不夜城



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初公開日(参考)1996年08月
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長編小説

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不夜城 (角川文庫)

1998年04月01日 不夜城 (角川文庫)

新宿・アンダーグラウンドを克明に描いた気鋭のデビュー作!おれは誰も信じない。女も、同胞も、親さえも…。バンコク・マニラ、香港、そして新宿―。アジアの大歓楽街に成長した歌舞伎町で、迎合と裏切りを繰り返す男と女。見えない派閥と差別のなかで、アンダーグラウンドでしか生きられない人間たちを綴った衝撃のクライム・ノベル。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.75pt

不夜城の総合評価:8.28/10点レビュー 97件。Bランク


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全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

不夜城の感想


 舞台は新宿歌舞伎町。 様々な勢力が幅を利かせるこの街で綱を渡るように孤高に生きる男「劉健一」。 過去の因縁から人探しをすることになった劉、残された期間は三日。 自身の信念のもと一計を案じる劉の前に顕れる蠱惑の女、短兵急な計画は暗黒街の闇の中で容易く瓦解してゆく・・・。日本に巣食う中国マフィアを描いたアジアンノワール。

 全員悪人を標榜した映画がありましたがあの映画だってもうちょっと善人じみた人はいたと思う。しかし本作は掛け値なしに全員悪人、油断すれば寝首を搔かれるとはこの事、誰一人信頼に値する人間はいない。 主人公の劉は仕事上「信用」は得ようとするが他人を「信頼」することはない一匹狼、恩義や血筋さえも自身の生き延びる糧として扱う。 こんな薄情な主人公を狂わせる巨悪の奸計と女への恋慕、未来を勝ち取るためでなく唯今日を生き延びるためにひたすらアウトローに徹する狼の生き様を味わってもらいたい。 ラスト数ページにて物語は帰結し主人公は完成する、常識や人情をかなぐり捨てたハードボイルド。 久しぶりのド硬派はちょっと自分には硬すぎたかな、★は6つ。

りーり
9EDFH0HC
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

『新宿鮫』とは違う新宿の貌

本書は書評家坂東齢人氏改め馳星周氏のデビュー作にしてその年の『このミステリーがすごい!』で1位を獲得した話題作である。
しかしその鳴り物入りの本書だが、発表後数年経った今読んでみると、なぜこれが1位?と首を傾げざるを得ない。

新宿を舞台にした犯罪を扱った小説といえば既に大沢在昌氏の『新宿鮫』という警察小説の傑作がある。
その新宿の代名詞ともいえる作品に怯むことなく新宿を描いた本作『不夜城』は大沢氏が警察の側から新宿を描いたのに対し、彼は犯罪者の側で新宿の更に奥の闇を描く。そこでしたたかに生き抜く在日アジア系外国人社会の混沌を浮き彫りにしていくのだ。本書は劉健一という男のピカレスク小説なのだ。

しかしその基本プロットとしては実にオーソドックスなスタイルを取っている。競合しあう複数の敵の間を直感と知恵、時には大胆なはったりで渡り歩きつつ、彼らを利用して生き残る健一の物語はハードボイルドの源流、ハメットの『血の収穫』以来、何度も使い古された王道の物語構造である。このプロットに新宿という無国籍地帯を舞台に設定し、そこに蔓延るアジア系マフィアで味付けをしている。
しかし私が思うに、馳氏は元々長年新宿のゴールデン街のバー『深夜プラス1』に出入りしていた人であり、新宿の街の、正確にはその夜の、只中にその身を置いていたので、自然にこういう物語が浮かんだような気がする。
後の各誌での彼のインタビューでは「自分で読みたいと思う小説がなかったので自分で書いてみた」と云っているが、自分の読みたい小説の題材が自らが身を置く新宿の街にあったことに気付き、書いてみたというのが正しいところなのだろう。だから『新宿鮫』という傑作があっても新宿という街を別の切り口で書けると踏んだに違いない。

