ブルー・ローズ



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初公開日(参考)2006年08月
分類

長編小説

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ブルー・ローズ〈上〉 (中公文庫)

2009年08月31日 ブルー・ローズ〈上〉 (中公文庫)

とある理由から警察を退職し、探偵業で糊口をしのぐ日々を送っていた元刑事・徳永のもとに、かつての上司で今や警視監の井口から、失踪した愛娘の捜索依頼が舞い込む。捜索を続ける徳永の前に、優雅なセレブ夫人たちの秘密の集まりが垣間見えてきた―。官能と狂気渦巻く、馳ノワール新たなる傑作長篇。 (「BOOK」データベースより)




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ブルー・ローズの総合評価:6.52/10点レビュー 21件。Dランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(1pt)

ブルー・ローズ=あり得ない

本書は馳氏による初の探偵小説と云えるだろう。
元警官でバブル経済時に土地転がしをして失敗し莫大な借金を抱えたしがない探偵徳永。彼が追うのは警察官僚の娘の失踪。特に冒頭の、高い地位のある、富裕な依頼主を訪れ、失踪した娘の捜索を依頼される件はチャンドラーの『大いなる眠り』を想起させる。

そして文体も全く変わっている。極限まで削ぎ落とし、体言止めを多用した文体から比喩を多用し、諦観と皮肉に満ちた文章はチャンドラーのそれを意識したもののように感じた。

主人公は元警官で今は弁護士事務所に雇われている探偵徳永。バブル時代に機を読み誤り、購入した不動産が値下げし、億単位の借金を抱え、少しずつ返済する日々を送っている。

そんな彼に持ち込まれたのが警察官のキャリアである井口警視鑑。次期警察庁長官と云われている。彼から依頼されたのが失踪した娘を捜し出すことだった。

物語はこの失踪した女性山下菜穂と彼女の趣味仲間田中美代と菜穂の高校時代の友人である和歌子こと菅原舞に彼女の連れ英ちゃん。そしてその趣味の世界では有名な飲食店経営者渡瀬を中心に進んでいく。

そしてまず本書のモチーフにあるのは薔薇。今ではもう幻の存在ではなくなったが、本書で失踪する菜穂は薔薇の生成、それも青い薔薇を生み出すことに執着しているアマチュア栽培家。
題名にもなっている青い薔薇は英語ではありえないことを意味する。

そしてこの薔薇のモチーフは物語半ば過ぎて別の意味を持ってくる。

しかし探偵小説といえどもきちんと馳氏のテイストは盛り込まれている。警察官僚の娘の失踪がいつの間にかキャリア同士の抗争に繋がり、しかもそこには主婦によるSMクラブという淫靡な真実が隠されている。それがやがて警察内部の政治抗争において爆弾のようなスキャンダルに繋がっていく。
なんでも存在する東京と云う都市が生んだ社会の歪みの権化。富裕階級に属する20代後半の若く美しい主婦たちが集う禁断の扉。アマチュア薔薇栽培家が目指していた青い薔薇の実現もいつの間にか2人のSM女王、赤薔薇、黒薔薇というモチーフに変わる。う~ん、実に馳星周氏らしい。

しかし探偵小説の体裁は上巻まで。やはり最後はいつもの馳作品。
人捜しの過程で出逢った人物、菅原舞に惚れてしまった徳永は仕事の途中で舞を喪ってしまう。それが徳永が獣になるトリガーとなった。

狂気と殺戮の宴の始まりだ。
理性と云う箍を外した徳永はもはや味方などは関係なく、己の願望を満たすために他者を利用するだけだ。全てが舞という大切な存在をこの世から消し去った敵としてみなす。

しかしそこから物語が微妙に歪んでくる。
敵側にさらわれた菜穂と英ちゃんを取り戻すために悪鬼の如く、慈悲を捨てて田中美代、渡瀬、公安警察らに挑む徳永だが、依頼元の井口の妻佳代ももはや身の保身のために事件については関心を持たず、徳永を切り捨てるし、肝心の菜穂はスキャンダルの種を恐れた井口にとっては既に敵側の手中に堕ち、出世ゲームからは脱落したものの、警視総監の地位確保のために身の回りの整理をしている。
つまりこの時点で既に徳永は菜穂を奪還する行為自体になんら意味が無くなっているのだ。

彼にあるのはただ単純に舞の命を奪った者への復讐の願望であり、その者たちの正体は解っているのでなぜ菜穂の奪還に固執するのか解らなかった。

つまり理性を失った徳永同様に物語ももはや筋を失い、ただ徳永が暴力を存分に振るうための舞台でしかなくなっているのだ。

作中、主人公の徳永の言葉に暴力への衝動について語られるシーンがある。精神の箍が外れ、暴力それ自身が快感となり、行為を制御できなくなるということだが、それは裏返せば馳氏の創作姿勢の説明ではないか。
どんな舞台、設定、登場人物を使っても行き着くところはどす黒い暴力の渇望。精緻に組立てた物語構造も最後の主人公の狂気の暴走に奉仕する材料にしか過ぎない。それを書きたいがためにそれまで我慢して物語を紡いでいるのだ、と。

