ダーク・ハーフ



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長編小説

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ダーク・ハーフ〈下〉 (文春文庫)

1995年09月30日 ダーク・ハーフ〈下〉 (文春文庫)

凄惨な殺人現場に残されていたのは、そこにいるはずのない自分の指紋と血で書かれたメッセージ。容疑がかかるサドに“影の半身”の復讐の手が徐々にしのび寄る。対決の日、何か強烈な力に呼び起されたかのように、おびただしいスズメの群れが辺り一面を覆いつくした。作家と抹殺されまいとするペンネームの壮絶な戦い。 (「BOOK」データベースより)




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ダーク・ハーフの総合評価:7.80/10点レビュー 10件。Bランク


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No.2:
(7pt)

まあまあでした

映像が見える。

わたろう
0BCEGGR4
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

ダーク・ハーフ(暗黒面)は我々にもあるのだよ

文庫裏の粗筋を読んだ時、キングはなんということを考えつくのだろうと、その奇抜さと着想の斬新さに驚いてしまった。
まさか作家の別のペンネームが独り歩きして現実世界に現れ、作家周辺に脅威を及ぼすとは。しかもその<邪悪な分身(ダーク・ハーフ)>はおおもとの作者と同じ指紋、声紋を持つ、全くの生き写しのような存在なのだ。
キング版『ジキル博士とハイド氏』とも云える1人の人物から生まれた2つの人格の物語はしかし本家における二重人格とは異なる、全く新しい趣向で語られる。

まず本書の着想の基となったのがキング自身の経験によるものだ。キングはその迸る制作意欲を止められず、当時出版業界にまかり通っていた1作家は1年に1冊だけ出版するという風潮からリチャード・バックマンという他のペンネームを使って作品を2作以上発表することにしたのだが、やがてバックマン=キングという説が流れ出し、公表するに至ったという経緯がある。

本書の始まりもその実体験をそのまま擬えたかのようにワシントン市の法科学生がたまたま売れない作家サド・ボーモントの作品とベストセラー作家ジョージ・スタークの両方の作品を読んでいたことでボーモント=スタークではないかと疑問を持ち、暴露されそうになったところを敢えてサド・ボーモントの方からジョージ・スタークの葬式を行う、つまり今後ジョージ・スターク名義の作品は書かないという宣言をした記事を『ピープル』誌に載せたところから始まる。

本書はある意味メタフィクションと云っていいだろう。なぜならサド・ボーモントを通じてキングがバックマンとして作品を書いていた時の心理が描かれているように捉えることのできる描写が見られるからだ。

サド・ボーモントがジョージ・スターク名義で犯罪小説を書き始めたのは自身がすごいスランプに陥って新作が書けなくなった時に全く逆の、自分が書かないであろう作品を書いた時にそれが上手くカチッとハマったこと。

サドがスタークの作品を書いている時、自分が本当は何者か解らなくなること。

またジョージ・スタークの名の由来となった実在の作家ドナルド・E・ウェストレイクの別名義リチャード・スタークのエピソードを交え、彼のように自分の中のジョージ・スタークが目を覚まして自ら語り出したということ。

最初は単に金を稼ぐために生み出したもう1つのペンネーム。しかしその正体を秘密にすることで作者はばれないよう、文体を変え、そして書くテーマも変える。しかしそううすることで次第に自分の中で別の人格が生まれてきた、つまりキングの中でバックマンは単に名前だけの存在ではなくなったことが暗に仄めかされるのだ。

そこから出たアイデアがもう1つのペンネームが別人格となって実在し、本家の作家の脅威となるというものだ。本書はこのワンアイデアのみだと思われがちだが、色んなテーマを内包している。

まずは双子の奇妙な繋がりだ。

物語の冒頭は主人公サド・ボーモントの少年時代に起きた偏頭痛の手術のエピソードが描かれている。その頭痛の原因は脳に出来た腫瘍による圧迫だとされ、緊急手術が行われるが、なんとそこで出てきたのは目玉と鼻の一部と歯だった。生まれるであろうもう1人の双子の片割れが消滅し、サドの頭の中に断片が残っていたのだ。

そして大人になって結婚したサド・ボーモントには双子の兄妹が生まれる。片方が泣けばもう一方も泣き、その逆もまた然り。そして奇妙なことにもう一方が転んで痣を作れば、もう一方も同じような痣が同じ場所に出来る。その妙なシンクロニシティはそのままサド・ボーモントとジョージ・スタークにも繋がっていく。
スタークはサドの少年時代に処分された双子の断片であり、サドが作家になってもう1つのペンネームで捜索をした時が再生のきっかけであり、そしてスタークを葬るのに架空の葬式を行ったことで彼が具現化したのだ。そしてサドはトランス状態に陥ることでスタークと精神的に繋がる。
未だにこの双子特有のシンクロニシティもしくは親和性については研究が行われている。我々の世界にはまだ解明できない生命の不思議があるようだ。

