回想のビュイック8
- 怪異 (290)
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回想のビュイック8の総合評価:
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回想のビュイックエイト。二冊に分冊されています。これが好ましい。理由は解らないですが二冊になっている。そうなっているものは、そうなっている。本の内容のよう。 ともかくも警官達の家族の物語なんだなと僕自身警官の息子なので良くわかる。とても親密な警官達。兵士もそうですよね。連帯感が普通以上の社会を知らない人には解らない。 読んでいて(何回目かな?)常に家族愛を想う。そう言う視点で読んでみると家族の物語なんですねこれは。 | ||||
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俺はスティーブンキングの作品を愛読してきた。単に愉しんだだけならほとんどすべて、皮膚の下に手を突っ込まれ、内臓や首筋の神経を直になぶられるような、他の作家では味わえないような読書体験を得たことも何度もある。 キングはエンターテナーを自認しているからこちらも義理堅くならずにいられる。キングは老い、枯れた。 全盛期のキングはすばらしく刺激的な外宇宙とこちらを結ぶ受信機そのもので、その作品には尋常ならざる現実味があった(矛盾をはらんだ表現かもしれないが)。比類のない、薄気味の悪い題材を扱っているにもかかわらず張り詰めたそのリアリティは、時がたつのを忘れさせてくれた。 と、ここまで書いて気づいたが、この作品にも確かにそれらはある。薄気味悪い題材、あたかもそれらを見てきたかのような緻密な描写が醸し出すリアリティ。しかしこの作品はつまらない。結局のところどうすれば面白い物語をものにすることができるのか、それがわかればキングもこのような反吐にタイトルまで付けて世に出すことはせずにすんだだろう。 昔語りがメインになるこの作品、作中の語り部は次第次第に聞き手の若者への立腹を募らせていくが、俺にはそれが、過去の作品が感じさせてくれたような刺激を飽かず求める読者への、そしてそれにもはや応える手立てを失ってしまった自分へのキングの憤懣が重なって仕方がない。 とはいえ、キングの作品をたくさんの人にお勧めしたい気持ちは強くある。ドロレス・クレイボーンとこの作品はかなり読み通すのがしんどく、骨の袋もちょっぴりしんどい。それ以外の作品なら本好きならハズレということにはならないはずだ。あと、ITは代表作ではあるが、過大な期待はマイナス。あれはかなりマニアック。ミザリィは間違いなく傑作、痩せゆく男もそれに近い「触れている」作品だが、人によっては構成が受け付けないかも。ペットセマタリー、ダーク・ハーフ、ファイアスターターあたりがすんなりと入りやすい(ホラーを、ということであればペットセマタリー)。ミザリィを読んで、内面の狂気系おかわりということであればゴールデンボーイをお勧めする。 蛇足ながら・・・ 俺は文庫版を手に取ったのだが、裏表紙の評文?というのか?いくらなんでもあおりすぎで、売らんかなの助べえ根性に見事に引っかかった自分がいやにもなったが、出版社のモラルを問いたくもある。小僧みたいなこと言わせてもらうけど、お前ら本が好きで仕事してるんだろ。絶品だの絶妙の開幕だの、過去のキング作品の魅力知ってたら絶対にこの作品に使っちゃダメな言葉だろう。読者がっかりするのわかりきってるだろう。それともそういうアオリ文句を避けることが読者として目が肥える、ってことなのかな。空しくないか? | ||||
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だが、俺はこれを圧倒的にキング自身(および読者や批評家、出版業界といった周囲の環境も含めて)についての現況報告と回想録として読んでしまう。そういううがった見方でもしないと退屈すぎ。 キングは着想から物語の完成までの、執筆そのものを題材に織り込んだ作品を折々に発表している。それらの作品のなかで批評家に毒を、それよりもはるかにマイルドな毒を「着想をどこから得るのか?」「自分の作品を怖いと思ったことはあるか?」といったおきまりの質問しかしてこない、せいぜい熱心な本好きにとどまっていたほうが身の為といったファン兼作家志望の人々に対して吐いてきている。また、自分のキャリアがどのように語られようとも、主流−現在まで長らくその座を保持してきたのは、ざっくばらんに言ってしまえば最新の政情や武器や医科学の情報がふんだんに盛り込まれたクライムサスペンスということになるだろう−たりえないことももらしている。キングは物語はあくまで物語であってそこにフィルターをかけて解釈するようなことは愚の骨頂とあきれるだろう、しかしこの作品で繰り広げられる語りにはそういった彼の真情を読み取らざるをえない。 《ネタバレ注意》 四辻で出会った悪魔に魂を売り渡したブルーズマンじゃないが、異世界との交点としてところの、ビュイックであってビュイックでないこのものは創作において何らかの機能を果たすもの、端的に言えば才能であり、「オイルはきれいだ!」といい残して掻き消えた黒衣の男は、全くケイオティックに才能をどうにかできてしまう(あるいはしなくてはならない)悪魔ってところだろう(これは悪魔にとっても疎ましい仕事なのかもしれない)。 この作品を読んでいてまず気になる点は、間歇的に異界から送りだされるものが、あまりに矮小で、短命なことだ。 