ダーク・ムーン



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初公開日(参考)2001年10月
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長編小説

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ダーク・ムーン〈上〉 (集英社文庫)

2004年09月30日 ダーク・ムーン〈上〉 (集英社文庫)

一九九七年、カナダ西海岸・ヴァンクーヴァー。中国への返還目前の香港から押し寄せる移民たち。そして黒社会。おりしも頻発するヘロイン強奪事件に華人マフィア同士の緊張が高まり、街には不穏な空気が流れていた。そのさなか香港黒社会の大ボスの愛娘・李少芳が行方をくらませた。探索を命じられた男・富永脩は一人、ヴァンクーヴァーに降り立つ。欲望と憎しみの悲劇の幕は上がった―。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

ダーク・ムーンの総合評価:6.87/10点レビュー 15件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)
【ネタバレかも!?】 (3件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

わかっちゃいるけどやめられない、のか?

今回の舞台はカナダ、ヴァンクーヴァ―。この日本人にとってはあまり馴染みのない街が中国人の華僑によってチャイナタウンが形成され、なんと全人口の25%以上を中国系移民が占める街にまでなっているとは知らなかった。今や世界各国に蔓延る中国社会の根強さを思い知らされるエピソードである。

そんな街に香港黒社会の大物李煬明の娘がミッシェルという名のジゴロに夢中になり、行方をくらましてしまう。片やヴァンクーヴァ―では中国系マフィアが所持する麻薬が悉く何者かに強奪されている事件が起きている。
物語はこの2つの事件を主軸にしてそこに目がけて一癖も二癖もある野郎どもが集結していく。

1人は呉達龍。街のごろつきどもを痛めつけて金をせしめるヴァンクーヴァ―市警の悪徳警官。また彼は次期下院議員を目指す建設会社社長鄭奎の手先として彼の邪魔をする者を陰ながら排除してきた。彼には香港にいる家族をヴァンクーヴァ―に引き纏めるために金を稼ぐ目的があった。

もう1人目は富永脩。元新宿署の防犯係の刑事であったがやくざの女に手を出し、日本にいられなくなったところを李煬明に拾われた警官崩れの男。彼は李の命令で彼の娘を捜し、駆け落ちの相手を始末するためにヴァンクーヴァ―へ降り立つ。

最後の1人はハロルド・加藤。大手貿易会社の社長の息子でありながらブリティッシュ・コロンビア州連合捜査局、通称CLEUの捜査官を務める。彼の許嫁の父親が鄭奎のライヴァルのジェイムズ・ヘイワースで上司命令で鄭奎のスキャンダルを探る任を授かる。

そして彼ら3人が取り巻く渦の中心にいるのが李少芳とミッシェル。
李少芳は行方不明になった香港黒社会の大物、李煬明の娘。ミッシェルはケベックから来たと云われるヴェトナム系マフィアを率いて一連の麻薬強奪に関与していると睨まれている謎めいた男。
2人を探す富永と加藤、そしてそこに呉が絡む。

富永は呉が香港にいた頃、辛酸を嘗めさせられ、恨みを持つ。
加藤は呉が彼の婚約者の父の政敵鄭奎の子飼の悪徳警官である証拠を掴もうとし、呉はその証拠を掴まれる前に加藤を殺そうと目論む。
さらに呉は香港に残した子供らを誘拐した富永に憎悪を抱くという、いわば呉対加藤&富永タッグの1対2の構図を見せる。

しかしやはり馳作品。そんな単純な構図のままでは終わらない。
加藤と富永も組みながらもそれぞれを嫌悪し、いつか寝首をかいてやろうと狙っている。
敵が味方に、味方が敵に、そしていずれもが敵に、と目まぐるしく変わる状況で立場が入れ替わる。

そして悪人ではなく、恵まれた家庭に育ちながらも警察官となったハロルド加藤もまた修羅道に堕ちていく。気付かなかった自分の隠れた性癖―同性愛―を嫌悪しながらその誘惑に抗えない加藤が男娼に迫られ、前後不覚に陥り、人を殺めてしまう。

本書の特徴と云えばこのハロルド加藤の存在だろうか。今までの馳作品は道を外れた者が現状に不満を持ち、いつか大金を手にして「ここではないどこか」へ逃げようと考えていたり、もしくは底辺で蠢くチンピラがのし上がろうとする登場人物ばかりだったが、ハロルド加藤は一代で財を成した貿易会社社長の息子で成績優秀な捜査官。しかも婚約者は次期下院議員候補の娘と、今後の将来も約束されたような男だ。
そんな男が自身の心の闇に抗えず、堕ちていくところが今までの作品にはない設定だ。

そして物語は3人の上にいる人物たち、すなわち呉達龍のボス鄭奎、ハロルド加藤の父親加藤明、富永脩のボス李煬明ら3人の過去の関係へと焦点が移り、それが今回の事件に昏い翳を落としていることが発覚する。

またしても血の物語だ。全く関係のないと思われた3人が過去の因果で繋がる。この血の繋がりによって縛られる因果、過去の呪縛ともいうべきテーマは馳文学では大きなモチーフになっている。

