切れるはずのないザイルは、なぜ切れたのか？　恋愛と男の友情を、緊密な構成でドラマティックに展開させた井上靖の傑作長篇。

割烹旅館で働く31歳の成沢民子は、脳軟化症で回復の見込みのない夫・寛次に縛られた暮しを若さの空費と考えていた。

執拗なまでに民子を追い続ける久恒は、高速路面公団理事の自殺、総裁人事の黒幕が鬼頭であることを確信する。

旅をともにしてきた少年ジェイクを、「暗黒の塔」への執念から見捨てた「ガンスリンガー」ローランド。

不思議なドアは、現実世界のニューヨークへと通じていた!麻薬中毒で運び屋のエディ。

東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。

墨田区・大川公園で若い女性の右腕とハンドバッグが発見された。

鞠子の遺体が発見されたのは、「犯人」がHBSテレビに通報したからだった。

群馬県の山道から練馬ナンバーの車が転落炎上。二人の若い男が死亡し、トランクから変死体が見つかった。

なにもかもが奇妙に歪んだ地、この世ならぬ異境で“黒衣の男”を追い続ける孤高の男がいた。

記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。

きょうも元気に(?)寝込んでいる、若だんな一太郎の周囲には妖怪がいっぱい。おまけに難事件もめいっぱい。

明日から夏休みという終業式の日、小学校を休んだS君の家に寄った僕は、彼が家の中で首を吊っているのを発見する。

300倍の難関を潜り抜け、日本から江戸国へ入国を果たした大学生の辰次郎。

米国のハイテク企業に勤務するアダムは、いわゆるダメ社員。待遇の低さにも嫌気が差し、遅く出社、早く帰宅がモットー。

企業スパイとなるべく、アダムの特訓が始まった。よれよれのジャケットを捨て、一流ブランドのスーツを着こなす。

高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。

55年体制を生きた政治家の王は80年代半ば、老いて王国を出た。代議士の父と禅僧の息子の、魂の対決。

息子たちに乗り越えられた父はひとり魂の荒野を目指す―21世紀初頭に小説が行き着いた、政治と宗教の極北。

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。

辣腕弁護士トニーのもとに、思いがけない仕事が持ち込まれた。依頼人は高校時代の親友で、いまは母校の教頭をしているサム。

故郷に舞い戻ったトニーは、絶対不利な裁判を水際立った弁護で強引に無罪評決へと持ち込もうとする。

あたし、夏美。19歳、んでギタリスト。

世界最強のクライマー・山野井夫妻を襲った「一瞬の魔」。しばしの逡巡の後、宙吊りになった妻の頭上で迫られた究極の決断とは。

事故で妻を失ってから、私には他人の背後霊が見えるようになった。霊は実に表情豊かで、色々なことを教えてくれる。

カンザスの村で起きた一家4人惨殺事件。

永井姉妹と森口兄弟は、姉と兄、妹と弟が同級生同士で、常に互いの消息を意識してきた。

鳥取藩士・深尾角馬は短躯ゆえの反骨心から剣の道に邁進してきた。いまでは藩の剣法指南役も勤め、藩主の覚えもめでたき身。

竜崎伸也、四十六歳、東大卒。警察庁長官官房総務課長。

時は幕末、処は江戸。貧乏旗本の次男の身ながら、その才を見込まれて大身の入婿となった彦四郎。

安保闘争で負った癒えることのない傷、時代に取り残されても捨てられない故郷への執着、基地が撤退しても消せない米兵への恋慕…熱い想いを抱き、戦後転換期の巨流に翻弄されながらも、強くしなやかに人生を守り抜いた女たちを描く傑作短編集。

第一次世界大戦直前のロンドン。セバスチャンは、シャーロック・ホームズの実子ながら、伯父マイクロフトの子として育てられた。

セバスチャンは青年実業家を装って単身アメリカへと向かった。そこで米国の鉄鋼王や銀行家、ロシアの皇子などと接触。

人類最後の秘境=脳。その研究のために、各分野の気鋭の学者が巨大施設「ブレインテック」に集められた。

神―。その存在をめぐり、古今の賢者が懊悩し夥しい血が流された。

元傭兵のボディガード、マックスは天を呪った。現場に響く突然の銃声、転がる死体。

コマンチにさらわれた娘を奪還せよ!砦から砦へ、サボテンの荒野を抜け、凄腕の賞金稼ぎと謎のサムライ、そしてしたたかな小娘が、アリゾナを出発し、遙かな大西部をゆく…。

始まりは「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床が、呻くのだ。

「なぜ人間は人間を殺すとあんなにも動揺するのか、動揺しない人間と動揺する人間の違いはどこにあるのか、どうして殺人の感触はああもからみつくようにいつまでも残るのか」―死への恐怖、悪意と暴力、殺人の誘惑。

世界的な人工知能コンテストに参加するためメルボルンを訪れていた尾形祐輔は、プログラム開発者の中に、10年前に夭折したはずの天才科学者・フランシーヌ・オハラという名前を発見する。

