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深紅の碑文
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【この小説が収録されている参考書籍】
深紅の碑文の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全18件 1~18 1/1ページ
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人類は対立しないと自分のアイデンティティを確立できないようだ。そのために血みどろの戦いを求めているかのようにも思える。“深紅”にはこれまで人類が流してきた血という意味もあろう。その流れた血の上に現在があり、さらに未来を見ることになる。人類滅亡の可能性がある〈大異変〉の到来前に、海上民のザフィール(ラブカのリーダー)、青澄(救援団体理事長)、星川ユイ(宇宙船建造関係者)を中心とした活躍が下巻で動く。長めのスパンの活躍を描き、それぞれの生き方など人間ドラマも面白い。 | ||||
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オーシャンクロニクル・シリーズの1冊。人類が滅亡する危機が数十年以内に到来する状況で、地上民と海上民との対立が激化する。どちらの民の言い分も正しいのだが、物語を読む読者視点だと、いかに人類が少し先の危機は他人事で目の前の状況しか見ていないのかが分かる。「お互いがもっと冷静になれば人類全体がハッピーになれるのになあ」と思いながらも、そう言われても現実感がないものに人は対処できないのだなと、論理的ではなく感情で動く人類の弱点のようなものが見えた。これが下巻でどうなるのか楽しみだ。 | ||||
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前作『華竜の宮』は、 弱者たちを救うべく、 傲慢で冷酷な強者たちに対し、 弁舌を用いて戦い、 そして時には手段を選ばず、 狡いことも平気でする、 心の強い行動的な主人公という、 『半沢直樹』を想起させるような、 熱く、激しく、 残酷な物語でしたが、 本作『深紅の碑文』は、 同主人公は組織のトップになり、 権力や暴力に対して、 組織力と正義感を武器に、 コネなども利用して、 説得して目的を達しようとします。 本作には3人の主人公がおり、 この前作の主人公とは別に、 女性主人公が、 宇宙にロケットを飛ばすという夢を、 困難に立ち向かいながら、 熱く語ってかなえようとします。 女性主人公が加わったこともあり、 また、食事や旅の視点も、 結構、頻繁に出てくるので、 感情を描く要素が強くなり、 そういったことに文字数がつかわれ、 『下町ロケット』のような、 人情ドラマに近いものになりました。 著者様は、 あのてのドラマや小説の、 ていうか池井戸潤さんの、 ファンなのかな? そんなに、絶望を乗り越えて、 その先に待つ、 さらなる絶望と戦うといった、 前作のような激しさはありません。 過激派も主人公の一人なので、 そのパートは、 結構血なまぐさいですが。 時間の経過を、 人生や地球の終着点として、 『老い』というものを、 かなりじっくりと描いているのも、 本作の特徴です。 子供はいつか大人になり、 中年になり、老年になり、 弱って、衰えて、 そして去っていく。 本作には、 別れのシーンも多く、 別離や孤独も、 重要な要素となっています。 なので少し、 同じ終末を描いているのに、 前作よりも寂しい印象です。 やたらとしつこく、 傍点やカッコで強調したり、 会話がメロドラマ風だったり、 地の文が蛇足的だったりと、 粗さが目立つので、 前作よりも駆け足で執筆された、 あるいは、それも味として、 許される立場になった、 のかな、などと、 いろいろ邪推してしまいました。 でもそのへんの粗さも、 化物のような完成度の 『華竜の宮』と比べてのことで、 他の小説と比べれば、 別に普通のことです。 よく見る粗さです。 ここ、強調いらんだろと、 小説好きなら、 一冊に一度は思いますよねw あれです。 なので、もちろん★は、 満点、大満足です。 面白かったし、 読み応えが凄かった! オーシャンクロニクルの、 長編2作を読み終えると、 ズッシリと腹にたまります。 解説にも『黙示録的』とありますが、 ほんと、そんな感じ。 お先真っ暗な世界で足掻く、 希望を捨てない人々の話です。 読むと疲れるかもですが、 最高に面白いですよ。 | ||||
