アトランティスのこころ



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初公開日(参考)2002年03月
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長編小説

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アトランティスのこころ (上)

2002年04月25日 アトランティスのこころ (上)

はじめてのキスは乾いていて、なめらかで、日ざしの温もりをたたえていた―1960年の夏、ボビー、キャロル、サリー・ジョンの仲良し3人組は11歳だった。夏に終わりがこないように、永遠に友情が続くと信じていた彼らの前に、ひとりの老人が現れる。テッド・ブローティガン。不思議な能力を持つ彼の出現を境に、世界は徐々に変容し始める。貼り紙、路上のチョーク、黄色いコートの男たち。少年と少女を、母を、街を、悪意が覆っていき―。あまりにも不意に、あまりにもあっけなく過ぎ去ってしまう少年の夏を描いた、すべての予兆をはらむ美しき開幕。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

アトランティスのこころの総合評価:8.79/10点レビュー 43件。Aランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

オールディーズが似合う物語

これはなんと評したらいいのだろう。読書中、常にそのことが頭を過ぎった。
上下巻併せて1,120ページ強の本書はこれまでの作品と異なり、上下巻それぞれで主人公が異なり、また物語のテイストそのものも異なる構成となっている。

上巻は1960年のコネチカット州のハーウィッチを舞台にした母子家庭であるボビーとリズのガーフィールド親子のアパートにテッド・ブローティガンという老人が引っ越してきて息子とこの老人との交流と別れの物語が描かれる。実はこの老人はある特殊な能力を持った人物で追手から逃れてハーウィッチにやってきたのだが、その追手に見つかって連れ去られ、その後のボビーの成長とその後老人が追手の許から再び脱出したことが判るまでが語られる。
それまでが上巻で下巻はそのボビーを主人公に据えた物語が始まるかと思えば、一転して1966年のメイン州立大学を舞台に語り手もそこの学生ピート・ライリーへバトンタッチして別の物語が始まるのだ。

更に物語は1983年のコネチカット州に移る。そこではビル・シーアマンという謎めいた男の物語が始まる。
この男は実は上巻に登場するのだが、それはまた後で触れよう。

読み終えて思うのはこれはキャロル・ガーバーという実に魅力的な女性の半生記をだったということだ。
それについては後に述べるとしてこの移ろいゆく物語についてそれぞれ述べよう。

まず上巻のボビー・ガーフィールドとテッド・ブローティガンのパートはボビーの親友キャロル・ガーバーとサリージョンことジョン・サリヴァン、そしてボビーの母親リズがメインの登場人物だが、これは不当な暴力の物語と云えるだろう。とにかくクセの強い人物たちが登場し、肉体的にも精神的にも痛々しいシーンが描かれる。

このパートで一番クセが強いのはリズ・ガーフィールド。主人公ボビー・ガーフィールドの母親だ。
彼女は最初は夫の突然死で遺された一人息子の世話と借金の返済のために夫が勤めていた不動産会社に事務員として、ある時は苦汁を飲む決断をしながら必死に生きているシングルマザー像のように見えるが、物語が進むうちに家を支配する高圧的な守銭奴であることが判ってくる。

彼女の口癖「人生は不公平なものよ」はいわば息子にあらゆる希望を、要望を最終的に諦めさせる呪詛のような言葉として響いてくる。

上巻は何とも痛ましい物語なのだ。

下巻は打って変わってメイン州立大学の学生寮を舞台に学生のピート・ライリーが語り手とした学生生活を描いた物語が始まる。これはまさに学園物とも云うべき物語だが、メインとなるのはハーツというトランプゲームに興じ、次第にそれにのめり込んで学業が疎かになっていく大学生の物語だ。
語り手のピート・ライリーもまたその虜になった1人でしかも寄宿舎内でもトップクラスの腕を誇るのだから、なかなかその沼から抜け出せない。なんと物語が始まって280ページを費やしてようやくハーツの魔力から逃れる始末だ。

この魔術的な魅力を持ったハーツとの別れまでに語られるのは寄宿舎に同居する同級生の面々とのエピソードと激化するベトナム戦争への抗議運動の芽吹き、そしてキャロル・ガーバーとの恋愛である。