作中で価値あるものは、分署の身内の安否だけで、それが危うくされるところが物語のただひとつの起伏としての要素なんだけど、だったら警官だけを執拗に狙う、そしてその犯人のいびつな動機に新米が絡めとられていくようなリアルなクライムサスペンスを読めばいいわけで。キング作品を読むからには異界に精神的に囚われて、ついには肉体をそちらに自ら送り出してしまう強迫観念(それを引き起こすのも「うなり」とか「頭の中に聞こえてくる声」とか・・・キングじゃなければ失笑ものの)だけじゃなく、異界からもたらされるものがなにか日常にしみこんでじわじわと人々の正気を犯していくような話を運びを期待してしまう、それがないとあまりにもアンバランスだと感じるのは俺だけじゃないはずだ。 しかしこの作品では、異界から送られてくるものは、悪臭を放ちつつあっという間に腐食したり、証拠物件として袋に入れられ地下牢のような小部屋にしまいこまれたり、やがては単に焼却処分にされてしまうほどのぞんざいな扱いを受けるまでに貶められる。唯一の生存者?も警官的であるよりもはるかに原始的なリアクション、発作的なリンチによってたちまち惨殺されてしまう。 俺にはこれが、なんだかキングのあまりにも自己否定的な過去の清算のように思える。 こういう見方をすると、作品のすべての要素が象徴的に見えてしまうけれど、蝙蝠めいた生き物なんかはその最たるものだろう。 後年モダンホラーの帝王と呼ばれることになるキングだけど、結局お前の書いてるものは何なん?動物?トリ?ホラー?ヒューマンドラマ?サイコスリラー?SF?中途半端なんだよ!という内外の葛藤は常にあったはずだ。しかも最大の支柱であるホラーというジャンルは少なくともキングのキャリアスタート時点では傍流もいいところで格調高い作品、つまりホラーと銘打ってはいても実際は俗物のためのブンガク作品、の需要はそれなりにあったかもしれないけど、娯楽となるとそれは一般のオトナからすればもう蔑視の対象でしかなかったのではないだろうか。その道なき道を筆一本で切り開いてきたキング。マイナーなジャンルを主戦場にせざるをえなかったものにとって盛者必衰の理の酷薄さはひとしおだっただろう。ただそこには、メインストリームの作家と読者にはない「あなたでなきゃダメなの!」的なつながりがあったことだろう。 そしてここからは鶏が先か卵が先かという話になるが、作品に勢いはなくなり、ファンの声も昔の作品を懐かしむ類のものが多くなってきた。確かに俺が身をおいているジャンルはマイナーかもしれないが、俺ほどファンを愉しませているやつはそうはいない、いてたまるか!という自負はそのまま重い十字架になったはずだ。 一方で日本のコミックブームの少なからぬ影響力は、世界中にエコーとなって響き渡り、近年では洋ドラでも異能力ホラー・SF・ファンタジーは、もはやブームに左右されない定番となり、それらは文化の中で不動のレギュラーの地位を確立したといっていい(まあ紛争地帯を除く世界が幼児化させられているのかもしれないが)。マイナーなジャンルが脚光を浴びるのは大いに結構なことだけど、実質は変わってなくて、アイドル露出装置が俗悪なものへとどんどん仕様が変更されたってだけで、キングからすれば金の流れが変わった今こそドカンと派手に本物の花火を打ち上げたい、しかし・・・この作品で、俺が最後に受け取ったメッセージは、「おれ、そっち方面は枯れたっぽいわ^^まだわかんないけど、そういうことにしといて、頼むよ。でも書きたいことはまだあるから、そこんとこヨロシク」というあっけらかんとした開き直り、達観だ。 たしかに悪い意味でキングにしかかけない作品の冗長さ、退屈さに触れるくらいなら、ひとまずホラーやサイコスリラーの思い出は脇において、キングの新境地を先入観なく愉しみたい。ただ今回のこれに関して言わせてもらえば・・・面白くなかったです^^ | ||||
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「ホラーじゃないキング」との帯はついているが、やはりホラーだと思う。どこからともなく現れたビュイック。全く自動車の形はしている が、決して自動車ではない「化け物」。それにまつわる様々なストーリーを警官たちが回想の形で少年に語りかける。この車は 一体何だったのか、決して謎解きがあるわけではない。少年は父の仇とばかりに車を焼却しようとするが、周りの警官たちに 止められる。何となく、わけの分からぬ物体を取り囲む人間達。その人間達の物語にしてはやや弱い。化け物であるビュイックが もう少し落ちがあるような最後を期待していたが。 | ||||
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ふつうだったら★3でもいいと思います。 話が過去と現在を行き来しながら 主人公である少年の 死んだ父の知られざる過去と 恐ろしい出来事にまつわる話を ひもといていく、という内容ですが キングにしては 緊張感やスピード感がやや薄い感じ。 私はキングのあのぐいぐい感が好きなので どちらかというと静かに進行していくこのような 感じは、他の作品に比べ「うーむ」という感じ。 語りはすごく丁寧で、描写もいいんですけどね。 あまり恐怖感がリアルにこないというか。 これから下巻。まあ期待してます。 | ||||
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