クージョ



※タグの編集はログイン後行えます

※以下のグループに登録されています。


【この小説が収録されている参考書籍】
クージョ (新潮文庫)
(違う表紙に投票したい場合もこちらから)

オスダメ平均点

7.00pt (10max) / 2件

6.50pt (10max) / 6件

Amazon平均点

4.35pt ( 5max) / 17件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
2pt
サイト内ランク []B総合:510位
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

5.00pt

55.50pt

26.00pt

10.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)1983年09月
分類

長編小説

閲覧回数3,690回
お気に入りにされた回数1
読書済みに登録された回数7

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

クージョ (新潮文庫)

1983年09月01日 クージョ (新潮文庫)

※あらすじは登録されていません



書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

クージョの総合評価:8.53/10点レビュー 19件。Bランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(8pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

キングはこの地味な設定で書き抜くことをやってのけた

モダンホラーの巨匠キング初期の傑作と云われる本書は一般的に狂犬病に罹った犬が車に閉じ込められた人を襲うだけで1本の長編を書いたと評されている物語だが、もちろんそんなことはない。

ただ物語の始まりはちょっと異様な雰囲気に満ちている。
物語の舞台はメイン州キャッスル・ロック。そこは『デッド・ゾーン』でジョン・スミスによって正体が暴かれた連続殺人鬼フランク・ドッドが住んでいた町だ。そして連続殺人鬼の自殺は町に安全と安心をもたらしたが、同時に恐怖と悪夢の影を残し、今なお夜更かしする子供たちを寝かすときに「早く寝ないとフランク・ドッドが来るよ」という脅し文句が生まれるまでになっている。

そんな名残がまだ残る年に物語の主人公一家トレントンの子供タッドの押し入れにフランク・ドッドの幽霊が住まい、夜毎タッドを脅すという怪奇現象が語られる。

更に物語の中心となる対照的な夫婦の関係もクライマックスに向けて実に読ませるアクセントとなっている。

一方のヴィク・トレントンとドナの裕福な夫婦はしかし夫の独立でニューヨークからキャッスル・ロックという田舎町に引っ越した妻が日々の退屈を持て余して、家具修理業の男と浮気をし、それを浮気相手からバラされるという夫婦間の問題を抱えている。

もう一方のジョー・キャンバーとチャリティ夫婦は腕のいい自動車修理工だが、高圧的で暴力を振るう夫を恐れる妻が宝くじで5千ドル当てたのをきっかけに初めて夫抜きで友人宅へ愛する息子を連れて旅行に行く顛末が描かれる。

クージョに関わる二家族のそれぞれの事情を丹念に描き、下拵えが十分に終わったところでようやく本書の主題である、炎天下の車内での狂犬との戦いが描かれる。それが始まるのが233ページでちょうど物語の半分のところである。そこから延々とこの地味な戦いが繰り広げられる。

しかしこの地味な戦いが実に読ませる。

町外れの、道の先は廃棄場しかない行き止まりの道にある自動車修理工場。旅行に出かけた妻と子。残された夫とその隣人は既にクージョによって殺されている。更に閉じ込められた親子の夫は出張中で不在。
そして、これが一番重要なのだが、携帯電話がまだ存在していない頃の出来事であること。またその夫は会社の存亡を賭けた交渉に臨み、なおかつ出発直前に妻の浮気が発覚して妻に対する愛情が揺れ動いていること。
この狂犬と親子の永い戦いにキングは実に周到にエピソードを盛り込み、「その時」を演出する。

これはキングにとってもチャレンジングな作品だったのではないか。
今までは念動力やサイコメトリーなど超能力者を主人公にしたり、吸血鬼や幽霊屋敷といった古典的な恐怖の対象を現代風にアレンジする、空想の産物を現実的な我々の生活環境に落とし込む創作をしていたが、今回は狂犬に襲われるという事件をエンストした車内という極限的に限定された場所で恐怖と戦いながら生き延びようとするという、どこかで起こってもおかしくないことを恐怖の物語として描いているところに大きな特徴、いや変化があると云える。更に車の中といういわば最小の舞台での格闘を約230ページに亘って語るというのはよほどの筆力と想像力がないとできないことだ。
しかし彼はそれをやってのけた。

本書を書いたことで恐らくキングは超常現象や化け物に頼らずともどんなテーマでも面白く、そして怖く書いてみせる自負が確信に変わったことだろう。
だからこそデビューして43年経った2017年の今でもベストセラーランキングされ、そして日本の年末ランキングでも上位に名を連ねる作品が書けるのだ。