キングの描く登場人物像は実に個性的で一読忘れがたいのが特徴だが、このメイン州立大学のピート・ライリーの同僚たちもまた同様だ。

つまりはこの章もいわばそれぞれがそれぞれの事情や理由で人生を変えた物語だ。

この章では青年期の終わりを描き、そして社会という荒波に立ち向かう予感と断片的にではあるが、荒波を生き抜いた末路が描かれて閉じられる。

そして次に始まるのは1993年のニューヨークに住むビル・シーアマンという謎のサラリーマンの一日を綴った話だ。そう彼はビリー・ガーフィールドの章に出てきたセント・ゲイブリエル校の生徒でキャロルに暴行を加えた3人のうちの1人でその後ボビーの愛用のサイン入りのアルヴィン・ダーク・モデルのグローブを盗んだウィリー・シーアマンだ。

これはウィリー・シーアマンの贖罪の物語である。

そしてまた時は流れ1999年のコネチカット州。語り手はジョン・サリヴァン。ビリーとキャロルの親友の1人。
そしてこの章はジョン・サリヴァンの回顧録のような話である。

これらそれぞれの時代と場所、そして各章のメインの登場人物に共通する存在がヒロインのキャロル・ガーバー。

前半の主人公ボビー・ガーフィールドに惚れ、自分からガールフレンドになることを申し出て、小学生の非常にピュアな付き合いが始まる。

これは在りし日の喪失と再生の物語だ。かつて思いのまま生き、何でも話せる仲間がおり、お互いが打算や駆け引きなどせずに時間を共有していた純粋無垢な黄金時代が誰しもあったことだろう。
本書はそんな眩しい日々が人生が長じるにつれて失われていく哀しみを、心の痛みをそれぞれの立場と人生の道程で語った物語だ。そしてその輝かしい日々を失ったそれぞれの人生が転落しているのが何とも痛ましい。

従って本書は年を重ねれば重なるだけ、胸に痛切に迫るものを感じるだろう。読者もまた同じように人生を重ね、本書に書かれたボビー・ガーフィールドやピート・ライリー、ウィリー・シーアマン、そしてジョン・サリヴァンの思い出に自らのそれを重ねて甘くて苦い思いを抱くに違いない。少なくとも私はそうだった。

『アトランティスのこころ』という一風変わった不思議な題名の本書ではしかし、アトランティスが登場するわけではない。
しかし私はアトランティスはいわば象徴なのだと捉えた。それは“失われた大陸”もしくは“失われた楽園”を意味する。原題が示すように、アトランティスに置いていった心、すなわちもう戻れないあの頃の思い出を指す。

本書を読みながら自分も色んな思い出が蘇った。
私は惚れやすく、クラス替えがあるたびに好きな女の子が変わっていった。しかし当時恥ずかしがり屋で奥手の私はその誰にも告白はできなかった。唯一友人に騙され、好きな女の子の名前を云った時に、自分が風邪で休んだ時にクラス中にそのことがバラされたことがあり、その子が凄い剣幕で迷惑だと云わんばかりに私に詰め寄ったことがあった。

社会人になって女性の飲み友達が出来て、その娘が会社の後輩を好きになったから付き合えるよう手伝ってほしいと頼まれたので、そうしていたらいつの間にか自分の方が彼女を好きになっていたこともあった。

そんな色んなほろ苦い思い出が次々と蘇った読書だった。みんな私のキャロル・ガーバーだった。
しかしキャロルと違い、その中の1人とてメディアに出るようなことは、今に至ってもない。だから近況は全然判らない。

もし私のキャロルの1人に遭えたのなら、どんな顔をして私は対面するだろうか。どんな感じに話をするだろうか。

ボビーやキャロルのようにお互い年を取ったよね、とそんな風に自然に話せたら、もうそれは恋の、そして思い出の終わりだろう。

そんな日が来ることは叶わないだろうけど、どうかみんな元気でいてほしいと切に思う。

何ともセンチメンタルな物語だな、これは。まいったよ、全く。

しかし何とも美しい物語ではないか。この物語にはオールディーズが似合う。
私の頭の中に最後に流れるあのメロディ、それはポール・アンカの“Diana”だった。これぞボビーの最後の想い。

“Oh, please stand by me, Diana”

▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

長い!長すぎる!

