長恨歌



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長編小説

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長恨歌  不夜城完結編 (角川文庫)

2008年07月25日 長恨歌 不夜城完結編 (角川文庫)

歌舞伎町の中国黒社会で生きる武基裕。彼は残留孤児二世として中国から日本へやってきた。しかし、その戸籍は中国で改竄された偽物だった。ある日、武の所属する東北人グループのボス韓豪が、日本のやくざ東明会との交渉の席で、バイクで乗りつけた二人組に銃殺された。麻薬取締官の矢島茂雄に脅され、武はクスリの利権が絡むこの事件を調べるはめに陥る。手掛かりを求め、武は情報屋・劉健一のもとへと足を運んだ―。 (「BOOK」データベースより)




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長恨歌の総合評価:6.52/10点レビュー 67件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

行き着く先は虚無

鮮烈なデビュー作となった『不夜城』も『鎮魂歌』を経て3部作と云う形で本書を以て完結を迎える。足掛け8年に亘っての完結だ。

その完結編となる本書ではまずいきなり前2作で劉健一の悪夢の元凶となっていた楊偉民の暗殺から始まる。つまり前2作の流れを断ち切ってから物語は始まるのだ。

作中でも書かれているように、新宿を生きる中国系マフィアの状況も劉健一がしがない故買屋だった頃からは様変わりしている。北京、上海、台湾といった大きな勢力が組織だって抗争を繰り広げていた頃とは違い、東北や福建から流れてきた連中が4,5人集まっては犯罪を犯し、また方々へ散っていく。

そして劉健一も2作目からさらにその得体の知れなさに拍車がかかる。全てを見通すかのように部屋に籠っては情報を集め、彼に関わる人たちの過去を、秘密を暴いていく。物語の前面に出るわけではなく、あくまで影の存在として情報を操作し、人を、いや物語を操る。

そして物語の中で翻弄されるのは武基裕。中国人でありながら偽りの戸籍を手に入れ、残留孤児二世として日本に入国し、日本人として生きる男。しかし生きるのに不器用な彼は中国東北人グループの下で働き、麻薬取締官の手下となり、またやくざの使いとなって地べたに這いつくばりながら生活している。

武には過去に喪った女性がいる。任美琪というかつて歌舞伎町の顔だった唐真という福建人の情婦だった女だ。武との密会がばれ、命を喪った。

これは他の馳作品によく見られる設定だ。概ね馳氏の主人公にはかつて愛した女を喪った過去を持つ。それは汚れてしまった現在の自分が生まれることになった愛と云う純粋なものを信じていた時代から訣別を意味するのだろう。
ある者は人生から転落し、ちんけなチンピラになってしまい、ある者は愛を捨てることで成り上がった者もいる。しかし共通するのは汚れてしまった人間になってしまったということだ。
馳作品の主人公は過去の女性への喪失感がトラウマになっていることが多い。

武は自分のボス韓豪を殺した連中を探すための一手段として情報屋の劉健一に情報収集を依頼するのだが、それがやがて幼馴染でかけがえのない存在だった藍文慈という自身の過去と対峙し、その過去を隠すために逆に劉健一に踊らされる存在となっていく。利用しようとしていた劉が全てを知り、そして全てを操る存在として武には映り、恐れおののくようになる。

そして武が親しみを込めて小文と呼ぶ藍文慈は、貧村で武が暮らしていた時に大切にしていた妹のような存在。武が日本へ発つ時に必ず迎えに来ると誓ったが、そのまま忘れ去られ、自身の力で日本に来た女だ。

このように相変わらず裏切りと血と暴力の物語で救いがないのだが、今までの諸作とは明らかに変わっているところがある。

まず必ずと云っていいほど織り込まれていた過剰なセックス描写が本作では全くないことだ。ヒロインは必ず複数のやくざに凌辱され、薬漬けにされ廃人と化す。物語の初めに美しく、そしてしたたかな女として描写され、物語の中で血肉を得られた頃に、いきなり公衆便所のように男たちの性欲処理の対象まで貶められるのが今までの馳作品における女性の扱い方だった。
しかし本書ではヒロイン役である藍文慈の扱いは全く違うものになっている。

また馳作品に出てくる女性とは諸作品に共通して主人公を正気に、または現状打破のためによすがとなる存在だった。どんなに崖っぷちに立たされ、逃げ出したいと思っても、最後の光として存在するのが愛する者の存在。
しかしそんな最後の宝石を必死で守ろうとしながらも最後は自分の手で壊してしまうのが馳作品の主人公たち。最後のカタストロフィに向かうためのトリガーがこれら大事なものを失うことだ。

だからこそ私は馳作品に不満を覚える。ボロボロになりながらも守ってきた物を最後には簡単に放棄して狂気に身を委ねてしまう主人公の弱さにどうしても共感できない。それまでの話は一体何だったんだとガッカリしてしまうのだ。

しかし今回における女性、藍文慈の扱いは違う。

通常何もかも喪った人が再生もしくは復活するというのが小説の題材であり、また主題となるが、馳氏は何もかも喪った人がさらに堕ちていく様を容赦なく描いていく。それは異国で生活する下層社会の人間の厳しい現実を知るからかもしれない。
しかしそれでも小説と云う作り物の中では希望のある話を読みたいものだ。こう考える私は馳作品を読むべき人間ではないかもしれない。


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No.66:
(5pt)

面白かった

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No.65:
(3pt)

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プレゼント用で不明
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4043442076
No.64:
(5pt)

満足しました

きれいで、問題もなく、よかったです。
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4043442076
No.63:
(5pt)

ヒロインの使い方

ギトギトのノワールに飢えた読書欲に安静を与えてくれる一冊です。
紅一点のヒロインの使い道が旨いと思いました。
ヒロインには主人公のセンチを呼び起こす要素を持たせ、ヒロインを痛め付けることで主人公を苦しめ、ヒロインは主人公を決定的な場面で裏切らせて急展開を起こす。
ノワール小説の黄金則を垣間見ました。
長恨歌  不夜城完結編 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:長恨歌 不夜城完結編 (角川文庫)より
4043442076
No.62:
(5pt)

良い作品

面白かったです
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