タリスマン



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    初公開日(参考)1987年07月
    分類

    長編小説

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    タリスマン〈上〉 (新潮文庫)

    1987年07月29日 タリスマン〈上〉 (新潮文庫)

    ジャック・ソーヤーは12歳、病身の母と2人、アメリカ東海岸の保養地でひっそり暮している。母の病気は癌らしい。ある日、さびれた遊園地で、ジャックは不思議な黒人スピーディに出会った。タリスマンがあれば母は助かる、そう彼は教えてくれた。タリスマンとは一体なんだろう?ジャックは独り試練の旅に出発する―母の生命を救うために。2人の巨匠が作りあげたファンタジー巨編。 (「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    タリスマンの総合評価:6.45/10点レビュー 11件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    今に至るファンタジーの要素が詰まっている

    キングが初めて共作した作品が本書『タリスマン』。キングとストラウヴがその豊富なアイデアを惜しみもなく注ぎ込んだファンタジーとロードノヴェルとを見事に融合させた1000ページを超える大著だ。
    解説によればキングとストラウヴがそれぞれ交互に話を書く、リレー方式で書かれたらしい。それぞれがそれぞれの文体とは解らぬように意識的に文体を真似て書いたようだ。

    2人が初めて共作した作品はいわば典型的なファンタジー小説と云えるだろう。女王の命を狙う敵から守るためにタリスマンを手に入れる旅に少年が旅立つ。

    ただ異世界だけを舞台にしているのではなく、我々の住む現実世界とテリトリーと呼ばれる異世界とを行き来しながら冒険するところが特徴だ。そしてテリトリーに分身者と呼ばれる第二の存在を持つ人間が10万人に1人の割合でこの世には存在し、ジャックの父親フィリップ・ソーヤーと母親リリーが共に分身者を持つ存在であること、そしてフィリップがリリーに遺した会社の半分の持株を狙い、そして親子の命まで狙う父親の会社の共同経営者モーガン・スロートもまた分身者を持つ者であること、ジャックが移転先で知り合った放浪の黒人ミュージシャン、スピーディ・パーカーもまた分身を持つ存在であり、ジャックは唯一2つの世界を自由に行き来できる存在であるという設定だ。

    しかしこの設定も2018年現在では全く新しいものではない。むしろ現実世界と異世界を行き来する話は既にいくらでもあり、例えば現実世界とは地続きであるが、世界的大ベストセラーとなった『ハリー・ポッター』シリーズもまたその系譜に繋がるだろう。

    またこの現実世界と異世界という設定は我々が日常で利用しているウェブ社会と考えれば親近性を持った設定である。分身者は即ち、今でいうアバターである。

    ただ本書は1985年に書かれた作品である。当時はインターネットすらなく、パソコン通信の創成期といった時代である。キングとストラウヴ両者がこの新しい技術を当時知っていたかは不明だが、そんな時代にこのような二世界間を行き来する作品を描いていたことは実に興味深いし、先見性があると云えるだろう。

    ただ現実世界から異世界へ現実世界の人間が紛れ込むという設定は今では田中芳樹氏の『西風の戦記』が1987年、小野不由美氏の『十二国記』シリーズが1991年からで、海外のSF、ファンタジーに疎いため、そちらは不明ながらもいずれも後発作品であることを考えると、当時としても斬新な設定だったのではないかと思われる。

    読み進むにつれて次第にこれは2人が紡いだ新たな『指輪物語』だと云うことが解ってくる。

    最初にジャックがテリトリーで襲われるのはエント。これは『指輪物語』に出てくる木の巨人だ。そして作中何度でも『指輪物語』が主人公ジャックから語られる。
    ジャックが母、即ちテリトリーを統べる女王の命を救うために手に入れるのがタリスマン。『指輪物語』は諸悪の根源、冥王サウロンを滅ぼすため、ホビットのフロドたちが彼の持つ「一つの指輪」を破壊する物語。更にその指輪を破壊するために「滅びの山」へと向かう。
    一方本書ではタリスマンを手に入れるため、世にも恐ろしい土地「焦土(ブラステッド・ランド)」へと向かう。どちらも灼熱の土地でそこに行くのでさえ苦難を伴う。そして本書では「焦土」は火の玉が飛んできては転がり、その日の弾に近づけば髪が抜け、皮膚が爛れ、吐き気をもよおし、内臓もやられ、死に至るという過酷な場所。
    ジャックはその話を聞いて当時アメリカ西部で行われていた核実験のことだと気付く。一方『指輪物語』の「一つの指輪」も原子爆弾を象徴していると云われている。斯くも共通項が多いこの2つの物語だが、『指輪物語』がホビット、エルフ、ドワーフ、人間といった異種族の代表チームで旅を続けるのに対し、本書は若干12歳のジャックが孤独に旅を続けることが違う。また現実世界と異世界テリトリーを行き来できるところもまた異なっている。つまりこれは『指輪物語』と現実とを結びつけて語るファンタジーなのだ。