もう1つはたびたび登場するスズメの群れ。

私は最初このフレーズを読んだ時、ヒッチコックの『鳥』を想起した(作中にも同様のことが書かれている)。
とにかく理由もなく突然町に蔓延する鳥の大群。やがてそれらは大きな1つの意志を持つかのように次々と人間たちを襲っていく。なぜ彼らはそうするのかは解らないまま、映画は終わる。

サド・ボーモントの夢、幻覚に現れるスズメの群れもまた何かの象徴で、それは物語の半ば過ぎで言及される。

そして物語の最終局面の舞台、サドの妻と双子の子供をさらったスタークがサドを待ち受けるキャッスル・ロックの別荘には何億羽というスズメの大群に覆われる。ハリー・ポッターの映画の一シーンのように実に映像的だ。

ところでこの頃のキングは物語の主人公を作家にしたものが目立つ。
『ミザリー』は狂的なファンによって監禁されたポール・シェリダン、次の『トミーノッカーズ』でもウェスタン小説家のボビ・アンダーソンを、そして本書ではサド・ボーモントと連続している。

更にいずれも作中で『ミザリーの帰還』、『バッファロー・ソルジャーズ』という作中作が断片的に織り込まれており、本書でももう1つのペンネーム、ジョージ・スターク名義の作品『マシーンの流儀』、『バビロンへの道』、更にサド・ボーモントのデビュー作『ふいの踊り子』の抜粋が各章の冒頭で引用されている。更に物語の終盤ではスタークとサドが共に書く新作『鋼鉄のマシーン』が断片的に挿入される。

これら3作続いて架空の作家による架空の作品について文章まで挿入しているのは溜まりに溜まった創作メモを一旦整理するためだったのだろうか?

80年半ば、キングはスランプ状態に陥り、前作『トミーノッカーズ』は自身のアルコールと薬物依存を基に書かれている内容が多々あり、それに当時起こったチェルノブイリ原発事故を宇宙人の影響による怪事に見立てた非常に冗長な作品であった。
『ミザリー』の時に既にスランプ状態にあり、その後前作を経て書かれたのが本書である。
そんな状態だったからこそ、今まで書き溜めてきたアイデアを作品にするまでに自信がなかったのでこの際、作中で消費してしまおうと考えたのではないか?
特に『ミザリー』における作中作『ミザリーの帰還』の分量は意外なまでに多かった。このファンタジー系の作品はもしかしたら直前に発表された『ダークタワー』シリーズ2作目の後に構想されていたアイデアかもしれないが、当時のキングにはそれを基に続きを書く自信がなかったのではないだろうか。

そして本書におけるジョージ・スタークの小説は内容としてはかなり残酷な犯罪小説で純文学作家のサド・ボーモントの作風とは全く異なる、真逆の作品らしい。
しかしこれもまたキングの内から出でた作品の断片なのだ。
とにかくとことんのワルを書くために温められてきたアイデアを本書のジョージ・スタークが行う数々の殺人描写に使ったように取れる。それほどまでにこのスタークの殺人シーンは映像的迫真性に満ちており、陰惨で生々しくそして痛々しい―特に被害者の一人が剃刀で喉を切られそうになるところを左手で庇ったために3本の指が根元から切れて、折れ曲がり、薬指だけが付けていた指輪のために被害を免れたせいで、まるで中指を立てて相手を侮辱するのに立てる指を間違えたかのようだと云う描写はユーモアと痛々しさが同居したキングしかできない表現だ―。

この一連の作品群において作中作を盛り込んでいるのは迸る創作への意欲とアイデアがありつつも一作品として仕上げるにはアイデアが煮詰まっていないもどかしさ、つまりスランプに陥ったキング自身の足掻きが行間から見えるようだ。
そして“書く”ことへの業を作家は背負っているのだと仄めかしているようにも思える。

書かない作家はただの人であり、そしてほとんどの作家は存命中にその功績を認められ、ベストセラーになったとしても、死後ずっとその作品が残り続けるのは非常に稀だ。

それはまさに歴史に埋もれていった没後作家たちが人々の記憶から風化していくかのように。

人は誰しも二面性を持っている。陽の部分の陰の部分だ。
「ダーク・ハーフ」とは即ち誰しもが備える陰の部分、暗黒面であり、それは別段異常なことではない。

普通我々一般人は犯罪や戦争などとは無縁の生活を送り、朝起きて仕事に行き、夜帰って家族と束の間の時間を過ごし、休日は家族サービスや趣味に興じる。

しかしその一方このキング作品のようなホラー、本格ミステリ、その他犯罪小説、サスペンスといった殺人やまたそれを行う殺人犯の物語を好んで読む人もいる。
それはある意味それら普通の人々に中に潜む悪を好む部分、≪邪悪な分身(ダーク・ハーフ)≫なのかもしれない。

つまり全てが清らかで普通であることは実に退屈であり、人は常に何かの刺激を求める。しかし犯罪に手を染めることができないからこそ、人はその代償を物語に求める。
己のダーク・ハーフを充足させるために。