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華竜の宮の続編ですが、 あの終わりかたなのに、 まさか終末までの詳細を描くとはと、 読み始めてすぐ驚きました。 ただ、読み始めてすぐ、 華竜の宮ほどの緻密さはないなと、 そのつくりの粗さにも驚きました。 ムチャクチャ面白く、 いつまでも読めるほど、 退屈しない小説ですが、 どれほど推敲を繰り返したのか、 機械が書いているかのように、 正確で丁寧だった前作よりも、 勢いや手癖で書いてそうな、 雑だなという表現も多いです。 ストーリーも、 過去を物語るような場面が、 ずーーーーっと続き、 話自体はなかなか進みません。 それでも面白いので、 ぜんぜんいいのですが、 華竜の宮と比較してしまうと、 タイトルの覚えにくさとかも、 他になかったのかなと、 つい思ってしまいます。 贅沢な不満ですが。 自室で読む習慣のあるかたは、 たぶんもう、一気読みです。 そのくらい、 夢中になれる面白さ。 ぼくはトイレや移動の電車、 病院の待ち時間などにしか、 読書はしないので、 何日かかかりました。 5日くらいかな? 本を閉じても、 また開くとすぐに、 パッと映像が戻る、 素晴らしい表現力です。 記憶にのこりやすく、 入り込みやすい。 でも残酷表現や、 人が死ぬのが苦手な人は、 やめといたほうがいいですかね。 けっこうゴア描写強めです。 まあこれは、 このシリーズの特徴でもあるので、 これを読む人は、 そんなの気にしないと思いますが。 前作も分厚かったですけど、 本作はもっと分厚いです。 上巻だけで五百ページ超えます。 下巻も同じか、 それ以上に厚いので、 読み応えも抜群です。 楽しい時間がずっと続くのは、 読書最大のよさですよね。 マンガでも、 映画でも、 こんなに単品では、 長くは楽しめない。 本を読むことを趣味にして、 よかったなと、 心から思えました。 | ||||
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本作は、「魚舟・獣舟」「華竜の宮」「リリエンタールの末裔」と続く上田 早夕里氏著作Ocean Chronicleシリーズの一作であり、また現在刊行されてる同シリーズの最新巻となる。まだ上記の作品を未読の読者はそちらから読むことを強くお勧めする。 今作は、前作である「華竜の宮」で活躍したアシスタント知性体や獣舟の異常性などのSF要素は鳴りを潜め、三者の主人公からの視点を持って、前作のラストで描かれた人類滅亡級の災害を前に組織、宗教、闘争といった骨組みを経由して描いていく。 未だ人類が経験したことのない未曾有の災害を前に、人はどこまで傲慢になれるのか。 なにを犠牲にし、なにを得るのか。 三者の主人公は滅亡を目前とする世界になにを刻むのか。 そして、未来に残るものは希望か絶望か。 同シリーズでは、異変後の世界はまだ描かれておらず、本作のあとがきでは、時系列は定かではないが二編ほど物語は続くという。 本作で刻まれた「深紅の碑文」は未来の世界になにを残すのか。そして人類は…… 淡々とした文体でも、登場人物たちの生き生きとした描写や、ふいに伝わってくる熱い想いには、たびたび涙が溢れることもあった。まだ続編の余地は幾らか残されているので、いつの日かまたこの世界に触れられることを楽しみにしている。 | ||||
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もちろん、作者はこの先の物語も書いてくれるんですよね。 こんな面白い話、ここで終わらせてもらっちゃ困りますよ。 | ||||
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内容が濃く読み応えのある小説です。 読み進める内に、あれはどうだろう、これはどうだろうと触発されて考え込む事がたくさんありました。 ハードSFの傑作としてオススメの一冊です。 下巻が楽しみ。 | ||||
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本作はSF小説として一級品であると同時に、人類滅亡級の災害を描いた物語としても最高峰の傑作であると感じた。さらに言えば、メインキャラ達のミクロ視点を中心に据えながら壮大極まりないマクロ視点を語るという離れ業に成功している、希有な小説である。これほどの大傑作が言語的な壁のせいで世界のSFファン達の目に触れないのは、本当に惜しい。 淡々とした文体で語られる物語のそこかしこに、登場人物達の熱い想いが伝わってくる瞬間があり、そのたびに目頭を熱くさせられた。本作を読んでいると、物語に熱を込めるために必ずしも激しい文体は必要ないのだということを再認識させられる。 