    そんなキングとストラウヴが創った異世界テリトリー。それは科学の代わりに魔術が使われる農業王国だ。

    テリトリーと現実世界を魔法のジュースで行き来することが出来るジャック。他方で危機に陥ればジュースを飲んで別の世界に逃れることが出来る、もはや万能の能力のように思えるが、移動のたびにジャックは頼みの綱の魔法のジュースを零してしまい、そのため自由自在に行き来できなくなっている。
    従ってジャックは現実世界ではヒッチハイクをして移動し、荒くれたちの住む町オートリ―では酒場のバイトをして金を稼ごうとするが、ずる賢い主人に給料の半分を天引きされたり、ちょっとしたミスで殴られたりと、酷い仕打ちを受ける。

    そのうちテリトリーと現実世界との境界が曖昧になってくる。

    例えばジャックを旅から戻らせようと執拗に酒場には電話が掛かってくるし、人の姿をした黄色い眼の山羊男エルロイがジャックに襲い掛かる。

    ジャックの父フィリップと共同経営者モーガンはテリトリーを自分たちの商売に利用して成功してきた。しかし慎重派のフィリップはあくまで大きな変化を与えることを望まぬ一方、会社を一刻も早くもっと大きくしたいモーガンはテリトリーにない電気や近代兵器、いわば現代科学という魔術を持ち込んで、荒稼ぎをしようと企む。

    しかしテリトリーと現実世界は相互に作用しあい、片方で起こった出来事が他方に何らかの形で影響する。
    例えば国王の暗殺がきっかけで起きた3週間の戦争がテリトリーで起きたその日は現実世界では第2次大戦が勃発した日。それは6年間も続いた。そして他方で人が死ねば片方でも人が死ぬ。つまり大きな変化をもたらせばそれは更に大きな形で現実世界に作用するのだ。

    その片鱗が恐らく山羊男の現実世界への侵略だろう。既に双方の世界の境が壊れつつあるのが物語の状況だ。

    その後も旅は続く。テリトリーでは市場町に向かって、そこで初めてその世界の通貨の使い方を―詐欺に遭いながらも―学び、西方街道を行く途中では塔に上ってそこから羽を広げて宙を優雅に羽ばたく人たちの姿を見て、そこに人生の喜びを見出す。

    エージェントの父と女優の母親を持つジャック・ソーヤーはいわばサラブレッドといった普通の子とは異なる洗練された家庭の生まれである。彼はいつの間にか、母親の女優の血を受け継いだかの如く、現実世界とテリトリーとの間を行き来しながら、出逢う人々を持ち前の想像力と演技力で引き込みながらアメリカ横断の旅を続ける。

    しかしジャックに協力する人たちはジャックが嘘をついていることに薄々気づいている。つまり世間の大人もそう馬鹿ではないということだ。しかし嘘をつかれながらもジャックに協力したくなる魅力が彼には備わっている。

    ヒッチハイクをしているジャックを拾ったあるバディー・パーキンズはジャックの笑顔を見て美しいとさえ思う。彼の内面から輝き出すものが、経験を積み重ねた者が見せる苦難に打ち克ってきた者の強さを垣間見たのだ。

    一方で彼の風貌ゆえに小児愛者の、男児性愛者の興奮を掻き立てることもあり、ジャックを拾ったドライヴァーの中には故意に性的行為を求める人物も少なからず出てくる。そんな輩に対しても上手く対処する方法をジャックは身に着けるようになる。
    しかし少年の旅を描くのに、現代アメリカの暗部をきちんと描く辺り、実にキングらしい。もしくはストラウヴによる演出なのかもしれないが。