これは単なる狂犬に襲われた親子の物語ではない。物語の影に『デッド・ゾーン』で登場した連続殺人鬼フランク・ドッドの生霊がまだ蠢いているからだ。

私は本書の結末にキングとクーンツの違いを見る。
どんなに絶望的な状況に陥っても、必ずハッピーエンドをもたらすクーンツの作品はどんな困難でも必ず克服できると物語の裏にメッセージとして込めているからだろうが、逆に云えば結末が容易に付いてしまうのだ。
しかしキングは違う。彼は決して登場人物に容赦をしない。だからこそ物語の先行きが予想不可能で読者は終始心を揺さぶられ続けられるのだ。

こうなるとキングの作品はただ読んでいるだけでは済まない。各物語に散りばめられた相関を丁寧に結びつけることで何か発見があるのかもしれない。
キングの物語世界を慎重に歩みながら、これからも読み進めることとしよう。



▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
No.1:
(6pt)

セント・バーナードは大きいですからね

スティーヴン・キングにしてはリアルな動物パニックですね。後半の3つの地域で物語が進んで行くところからはとても緊張感があって引き込まれました。ヴィクとドナ夫妻はこれからどうなっていくのでしょうか。

わたろう
0BCEGGR4
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.17:
(5pt)

珍しい犬ホラー!

新刊本で入手出来なかったので
アマゾンさんのお世話に。
言わずと知れた有名ホラー。
ホラーや怪談といえば猫だが、
本書は珍しい犬モチーフ。
じっくり読みたい。
クージョ (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:クージョ (新潮文庫)より
4102193030
No.16:
(5pt)

キングを発見した小説

私がS.キングを「発見」した小説です。

この小説の購入時には、
その数年前に映画「キャリー」「シャイニング」は公開されていましたし、
ラジオドラマで「超高層ビルの恐怖」を聞いていたにもかかわらず、
この「クージョ」が、それらの作者によるものだとは全く知りませんでした。
ですので、「モダン・ホラー」ということを全く意識せずに
読みましたが、その筆力のすごさに魅了されました。
一見、本筋とは関係のない、主人公の仕事上のトラブルのエピソードや、
過去にあった殺人事件、
そして「犬」が変化していく描写が積み重ねられて、
最後にカタストロフィがやってきます。
この小説を読んだ後に、
同じ年に刊行された大友克洋の「童夢」を読んで、
なにか類似したものを感じました。

キングの作品の中では、地味な作品かもしれませんが、
私は傑作だと思っています。
クージョ (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:クージョ (新潮文庫)より
4102193030
No.15:
(4pt)

キレイな状態で良かったです。

たいへん良かったです。キレイな状態でした
クージョ (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:クージョ (新潮文庫)より
4102193030
No.14:
(4pt)

この恐怖は、現実の恐怖だ!!

いまや、エイリアンやジェラシックパークの映像に慣れ親しんだ世代には、
狂犬病の巨大獰猛犬が襲い来る設定では、満足しないであろうし、恐怖も
感じないかもしれないが、、、、、、、。
クージョに絡む二家族の設定、ドラマ構成の上手さは秀逸だと思う。
それぞれ個人、個々の背負っているもの、背景が、ラストのドラマに向かって
仕掛けられており、読者を引き付ける。
現実に近い恐怖であり、その中に、ステイーブンキング的なホラー要素を
織り交ぜてた構成も、荒唐無稽な恐怖でないものに仕上げている。
この恐怖は、現実の恐怖だ!!
クージョ (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:クージョ (新潮文庫)より
4102193030
No.13:
(5pt)

キングの本領を発揮した傑作

Format: Kindle版
Publisher: Hodder & Stoughton (March 22, 2010)
ASIN: B003BKZW3G のレビュー。

 長い作品ばかり書きまくる巨匠キング様としては短い部類である。わたしは、キングの作品はえんえんと続くような超大作がすきなのだが、短かめの作品では、おそらくベスト3にはいるのではなかろうか? 断言できるほど読んでないけれど。
 読む前は、この本は狂犬が次々と人を襲う話かとおもっていたが、登場人物の少ない、2つの家族だけに的をしぼった構成である。この単純な構成がすばらしい。大筋は、たいていの読者の予想どおりにすすみ、時々フェイントをかけて、最後まで強引につっ走る。

 キングの作品には、親子関係を描いたものが多いが、この小説の2つの家族の描写はみごと。こどもからみた親、母親からみた息子、父親からみた息子、それに夫婦関係が、ホラーの前提として過不足なく描かれる。だから、最初っからジェットコースター的展開ではにけれど、家族関係を読者に納得させたあと、後半の緊張感と恐怖はすばらしい。あと、超自然的な要素がまったくないので、それが苦手な読者も入り込みやすいでしょう。
クージョ (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:クージョ (新潮文庫)より
4102193030



その他、Amazon書評・レビューが 17件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク