信じられない事故が起きた。登山中にアイゼンが折れ、大学生の井能哲也が転落死したのだ。

一脚の椅子の下方横手、調理台と食卓との間の狭苦しい床にうつ伏せている人の五体(枷市)、その薄黄色いセーターと床板との、もうたいがい乾いているような血潮の色合いが、たちまち彼女の目に飛び入り、なんとも忌まわしい事態に直面しそうな予感の怯えは、次第に強く濃くな

その年一つの殺人が行われた。それから7年後、別の殺人が行われた。

サラ・フォーチュンはふたつの顔をもっていた。

修道院は聖ウィニフレッドの遺骨の移葬祭に各地からやってきた巡礼者で賑わっていた。

ホープの友人の探偵が何者かに射殺された。殺されたとき彼は、著名な実業家からの依頼で“シンデレラ”の行方を追っていた。

70年近くも昔の奇妙な三つの死。昨年の冬、完璧に封印された館で発見された、不条理きわまる六つの死。

紋章上絵師の章次のもとに、かつて心を寄せあっていた女性から、二十年前と同じ蔭桔梗の紋入れの依頼があった。

ガン患者の老女を見舞う息子と嫁、可愛い孫。

現代の“和泉式部”野川いずみが毒殺された。京南大学大藤教授邸、新年パーティでの惨劇。

親のおかげで何不自由なく暮らし、有余る金と膨大な時間を持て余す若者大矢隆。ある日、彼は格好の暇つぶしの相手を見つけた。

名門東都ホテルへ入社した高村博は、社長の要請でライバルの大東京ホテルへ再入社したが、その目的は大東京ホテルを内部から撹乱し、評判を落とすことだった。

康夫と加津子は離婚四年目。

平凡な主婦・瀬上房子は、夫の秀介がまるで別人に思える時がある。そんなある日、夫が息子・秀樹を連れたまま姿を消した。

果てしないワヌーバの冒険。異色長篇小説。

小さな探偵事務所に勤める多門耕作は、友人の結婚披露宴に出席した。3週間後、招待客の一人が殴殺された。

孤高の新宿署刑事・鮫島―。犯罪者たちは「新宿鮫」と恐れる。

ハネムーン先のシンガポールで偽装失踪を行い、世間の注目をあびていた財閥令嬢・風間ミレイが帰国後、再び行方不明に。

燃えるような紅葉に彩られた十月下旬の北アルプス上高地。その梓川沿いの小梨平で、映画『黒い断崖』のロケが行われた。

昭和51年南アルプスで播かれた犯罪の種は16年後、東京で連続殺人として開花した―精神に〈暗い山〉を抱える殺人者マークスが跳ぶ。

小学校の同窓会に出席した真杉伸子は、かつて彼女に惚れていた宮田治夫と久しぶりに会った。

サンディエゴ、八月。

プラハからモスクワのアメリカ大使館に赴任してきたベンは、実はCIAチーフも知らぬ極秘任務を帯びていた。

大ホテルチェーンの御曹子にして腕力だけが取柄のムウこと武藤俊に、無理やり誘われて『銀座探偵局』なる看板をあげたシティマガジン編集長の僕。

〈さよなら。もう電話しないわ〉夏の終りに女が言った。

ある日、片山刑事のもとに中学時代の友人・畠沼が訪れた。彼はTV局に勤めるプロデューサー。

東京の夜の街中で、撲殺して顔を潰すという猟奇殺人がたて続けに発生した。死体の手には白い鳩のバッジが。

怪しげな僧侶やインチキ新興宗教の教祖、超能力青年や手品師、さらには呪術研究家やアフリカの呪術師など、日本とケニアの魑魅魍魎が跋扈する世紀末の人間戯画。

見知らぬ男が、見知らぬ家で自殺をはかった。なぜこんな事件が起こったのか?謎解きは26年前の夏の高校野球大会にあった。

平安末期、奥州の地に、都に劣らぬ平泉文化を築いた藤原氏が、なぜ義経をかくまったのか。

かつて都から伊勢に遣わされた哀しみの皇女が辿った道で、崇りとも思われる殺人事件が発生。

詩織の母はいまわの際に「トランプの本」と言い残して病死。

千社札を貼る初老の男と女性アイドル・タレント。二つの“死”を結ぶものは。

弁天小僧、日本左衛門、南郷力丸…。策謀と悲恋が渦巻く宝暦の江戸。

新年早々、京都二年坂で、首と手首のない男の死体が発見された。

ひたすら人の心の荒野へ向う写真家のファインダーに人生の何が映し出されるのか。

藩中一、二を競う遣い手同士の凄絶な果し合いを乾いた抒情で描きだす表題作はじめ、円熟期士道小説の中・短篇二十三篇をおさめる

あの金を返せ―受話器から響いてくる不気味な声に、デザイナーのテスは総毛立った。

神保亜子こと、通称味子。アジの干物が好物でついた仇名だが、所属プロ社長の勘違いから、なんとグルメ番組のレポーターに起用。

朝、自分のベットで目をさましたとき、リーはその日がなぜ他の一日と違っているのか、理解できなかった。

この絶望的な胸の痛みをどうしたらわかってもらえるのだろう。何不自由ない生活を送っていながらも、どこか満たされないのだ。

名門の男子寄宿学校で、一人の生徒が首の骨を折って死んでいるのが見つかった。

“裏切り者を罠に掛けろ!”父親が遺した無念のメモを発見したエリザベスは、意志を変えて巨大企業集団の社長の椅子を継ぐ。

“裏切り者を罠に掛けろ!”父親が遺した無念のメモを発見したエリザベスは、意志を変えて巨大企業集団の社長の椅子を継ぐ。

友人の謎の死、地底湖へのダイビング、そしてエコロジー運動の内幕。

女の操と正義を貫く秘密捜査官。阿笠墨絵。

