呪われた町



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長編小説

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呪われた町 (上) (集英社文庫)

2011年11月18日 呪われた町 (上) (集英社文庫)

幼い頃を過ごした町に舞い戻った作家ベン。町を見下ろす丘の上に建つ廃墟同然の館は昔と同様、不気味な影を投げかけていた。少年の失踪事件、続発する不可解な死、遺体の紛失事件。田舎の平穏な町に何が起きているのか?ベンたちは謎の解明に果敢に挑むのだが…。「永遠の不死」を体現する吸血鬼の悪の力に蝕まれ崩壊していく町を迫真のリアリティで描いた恐怖小説。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.50pt

呪われた町の総合評価:8.11/10点レビュー 55件。Cランク


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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(7pt)

キングがヴァンパイアを書くとこうなる

キング2作目にして週刊文春の20世紀ベストミステリランキングで第10位に選ばれた名作が本書。
そんな傑作として評価される第2作目に選んだテーマはホラーの王道とも云える吸血鬼譚だ。

小さな田舎町セイラムズ・ロットを侵略する吸血鬼対人間の闘いを描いた本書はかつて少年時代に4年間だけこの町に住んでいた作家のベン・ミアーズと彼が町で知り合い恋仲になるスーザン・ノートンを中心にして物語は進むが、原題“‘Salem’s Lot”が示すように本書の主役はセイラムズ・ロットと呼ばれる町である。
メイン州が成立する55年前に誕生した人口1,300人の小さな町。しかしそこには曰くつきの屋敷マーステン館があり、そこに再び居住者が現れる。

上に書いたように本書の主役はこの町であり、その住民たちである。従ってキングは“その時”が訪れるまで町民たちの生活を丹念に描く。彼ら彼女らはどこの町にもいるごく当たり前の人々もいればちょっと変わった人物もいる。登場人物表に記載されていない人々の生活を細かくキングは記していく。

町一番朝早くから働くのは牧場で牛たちの乳搾りを行う18歳のハルと14歳のジャックのグリフェン兄弟。ハルは学校を辞めたがっているが父親の反対に遭ってむしゃくしゃしている。

彼らの搾った牛乳はアーウィン・ピューリントンによってセイラムズ・ロットに配達される。その牛乳は本書の主人公で作家のベン・ミアーズが泊まっている下宿屋のエヴァ・ミラーの許だけでなく17歳で生後10ヶ月の赤ん坊ランディの育児に悪戦苦労しているサンディ・マクドゥガルの許にも届けられる。彼女は日々ランディに対してストレスを溜めている。

ハーモニー・ヒル墓地の管理人マイク・ライアースンは墓地のゲートに犬の死骸が串刺しになって吊るされているのを発見し、保安官のパーキンズ・ギレスビーに届けた。その犬はアーウィンの愛犬だった。

スクール・バスの運転手チャーリー・ローズはバスの中では全知全能の神だった。彼のバスではだから子供たちは行儀良かったが、今朝はメアリ・ケート・グリーグスンがこっそりブレント・テニーに手紙を渡したのを見たので2人には途中で降りてもらい、学校まで歩いてもらうことにした。

エヴァの下宿屋で長年働いているウィーゼル・クレイグはエヴァとかつての愛人だった。
ごみ捨場管理人のダッド・ロジャーズ。
若い男と昼下がりの情事に耽る美しい人妻ボニー・ソーヤー。
学校に新しく入ってきたマーク・ペトリーは学校一の暴れん坊リッチー・ボッディンに因縁をつけられるが鮮やかに一蹴してしまう。

定年まであと2年の63歳の高校教師マット・バーク。
常にマーステン館を双眼鏡で見張っている町のゴシップ屋メイベル・ワーツ。

これらの点描を重ねて物語はやがて不穏な空気を孕みつつ、“その時”を迎える。

このじわりじわりと何か不吉な影が町を覆っていく感じが実に怖い。
正体不明の骨董家具経営者がマーステン館に越してきてから起きる怪事件の数々。キングは吸血鬼の存在を仄めかしながらもなかなか本質に触れない。ようやく明らさまに吸血鬼の存在が知らされるのは上巻300ページを過ぎたあたりだ。それまでは上に書いたように町の人々の点描が紡がれ、そこに骨董家具経営者の謎めいた動きが断片的に語られるのみ。それらが来るべき凶事を予感させ、読者に不安を募らせる。

そしてようやく上巻の最後に吸血鬼そのものと邂逅する。
それは犠牲者の一人で墓堀りのマイク・ライアースン。つまり既にセイラムズ・ロットが吸血鬼の毒牙によって侵食されていることが読者の脳裏に刻まれる。