前作『華龍の宮』のエピローグでは、大異変発生後の光景が簡潔に語られたが、本作の読了後にその部分を読み返すと、いたたまれないことこのうえなし。本作の膨大なページ数を費やして真に迫る命を吹き込まれた世界が、地殻を引き裂く大異変によって為す術もなく蹂躙されていく様は、哀しさを通り越して諸行無常の極致。本作中ではその自信満々な言動に「こいつらなら本当に人類を救ってくれるかもしれない」と頼もしさを憶えた救世の子達だが、前作のエピロードで語られる大異変の光景をいざ目の当たりにしてしまうと、彼らの存在すら大河の濁流に抗う小舟のごとく心許ない・・・。 SFすぎて著者の得意分野から離れてしまうのかもしれないが、是非とも人類とアキーラ号のその後を描いた続編を執筆して欲しいと、心の底から願ってやまない。 | ||||
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一定の面白さはある。ただ、海上民と陸上民の紛争と仲裁を丁寧に描きすぎて、SFとしてのダイナミズムを失ってしまっている。 獣船の変異体、殺戮知性体など、異世界らしい小道具やツールがことごとく封印されたままだった。 リ・クリティシャス以後の世界をしっかり描こうと真面目になりすぎた感じ。空白があってもいいから、SF的なツールを活躍させてほしかった。ルーシィーを中心人物にしたエピソードとか…。 まあしかし、読みごたえはあった。青澄、ザフィール、オクトープスそしてチャム。キャラクターの実在感は確かなものだった。 | ||||
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ホットプルームによる海面上昇で陸地が極端に減った地球環境で繰り広げられる異世界。「魚船・獣船」「華竜の宮」の続編。私のように読み続けている者はいいが、本書から読み始める読者は、戸惑うだろう。この世界の前提条件や、海の民が遺伝子操作によって人間と魚船を双子で産むとか、最初に軽くガイドのページを付けるか、巻末に用語解説を付けるかした方がよい。関係各位、文庫化の際は御一考を。 タイトル「深紅の碑文」が何なのか、上巻読了時点では皆目見当がつかない。 思わせぶりな書簡から物語は始まるが、前半は活劇が少なくて少し飽き気味だった。だが、第五章でザフィールの生い立ちが始まるや、世界が生き生きと明るみを増した。彼の希望、鬱屈、理想、怨恨・・・すべてが我がことのように眼前で展開する。殺戮知性体には戦慄した。 深宇宙開発機構に入った少女が、これからどんな存在になって物語に絡むのだろうか。楽しみに下巻を開くことにする。 | ||||
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2013年12月上梓。 華龍の宮の続編的(少し設定がかわっているせいで姉妹編と言うらしい)なお話。 あれよあれよと言う間に作品世界に引込まれるストーリー展開が見事です。 | ||||
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組織の内側視点の話が、とても興味深く面白く語られます。 詰め込み過ぎで未消化な感じもしましたが、楽しめました。 話は、まだ終わって無いのではないかという楽しみもあります。 厳密な繋がりは求めないので、書き継いで欲しい世界設定です。 | ||||
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時間に余裕があったら、ぜひ「リリエンタールの末裔」を 読んでからこの「上下巻」を読んでください。 | ||||
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久しぶりに読み応えのある傑作に出会えました。最終章での感動に涙、涙、涙でした。終局迫る怨恨うずまく世界の中で、それでも生きる希望を胸に各々の進む道をもがきながら進む人々のなんと凄まじき群像劇よ!号泣必至です。 | ||||
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日本SF大賞にも輝いた傑作「華竜の宮」を凌駕するという宣伝文句に惹かれ手にしたが…。まずSFとしての所謂「センスオブワンダー」については、(基本的設定を引き継いだというマイナス面を割り引いたとしても)前作が遥かに上回っている。核融合エンジンによる恒星間宇宙船(陳腐!)や遺伝子工学による「救世の子」(同じく!)など、SF的にはむしろ前作からの後退感も否めない。或いは作者が書きたかったのは最早「SF」などではなかったのかも知れないが、「一般」の小説として見た場合、人物造形やストーリー自体のリアリティの弱さは如何ともしがたい。何しろメインの登場人物の一方が「道具」で、もう一方が「野獣」なのだから、感情移入すら儘ならない。<見えない十人>が裏で世界を支配するとか、「海賊」でしかないラブカが全世界のパワーバランスに大きな影響を及ぼすとか、やや荒唐無稽な設定も気になる。挙句、<大異変>が(本作中では)訪れなかったのは、まるで「来る来る詐欺」では?まあ、稀にみる力作であることは否定しないが…。 | ||||