現在我々はネット空間という新たな場所を手に入れ、そこでは日中、学校や職場では見せない別の自分の側面をさらけ出す。そしてネット空間は匿名性ゆえに自分の内面をより率直に露出することができるのだ。
そんな匿名の世界にはしばしばネット社会でのマナーを逸脱して素の自分をさらけ出し、ダークな一面を見せる人たちもいる。

全ての人が常に善人であるわけではない。しかしその暗黒面は他者に迷惑を掛けず、我々作家が紡ぎ出すミステリで満たしなさい。
そんなことを作者が告げているような気がした。

朝起きた時、スズメがいつもより多いと感じたら、自分のダークサイドが多めに出てないか、気に留めるようにしよう。

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Tetchy
WHOKS60S
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No.8:
(4pt)

面白いけど、怖さはまぁまぁのホラー小説+クライム・ノベル風作品

ある作家の周辺で不可解な事件が頻発し・・・というお話。

作家のペンネームが人格を持って現象化し襲ってくる・・・という風に書くとネタバレですが、広告等で既に色々書かれているので、まぁいいでしょうか。実際にキング先生がリチャード・バックマン名義で作品を発表していた事実からネタが浮かんで作品にした模様です。

個人的には設定は魅力的に思えますし、ホラーの王道とも思いますが、人格化した主人公の片割れのキャラクターがあまり怖くないというか、恐怖をもたらす感じではなく、普通の悪党風に書いてある所が少し不満ではありました。本人のあとがきで、敢えてそうした様ですが、もっと人間に理解できないモンスター風にした方が怖かったのでは、とか思いました。

あと、すずめの大群のイメージがイマイチ私の頭に視覚的イメージとして喚起してくれなかったので、もう少し若い頃読んだ方が良かったと後悔しております。すいません。

中で登場する、人格化したキャラの事を「精神異常者」と訳しておりますが、キング・クリムゾンの代表曲の「21世紀の精神異常者」という曲の邦題が不穏当という事で「21世紀のスキゾイドマン」に変更になったそうで、この小説の場合は発売されてからクレーム等はこなかったのかどうか気になりました。その後文庫化で少し変更しているのかも。知っている人がいたら教えてください。日本で「精神異常」と「精神障害」が意味が違う様ですが、欧米ではどうなっているかも気になりました。

ネタは面白いけど、怖さが少し不足した感じの作品(決してつまらない訳ではないです)。機会があったら是非。

蛇足ですが、あとがきで影響をうけたというシェーン・スティーブンスの作品が私の知る限り邦訳がないと思うので、是非翻訳して頂きたいです。
ダーク・ハーフAmazon書評・レビュー:ダーク・ハーフより
4163134301
No.7:
(5pt)

翻訳版

翻訳版でKindle出してくれよ
ダーク・ハーフAmazon書評・レビュー:ダーク・ハーフより
4163134301
No.6:
(4pt)

面白い

今まで読書をして来なかった私は分厚さと中身を見て一瞬読むのを躊躇ったけど…何とか読み終えました。
想像しやすく書かれていたのでスムーズに読む事が出来ました。

やっぱり怖かったですね。ベランダにスズメが飛んでくると一瞬ドキッとします(笑)
ダーク・ハーフAmazon書評・レビュー:ダーク・ハーフより
4163134301
No.5:
(5pt)

Well Woven, Well Structured, Amazing!!

‘Firestarter’、‘The Dead Zone’と並ぶ傑作なのではないだろうか。特に構成が魅力に富んでいる。
 冒頭に描かれている主人公Thadが頭に手術を受ける部分から、後に作家となったThadとその家族を襲う悲劇の端緒が仄見えてくるところが、私にとっては非常におもしろかった。また「その手術はいったいいくらかかるんですか?」とThadの父親Glenが、重要な登場人物であるDr.Pritchardに質問している場面も、Kingらしい人間描写だな、と感じて思わずほほ笑んでしまった。
 後年、作家となったThadが自分の影のペンネームGeorge Starkの墓を作って、自身がGeorgeである事を表明する。そのThadが双子に恵まれるのだが、KingがThadにその双子を観察させているところも見逃しがたい。また双子と同様に重要なモティーフであるスズメが死の国へのHarbingerとして描かれていることも伏線として楽しむことができた。
 そしてこの小説の結末も、私にとっては映画のような情景を眼前に思い浮かべることができて決して裏切られたような感覚にはならなかった。Kingの作品の中では明快な決着のつけ方だったのではないだろうかと考えている。
 Kingの数多くの作品の中でも一度は手に取って欲しい作品である。
 
 

ダーク・ハーフAmazon書評・レビュー:ダーク・ハーフより
4163134301
No.4:
(4pt)

cooool!

悪いことだけど、スタークの殺人シーンがかっこいい。
狡猾、破壊、スタークの行動は無駄がなくスマートだ。追い込まれるサド、支配力を増すスターク。
私もサドの様に震え、スタークの影に怯える。
そして対峙・・・ラストは好き嫌い分かれるだろうけど、
スタークのクールさに満足なので気にしません。
ダーク・ハーフAmazon書評・レビュー:ダーク・ハーフより
4163134301



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