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雪月夜
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雪月夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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極寒の北海道釧路を舞台としたハードな日本版ノワール。 少年の頃からの腐れ縁の二人、一方はヤクザの息子裕司、一方はレポ船(ロシアのスパイ船)船長の息子幸司、が、長じて繰り広げるまさに血で血を洗う闘争劇である。互いに憎しみ合いながら青年期を過ごした裕司と幸司。幸司は家業を継ぎ、裕司は故郷を離れヤクザとなっていた。ある日、組の金を盗んで逃走した男を追い裕司が、幸司の元を訪れる。逃走者は、二人の知人敬ニだったのだ…。 暴力で圧倒的に他者を支配する祐司、祐司に痛めつけられるながらも敬ニ捜査の片棒を担ぐ幸司。”祐司と幸司”という繰り返されるフレーズが、二人の特異な関係性を強く印象付ける。 大金を巡って、釧路の地元のヤクザ、議員とその愛人(祐司の昔の女)、ロシア人、悪徳警官らが時に手を組み、時に裏切りながら欲望丸出しの追跡が続く。まとまな奴が全く登場しないというまさに暗黒小説。登場人物たちの腹黒さに酩酊してしまいそう。幸司が主役だが、祐司の捻れた個性に圧倒される。徐々に金の虜になっていく幸司。果たして群がる奴らを出し抜いて金を手にすることができるのか…。 オールスター集合の雪原でのクライマックスは、大いに盛り上げてくれている。 北海道弁の”しばれる”寒さの描写がピカイチ! | ||||
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本がきれいで満足しています。 | ||||
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本で2回読み 今回kindleで読んだが、やはり 面白いし、絶句したくなる内容は変わらない! | ||||
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馳星周という人の作品は、どれを最初に読んだかでその本に対しての評価が一変する人だと思う。 馳さんと言ったら不夜城が挙がるけれど、私は雪月夜が初めての馳星周でした。 読んだときのインパクトは相当なもので、 軽い気持ちで飲んだお酒で意識がぶっ飛んだぐらいの感覚でした。 こんな小説を書く人がいるんだと思った。 文章の荒々しさとか、多少のつじつまのあわないところとか、 そんなのどうでもいいんですよ。 とにかくこの小説にあるのは、圧倒的な負のパワーです。 読んでいて自分も一緒に堕ちていく感覚がたまらないのだと思う。 そのあと貪るように馳さんの作品を読んだけれど、 確かにどれもよく似ています。 馳作品には大体、三人の男たちが(どれも最低な性格をしている)出てきて熾烈な争いを繰り広げる。 不夜城を読んで、ダークムーンを読んで、夜光虫を読んでとやっていると、 キャラクター像やプロットは驚くほど似かよっていることに気づく。 よくレビューなどでそのことを指摘されているのを、私も読みました。 だけど思うに、この作家さんは人からなんと言われようとも、 似たようなこのディテールを飽きるまで何度でも書きたいのだと思う。 私も読みたいので、何度でも書いてくださいと言いたい気分だ。 馳さんのこのパターンは飽きたよ、という人は別の作家の小説を読めばいいだけなのです。 話がずれてしまったのですが、 私は雪月夜が初めての馳星周だったので、 不夜城や夜光虫を読んでも、この小説の裕司ほどの衝撃は受けませんでした。 だけど初めて不夜城を読んでいたら健一に凄まじいショックを受けたと思うし、 夜光虫を初めて読んでいたらの加倉を始めとするドロドロとした人物関係に相当な印象を残しただろうと思うのです。 最初が雪月夜だったから、私にとっての馳作品のベストは長いこと雪月夜でした。 馳星周の他作品の感想を読んでいて、「不夜城に比べると~」と書いている人を見ると、 ああ、このレビュアーさんの初めての馳作品は「不夜城」だったのだな、となんとなく感じます。 私は裕司の毒気と、奇怪な無邪気さみたいなものにあてられてしまい、 以来馳さんが生み出す麻薬のなかに、裕司を超えるインパクトはないものかと思って読んでしまうのです。 主人公は幸司なのですが、間違いなくもう一人の主人公は裕司です。 しかも主人公が影で、裕司が光なのがこの小説のやるせなさだと思います。 光と言っても、清らかさや正しさの意味ではなく、人をひからびさせるような強烈で残酷な光です。 こんなやつらとつるむのはたまらん、と思いながらも、読む手を休めさせない文章のテンポは小気味よく、 やはり馳さんの小説はドラッグに似たものがある気がします。 馳さんの最初の作品にどれを読むか悩んでいる人がもしいるなら、私はこの本を推したいです。 | ||||