また読書中、どうしても拭いきれない違和感があった。
本書の刊行は2006年なのだが、作品の時制は少し前のように感じた。しきりにバブル崩壊の膿やら残滓が謳われ、しかも主人公は携帯電話を使うことも覚束なく、パソコンのインターネットもパソコン通信や電話回線を使ってのネット接続だったり、ポケベルを持っている警官がいたりと、なんとも違和感を覚えることが多かった。
しかもサントリーが生み出した青い薔薇は2004年。つまり本書の刊行前なのだ。作中、いつごろの話か年代が出てこないため、どの時代を想像して物語に没入すべきか最後の最後まで解らなかった。

敢えて苦言を呈せば、本書は実に脇の甘い作品である。徳永が暴力に走る動機となった愛すべき存在、菅原舞を喪うことも、40を過ぎた男に起こった一目惚れからなのだ。
ほんの数時間しか過ごしていない相手にこれほどまでに惚れるのか?
20代の男が年上の女性に惚れるというのなら解るが、人生の酸いも甘いも経験した男が20代後半の女性に一目惚れするというのが実に解せなかった。さらに菜穂を取り戻すことの意味がない中での徳永の決死の任務遂行など物語としての体を成していない。
今までの馳作品らしくない破綻ぶりだ。
正直この結末には唖然とした。もう馳氏にはノワールを構成するネタが枯渇してしまったのだろうか。

先にも書いたがブルー・ローズとは英語で“ありえないこと”という意味でもある。私にしてみればそれは本書の内容こそがブルー・ローズそのものであった。


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Tetchy
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No.20:
(3pt)

バブル後の田園調布あたりの高級住宅地から始まる

バブルがはじけた数年後あたりに書かれているようです。バブルの頃は、バブルの頃に、バブルの頃なら、バブルの後は、バブルが去ってもなお、等とにかくバブルの余韻がしつこいほど登場する。2、3回ならまだしも本当に多いのが気になった。

警視庁と公安委員会?の確執がメインになっているようで、お互いの出世を巡って、どんな手段を使ってでも相手をけ落とそうとしている、そういうストーリーで、その中にセレブの奥様方の秘密の売春クラブや、SMグッズマニアなどが出てくる中、主人公の探偵男の、ほんの少しの恋愛の要素も。

警視庁と公安委員会がなぜ敵対しているのか書かれてあったかな?何故なのか、その理由が分からずにずっと読んで行き、娘の失踪やその友達が誘拐されたりと、途中からどっちがどっちか分からなくなってしまい、もうええか〜、と下巻の何ページかまで読んでやめてしまいました。

自分はあれこれスピード展開するよりも、もう少しシンプルでわかりやすいストーリーが好きなのでもうやーめた!です。
ブルー・ローズ〈上〉Amazon書評・レビュー:ブルー・ローズ〈上〉より
4120037665
No.19:
(2pt)

主人公が無敵すぎる

馳星周の作品は好きで結構読んでいるんだが、本書はその中では下位の方かな。
主人公がトチ狂って暴走するってのはお馴染みの展開でそれ自体はいいんだが、今回の主人公は無敵すぎる。

銃器で武装した公安の対テロ班とか、SAP(特殊武装警察)に襲撃されてもたった一人で撃退してしまうのだ。
主人公は自堕落な生活を送っている中年の元刑事なのだ。
ランボーじゃあるまいし、どう考えても訓練を受けた現役の武装部隊を相手に一人で勝つのは無理だろう。

セレブ夫人たちが主宰するSMクラブに関わる失踪事件とかの設定は面白いと思って読んでいたのだが、主人公の無敵ぶりに冷めてしまった。
もう少しリアリティのある展開にして欲しかったと思う。
自堕落なオッサンが一人で特殊部隊と渡り合うってのはさすがに無理があり過ぎる。
ブルー・ローズ〈下〉Amazon書評・レビュー:ブルー・ローズ〈下〉より
4120037673
No.18:
(5pt)
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久々に読み終えるのが寂しかった

不夜城、鎮魂歌以来だから十数年ぶりの馳作品。 個人的には上記の出世作より、本作が圧倒的に上。 主人公の体調に関する記述がやたら多いのも馳作品らしく、 独特の臨場感を醸し出している。 海千山千の主人公が舞にコロッと熱を上げてしまうのも、逆に リアリティがありストンと腹に落ちる。 本を読む楽しさ、そしてその本を読み終えてしまう淋しさを 久々に味わった。 未読の馳作品、遡って読んでみようかな。
ブルー・ローズ〈上〉Amazon書評・レビュー:ブルー・ローズ〈上〉より
4120037665
No.17:
(5pt)

すべての代償は、死で贖え。(ネタバレ注意)

人妻主催のSMクラブで殺人があり、警察も調べているうちにSMにはまってしまった。
SMの描写が事細かに書かれており、危なく、少しエッチな本でした。
ブルー・ローズ〈下〉Amazon書評・レビュー:ブルー・ローズ〈下〉より
4120037673
No.16:
(5pt)

主人公の失踪をめぐる過程が面白い

刑事が、失踪した主人公を探すためにSMクラブに入り、セレブの主人公がSMをしていた実態を知る。
いつしか刑事も、薬やSMに惹かれていく。

恋愛あり、サスペンスありで、続きが楽しみです。
ブルー・ローズ〈上〉Amazon書評・レビュー:ブルー・ローズ〈上〉より
4120037665



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