雪月夜



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初公開日(参考)2000年08月
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長編小説

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雪月夜 (角川文庫)

2006年09月30日 雪月夜 (角川文庫)

根室でくすぶる幸司のもとへ、東京でやくざになった裕司が突然姿を現した。組から数億の金を掠めとり、ロシア人娼婦を連れて根室に消えた敬二を捜すのに手を貸せ、という。ガキの頃から憎み合いながら繋がっていた幸司と裕司。互いに激しい殺意を抱きつつも大金のため、二人は敬二の足取りを追う―。抒情と悲壮美に満ちた馳ノワールの新たな到達点。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

雪月夜の総合評価:7.27/10点レビュー 15件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

舞台と登場人物が違うだけでは…

都会を舞台にマフィアややくざの世界を描いてきた馳氏が選んだのはなんと北海道の根室。
都会の喧騒もなく、ネオンもなく、はたまた民族が入り組んだ抗争もない。ただ北海道という地特有の事情、ロシア人を相手に利鞘を得る人々がいるという現実。一見大人しそうな街ながら裏ではお互いがお金を奪おうと虎視眈々と狙っている、陰湿な社会だ。

そんな町を舞台にした物語は至ってシンプル。東京のやくざの金を持ち逃げしたロシア女性のヒモをかつて根室で相当のワルと評されていた男が追ってくるという話。

その男山口裕司は自分の思い通りにならないと気が済まないタイプ。そして買った恨みは死ぬまで忘れない。子供の頃に受けた侮辱でさえも、大人になってまでもそれをネタに強請り、たかる男だ。
それを可能にするのは圧倒的なまでの暴力。威嚇ではなく、後先考えずに欲望のままに振るわれるから、誰もが恐れて止まない。それ故、裕司は街にとって災厄の元凶なのだ。

一方その片割れとされていた内林幸司はお互いの境遇が似ていた裕司と幼き頃に知り合ったのが間違いの始まりだった。一方が露助船頭の息子と蔑まれ、他方はアル中やくざの息子と忌み嫌われていた。幸司は裕司の暴力を恐れ、嘘をついて逃れていた。お互いがお互いを憎む間柄ながらなぜか離れられない奇縁を持つ二人。

と読んでて思ったのはこれはいわゆる成長したジャイアンとスネ夫の物語ではないか!
クライマックスの極限状態の中、幸司はある心理に辿り着く。忌み嫌う二人はこの上なく似ており、それ故忌み嫌う。裕司は幸司で、幸司は裕司だ。
裕司の物は俺の物。俺の物は裕司の物。ここまで読むとまさにこの見方が正しかったことに気付く。

しかし基本的な物語の構造は一緒だ。どんづまりの現状から逃げ出すために汚い大金を手に入れようともがく底辺の男たちの物語。『漂流街』のマーリオ然り、『夜光虫』の加倉然り。舞台が根室に、登場人物らが変わっただけで描く物語は同じ。この辺に馳氏の作家としての物語創造力に首を傾げてしまう。

そしてクライマックスの壮絶な殺し合いも一緒。
一人、また一人とやくざであろうが庶民であろうが、議員であろうが、はたまた警官であろうがばったばったと撃たれ、死んでいく。生き残った人間は結局一人呪詛に憑りつかれたかのように憎むべき相手を探し求める。あれほど執着した大金など見向きもせずに。

ここまで書いてようやく私は作者の真意が解ったような気がした。あまりに不毛な物語の結末にいつものように白けてしまったのだが、つまり根室という閉鎖された町に突如現れた大金を手にするのは、狂った人間以外にありえないのだ。そして勝利者は狂者ゆえに本来の目的を忘れてしまうのだ。

しかしよくもまあこれだけ狂える人間を、執着心の強い人間を生み出せるものだ。特に裕司の造形は凄まじいものがある。幸司の物を欲するがために、幸司が恋した自らの妹でさえ凌辱するとは…。

また馳氏の特徴の一つが街を描くこと。それぞれの街が持つ雰囲気がそこに住まう、もしくはそこで生業を行う人間たちを形成し、またそれらの人間たちによって街もまた性格を持ち、変化し続ける。
今回の舞台根室もまた日本経済の歪みが特異性を生み出すことになった。ロシア人を相手に商売しなければもはや生き残る糧を得られない街。従ってそこの住民にとって北方領土問題の解決なんてものは逆に彼らの生きる糧を奪う行為に過ぎないのだ。その場所その場所に住まう人々にとって正論では割り切れない事情があることを知らされる。
そんな背景を馳氏は巧みに物語に取り入れるのが上手い。

そんなわけで馳氏の物語の熱といい、描く内容というのは買っているのだ。あとはあまりにステレオタイプすぎるプロットから脱却して唸らせるような新たな物語を見せてほしい。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.14:
(4pt)