『ブランコのむこうで』で星新一の世界を知ったあなたにも、ずっと愛読してきたあなたにも、おすすめの11編。

父が遺した古いアパート「扇荘」を管理する時子。初婚は死別、再婚は2年で破綻。

忘れてしまってはいませんか?あの日、あの場所、あの人の、かけがえのない思い出を。東京・下町にあるアカシア商店街。

摩訶不思議な妖怪に守られながら、今日も元気に(?)寝込んでいる日本橋大店の若だんな・一太郎に持ち込まれるは、訳ありの頼み事やらお江戸を騒がす難事件。

借金をかかえた青年・文哉の前に現れた無頼な風体の男。

表層に囚われては、未知を射抜くことはできない。理性に拘泥しては、あり得べき真実に至ることはできない。

少年は幾人もの父の元同僚警官たちの言葉に耳を傾け続ける。

少年は父を亡くした。ペンシルヴェニア州の田舎町で堅実に警官を務めていた父を、突然の悲劇で。

上司に嫌気がさし一流企業の総合職を捨てた貴奈子は、叔父が主宰する鳶集団「有限会社日本晴れ」を手伝い始めた。

ワイオミング州ララミーで女子大生が強姦され殺害された。すぐにヤク中の兄弟が容疑者として逮捕される。

「わが村には特殊な道祖神が祀られている。」美貌の民俗学者・蓮丈那智のもとに届いた手紙。

国立市の豪邸で殺害された夫妻は、秋田県・田沢湖近くの出身だった。彼らの生家は、すでにダムの底に沈んでいる。

私は土の中で生まれた。親はいない。

時と運の潮目を読み切ってのし上がる平正盛、商機と人事にさとい長男・忠盛。

かの国は船の好材を産し、海の道を見渡せる伊都岐嶋(厳島)がある。

新しい諜報機関“ザ・キャンパス”が活動を開始した。

ジュニアは鋭い分析力で、ある銀行口座の不審な金の動きに気づいた。ロンドン在住のサウジアラビア人のものだ。

あたしは主人公にはなれない―。関根夏はそう思っていた。

元ヤクザの木常は、神保町にある呑み屋のオヤジだ。ある日、現役の徳光からアタッシェ・ケースを預かる。

取り立て屋とデリヘルの運転手をしている倉見勝。

地中海に面した理想の高級リゾート地でその凶悪事件は起こった。五人が殺され犯人は逮捕。

3回コールの後に切れる不気味な電話。この電話は…。

少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。

富山と東京を往復する薬売りの老人が、舞鶴で遺体となって発見される。

過去の呪縛から逃れるため転校した神戸の小学校では、奇妙な遊びが流行っていた。

周囲の森が一夜にして海と化したという伝説を持つ島イル・サン・ジャック。

十五年ぶりに再会した十九歳の息子は、ひきこもりだった。働く意欲のない姿に苛立つ父。

誰かが私の「過去」を覗いている！　いや違う、「過去」が私を覗いているのか。

ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。

麻薬とワインの飲み過ぎで恋人と泥酔状態に陥った女子大生ブレット。気がつくと恋人は全裸で何者かに刺殺されていた。

ブレットに対する予審がいよいよ始まった。

鉄道に見せかけた長大な運河の建設目的を知ったNUMAの面々は戦慄する。

父親のダーク・ピットと奇跡の対面を果たしたダーク・ジュニアとサマー。二人は早速、NUMAの一員としてカリブ海に赴く。

駒井健一郎は、達彦とともに天知家の過去との対決を迫られる。

職を失い妻子とは現在別居中。駒井健一郎三十四歳はどん底にいた。

アイコは金田陽治への想いを抱えて少女的に悩んでいた。

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。

少壮の実業家ニックが姿を消した。夢の抗癌ワクチン開発成功かと報道された直後だった。

リストラを専門に請け負う会社に勤めている真介の仕事は、クビ切りの面接官。

あれは事故死なんかじゃない。親友の死に同級生・相良優は不審を抱く。

裁判所から召喚された世捨て人作家コーソは、出廷命令を無視して行方をくらますことにした。

時は1875(明治8)年、乾ききったアリゾナの地に、稀代の早撃ちガンマンが訪れた。

ネット上に突如現れた「坂本龍馬」。「日本の洗濯」を宣言した「龍馬」は、防衛庁への賄賂を噂される大会社の社長を東京で射殺。

東京ディズニーランドのバイトになった21歳の若者。友情、トラブル、純愛…。

その果てに待つものを知らず、私はあなたを求めた―。

これからどうやって生きていこう?マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる苛酷な就職戦線。

インドの警察署と寺院が同時に爆破された。事件直後、パキスタンの過激派組織が犯行声明を発表。

“私生児”と蔑まれながらも才能に恵まれ、美しい少年に成長したロニー。

「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」―15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。

四国の図書館に着いたカフカ少年が出会ったのは、30年前のヒットソング、夏の海辺の少年の絵、15歳の美しい少女―。

藤崎可南子は就職活動中。希望は

松山市の俳句祭りで、「血の匂い・怨念・死ぬ」といった言葉が詠み込まれた俳句が見つかった。

児童相談所の所長・山野は、増え続ける児童虐待の報告に頭を抱えていた。その増え方は、明らかに異常だ。

世界がずっとこのままであればいい。ぼくは雨が永遠に止まないことを祈った、静かに深く彼女とつながりながら…。

息子の失踪直後に、愛人の男が死んだ。もしかして、息子が殺したのか?。

迷惑な妄想逆ギレ男が、夫の帰りを正座して待つ壊れた妻が、生き地獄を味わう可憐な美少女が、虐待される寝たきり老人が、自己の中心で愛を叫ぶ!勝手気ままに狼藉の限りを尽くす面々をあなたは愛せるか!エンターテインメントの旗手・新堂冬樹が「ここまで書くか!」とばかり

美人局のはずだった。だが、頭の弱い女が誘い込んだのはヤクザで、相棒の男が凄んでも脅しが効かない。

第六協洋丸、仮想敵国の領海に接近するためのスパイ船。柏木はその仕事を好まず、親友・成瀬に船長の座を譲った。

少年時代、父の後妻が連れてきた弘。私は弟を、血の繋がりを超えて愛した。