しかし吸血鬼が現れても一気呵成に彼らの襲撃が始まるわけではない。一人また一人と被害者が現れ、そして彼ら彼女らを取り巻く人々が次々に容態を悪化させ、ゆっくりと、しかし確実に死に至る。しかしそれらの死体はいつの間にか消えてしまう。安置所から、墓穴から。そこでようやく町民たちは気付くのだ。この町には何か邪悪な物が蔓延っていると。

このねちっこさが非常にじれったいと思うのだが、逆にそれがまた恐怖を募らせる。いつ主人公のベンやスーザンに災厄が訪れるのか、読者はキングの掌の上で弄ばれているかのように読み進めざるを得ない。

物語の序盤で丹念に描かれたセイラムズ・ロットの町の人々の風景。それぞれの人々のそれぞれの暮らし。
そこで紹介された彼ら彼女らの生活が、日常が吸血鬼カート・バーローと彼らが増やした下僕たちによって次々と“仲間”にさせられる。

そしてその災厄を頭ではなく肌身で感じた一部の人々はベンやマットに与し、戦いを挑む者もいるが、大半は云いようのない胸騒ぎを覚えて、魔除けになるような物を携帯し、ただ何事もなく夜が過ぎるのを祈る。そして朝が来たら住み慣れたセイラムズ・ロットを離れる者もいる。

吸血鬼に立ち向かうのは主人公のベン以外に高校教師のマット・バーク、彼の元教え子で医者のジミー・コディ、ホラー好きの博学な少年マーク・ペトリー、そして飲んだくれ神父のドナルド・キャラハンらだ。

その中でも特筆すべきはマーク・ペトリーだ。早熟なこの少年は常に物事を一歩引いた視座で観察し、冷静沈着な判断で危難を切り抜ける。学校一の暴れん坊に目をつけられると、頭の中で作戦を立て、返り討ちに合わせて面目をつぶす。

オカルトやモンスターに深い知識を持ち、吸血鬼の出現にも知識を総動員して冷静に対処する。本書においてヒーローを体現しているのは実はこの少年なのだ。

キングの名を知らしめた本書は今ならば典型的なヴァンパイア小説だろう。物語はハリウッド映画で数多作られた吸血鬼と人間の闘いを描いた実にオーソドックスなものだ。
しかし単純な吸血鬼との戦いに人口1,300人の小さな町セイラムズ・ロットが徐々に侵略され、吸血鬼だらけになっていく過程の恐ろしさを町民一人一人の日常生活を丹念に描き、さらにそこに実在するメーカーや人物の固有名詞を活用して読者の現実世界と紙一重の世界をもたらしたところが画期的であり、今なお読み継がれる作品足らしめているのだろう(今ではもうほとんどアメリカの書店には著作が並んでいないエラリー・クイーンの名前が出てくるのにはびっくりした。当時はまだダネイが存命しており、クイーン作品にキング自身も触れていたのだろう)。

恐らくはそれまでの吸血鬼は仲間を増やしつつも本書のように町の人々たち全てを対象にしたものでなく、吸血鬼が気に入った者のみを仲間にし、それ以外は彼らが生き延びるための糧として血を吸った後は死体と化していたような気がする。
しかし本書は吸血鬼カート・バーローがどんどん町の人々を吸血鬼化していき、ヴァンパイア・タウンにしていくところに侵略される恐怖と絶望感をもたらしている、ここが新しかったのではないか。
従って私は吸血鬼の小説でありながらどんどん増殖していくゾンビの小説を読んでいるような既視感を覚えた。

吸血鬼として数百年もの歳月を生きてきたカート・バーローは深い知識と狡猾な知恵を備えており、抵抗するベンやマーク達をその都度絶望の淵に追い込んでは返り討ちにする。そのたびに貴重な理解者たちが亡くなっていく。
圧倒的な支配力の下でしかしベンとマークはこの大いなる恐怖に立ち向かう。

彼らも逃げたいがベンには理由があった。
それはこの町に戻ってくるきっかけとなった妻ミランダの死だ。自身の交通事故で妻を亡くした彼は居たたまれなさからセイラムズ・ロットに逃げ込んだ。そして第2の安住の地としてスーザンという新たな安らぎを得ながらも吸血鬼カート・バーローに蹂躙され、自ら手を下して彼女を救済せざるを得なくなった元凶を彼は今度は逃げずに立ち向かうことにしたからだ。それが彼の行動原理だ。

また本書の恐ろしいところは町が吸血鬼に侵略されていることをなかなか気づかされないことだ。
彼らは夜活動する。従って昼間は休息しているため白昼の町は実に平穏だ。いや不気味なまでに静まり返っている。人々はおかしいと思いつつも明らさまな凶事が起きていないため、異変に気付かない。しかし夜になるとそれは訪れる。
近しい人々が訪れ、赤く光る眼で魅了し、仲間に引き入れる。この実に静かなる侵略が恐怖を募らせる。
これは当時複雑だった国際情勢を民衆が知ることの恐ろしさ、知らないことの怖さをキングが暗喩しているようにも思えるのだが、勘ぐりすぎだろうか?