ホラーだと思って読んでいたら・・・・これ、ホラーじゃないんですね!
(途中、チラっとそんな展開がありますが)

欲をいえば、前半だけで構成して、1人の少年の物語で書いてほしかったな~。
後半にも関連はありますが、途中長すぎて飽きちゃいそうでした。

前半だけなら、8点!
ドノヴァンの「アトランティス」が合うんだな~。

ももか
3UKDKR1P
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No.41:
(4pt)

州立大学での寮生活を思い出した

ひょんなことからこの年になってキングにはまり、次々と読んでます。
キングにしては異色と呼ばれるこの作品、それでも特に上巻はそんなことも感じず読みました。
下巻の寮生活の部分は長かったけど、自分も若いころアメリカの州立大学で寮生活をしていた時期があったので懐かしく読みました。やはりアメリカの大学は厳しく、落伍していく生徒もいました。大きな学生食堂があって、試験の前は24時間開いていてそこで皆勉強にいそしんでいました。今も変わってないと思います。
ベトナムのくだりは今世界の複数の地域で起きている戦争の事を思いました。
さわやかな読後感。最後の最後まで。この作品は時を隔ててもう一度読み返したいです。
アトランティスのこころ〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アトランティスのこころ〈下〉 (新潮文庫)より
410219326X
No.40:
(3pt)

これ、失敗作じゃない?

Format: Kindle版
Publisher: Hodder & Stoughton (March 22, 2010)
ASIN: B003BKZW3Q のレビュー。

 1999年6月、キングは交通事故にあう。本書はその直後に刊行されたものだが、執筆は1998年に終了しており、つまり事故前の最後の作品ということになる。古くからのファンの間では、事故後のキングの作品は冗長でむかしの緊迫した密度に欠けるという意見があるが、この作品にすでにその傾向がある。
 キングの作品としては短い長編 Low Men in Yellow Coats、中編 Hearts in Atlantis 短編3作をあわせた連作集。

 長編 Low Men in Yellow Coats。『ダーク・タワー』シリーズの要素がまじっているのだが、この謎がまっったく解決されない。『ダーク・タワー』ものを読んでいない読者には、関連がさっぱりわからない。それから、ウィリアム・ゴールディングのLord of the Fliesが重要な要素になっているが、これを読んだことがない読者には、わからない引用が多すぎるだろう。(わたしは読んでいます)
 次のHearts in Atlantis、1966年の大学生活を描いたものだが、これが長い。作者自身の学生時代の雰囲気を語りたいのだろうが、くりかえしが多すぎる。今現在の若いひとが読んだら、わからない引用や言葉が多すぎるだろう。
 あとの短編も成功しているとは思えないし、全体のつながりがちぐはぐで、一冊の連作集としてまとまりがない。

 そういうわけで、キングの初心者にはすすめられないし、たくさん読んでいるファンも満足できないだろう。
アトランティスのこころ (上)Amazon書評・レビュー:アトランティスのこころ (上)より
4105019074
No.39:
(5pt)

本間郁男

映画とは又一部内容が違い良い。映画も良いも、やはり本は一番かな。
アトランティスのこころ〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アトランティスのこころ〈上〉 (新潮文庫)より
4102193251
No.38:
(4pt)

ベトナム戦争世代の痛切な痛みを静かに詩的に語るキングの筆力に引き込まれる

60年代に青春を過ごした世代、キングと同じ世代のベトナム戦争後遺症のお話なので、当時の音楽、TV、スポーツ等のネタがたくさん散りばめられてます。同時代でこれを経験した米国人が読めば、ますます懐かしさと後悔が増す、と思いました。
キングはこれが二冊目ですが、文章力と構成力に久し振り引き込まれました。男と女の40年越しのラブストーリーとしても読めます。
アトランティスのこころ (上)Amazon書評・レビュー:アトランティスのこころ (上)より
4105019074
No.37:
(5pt)