さらに一貫したテーマとして作中呉や富永が独りごちる、誰もが清廉潔白ではない、誰もが秘密を持っており、それを必死に隠して生きている、という台詞に集約されている。
そのせいか見事なまでにまともな人間が1人として出てこない。
かと云って人間臭いといった感じではなく、陰湿な雰囲気が常に漂う。みながタブーを犯して生きている、そんな感じだ。

上下巻1,040ページ弱の作品でそれぞれの因果や鬱屈が呪詛のように繰り返され、彼らの行く末が存分に書き込まれた作品だが、やはり私にはどうも合わなかったようだ。

平たく云うと理解が出来ないのだ。
お互いが他を出し抜いてのし上がり、手にした大金の前で、なぜか身の破滅を願う自分がいる。この感覚が理解できない。
彼らが辿り着くのはいつ追手に見つかって殺されるか、びくびくするだけの日々からの解放。その気持ちは解るが、なぜか彼らは自らを危機に陥れる愚行を犯す。まるで敢えて罠に嵌っていこうとするかのように。これが理解しがたい。
本作の終盤で繰り言のように頻出するのは“とち狂っている”という言葉。みんなが正気ではなく、とち狂っている。だからこそこんな道に陥るのだ。
書いてしまえば簡単だが、それゆえそんな理由で?といった浅さを感じてしまう。

今まで新宿、渋谷、台湾、釧路、ヴァンクーヴァ―と舞台を変えてノワールを展開してきた馳氏だが、結局舞台を変えても物語、雰囲気は同じという感は否めない。それはやはりどこを舞台にしても中国系マフィアが登場するからだ。
厳密に云えば渋谷を舞台にした『虚の王』や釧路を舞台にした『雪月夜』などは中国系マフィアが出てこないが、いずれの作品も強大な影響力を持つ人物が現れ、それに惑わされて堕ちていく物語だ。
特に中国系マフィアの横行を描く物語はもう読み飽きてしまった。新たな機軸を打ち出す作品を読みたいものだ。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.14:
(3pt)

ダーティー!!!!

没落警官の病気、私も持っていて怖くなりました。お家芸常識と潜在的ホモとの葛藤、本作でも炸裂です。
ダーク・ムーン〈下〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:ダーク・ムーン〈下〉 (集英社文庫)より
4087477460
No.13:
(2pt)

これが馳星周か。

外国人が書いたものに馳星周の名前を被せたと言う内容に思えた。いままで読んだ印象と全く違う。
ダーク・ムーン〈上〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:ダーク・ムーン〈上〉 (集英社文庫)より
4087477452
No.12:
(4pt)

ダーク・ムーンの評価は4です

前からほしかった、本なので満足しています、またよみたいのがあれば購入したいです。
ダーク・ムーンAmazon書評・レビュー:ダーク・ムーンより
4087745589
No.11:
(4pt)

醜ければ醜いほど人は美しい

始めは非常に読みにくい本だと思いました。なぜなら、中国人が多数登場し、しかも彼らの名前は難しい漢字で独特の発音をするのですから。読者にもう少し配慮してほしいと思いました。

さて、内容ですが、キー・パーソンは、ハロルド加藤、富永脩、そして、呉達龍の三人です。彼らがどんな破滅の狂想曲を奏でるのだろうか、始めは全く理解できませんでした。普通接触することなど皆無な身分、地位、人種が異なる三人がどう絡み合っていくのか?三人を噛み合わせた歯車は、ミッシェルというバイセクシャルでタブー無しのアウトローでした。

加藤明、ヂェン・フイ、そして、レイ・イウ・ミンの因縁の過去が彼らを破滅への舞台へと誘います。

それぞれが抱える苦悩、醜悪な本性、そして、目を背けたくなるほど血生臭い現実が彼らを奔走させ、より人間的により美しく煌めかせます。後半の異常なまでの高速な展開は、読者をヘロイン中毒の如く読書へ駆り立てます。

醜悪だけど美しい、人間性の背後にある野獣のような欲望が狂喜に走らせ、ダイヤモンドのように人生を光輝かせます。

ここまで人間の本性を上手くしかも読者の期待にそうように書ききるのはまさに天才としかいいようがありません。

新たな人間学を開拓されること必至です。お勧めの傑作です。
ダーク・ムーン〈下〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:ダーク・ムーン〈下〉 (集英社文庫)より
4087477460
No.10:
(4pt)

深く考えず楽しめる感じ。

パターン的にはいつもの奈落スパイラルワールドだけど、今回は堕ちていくのが3人。
呉、ハリー、富永それぞれが個性的な人物で、それぞれのバックグラウンドも深く設定されていると思います。
その3人が関わる人間がカブっているので誰が誰とどう関わっていたか途中でよく分からなくなったりするけど、それでもちゃんと楽しめました。
ヴァンクーバーが舞台だけど、ヴァンクーバーに行った事がなくても情景が浮かぶ描写なので気合を入れずに読んでも楽しめると思います。
たとえばビーチでビールを飲みながらでも。
ダーク・ムーン〈下〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:ダーク・ムーン〈下〉 (集英社文庫)より
4087477460



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