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テレビでドラマ化された場合どんな配役になるか想像しながら読了。壮大なスケールの映画ではなく日曜日の午後にやっていそうな番組。作者なりの一冊。 | ||||
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馳星周氏の本は不夜城を始め、何冊か読んだのですが、この本だけ2度、3度と繰り返し読みたくなりました。 極寒の町で繰り広げられるドロドロとした本作のドラマは、馳星周氏の本の中でも特にピンと張りつめた空気感を醸し出していて、山場の場面においては、こちらもヒリヒリするような緊張感が伝わってきました。 私が読んだノワール小説の中では最も印象的な本であり、クライマックスは何度も「観賞」したくなる衝動に駆られる、不思議な磁力みたいなものが発生しているような気がしました。 | ||||
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ロシアと国境を接する根室という地の特殊事情、そして 幸司と裕司という幼馴染の関係を描き、馳星周氏が 新境地を切り開いた作品である。 しかし、その内容はおなじみのパターンとなる。 金に群がる人たち。繰り返される裏切り。 そして、例によって救いようの無いエンディング。 多少目先を変えた所で、本質は変わらない。 でも、読んでる間はとっても幸せ。 馳星周氏の作品には、既読感があっても、 なお物語に引き込まれる何かがある。 | ||||
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全体的に暴力と策略がが張り巡らされている。 さらに北海道の冬の厳しい寒さがリアルに描かれ、痛々しく寒いイメージが付きまとう。 一番ひどいところだと手の力が抜けそうなほど怖い。 けれども、雪と月の美しさが不意にあらわれ、暗い内容とのギャップが目を引く。 馳星周の作品が初めてのためもあるが、結末には唖然とし、衝撃を受けた。 個人的にはいい作品だったとおもう。 | ||||
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根室でひとりロシア人相手に商売をしながら日々 を送る幸司のもとへ,やくざになった裕司が姿を 現す。組の金を盗んだうえにロシア人情婦と共に 姿をくらました敬二を探すのを手伝えという・・・ 地獄に産み落とされた醜い双子のような二人。 裕司は幸司を殴る 幸司は裕司を騙す 裕司は幸司の物を奪い取る 幸司は裕司の物を騙し取る これがこの物語をよく表した文章であると思う。 ただそれだけと言えばそれだけ・・・でもそれだけで これだけの文章を読ませる作者の筆力がすごいのか? | ||||
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うーーん。何と言うか・・・ 常識的な事柄を誤って書くのは頂けない。 「『鳴かぬ』なら殺してしまえ・・・」を「『泣かぬ』なら殺してしまえ」とか あんまりですね。 文章をどうこう言うより、日本語としてひどい誤用が多すぎ。 「アカ新聞」を「左翼的な新聞」との誤解も・・・ 初めは洒落と思っていたのですが、後半部分で 腰が抜けそうになりました。 編集者も気がつかなかったようですが、・・・・ 一気に読む気が失せてしまいました。 それを除いても、「売れっ子になるといけない」の典型ですね。 | ||||