Kingの情景描写、人間描写を楽しめる連作小説

”…… Twenty minutes later, while he's dressing (the dark gray suit from Paul Stuart this morning, plus his favorite Sulka tie), Sharon wakes up a little. Not enough for him to fully understand what she's telling him, though. ……”

これは誰の文章だろう、と思わないだろうか?まるで村上春樹氏が喜んで、翻訳を引き受けそうではないか。実を言うと、この文は、”言うまでもなく”Hearts in Atlantis”から引用したものである。Kingは、こんなおしゃれな文も書ける。

Kingと言う作家をホラー作家として捉えるのは、簡単なことだ。初期の小説、”Carrie”から、”Salem's Lot”、”The Dead Zone”、”Shining”、”Pet Sematary”、”Cujo”………、数え上げれば、本当にきりがない。アメリカ人だって、Stephen King=Scary、だと思っている。けれども、もしそれだけの作家だったら、彼はあれほど人気を博すことができなかったかもしれない。少なくとも”Carrie”を1973年に書き上げてから、40年以上も一人の作家が、彼は多作だし、本当にProlificという形容詞が彼ほどふさわしい作家は少ない、ひとつひとつの作品も長いものが多い、”The Stand”、”It”、”The Dark Tower”、”Under the Dome”、”1963”、とペーパーバックで1,000ページを超える作品をこれでもか、これでもか、と書き続けている。もうすぐ70歳だと言うのに、創作意欲は衰えていない。彼の本当の魅力のひとつは、情景、人間の描写の細やかさにあるのではないだろうか。

こんな文は、どうだろう。

”…… She looked at him with her chin slightly tilted, the look that meant if Ted wanted to discuss this, she was ready. That she would go to the mat with him on the subject if that was his pleasure. …… She gave him a moment of the lifted chin, asking if he was sure, giving him time to change his mind. When Ted said nothing else, she smiled. It was her victory smile. ……”

”…… The cards settled. McQuown looked at Bobby with his eyebrows raised. There was a little smile on his mouth, but he was breathing fast and there were beads of sweat on his upper lip. ……”

もうひとつ忘れてはいけない特徴が、彼にはある。それは、元高校の英語の先生だと言うことで、これも意外にアメリカ人に知られていない。彼のエッセー、最高傑作だという人もいるけれども、”On Writing”では、彼は小説だけでなく、国語である英語の先生にもなっている。また彼の小説は、Archerなどと比べると、はるかに多くのVocabularyが要求される、もちろんArcherの文章は易しいけれども、豊かな表現力を否定している訳ではない。もうひとつのエッセーである”Danse Macabre”でも、Kingの基本的な姿勢は変わらない。

けれどもKingも人の子、彼の最大の特徴は、父親が、Kingの母親と二人の男の子、次男がKing、を残して家を出て行ってしまったことだろう。それが多くの作品のあちこちで、現われる。そして母親に対する深い愛情も、深く描かれている。例えば”Dolores Clairborne”、”The Talisman”、………、そして短編の”The Breathing Method”でさえ、母親の子を思う気持ち、逆に子どもが母親を思う気持ちが描かれている。

主人公Bobbyが、Kingの分身ではないか、と思えるこの連作小説でも、こうした特徴は随所に見ることができる。冒頭からして、例外ではない。

”…… Randall Garfield was spared this extremity by dying of a heart attack at thirty-six. ……”

Kingの小説では、父親の存在は影が薄い場合が多い。彼の人生を知っていれば、それも仕方のないことだろう。それは、Kingの作品が弱いと言う意味ではない、と思う。

ところで、なぜ「アトランティスのこころ」と言う邦訳になるのだろう。これでは、本を手に取る人たちが戸惑ってしまわないだろうか。小説の内容どおり、「ハーツ・イン・アトランティス」にしなかったのだろう。

そんなことを考えながら、このホラーとはほど遠い作品である”Hearts in Atlantis”を読んだ。
アトランティスのこころ〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:アトランティスのこころ〈上〉 (新潮文庫)より
4102193251



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