バトルランナー



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初公開日(参考)1987年09月
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長編小説

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バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (扶桑社ミステリー)

1989年06月30日 バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (扶桑社ミステリー)

西暦2025年。世界は環境汚染に苦しみそして荒廃していた。アメリカは巨大な管理国家と化し、都市には失業者があふれていた。彼らの娯楽といえば、絶えず流されているテレビの残酷なクイズやゲームの番組だけだ。そんな失業者のひとり、ベン・リチャーズが出場したのは、ネットワークで最高の人気を誇る番組『ラニング・マン』―。それは全米を巨大なフィールドとする「人間狩り」だ。全視聴者を敵にまわしながら、一ヵ月逃げとおせれば十億ドルの賞金、しかし捕まれば、テレビカメラのまえで容赦なく殺されるという文字通りのデスレースなのだ。リチャーズは逃げる。ニューヨークからボストンへ、そしてさらに北へ―。鋼鉄の男シュワルツェネッガー主演で映画化されたこの作品には、映画を超えた衝撃的な結末が待っている。 (「BOOK」データベースより)




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バトルランナーの総合評価:8.58/10点レビュー 19件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

映画とは異なるが、コレはコレで愉しめる

キングがリチャード・バックマン名義で出した4作目の作品はアーノルド・シュワルツェネッガーで映画化もされた本書。
その映画が公開されたのが1987年。なんともう30年も前のことだ。当時中学生だった私はテレビ放映された高校生の時にテレビで観た記憶がある。但し細かい粗筋は忘れたが賞金のために1人の男が逃げ、それを特殊な能力を備えたハンターたちが襲い掛かるのを徒手空拳の主人公であるシュワルツェネッガーがなんとか撃退しつつ、ゴールへと向かうと朧げながら覚えている。恐らくこの<ハンター>という設定と制限時間内で逃げ切るという設定は現在テレビで放映されている番組「逃走中」の原型になったように思える。

そんな先入観で読み進めていた本書だが、映画とはやはり、いやかなり趣が違うようだ。

Wikipediaで補完した映画の内容では主人公のベンは警察官で、上司の命令に従わなかったことで逮捕され、脱獄を果たすが、弟のアパートへ訪れるとそこには既に弟はいなく、次の住人が住んでいた。この住人はテレビ局員であり、彼女を伴って空港から脱出しようとするところを機転を利かせた彼女が大声で叫んだことで捕まり、そのままデスレース番組として人気の高い『ランニング・マン』(この表記は解説のまま)に出場させられる羽目になる。

しかし本書の主人公のベンは貧民街に住む男。2025年のアメリカは富裕層と貧困層で二極分離した社会で空気中には汚染物質が漂い、富裕層はそれらの影響のない高い土地で暮らし、貧困層はたった6ドルの材料費で200ドルで売られている安っぽいフィルターを付けないと肺が侵されてしまうような環境で暮らさなければならない。そんな苦しい環境から目を逸らすために政府はフリーテレビを支給し、出場者が脱落して命を喪うゲームを観ては満足する毎日。ベンも1日中働いても雀の涙ほどでしかない稼ぎのため、妻は売春をして日銭を稼いでいる。電話などはもちろんなく、アパートの前にある公衆電話を使って連絡を取るような状況。そんな毎日だからまだ1歳半の娘のインフルエンザの治療費などは到底なく、それを稼ぐためにテレビ局のオーディションを受けるが、その知性と身体能力を買われ、番組『ラニング・マン』に出場するというのが導入部である。

このベンの設定も映画では正義感溢れる警察官だが、本書では知性もあり、体力もありながら反抗的な性格が災いして先生に暴力を働いたかどで退学させられた男。つまりキング作品によく出てくる癇癪を抑えきれない男として描かれている。

また番組『ラニング・マン』の内容もいささか異なる。映画では地下に広がる広大なコースを舞台にそれを3時間以内に各種のタラップやハンターたちの追跡(なお映画ではストーカーという呼称)から逃れてゴールすれば犯罪は免除され膨大な賞金を得ることが出来るという設定。

原作では舞台はアメリカ全土。1時間逃げ切るごとに100ドルが与えられる。ハンターが放たれるのは12時間後、そして最大30日間生き延びれば10億ドルが賞金として得られるという、時間と行動範囲のスケールが全く違う。そのため更にテレビ放送用にビデオカセットを携え、それを自身で録画してテレビ局に送らなければならない。

従って映画のようにまず次々と必殺の武器を備えたハンターが出てくるわけではなく、ベンは犯罪の逃亡者が行うように、闇の便利屋を通じて偽装の身分証明書を作り、ジョン・グリフェン・スプリンガーと名を変え、変装し、ニューヨーク、ボストン、マンチェスター、ポートランド、デリーへと国中を渡り歩いていく。周りの人間が自分を探しているのではないかと疑心暗鬼に怯える日々を暮らしながら。
つまりどちらかと云えば昔人気を博したアメリカのドラマ『逃亡者』の方が設定としては近い。というよりもキングは1963年に放映されていたこのドラマから着想を得たのではないかと考えられる。