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馳星周初体験する際には薦められない相手。 他のミステリーや暗黒小説と比べ、 暴力やトリックといった“わかりやすい”刺激が少なく、 付き合っていて退屈に感じてしまうことが多いからだ。 しかし退屈がゆえに、あることに気づかされもする。 もっと強い刺激を求めて、より深い絶望を主人公に望む自分に。 もっと不幸に。もっと破滅的に。 残虐性に気づきつつも昆虫実験を楽しんでいた子供の頃の記憶が甦る。 もっと飢えさせてみたら?もっと痛めつけてみたら? 好奇心の前では人間はあっさりと人間性を脱ぎ捨てる。 そしてラストで著者はようやくその注文をこれでもかと満たしてくれる。 ふぅ、食った食った。 満腹になって、読後は本棚という標本箱に本を突き刺した。 もちろん登場人物たちの不幸を、何時でも好きなときに うっとり眺められるようにするために。 | ||||
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ファンの期待を裏切らず、救いようの無い人物の救いようの無い行為の連続。そして馳ファンなら誰でも予想するであろうラスト。もう不夜城や夜光虫などを読んだ時の驚きは無い。それでも水戸黄門同様、ファンとしては一気に読みきってしまった。 でも星3つというのは、さすがの馳ファンの私でもはそろそろ同じパターンに飽きてきてしまったのだ。シチュエーションが新宿、バンクーバー、根室などと変わっただけにしか思えない。登場人物に魅力があり、希望の持てる結末を迎える小説はシリーズ化される。誰もが主人公に感情移入でき、自分が主人公のようなタフガイになったような気になれるからだ。でも暗黒小説にこれは使えない。今度は作者が期待を裏切って新しい境地を開いてくれることを望む。 | ||||
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不夜城をひっさげて登場したノワールの旗手。 漂流街で頂点に達した氏の暗黒度。 そこからどう抜け出すのか、どう突き破るのか。じれったい思いをしながら見続けてきたけれど。 タイトルに現れているとおり、雪月夜のまちに繰り広げられる暗黒劇は、暗黒の街、新宿、渋谷で繰り広げられるそれよりも凛として印象深い。 手法的には今までのなぞりだけれども、この風景の美しさが妙にマッチしていておもしろい。 | ||||
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馳星周のストーリーテリングの醍醐味が溢れる作品でありながら、作品の基調を成す人間という素材において相変わらず救いがない。つまりせっかくのロシア-日本の国境地帯である根室という半島を舞台にしていながら、そこで紡ぎ出されるのがやり切れぬ憎悪、救い得ぬ滅びでしかない。 馳星周はあるテレビ番組の取材で国境地帯としての根室を訪れ、新宿歌舞伎町に通じる異国との接点、その距離のなさに驚いていた。放映されたのは二年くらい前だったろうか? 根室の漁業、地場産業レベルでの国交という現状を見聞する馳には紛れもない作家の表情が浮かんでいたように思う。格好の題材を得て好奇心をあらわにする作家の鋭い表情をぼくは未だに覚えている。 だからこそ、結果的にはいつもの滅びのストーリーを補佐する意味でしか根室を使わなかったことはなかなかに残念なことなのだ。船戸ばりのストーリーテリングのセンスを持っているのに、一方で馳の方の物語にだけいつも救いがないのは、船戸の物語では必ずその存在が浮き上がるその地の後継者たちが世界からいなくなることだと思う。誰一人残さず物語が消滅して終息してゆくことなのだと。 未来に向かうべきなにものかが必ず世界にはあって欲しいと思う。子どもがいて、若者がいて、同じ罪を繰り返す時間の流れがあって、その大きな時間軸の奔流にドラマは解け込んでゆくものだと思う。だからこそ馳の小説のように自己完結的にドラマの輪が閉じてしまい、読者と繋がるべき未来への地平が全く提示されぬままに終わるというのは読んでいてやはりつらい。カタルシス不在にもほどがあると思うのだ。 類いまれな表現者としての才能を、せっかくの題材に生かしたいのなら、さらに詰めて欲しい時代の流れへのシンクロという課題が存在するだろうし、そうした地点に立つ意志がないのなら、現代風の旨味のある題材を読者への餌のように使うべきではないだろう。その場合は、ひたすら孤立した街のアウトローたちを描くというジム・トンプスンの作法を選択すればいいのだと思うのだが。 はて、私のような読者と作者とどちらが欲張りなのだろうか? | ||||
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