古くからある吸血鬼譚に現代の風俗を取り入れてモダン・ホラーの代表作と評される本書も1975年に発表された作品であり、既に古典と呼ぶに相応しい風格を帯びている。
それを証拠に本書を原典にして今なお閉鎖された町を侵略する吸血鬼の物語が描かれ、中には小野不由美の『屍鬼』のような傑作も生まれている。

もう1人のモダンホラーの雄クーンツの作品はほとんど読んでおり、私にとってこのジャンルは決して初めてではない。
しかしキングの作品はクーンツの諸作と違い、結末はハッピーエンドではなく、どこか無力感と荒寥感が漂う。
今なお精力的に作品を発表し、そして賞まで受賞しているこの大作家は今後どのような物語を見せてくれるのだろうか。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

吸血鬼

こんな町に住みたくありません。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

呪われた町の感想

上巻…中盤まであまりホラーっぽくないなぁと思いながら読んでいたら…小野不由美さんの「屍鬼」がこれをモチーフにしていたという意味が分かりかけた所で下巻に続く。ちなみに綾辻行人「Another」の榊原恒一が入院中に読んでいたホラー小説らしい。
下巻…「吸血鬼」の存在が判明するや否や打って変わってアクション・サスペンス小説に。あまりホラーっぽくなかったがサスペンスとしては面白かった。

水生
89I2I7TQ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

呪われた町の感想

読み進めて行くうちに、町が暗黒世界に包まれていく雰囲気を感じました。
まさしく、呪われた町です。

松千代
5ZZMYCZT
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.51:
(4pt)

人物描写が巧み

「吸血鬼もの」とは知らず、実は読み始めた作品である。
単なるホラーとはいえない。
登場する人間たちを実によく掘り下げている。
キングをまだそんなに多くは読んではいないのだけれど(7~8作品ほど)、この作家の人間描写の深さについては、毎回、
感心させられている。
ミステリーとかホラーの概念を超えて、人間の奥深さをよくとらえている。
心の奥に、過去の痛みや思いを抱えている人間の心理をさりげなく描写している。
読み始めたら、止まらなくなってしまう。
キングの小説はいつもなのだれど…。
さりげない言葉の一つ一つが心に残る。
呪われた町 (下) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (下) (集英社文庫)より
4087606368
No.50:
(5pt)

ホラー好きなら必読、正統派の現代版吸血鬼ホラー

現代(とはいえ1970年代)を舞台とした、正統派の吸血鬼ホラー。「キャリー」に続く著者2作目ながら、代表作のひとつに必ず挙げられる傑作。日本国内での知名度はそれほど高くないように思うが、解説によると「シャイニング」「ザ・スタンド」と並び3Sと呼ばれ、高く評価されているという。
上巻の大半で、町の住人たちの人となりや生活ぶりが語られ、なかなか物語が前に進まない。ただ、そんな中にもどことなく不穏な空気が流れており、この辺りの不気味さを楽しめるかどうかで作品の評価が大きく変わる気がする。上巻の後半から下巻を通しては一気に吸血鬼ホラーが炸裂し、手に汗握る展開が続く。吸血鬼の行動形態は古典的ルールに乗っ取りながらも、主人公たちと駆け引きや頭脳戦を展開するところが新しいし、面白いと感じた。キングが好きなら必読の書。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.49:
(5pt)

ゾクゾク

読み進めていくとジワジワ怖さが迫ってきます。キング初期にして屈指の名作!
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X
No.48:
(5pt)

アメリカを舞台にした吸血鬼ものが意外にはまっていた

「ジョイランド」に続いて読んだ2冊目です。まだキング初心者でどんな作風なのかよくわかっていません。この作品も宇宙人が知らない間に町に入り込んでくるSFかと思っていました(汗)。読んでみたら正統派の吸血鬼小説ではないですか。吸血鬼ものは小説も映画も大好きで「ドラキュラ」や「カーミラ」はもちろん、それ以前の古い作品も掘り出して読んでいます。ハマーの映画シリーズも大好きです。