四面楚歌状態のリチャーズは逃亡の中で数少ない協力者たちを得る。ボストンでブラッドリーという18歳の青年は図書館でこの世の社会の歪みを知り、そのシステムを打ち砕く希望をベンに託して協力する。

彼の友人の1人、ポートランドのエルトン・パラキスもベンを匿おうとするが、息子の反社会的行動を理解しない母親によって通報され、そのパトカーからの逃走劇の最中、重傷を負う。

そんな協力者の庇護を得る中、やがてベン・リチャーズの中でもこの『ラニング・マン』へ参加する目的が変わっていく。

最初は自分の赤ん坊の治療費を得るためという利己的な目的だった。しかし汚染される空気の中、フリーテレビという娯楽を与えられることでそれらの社会問題から目をそらされ、やがて灰を患い、死に行くだけの人生を余儀なくされている低下層の人々の反逆として彼は行動するようになる。

そのため毎日送る2本のテープには政府の欺瞞に満ちた政策を暴露するメッセージを盛り込むが、これも巧妙にアフレコによって改ざんされ、単にベンが口汚く罵倒するシーンになってしまっている。映像による情報操作により、国民はベンへの怒りを盲目的に募らせるのだ。

また最も大きな違いとして映画で出てきた個性豊かな特殊技能と武器を備えたハンターは実は全く出てこない。警察との命を賭けた逃走劇が何度も繰り返されるだけで、深手を負い、満身創痍になりながらひたすら逃げるリチャーズの様子が描かれる。

さて物語は今までのキング作品と異なり、短い章立てでテンポよく進む。改行も多く、登場人物たちの主義主張や思想などが語られてはいるものの、通常の作品のようにページを埋め尽くすかのようにびっしりと書かれているわけではない。

また特徴的なのはマイナス100から始まる章が進むにつれて1つずつ減っていることだ。つまりこれはゼロ時間に向けてのカウントダウンとなっている。
果たしてこの数字が0となる時に何が起こるのか?
それもまた読み手の興味をそそる。

本書の設定は2025年の未来。従って2020年現在よりもまだ5年先の時代だが、1982年に刊行された当時のキングの想像力によって補われた未来像はやはり今の世の中と比べればいささか限界を感じる。

それはやはりウェブの存在が大きいだろう。この新たな通信の画期的な発明はやはり想像力豊かなキングをしても発想しきれなかったようだ。
ベンが逃走中の模様をテレビで放送するためにビデオカメラとビデオテープを携えなければならないというのはやはりどうしても無理が感じる。作中では技術の進歩でかなり軽量化されていると書かれているが、60巻ものビデオテープを持ちながら逃走し、毎日2巻を投函しなければならないというのは滑稽としか思えない。
今ならばウェアラブルカメラやスマートフォンなどで撮影もでき、そのままメールで送付すれば済むことだ。

もう1つはエアカーが登場することだ。このドラえもんにも登場する未来を象徴する宙に浮いて移動する自動車とタイヤのついた自動車の2種類がこの世界では活用されており、カーチェイスにはこの特性を活かした演出が成されている。
とはいえ、恐らく未来において今ではこのエアカーは実用化しないのではないかと個人的には思っている。自動運転技術の方に技術の核心はシフトしているからだ。
またタイヤが不要になる車を発明することはタイヤ業界が黙っていないだろう。

完全なる悪対正義の構図を描きながら、映画は制限時間内で特殊能力を持つハンターたちとの戦いを描いた徹底したエンタテインメント作品となった。そして原作である本書は絶対不利な状況でしたたかに生きる、ドブネズミのようにしぶとい男の逃走と叛逆の物語として描いた。
どちらもメディアによる情報操作され、完全に管理された社会の恐ろしさを描きながら、こうもテイストが異なるとはなかなかに興味深い。
私は高校生の頃に観た映画を否定しない。作者は設定だけを拝借した、いわばほとんど別の作品と化した映画に対して批判的かもしれないが、逆に別の作品として捉えれば娯楽作品として愉しめたからだ。逆にそれから30年以上経った今、大人になって本書を取ったことは両者を理解するのにいい頃合いだったと思う。

公害問題を扱った本書をパリ協定から離脱したトランプ大統領はいかにして読むのだろうか。『デッド・ゾーン』の時にも感じたがキングがこの頃に著した作品に登場する圧政者たちが現代のトランプ大統領と奇妙に重なるのが恐ろしくてならない。
実は今こそ80年代のキング作品を読み返す時期ではないか。アメリカの暗鬱な未来の構図がまさにここに描かれていると思うのは私だけだろうか。
シュワルツェネッガーの昔の映画の原作という先入観に囚われずに一読することをお勧めしたい。


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Tetchy
WHOKS60S
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No.18:
(5pt)

スピード感あふれるデスゲーム

初めて読んだのは学生の頃だったかな。
近未来を舞台にしたデスゲームでしたが、やっぱりブレードランナーを意識したかと思いますが、そこはスティーブンキングw
スピード感あふれる文章が良いと思います。
当時買った本がボロボロだったので追加して買いました。
バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)Amazon書評・レビュー:バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)より
4594001831
No.17:
(5pt)

まさにノンストップ

メデイアを使ったシビリアンコントロール、教育の機会を奪うことで成り立たせる格安&危険労働など、社会に対する批判や警鐘といった部分も興味深いですが、単なる逃亡サスペンス劇として読んだ場合でも無頼の面白さ。

どうすれば生き残れるかについて、超絶アクションや御都合主義ではなく、アイデア勝負であるところがいいですね。
主人公も、すごく頭がいいというわけではなく、口汚く感情的。家族思いの一般的(そして反組織・反社会的)で人間味溢れる感じで親近感が湧きます。

誰が味方で誰が敵か。
追われるものの逃亡生活、中盤以降の心理戦。そして衝撃のラスト。
読み始めたら止まらない極上のエンターテイメント。
バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)Amazon書評・レビュー:バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)より
4594001831
No.16:
(4pt)

Bachmanシリーズでは、最上の部類

本当は、洋書の「The Running Man」を読んだのだけれども、この洋書のレヴューのコーナーが混乱しており、改善されないままなので、日本語版にレヴューを掲載させていただくことにしたので、ご了承いただきたい。

Bachmanシリーズは、Kingの著書としては、結構出来不出来の差が激しいように感じるのだが、この「The Running Man」は、「The Regulators」と並んで最もよく出来ているのではないだろうか。Arnold Schwarzeneggerが主人公として登場する同名の映画(日本語では、「ブレードランナー」)もあって、この本はよく読まれているようだ。

プロットも分かりやすいし、書き出しもすばらしい。また「The Long Walk」では希薄だった人間描写も、ここでは主人公のBenjamin Richardsをはじめとして、よくできている。だが設定が非常に暗いので、人によっては救われない気になるかもしれない。ちょうど「Pet Sematary」みたいに……。

東京を描写した文章も、登場する。とんでもない都市として………。
「---------- Man, did you know that everybody in Tokyo had to wear a nose filter by 2012? ----------」
バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)Amazon書評・レビュー:バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)より
4594001831
No.15:
(4pt)

追われる男の痛快な逆襲

これまで読んだキング作品では、実質的な処女長編らしいが、バックマン名義の「ロングウォーク」がいちばん好きだ。初期のものは表現がシンプルで、展開はキビキビしていて切れがあり、読後感が良い。それに対し中期以降の作品は、ストーリー周辺の書き込みが多すぎて読みにくく、何かアブノーマルなところがあって読後感、後味が良くない。

 バックマン名義で書かれたこの「バトルランナー」も、変にディテールを書き込んだり心理描写をしたりしないのでものすごく読みやすく、かつ爽快に面白い。性格破綻している主人公のキャラや敵役のゲーム統括会社の担当重役のキャラ設定もよくできているし、追われる主人公の凄まじい逆襲はスリリングだ。

 近未来のディストピア社会で、本物の人間狩りゲームに大衆が熱狂するという設定は「ロングウォーク」とまったく同じだが、歴史改変SFの要素が「ランナー」にはない。その分、ストーリーが現実寄りで、社会システム批判が明確になっているように感じる。

 終盤、反撃に転じた主人公が旅客機に乗り込むところでオチは見えてしまう。また、全体の出来としては「ロングウォーク」の方が上だと思う。しかし、本作も予想を裏切る展開の連続で、読者をうまく引っ張っている。十分にA級エンタテイメントといえる仕上がりだ。
 ただ一つ不満というか、キングのミスだろうが、主人公との対決が予告されている(ように思える)ゲーム本部専属の《ハンター》メンバーが、なぜかぜんぜん登場しないのは残念。あと書きによるとキングはこの本を72時間で書いた、ほとんど手を加えないまま出版したとある。本当だろうか?
バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)Amazon書評・レビュー:バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)より
4594001831
No.14:
(5pt)

面白い

昔、同じ本を買った事がありましたが素晴らしい出来です。
同じ作者の死のロードウォークという本も読みたいのですが
売っていないですね・・・・・・。
バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)Amazon書評・レビュー:バックマン・ブックス〈1〉バトルランナー (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ)より
4594001831



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