「戦争だ」―体に疼く暴力への衝動が貢の体を渋谷へ突き動かす。少年院から戻った貢は、渋谷で暴力を炸裂させる。

警察署と新聞社が目の前にある北斗市中央公園内で、左腕を切断された中年女性の変死体が発見された。

秋雨に煙る沼津港を後にした西伊豆ゆきの連絡船のデッキに一組の男女がいる。

七夕まつりの飾り付けで街が彩られた神奈川県平塚市の路上で、文芸評論家を自称する中年男が変死した。

とある貸事務所の十三号室を借り受けた奇妙な紳士。

首都圏で金曜の夜ごと連続婦女暴行事件が発生した。

テレビケーム業界で、一、二位を争う「花蝶堂」の社長戸張啓太は、業界トップシェアの制覇に執念を燃やしていた。

「京都に着いたら落葉神社へ行け」松本の資産家小野家の御曹司小野春洋のもとに嫁いだ若妻・里世子は、新幹線の車中で奇怪な電話を受けた。

わずか2時間の間に1人は銃弾で、1人は絞殺とその殺害方法こそちがえ2人の最高裁判事が殺された。

同級生の宮前由希子が車に撥ねられて死んだ。彼女は俺の子を身篭っていた。

名探偵・御手洗潔、今回の相手は樹齢二千年を数える大楠か。

横嶋県横嶋市、私立培尾総合病院。

〈蓬莢山の黄金、鬼道の力、そして空海の秘宝“四殺”を手中にした者が覇者となる〉黄金を狙う獣師猿翁は、野望を成就すべく文成仙吉と手を組んだ。

女は無残にも喉を切り裂かれ、ペントハウスの床に横たわっていた。

仕事は簡単明瞭。この男を消していただきたい。

同じマンションに住む男と女の連続死。麻薬密売青年の謎の死に続き、参院議員の美貌の愛人が殺害された。

衣川英美子は、愛する岡田紳一郎と心中をするため山形行きの列車に乗った。

結婚十周年をむかえた芦田和賢と千巻。夫は在宅勤務を認められたコンピュータのシステム・エンジニア、妻はテニスのコーチ。

西麻布のマンションで女が殺されているとの通報が所轄の麻布署に入った。被害者は銀座のバー「やしろ」の経営者である。

ミラノの出版社に持ちこまれた原稿は、またしてもテンプル騎士団にまつわるものだった。

記号の海で再編される歴史、そこで“振り子”の役割は?錬金術からナチズムに至る百科引用大小説。

笑うか、泣くか?悪漢小説。超大型新人の最高傑作。

大好きなアギーおばが食中毒で死んでしまった。原因はお手製の瓶詰めインゲン。

私立探偵・朝岡彩子は、恋人ポールとともに彼の故郷のテキサスへ婚前旅行に旅立った。

居住施設に戻った科学者チームの周囲では、奇妙な出来事が続発する。

航空機墜落調査班のメンバーである心理学者ノーマンは、召集を受け、南太平洋へ飛んだ。

若狭湾を望む常神岬の絶壁の上で、美人女優の惨殺死体が発見された。

アラスカの氷河で発見された一片の人骨から、意外な事実が判明した。

強引なやり口で悪名高い実業家の添田が斬殺された。目撃者によると犯人はなんと黒い鎧に身を固め白馬に乗った騎士だというのだ。

女の仮面に翻弄される男。いま、愛憎ドラマの幕があく。

夫、家庭、仕事、そして恋人。キャリアウーマンの新藤憂子が探し求める男と女の愛のかたち。

旧ソ連ウクライナ共和国キエフ北方130キロにあったチェルノブィリ原発の事故は、日本の原子力発電所建設にも多大な影響を与えたのだった。

土屋章は東京で頭を抱えてしまった。

正月の古都・金沢で、惨劇が発生した。

松川ダムに浮かんだ7つの段ボール箱。その中にはバラバラ死体が…。

ドイツが入手した日本の最新鋭戦闘機のデータは、まさに驚愕に価した。ほどなく二人の札つきパイロットに極秘指令が下る。

それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。

ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。

映画撮影中の事故で失明したハリウッドの元音響技師ハーレック。彼の姪のジェイニイが、何者かに誘拐された。

総理大臣が外遊する際、随行医も務める大町が新宿の高層街にクリニックをオープン。

関ヶ原合戦前夜、家康を挟撃せんと北国の雄・上杉と石田三成がむすんだ密約の行方を追う歴史小説雄篇。

関ヶ原合戦前夜、家康を挟撃せんと北国の雄・上杉と石田三成がむすんだ密約の行方を追う歴史小説雄篇。

虐殺されてゆく恋人の血まみれの姿を眼前に見せつけられたあげく、命を奪われた少女。

18歳にして57人をナイフで解体した美貌の人食い鬼（グール）――八千草飛鳥につけられた病名は殺人嗜好症。

優美には他人に言えない秘密の愉しみがあった。「万引」である。

現実に起こったリドル・ストーリーに、気鋭の推理作家が挑戦。

心から愛せる女性に初めて巡り合い、幸運にもその直後に妻が姿を消した。

工員浅辺宏一は病的なまでに嘘をつかずにいられない青年であり、自分の嘘を全うするためには会社を辞めることさえ辞さなかった。

兄の変死で帰郷した医学生翔二は、事故の捜査が打ち切られ、なぜか両親までが口を閉ざすことに激しい憤りを覚えた。

残酷なのは男か、女か。冷酷な連続婦女暴行殺人事件を契機に、女性たちの復讐が始まる。

男で在りつづけるために命を張る。渇いた悲しみ、歪んだ優しさ、寡黙な友情。