最初は「アメリカに吸血鬼?」と思いましたが違和感がなかったのが驚きでした。アメリカを舞台した吸血鬼ものは映画でもどこかポップなイメージがあり結局は合わない気がしていたからです。もっともこれは東部のニューイングランド地方だから合ったのかもしれません。やっぱり西部のカリフォルニアとかだと無理な気がします。
90年代に大ヒットしたテレビドラマで「ツイン・ピークス」というのがありますが、雰囲気が似ていると感じました。誰もがお互い顔を知っているような小さな田舎町が舞台。最初は住民たちの群像劇が描かれていきます。わけあり、変人も多い。このあたりの奇妙な味は私は好きですがレビューを拝見すると賛否両論のようです。
そんな中にじわじわと浸透していく異常事態。明らかにおかしいのに自分の目で見るまで誰も信用しない、そうして危機は取り返しがつかないスピードで進行していきます。主要登場人物が容赦なく襲われ死んでしまうのにも唖然としました。その後、やるかやられるかの命をかけた吸血鬼退治の悲壮さが凄まじいです。

マッチョ志向のアメリカで一般的にはオタクといじられるタイプのマーク少年が、そのすぐれた知能でいじめをかわし、大人並みの冷静さで生き抜いていくのが印象的でした。自立しようとする娘スーザンを支配で引き戻そうとする偏狭な母親の毒親としての描き方も古びていなくて、老教師マークの聡明さもよかったです。
エルサレム・ロットではなくジェルサレム・ロットと訳されているのは意図的なものか?それともただ単にスペルをそのまま日本語にしただけでしょうか?エルサレムという名をつけたのには意味はあるのか気になりました。
あえて古典的な吸血鬼ルールを踏襲したところがよかったと思います。めでたしめでたしのハッピーエンドではなく残された者の心の傷やむなしさが悲しく、彼らはこれからどうして生きていくのだろうと考えさせられます。それにしてもこれで吸血鬼を完全に撲滅することができたのでしょうか。気になります。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
4087600866
No.47:
(5pt)

雰囲気がドラマ「ツイン・ピークス」に似ていた

「ジョイランド」に続いて読んだ2冊目です。まだキング初心者でどんな作風なのかよくわかっていません。この作品も宇宙人が知らない間に町に入り込んでくるSFかと思っていました(汗)。読んでみたら正統派の吸血鬼小説ではないですか。吸血鬼ものは小説も映画も大好きで「ドラキュラ」や「カーミラ」はもちろん、それ以前の古い作品も掘り出して読んでいます。ハマーの映画シリーズも大好きです。

最初は「アメリカに吸血鬼?」と思いましたが違和感がなかったのが驚きでした。アメリカを舞台した吸血鬼ものは映画でもどこかポップなイメージがあり結局は合わない気がしていたからです。もっともこれは東部のニューイングランド地方だから合ったのかもしれません。やっぱり西部のカリフォルニアとかだと無理な気がします。
90年代に大ヒットしたテレビドラマで「ツイン・ピークス」というのがありますが、雰囲気が似ていると感じました。誰もがお互い顔を知っているような小さな田舎町が舞台。最初は住民たちの群像劇が描かれていきます。わけあり、変人も多い。このあたりの奇妙な味は私は好きですがレビューを拝見すると賛否両論のようです。
そんな中にじわじわと浸透していく異常事態。明らかにおかしいのに自分の目で見るまで誰も信用しない、そうして危機は取り返しがつかないスピードで進行していきます。主要登場人物が容赦なく襲われ死んでしまうのにも唖然としました。その後、やるかやられるかの命をかけた吸血鬼退治の悲壮さが凄まじいです。

マッチョ志向のアメリカで一般的にはオタクといじられるタイプのマーク少年が、そのすぐれた知能でいじめをかわし、大人並みの冷静さで生き抜いていくのが印象的でした。自立しようとする娘スーザンを支配で引き戻そうとする偏狭な母親の毒親としての描き方も古びていなくて、老教師マークの聡明さもよかったです。
エルサレム・ロットではなくジェルサレム・ロットと訳されているのは意図的なものか?それともただ単にスペルをそのまま日本語にしただけでしょうか?エルサレムという名をつけたのには意味はあるのか気になりました。
あえて古典的な吸血鬼ルールを踏襲したところがよかったと思います。めでたしめでたしのハッピーエンドではなく残された者の心の傷やむなしさが悲しく、彼らはこれからどうして生きていくのだろうと考えさせられます。それにしてもこれで吸血鬼を完全に撲滅することができたのでしょうか。気になります。
呪われた町 (上) (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:呪われた町 (上) (集英社文庫)より
408760635X



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