キャリー



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初公開日(参考)1975年01月
分類

長編小説

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キャリー (新潮文庫)

1985年01月01日 キャリー (新潮文庫)

「おまえは悪魔の申し子だよ」狂信的な母、スクールカーストの最下層…悲劇はその夜、訪れた。巨匠キングの鮮烈なるデビュー作にして、三度の映画化を経た永遠の名作。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

キャリーの総合評価:8.67/10点レビュー 39件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

あまりにも有名なデビュー作は実にシンプルな構造

モダンホラーの巨匠スティーヴン・キングのデビュー作にして幾度も映画化された有名作。

本書がこれほど好評を持って受け入れられたのは普遍的なテーマを扱っていることだろう。
いわゆるスクールカーストにおける最下層に位置する女生徒が虐められる日々の中でふとしたことからプロムに誘われるという光栄に浴する。しかし彼女はそこでも屈辱的な扱いを受ける。ただ彼女には念動能力という秘密があった。

この単純至極なシンデレラ・ストーリーに念動能力を持つ女子高生の復讐というカタルシスとカタストロフィを混在させた物語を、事件を後追いするかのような文献や手記、関係者のインタビューなどの記録を交えて語る手法が当時は斬新で広く受けたのではないだろうか。

さてとにもかくにも主人公キャリーの生き様の哀しさに尽きる。
狂信的な母親に育てられ、過剰なまでの清廉潔白ぶりを強要され、日に何度もお祈りを捧げる日々を送らされ、母の意志にそぐわなければ即刻クローゼットに閉じ込められる。そんな家庭環境であるがために一般常識的な知識さえもまっとうに与えられず、初潮という生理現象さえも知らないために自身の陰部から血が出ることでパニックになり、学校でクラスメートからタンポンを投げつけられる始末。従って幼少の頃はまるで人形のような整った顔立ちだったのが今ではニキビと艶のない髪の毛で、作中の表現を借りれば「白鳥の群れに紛れ込んだ蛙」のような有様だ。

そしてとにかく主人公キャリーの母親の狂信ぶりが凄まじい。
姦通することを何よりも忌み嫌い、自分が妊娠したことすらも穢れとする。そして自身の娘キャリーを男たちの誘惑の手から遠ざけるため、キャリーに他者との関わりを絶つことを強いる。もし自分の意志に背こうものならば、折檻をした上でクローゼットに何時間も、時には一日中閉じ込めて悔い改めさせる。
とても親とは思えない所業だ。

しかしそれまで母親に服従するしかなかったキャリーにある芽生えが生まれる。それが念動能力だった。
最初の兆候は彼女が幼い頃。折檻を受けたキャリーは突然氷の雨と石の雨を降らせる。しかしそれは常に起こるわけではなかった。そしてキャリーが初潮を迎えた後、その能力が開花する。そして彼女の思春期による親への反抗心と相俟って、彼女はついに母親からの逸脱を試みる。それがプラムへの参加だった。

初めて彼女が母親の反対を押し切り、自分の意志で選択した行動。それが大惨事の引き金になるという皮肉。報われなかった女性にキングは壮絶な復讐と凄絶な死にざまを与える。

ここでやはり注目したいのはキャリーの親の束縛からの自立だろう。
異様なまでの執着心で母親の支配を受けていた彼女が抵抗し、ついに自由を得る困難さは途轍もない大きな壁だっただろう。彼女に念動能力が無ければ叶わなかったことではないだろうか。親という大きな壁への抵抗というこの非常に身近な人生の障害もまた万人に受け入れられた要素なのかもしれない。

さらに本書が特異なのは女性色が非常に濃いことだ。
それは主人公キャリーが女性であることから来ているのだろうが、キャリーを虐めているのは男子生徒ではなく女子生徒ばかりでキャリーの生活の障壁となっているのも前述のように狂信的な母親だ。