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第32回日本SF大賞受賞作『華竜の宮』の続編的作品。 近未来を舞台とした海洋SFを謳っているが、ストーリーの骨子は、 為政者/経営者/宗教団体などの、組織的立場に立脚した利害、 ならびに官僚的面子のネゴシエーションの応酬という珍しい作品。 もちろんSF的設定や世界観、仮想生物たちの生き生きとした描写は それはそれで素晴らしく、脳内にリアルに立ち上がってくる。 しかし、最初から最後まで物語を引っ張っていくのは、 組織の頂点や末端で、所属組織の論理や制約に縛られながらも、 自らの倫理にも誠実であらんとするネゴシエーターたちの姿勢と苦悩である。 前作は本作にも登場する一人の官僚を軸に骨子が組み立てられていたが 本作ではより多くの組織の立場を背負った人間たちが物語を担う。 その一人ひとりを、集団の特徴を現す粗い書割としてではなく、血の通った人間として 書き分けている作者の才能の進化には、正直感服するしかない。 下巻では、旧世代の因縁が執拗に語られる。とはいえその結末は、 様々な想いがすべては成就されす、本書の世界観、 そしてダブルバインドな題名と同じく苦く、救いが見出せないものだ。 一方終末が迫る中、人類の希望が、いや、生きていた証が 様々な困難を乗り越え、若者たちの手で深宇宙に打ち上げられる。 誰に渡されることの無いバトンが、無音のラグランジュポイントから 静かに旅立つラストの描写には、読者はじんわりとした感動で満たされるであろう。 | ||||
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第32回日本SF大賞受賞作『華竜の宮』の続編的作品。 近未来を舞台とした海洋SFを謳っているが、ストーリーの骨子は、 為政者/経営者/宗教団体などの、組織的立場に立脚した利害、 ならびに官僚的面子のネゴシエーションの応酬という珍しい作品。 もちろんSF的設定や世界観、仮想生物たちの生き生きとした描写は それはそれで素晴らしく、脳内にリアルに立ち上がってくる。 しかし、最初から最後まで物語を引っ張っていくのは、 組織の頂点や末端で、所属組織の論理や制約に縛られながらも、 自らの倫理にも誠実であらんとするネゴシエーターたちの姿勢と苦悩である。 前作は本作にも登場する一人の官僚を軸に骨子が組み立てられていたが 本作ではより多くの組織の立場を背負った人間たちが物語を担う。 その一人ひとりを、集団の特徴を現す粗い書割としてではなく、血の通った人間として 書き分けている作者の才能の進化には、正直感服するしかない。 上巻は、やや前作の世界観を引きずる描写が多かったものの、 宇宙を目指す若者たちが徐々に重要な役割を果たしつつある。 彼らが絶望の中で、いかなる未来を紡いでいくのか 下巻を読むのが楽しみでもあり、読み終えてしまうのが悲しくもある。 | ||||
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2014年の読み初め。 この物語には、全てがある。 未曽有の環境変化に直面する人類。 遺伝子操作以上の生物改変、核融合技術の開発、人工知性体の開発など、全てのタブーを捨て去ってまで生き延びようとする時、人類はどうなるのか。 人は、何を選び、何を捨て去るのか。 物語の舞台は、残酷で悲惨な未来だが、希望は残る。 恐らく、どれを希望と捉えるかは、読み手次第だ。 著者の既刊「魚舟・獣舟」、「華竜の宮」などと世界観は同じで、読んでいた方が、物語には入り込み易い。 正直、個人的に海が身近ではないため、「魚舟・獣舟」を読んだ時は、作者の世界観に違和感を覚え、馴染めなかった。 しかし、長編の「華竜の宮」と「深紅の碑文」は、壮大な物語だが、一人一人の人生の物語でもあり、彼らと共に、波の音を聞き、潮の匂いを嗅いでいるかのように感じられ、読み終えるのが残念でならなかった。 読み終えた今、まるで「世界のためにお前は何が出来るのか」と問いかけられているようだ。 | ||||
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