ハードな日本版ノワール

極寒の北海道釧路を舞台としたハードな日本版ノワール。

少年の頃からの腐れ縁の二人、一方はヤクザの息子裕司、一方はレポ船(ロシアのスパイ船)船長の息子幸司、が、長じて繰り広げるまさに血で血を洗う闘争劇である。互いに憎しみ合いながら青年期を過ごした裕司と幸司。幸司は家業を継ぎ、裕司は故郷を離れヤクザとなっていた。ある日、組の金を盗んで逃走した男を追い裕司が、幸司の元を訪れる。逃走者は、二人の知人敬ニだったのだ…。

暴力で圧倒的に他者を支配する祐司、祐司に痛めつけられるながらも敬ニ捜査の片棒を担ぐ幸司。”祐司と幸司”という繰り返されるフレーズが、二人の特異な関係性を強く印象付ける。

大金を巡って、釧路の地元のヤクザ、議員とその愛人(祐司の昔の女)、ロシア人、悪徳警官らが時に手を組み、時に裏切りながら欲望丸出しの追跡が続く。まとまな奴が全く登場しないというまさに暗黒小説。登場人物たちの腹黒さに酩酊してしまいそう。幸司が主役だが、祐司の捻れた個性に圧倒される。徐々に金の虜になっていく幸司。果たして群がる奴らを出し抜いて金を手にすることができるのか…。

オールスター集合の雪原でのクライマックスは、大いに盛り上げてくれている。

北海道弁の”しばれる”寒さの描写がピカイチ!
雪月夜 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:雪月夜 (角川文庫)より
404344205X
No.13:
(5pt)

ありがとうございました。

本がきれいで満足しています。
雪月夜 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:雪月夜 (角川文庫)より
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No.12:
(5pt)

3回目

本で2回読み
今回kindleで読んだが、やはり
面白いし、絶句したくなる内容は変わらない!
雪月夜 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:雪月夜 (角川文庫)より
404344205X
No.11:
(5pt)

ドラッグノベル

馳星周という人の作品は、どれを最初に読んだかでその本に対しての評価が一変する人だと思う。
馳さんと言ったら不夜城が挙がるけれど、私は雪月夜が初めての馳星周でした。

読んだときのインパクトは相当なもので、
軽い気持ちで飲んだお酒で意識がぶっ飛んだぐらいの感覚でした。

こんな小説を書く人がいるんだと思った。

文章の荒々しさとか、多少のつじつまのあわないところとか、
そんなのどうでもいいんですよ。
とにかくこの小説にあるのは、圧倒的な負のパワーです。
読んでいて自分も一緒に堕ちていく感覚がたまらないのだと思う。

そのあと貪るように馳さんの作品を読んだけれど、
確かにどれもよく似ています。
馳作品には大体、三人の男たちが(どれも最低な性格をしている)出てきて熾烈な争いを繰り広げる。
不夜城を読んで、ダークムーンを読んで、夜光虫を読んでとやっていると、
キャラクター像やプロットは驚くほど似かよっていることに気づく。
よくレビューなどでそのことを指摘されているのを、私も読みました。

だけど思うに、この作家さんは人からなんと言われようとも、
似たようなこのディテールを飽きるまで何度でも書きたいのだと思う。
私も読みたいので、何度でも書いてくださいと言いたい気分だ。
馳さんのこのパターンは飽きたよ、という人は別の作家の小説を読めばいいだけなのです。

話がずれてしまったのですが、
私は雪月夜が初めての馳星周だったので、
不夜城や夜光虫を読んでも、この小説の裕司ほどの衝撃は受けませんでした。
だけど初めて不夜城を読んでいたら健一に凄まじいショックを受けたと思うし、
夜光虫を初めて読んでいたらの加倉を始めとするドロドロとした人物関係に相当な印象を残しただろうと思うのです。

最初が雪月夜だったから、私にとっての馳作品のベストは長いこと雪月夜でした。
馳星周の他作品の感想を読んでいて、「不夜城に比べると~」と書いている人を見ると、
ああ、このレビュアーさんの初めての馳作品は「不夜城」だったのだな、となんとなく感じます。
私は裕司の毒気と、奇怪な無邪気さみたいなものにあてられてしまい、
以来馳さんが生み出す麻薬のなかに、裕司を超えるインパクトはないものかと思って読んでしまうのです。

主人公は幸司なのですが、間違いなくもう一人の主人公は裕司です。
しかも主人公が影で、裕司が光なのがこの小説のやるせなさだと思います。
光と言っても、清らかさや正しさの意味ではなく、人をひからびさせるような強烈で残酷な光です。
こんなやつらとつるむのはたまらん、と思いながらも、読む手を休めさせない文章のテンポは小気味よく、
やはり馳さんの小説はドラッグに似たものがある気がします。

馳さんの最初の作品にどれを読むか悩んでいる人がもしいるなら、私はこの本を推したいです。
雪月夜 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:雪月夜 (角川文庫)より
404344205X
No.10:
(3pt)

期待通り

テレビでドラマ化された場合どんな配役になるか想像しながら読了。壮大なスケールの映画ではなく日曜日の午後にやっていそうな番組。作者なりの一冊。
雪月夜 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:雪月夜 (角川文庫)より
404344205X



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