さらに生理という女性特有の生理現象がキャリーの念動能力の発動を助長させ、またキャリーの死を看取ったスージー・スネルがその直後生理になっているのも新たなる物語という生命の誕生を連想させ興味深い。

これはキング本人が母子家庭で育ったからかもしれない。キングにとって母親は自分を女手一つで育ててくれた偉大で尊敬すべき存在だったことだろう。
つまりキングの成長には常に母親という強い女性の存在があった。それがゆえに女性の強さ、そして怖さというのを知っていたのではないだろうか。男にはない生理という現象すら毎月血を流しながらも家計を支える逞しさに何か人間以上の存在を感じていたと考えるのは穿ちすぎだろうか。

ところでキングがボストン・レッドソックスの大ファンだというのは公然の事実だが、このデビュー作で既にレッドソックスが出ているのには笑ってしまった。キャリーをプロムに誘ったトミー・ロスの死に関して同チームの監督がコメントを残しているのだ。三つ子の魂百までとはまさにこのことか。

閑話休題。

既に物語の舞台であるメイン州チェンバレンで大量虐殺が行われたことは物語の早い段階で断片的に語られる。
従って読者は物語の進行に伴い、訪れるべきカタストロフィに向かってじわりじわりと近づいていくのだ。しかしながら1974年に書かれた本書で描写されるキャリーの虐殺シーンはいささかおとなしい印象を受ける。

プロムの舞台となった体育館で突然扉が閉められ、スプリンクラーが回り、バンドたちの楽器のアンプなどから電気のコードが自然に放たれ、見る見るうちに感電していく。そして電気の発火による火災が起き、体育館は火の海に包まれる。

さらに外に出たキャリーは消火ができないように消火栓を次々と破壊しては水を大量に放出し、ガソリンスタンドやガスタンクに引火していく。

そして電線を切断しては街行く人たちを感電させる。いわば歩く無差別テロの様相を呈しているのだが、今日のこのあたりの描写はもっと強烈だろう。
血の匂い立つような細かくねちっこい描写や痛みを感じさせるほどの迫真性に満ちた生々しさが本書には足りない。

前後見境なくなったキャリーはチェンバレンの町を練り歩くのだが、その所業を町の人たちはなぜかキャリーの仕業だと認知する。私はここにキングの先駆性を見た。
いわば念動能力という脳内で発動する能力が活性化するとその者の意識は外側に放たれ、それを他者が感知することを示唆しているのだ。いわば外に開かれた意識の共有化ともいえる現象をこの1974年の時点で描いていることに驚嘆を覚えた。

440名もの死者と18名の行方不明者を出し、町は崩壊する。そしてキャリー自らも母親から受けた傷と恐らくは酷使しすぎた能力の反動で命を落とす。彼女は一身に背負った不幸を町中にばらまいたのだ。

そして物語は第2のキャリーの誕生をほのめかして終わる。この惨劇はあくまで一過性の物ではないとして。もしかしたら貴方の町にもキャリーはいるのかもしれないとメッセージを残して。

今では実にありふれた物語であろう。
が、しかし物語にちりばめられたギミックや小道具はやはりキングのオリジナリティが見いだせる。“to rip off a Carrie”などという俗語まで案出しているアイデアには思わずニヤリとした。

識者によればキングの物語にはあるミッシングリンクがあるという。本書を皮切りにそのリンクにも注意を払いながら読んでいくことにしよう。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

キャリーの感想

怖いというより、重い。日本の作家でいうなら綾辻行人+湊かなえといった感じ。挿入される記事によって展開が暗示されているのがより一層恐怖感を高めている。

水生
89I2I7TQ
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No.37:
(2pt)

海外の本という感じ

いかにも海外の作品。私はあまり好きでは無かった。
キャリー (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:キャリー (新潮文庫)より
4102193049
No.36:
(5pt)

