を読む読者視点だと、いかに人類が少し先の危機は他人事で目の前の状況しか見ていないのかが分かる。「お互いがもっと冷静になれば人類全体がハッピーになれるのになあ」と思いながらも、そう言われても現実感がないものに人は対処できないのだなと、論理的ではなく感情で動く人類の弱点のようなものが見えた。これが下巻でどうなるのか楽しみだ。 | ||||
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前作『華竜の宮』は、 弱者たちを救うべく、 傲慢で冷酷な強者たちに対し、 弁舌を用いて戦い、 そして時には手段を選ばず、 狡いことも平気でする、 心の強い行動的な主人公という、 『半沢直樹』を想起させるような、 熱く、激しく、 残酷な物語でしたが、 本作『深紅の碑文』は、 同主人公は組織のトップになり、 権力や暴力に対して、 組織力と正義感を武器に、 コネなども利用して、 説得して目的を達しようとします。 本作には3人の主人公がおり、 この前作の主人公とは別に、 女性主人公が、 宇宙にロケットを飛ばすという夢を、 困難に立ち向かいながら、 熱く語ってかなえようとします。 女性主人公が加わったこともあり、 また、食事や旅の視点も、 結構、頻繁に出てくるので、 感情を描く要素が強くなり、 そういったことに文字数がつかわれ、 『下町ロケット』のような、 人情ドラマに近いものになりました。 著者様は、 あのてのドラマや小説の、 ていうか池井戸潤さんの、 ファンなのかな? そんなに、絶望を乗り越えて、 その先に待つ、 さらなる絶望と戦うといった、 前作のような激しさはありません。 過激派も主人公の一人なので、 そのパートは、 結構血なまぐさいですが。 時間の経過を、 人生や地球の終着点として、 『老い』というものを、 かなりじっくりと描いているのも、 本作の特徴です。 子供はいつか大人になり、 中年になり、老年になり、 弱って、衰えて、 そして去っていく。 本作には、 別れのシーンも多く、 別離や孤独も、 重要な要素となっています。 なので少し、 同じ終末を描いているのに、 前作よりも寂しい印象です。 やたらとしつこく、 傍点やカッコで強調したり、 会話がメロドラマ風だったり、 地の文が蛇足的だったりと、 粗さが目立つので、 前作よりも駆け足で執筆された、 あるいは、それも味として、 許される立場になった、 のかな、などと、 いろいろ邪推してしまいました。 でもそのへんの粗さも、 化物のような完成度の 『華竜の宮』と比べてのことで、 他の小説と比べれば、 別に普通のことです。 よく見る粗さです。 ここ、強調いらんだろと、 小説好きなら、 一冊に一度は思いますよねw あれです。 なので、もちろん★は、 満点、大満足です。 面白かったし、 読み応えが凄かった! オーシャンクロニクルの、 長編2作を読み終えると、 ズッシリと腹にたまります。 解説にも『黙示録的』とありますが、 ほんと、そんな感じ。 お先真っ暗な世界で足掻く、 希望を捨てない人々の話です。 読むと疲れるかもですが、 最高に面白いですよ。 | ||||
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華竜の宮の続編ですが、 あの終わりかたなのに、 まさか終末までの詳細を描くとはと、 読み始めてすぐ驚きました。 ただ、読み始めてすぐ、 華竜の宮ほどの緻密さはないなと、 そのつくりの粗さにも驚きました。 ムチャクチャ面白く、 いつまでも読めるほど、 退屈しない小説ですが、 どれほど推敲を繰り返したのか、 機械が書いているかのように、 正確で丁寧だった前作よりも、 勢いや手癖で書いてそうな、 雑だなという表現も多いです。 ストーリーも、 過去を物語るような場面が、 ずーーーーっと続き、 話自体はなかなか進みません。 それでも面白いので、 ぜんぜんいいのですが、 華竜の宮と比較してしまうと、 タイトルの覚えにくさとかも、 他になかったのかなと、 つい思ってしまいます。 贅沢な不満ですが。 自室で読む習慣のあるかたは、 たぶんもう、一気読みです。 そのくらい、 夢中になれる面白さ。 ぼくはトイレや移動の電車、 病院の待ち時間などにしか、 読書はしないので、 何日かかかりました。 5日くらいかな? 本を閉じても、 また開くとすぐに、 パッと映像が戻る、 素晴らしい表現力です。 記憶にのこりやすく、 入り込みやすい。 でも残酷表現や、 人が死ぬのが苦手な人は、 やめといたほうがいいですかね。 けっこうゴア描写強めです。 まあこれは、 このシリーズの特徴でもあるので、 これを読む人は、 そんなの気にしないと思いますが。 前作も分厚かったですけど、 本作はもっと分厚いです。 上巻だけで五百ページ超えます。 下巻も同じか、 それ以上に厚いので、 読み応えも抜群です。 楽しい時間がずっと続くのは、 読書最大のよさですよね。 マンガでも、 映画でも、 こんなに単品では、 長くは楽しめない。 本を読むことを趣味にして、 よかったなと、 心から思えました。 | ||||
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本作は、「魚舟・獣舟」「華竜の宮」「リリエンタールの末裔」と続く上田 早夕里氏著作Ocean Chronicleシリーズの一作であり、また現在刊行されてる同シリーズの最新巻となる。まだ上記の作品を未読の読者はそちらから読むことを強くお勧めする。 今作は、前作である「華竜の宮」で活躍したアシスタント知性体や獣舟の異常性などのSF要素は鳴りを潜め、三者の主人公からの視点を持って、前作のラストで描かれた人類滅亡級の災害を前に組織、宗教、闘争といった骨組みを経由して描いていく。 未だ人類が経験したことのない未曾有の災害を前に、人はどこまで傲慢になれるのか。 なにを犠牲にし、なにを得るのか。 三者の主人公は滅亡を目前とする世界になにを刻むのか。 そして、未来に残るものは希望か絶望か。 同シリーズでは、異変後の世界はまだ描かれておらず、本作のあとがきでは、時系列は定かではないが二編ほど物語は続くという。 本作で刻まれた「深紅の碑文」は未来の世界になにを残すのか。そして人類は…… 淡々とした文体でも、登場人物たちの生き生きとした描写や、ふいに伝わってくる熱い想いには、たびたび涙が溢れることもあった。まだ続編の余地は幾らか残されているので、いつの日かまたこの世界に触れられることを楽しみにしている。 | ||||
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