幸子が道夫の手の傷に不審感を抱いた一週間後、波多野雅子の死亡が報じられた。

ねえ、知ってる?“情報通”の笠井京子は、帰宅したばかりの夫に話しかける。お隣に越してきた人たち、ちょっと変なのよ。

「おまえは悪魔の申し子だよ」狂信的な母、スクールカーストの最下層…悲劇はその夜、訪れた。

地下採石場跡の巨大な洞窟に、核シェルターの設備を造り上げた〈ぼく〉。

顔も見知らぬ許婚同士が、十数年の愛情をつらぬきとおし、藩の奸物を討って結ばれるまでを描いた『朝顔草紙』。

ニュージャーナリズムの旗手が、バーボングラスを傾けながら贈るスポーツ、贅沢、賭け事、映画などについての珠玉のエッセイ15編。

青江又八郎、ふたたび脱藩! またしても用心棒稼業に身をやつす。 藤沢周平の大人気シリーズ、第二弾。

海に向って追放された武士の集団が、川を遡って、四国の山奥に《村=国=家=小宇宙》を創建し、長い〈自由時代〉のあと、大日本帝国と全面戦争に突入した!? 壊す人、アポ爺、ペリ爺、オシコメ、シリメ、「木から降りん人」等々、奇体な人物を操り出しながら、父=神主の息

笑う月が追いかけてくる。直径1メートル半ほどの、オレンジ色の満月が、ただふわふわと追いかけてくる。

あの時あの女と添い遂げていれば……。 捨てた女を妓楼に訪ねる男の肩に、時雨が降りかかる。

鼬族の惑星クォールの刑紀999年6月3日、国籍不明の2基の核弾頭ミサイルによって国際都市ククモが攻撃され、翌4日、無数の小型単座戦闘艇に乗ったオオカマキリを従えた文房具の殺戮部隊が天空から飛来した。

田中麗奈、東山紀之主演映画『山桜』の原作を収録。

四年間の江戸詰めの間に許婚・小房の父が狂死し家族は追放されるという運命に遭った信三郎が、事件の決裁に疑問をいだいて真相をさぐり、小房と劇的に再会するまでを描いた『菊月夜』。

ヨーロッパのハネムーンから戻った伸子は、出迎えた兄から突然、会社重役の父羽川重信に会うようにと告げられた。

白装束に高足駄、髭面で好色そうな大男が、羽黒山からやって来た。

キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくわえた富豪刑事こと、神戸大助が難事件を解決してゆく。

校内暴力の嵐が吹き荒れる都内S区の開陽中学。ある日、その中学の不良女生徒の死体が発見された。

宵節句の宴で七重は隣家の出三郎の袂に艶書を入れる。

分裂病と覚醒剤中毒の治療・研究に成果をあげている南仏、マルセイユの大学病院で首なし死体がみつかった。

地方から都会に出てきて、ひとりで暮している若い女のもとに届いたダイレクト・メールの内容は? だれもが見すごしてしまいそうな、目立たない家に住んでいる夫婦者の正体は? 熱帯の小さな国の独裁者に捕えられた男の運命は? めまぐるしく移り変る現代社会の裏の裏のから

紀州徳川家がイスパニアから武器を密輪して幕府転覆をはかっているらしいー前代未聞の大陰謀を解明すべき奔走をはじめた兄たちによって花田万三郎は長崎から江戸に呼びもどされる。

失踪から三日、お内儀は不思議な色香をたたえ帰ってきた……。 市井の哀歓を情感深く描き出す江戸庶民十一景。

戦乱の渦がいやおうなく忍びの世界をも巻きこんだ豊臣秀吉の治世ー甲賀忍者・上田源五郎は、亡父の敵とは知らず、その娘を愛した。

江戸中期、変転する時代を若き血をたぎらせて生きぬいた旗本・徳山五兵衛――逆境をはねのけ、したたかに歩んだ男の波瀾の絵巻。

権十郎が江戸に帰った翌年、五代将軍・綱吉の死を追うように、反目しあった父は逝った。

時は元禄ー旗本の息・徳山五兵衛（幼名・権十郎）は、妾腹の子ゆえに父から疎まれていた。

ある日とつぜん、おとぎ話の主人

元・岡っ引きの伊之助の心に去来する、別の男と死んだ女房の面影――。 時代小説の名手が描く、江戸のハードボイルド。

ある日とつぜん、おとぎ話の主人公になりたいと、とんでもないことを言い出した〈王女〉、なぜか、鬼が見えるという患者で繁盛する〈神経科の医師〉、街頭で通行人相手にキャンディーを売る〈ロボット〉etc.未来・現代・過去を一つの次元にとらえ、迷路のように入り組んだ

人は精がのうなると、死にとうなるもんじゃけ―祖母が、そして次に前夫が何故か突然、生への執着を捨てて闇の国へと去っていった悲しい記憶を胸奥に秘めたゆみ子。

「縮む男」は処刑され、もと自衛隊員は逃亡に失敗して自爆した。

ヴェトナムの戦場で著者が得た過酷な経験を基に、回復できない男の魂の彷徨を描く。

鯨と樹木の代理人大木勇魚(いさな)と、現代のノアの洪水に船出する自由航海団。

鯨と樹木の代理人大木勇魚(いさな)と、現代のノアの洪水に船出する自由航海団。

夏の朝、突然救急車が妻を連れ去った。妻を求めて辿り着いた病院の盗聴マイクが明かす絶望的な愛と快楽。

たとえ天国の眼前にあろうとも、一人の餓鬼畜生道の徒あるかぎり我らは昇天せじ…。現世で世直しは可能なのか。

幼なじみの多津が嫁ぐ相手には隠し子がいる。

様々な人間が日毎行き交う江戸の橋を舞台に演じられる、出会いと別れ。男女の喜怒哀楽の表情を瑞々しい筆致に描く傑作時代小説。

あと百日の生命と宣告された武士が、己れを醜く装うことで師の家の安泰と愛人の幸福をはかろうとする苦渋にみちた心情を描く『月の松山』。

《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》――醜聞(スキャンダル)にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。