その成果はありありと本書には現れている。
私が特に感心したのは人物配置の巧みさだ。東京を根城にする台湾系マフィアを軸に、その周辺を上海系マフィア、北京系マフィアと池袋を拠点にしながら新宿への侵出を狙っている福建系マフィアという対立構造も当然ながら、最も感心したのは健一と育ての親楊偉民との微妙な関係である。物語初頭では台湾人と日本人との混血児―半々―である健一が母親とともに楊の庇護下に置かれる事になり、その後呂方という獣のような台湾人を少年時に健一が殺す事で民族一家族を信条とする楊から縁を切られるようになった顛末が語られる。
私にはなぜ楊がその後も健一と付き合いを保っているのかが疑問でならなかったが中盤あたりで出てくる同じく半々の周天文が出てくるにいたり、実にこのアンバランスな関係が腑に落ちるのである。愛憎が絡み合うこの三者の三すくみ状態とも云うべき関係を次第に健一が凌駕していく過程は本作で健一が殻を破り、上への大きな一歩を踏み出すのに、ファクターとしてかなり有効に働いている。

ただ主人公とその連れ夏美に馳氏はいろいろ設定を詰め込み過ぎたような気がする。
台湾人の父親と日本人の母親との間に生まれた劉健一は少年時代は母親からの虐待から臆病に育ち、周囲から半々と蔑まれる日々を過ごす。やがて呂方という健一を忌み嫌う台湾人の少年ギャングの殺人を経て、家を出てオカマバーにウェイターとして働くようになる。その時に遭ったある女性との異常な体験、
それから呉富春と二人で組んでの盗難生活の日々、その後、陳綿という台湾の殺し屋に仕えて、白天という殺し屋と過ごした張り込みの夜の悪夢のような出来事、などなど。その1つ1つがかなり重い過去で、それが劉健一という人物を形成したという設定になっているが、個性的なキャラクターを創作するためとはいえ、陳列棚に並べるほど重い過去を連ねる必要が果たしてあったのだろうか?
そして小さな頃から多感な時期にかけて、これだけの目に逢えば精神崩壊するかと思うのだが、どうだろう?

そして相方の夏美も嘘に嘘を重ねて生きてきた女性。彼女の語る過去は物語が進むにつれ、二転三転し、終いには呉富春の実の妹で近親相姦を繰り返していたことが判明する。
なんというおぞましい設定だろう。普通こういう過去を持つと男性不信に陥り、こう易々と男のところに身を任せるようにはならないと思うのだが。

とこんな風に、印象的なキャラクターを作ることに固執してエピソードを盛り込んだにしては、彼ら2人のキャラクターの現在に過去との大きな乖離があるように感じてしまうのだ。そう他人の聞きかじった過去を自分の物と思い込んで生きている、そんな人物像のように思えてならない。

恐らくこれは「とにかく今ある物全てをこの物語に詰め込んでやる!」というこの作品に賭ける馳氏の意気込みの強さゆえだったのだろう。しかしそれが故に統一感に欠け、なんとも雑多な感じがしてしまう。

私が思うに、こういう手法を取るならば、シドニー・シェルダンがやっていたように、主人公二人の過去を時系列に交互に語っていく方が読者には二人の人格形成の成行きがわかってよかったのではないか。
ただこの小説はその手法は似合わない。本書のように今二人が置かれている状況と過去を同時進行で語るにはやはり1つ、最大でも2つ強烈なエピソードを挿入するに留めるのが無難であるといえる。
健一が語る様々な過去は、普通ならば他の登場人物、本書ならば元成貴、崔虎、周天文、楊偉民と一癖も二癖もある連中に配分する事でキャラが立ち、物語が際立つように思える。だから本書ではその手法で語られた呉富春の方がキャラクターとして一貫性があり、非常に印象に残った。