キャリーを怒らせると怖いという話です

スティーブンキング の作品の中で映画化された作品はいっぱいあるけど
このキャリーは映画も面白いし 、
原作のこの本はそれよりもっと面白いです。
キャリー (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:キャリー (新潮文庫)より
4102193049
No.35:
(5pt)

無人車両だって、ポポイのポイ。

「ぼくは行きたくない相手とは一緒に行かないよ。きみを誘ったのは、きみに一緒に行ってもらいたいからさ」。素敵な彼氏に素敵なセリフを言わせる主人公キャリーは、いじめられっ子だったがプロムの晩に、ハイスクールのクィーンの座に就くことができる。
物語は、シンデレラのストーリーを下敷きに語られているようだ。
TK能力(テレキネシス)をもつ人間を怒らせたら、こんな展開になるというのは目に見えている。
巨匠スティーヴン・キングのデビュー作。読まないではいられない。
訳者永井淳氏による「訳者あとがき」も、作者周辺の作品を知る上で、大変、参考になると思いました。
キャリー (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:キャリー (新潮文庫)より
4102193049
No.34:
(4pt)

悲しみと怒りの果てに....やって来た地獄絵図!

映画キャリーでよく用いられる女学生のシャワールームでの月経流血シーンへの
嫌悪感が強く、この作品は読まないでいた。
しかしながら、Stephen kingファンとして、彼のデビュー作であり、代表作の本作品
を読まないわけにはいかないので、readingしてみた。
虐げられ、虐められ、悲しみ底にいたキャリーに、スポットが当たり、一時的でも
喜びに胸ときめかした瞬間、会場の笑いが彼女の屈辱に火を付け、裏切られたという
想いが、さらなる無限の怒りの嵐を連鎖し、同級生と街を焼き尽くした。
あまりにも寂しい物語だ!一縷の望みもない、救いもない物語性に驚いた。
あとがきに、実験的手法と書かれていたが、雑誌記事、研究レーポート、著作品
インタビュー記事などで、事件の全貌を語らせる構成の妙に感じ入るばかりである。
青春の暴走の罪が、止めどない罰として打ち返された時、人は何とするのだろうか!
キャリー (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:キャリー (新潮文庫)より
4102193049
No.33:
(5pt)

怒りの念動力!

キャリーと言えばキングかシシースペイセクか、という程有名な作品ですね。私は30年程前に初めて読み、次いで映画も鑑賞しました。キャリーと同じ年頃だったので惹き込まれるものがあり、どちらの作品もじっくりと堪能することが出来ました。キング作品は子供や学生が出てくるものが多いので昔から若い世代のファンもすごく多いでしょう。当時クラスメイトに文庫本を貸したら、そのストーリーとリアルな描写にたいそう驚いていました。

小説と映画ペアで読んで見てほしい。キャリーの血に染まったプロムドレス姿はシャイニングのジャケットと同じくらい有名で知らない人はいないでしょう。小説も是非読んでほしい!ペアと言えどもきっちり分けて保管して、小説と映画の違いを楽しむのがお薦めです。

しかしキャリーは可哀そうな少女です。
母親は自分の人生のトラウマを産んでしまった娘に押し付けます。厳格とは名ばかりで一人娘を抑圧、育てようとしません。潔癖な母親からは何一つ教えられないまま、学校ヘ行きクラスメイトの誂いの対象となります。幼女のまま少女になったキャリーは学校で初潮を迎え大パニックを起こしてしまうのです。

最後まで救われないキャリーの怒りの念動力、その矛先。電気が爆発し人々に電流が流れ、その焦げ臭さや金気臭さを感じまいと耐えることになります。事件や事故としての扱いで、報道や新聞記事を織り交ぜながら語られる展開は丁寧で解りやすく、臨場感があります。

キャリーに親切だった数名の人達の優しさも虚しく、血に染められたプロムパーティと町の風景。キャリーが死に終息したことでやっと救われた気がしました。
キャリー (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:キャリー (新潮文庫)より
4102193049



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