これが私が本書をして『このミス』1位に疑問を呈した理由なのだが、しかしやはり最後に残る読後の荒廃感、これは買える。騙す方より騙される方が悪いを信条に決して誰も信じることなく、いかに利用して切り抜けるかという社会で生きてきた劉の最後の決断は、これまでの小説とは一線を画すものだとは感じた。
私はこの結末をタブーだとは思わない。なぜならそこに至る健一、夏美の心情がしっかり書き込まれているからだ。裏切りの闘争の果てに残ったのは徒労感と燻り続ける父親同然だった楊への憎悪。そして劉健一は次の段階へと歩みを進める。

手放しで賞賛するには引っかかりを覚えるが、心に何かを残す作品ではある。
上述した不満点が今後の作品でいかに解消され、どのようなノワールを展開してくれるのか、次回作以降、楽しみである。



▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2:
(4pt)

ペンネームがいやです

カッコだけのうすっぺらの話でした。

わたろう
0BCEGGR4
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(6pt)

不夜城の感想

ハードボイルド作品の有名作を遅まきながら読了。
全編に渡っての緊張感は伝わるのですが、登場人物に感情移入ができなくて…。
中国マフィア同士の裏社会という設定は面白くないわけではありません。
舞台も歌舞伎町とむしろ大好きなのですが…。
好みの問題でしょうか?少し過大評価な気がしました。

歌舞伎蝶
LMC3R9P9
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未読の方はご注意ください

No.93:
(5pt)

Kindle0円で数十年ぶりに再読、やっぱり名作中の名作

kindleで0円になっていたので何十年ぶりかに再読。読後の感想「やっぱ名作中の名作」。真っ黒な感情が次々と湧き起こり、興奮のあまり目尻から涙が流れ、背中に冷や汗が伝わってゾクゾクするのが止まらない。これほどのミステリー体験はそうそう味わえない。適度に細部のストーリーを忘れていたせいもあって、久々に体幹が震える。
エンディングのどんでん返しと、絶体絶命の窮地に立った主人公の独白は、何十年も記憶に焼き付いたままだ。また数年後に読み返そうと思う。
不夜城 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:不夜城 (角川文庫)より
4043442017
No.92:
(5pt)

ゴッドファーザーを観た時のような読後感。重すぎる。

馳星周さんのデビュー作だがとんでも無い熱量だ。新宿を舞台に上海マフィア、北京マフィア、台湾マフィアの勢力争い。主人公の健一は台湾と日本のハーフで中途半端な存在ながらも生き抜いてきた。策略、裏切り、戸籍売買も日常茶飯事。

 読み終えた感想はゴッドファーザーを観た時のようにズドーンと重い閉塞感。やり切れない感じ。生き残るために恋人でもためらわず撃ち殺す夏美。幸せになって欲しいとの読み手の願いも虚しい。1996年の吉川英治文学新人賞、このミステリーが凄い!、週刊文春ミステリーベスト10ともに1位。

 馳星周は直木賞に7回候補になり7度目の「少年と犬」で受賞。犬と人との魂の繋がりを書く人がこんなハードボイルドを書くのも意外性がありました。
不夜城 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:不夜城 (角川文庫)より
4043442017
No.91:
(3pt)

プレゼント用 良かったとの回答

プレゼント用で不明
不夜城 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:不夜城 (角川文庫)より
4043442017
No.90:
(5pt)

面白かったよ

読み応え充分。
感動の涙を流すような小説じゃないけど、
読んでよかった。
馳先生の違う小説も読んでみます。
不夜城 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:不夜城 (角川文庫)より
4043442017
No.89:
(4pt)

う〜ん 読んで見てください。

悲しい? 凄い? 恐ろしい? あり得る? この今の俺の生活が如何に平和か? 生い立ちが如何に幸せか。 本当に改めて考えさせられる。 映画は観たが印象に残って無くて、改めて読んだ。是非一読をお勧めします。
不夜城 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:不夜城 (角川文庫)より
4043442017



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