    可愛い子には旅させよ。
    12歳のジャックの旅はまさに彼の成長の物語である。この旅でジャックは色んな人々と出逢い、年齢以上の人生経験を積むことになる。

    何度も挫け、何度も泣き言を云いながらもジャックは母親を救いたい一心で旅を続ける。しかしテリトリーと現実世界を行き来することが影響して奇妙な地震が起き、アンゴラで7名もの死者が出る建設中のビル倒壊事故に責任を感じ、自分の旅で数多くの関係のない人が亡くなるのではないか、母親1人の命を救うために多くの犠牲者が出るのではないかと絶望する。

    そんな時に出遭ったのが彼の支援者である放浪の黒人ミュージシャン、スピーディの分身とも思えるスノーボールという盲目の黒人ギタリスト。彼があるメッセージをジャックに告げる。

    誰かが何かをしたために人が死ぬこともある、だけど何かをしなかったからもっとずっと大勢の人が死んだかもしれない。

    つまりやって後悔する方がやらずに後悔するよりもはるかにましだと諭す。

    そして物語の中盤、テリトリーで父親のことを知るウォーウルフのウルフと出逢い、彼とジャックは旅を共にする。ウォーウルフでありながら、山羊たち家畜の世話をする、実にミスマッチな役割を宛がわれたウルフの設定が実に面白い。

    しかしウルフと知り合うや否や、ジャックの旅を食い止めようとするモーガンがようやく彼の居所を突き止め、彼を殺害しようとするが、その時、モーガンの魔の手から逃れようとウルフと共に現実世界へと舞い戻る。狼男のウルフが未知なる現実世界でジャックと行動を共にする辺りは本書の読みどころの1つである。
    彼が狼男で満月の夜3日間は狼になり、その本性を剥き出しのまま、ジャックすらをも獲物として食らおうとする、この信用ならぬ共存関係のスリルはまさにこの2人の巨匠の独壇場とも云うべき、特殊な設定だ。
    ウルフが守る『良き農耕の書』というテリトリーに伝わる農業の指南書には満月の日には家畜を襲ってはいけないと書かれ、それを一身に守ろうとする。獣の本性を剥き出しにしながらもウルフはジャックを家畜として扱い、そしてこの鉄則を守ろうと努力する。

    やがて彼らはケイユガという町で不審者として逮捕され、そこにあるサンライト・ホームという更生施設に入れられる。そこはなんとテリトリーでモーガンの腹心の部下であるオズモンドの分身者サンライト・ガードナーが経営する、悪しき更生施設だった。

    ここは本書における最初の山場だ。

    ジャックがヒッチハイクを再開して目指す場所は、宿敵モーガン・スロートの息子でありながら大の親友であるリチャード・スロートがいるセア・スクール。そこで昔と変わらぬ親友と出逢ったジャックはリチャードにこれまでのことを打ち明ける。全てを信じないながらも一応リチャードが理解を示した頃、学校では奇妙なことが起きる。いつの間にかクラスメイト達は消え失せ、代わりに上級生によく似た半獣の人間がジャックを突き出せとリチャードを脅す。リチャードは幼い頃、父親がいなくなった時に体験したあるトラウマからそれは現実ではなく悪夢であると思い込もうとする。しかしジャックへの魔の手はどんどん迫り、やがてセア・スクール校長のミスター・ダフリーまでもが人狼と化して2人に襲い掛かる。

    間一髪、とうとうジャックはリチャードと共にテリトリーへ跳躍し、そこから西へと向かう。昔列車の停車場だったセア・スクールはテリトリーでは汽車の乗り場であり、そこの番人アンダースから世にも恐ろしい土地「焦土(ブラステッド・ランド)」が広がる西に向けて走り、モーガンの依頼で彼の荷物を黒い館(ブラック・ホテル)まで翌朝運ぶことになっていたことをジャック達に教える。ジャックはそこにタリスマンがあると確信し、モーガンたちを一歩出し抜いて彼の列車を借りて黒い館へと向かう。

    この焦土の風景は楳図かずお氏のマンガ『漂流教室』を想起させる、醜悪な生き物たちの巣窟だ。放射能を帯びていると思われる火の玉が終始飛び交い、足が退化したミュータントの犬、それらを食らう巨大な地虫、猿のような革製の翼をもった小鳥、悪いウォーウルフ、半人半蛇、半人半鰐の異形の者たちやらが次々と登場する。

    とこのように次から次へとジャックの旅は不思議な出来事と人たちと出逢い、あるいは巻き起こしていく。

    この1985年に書かれた物語は上に書いたように今でも続く現実世界と異世界とを舞台にしたファンタジーに影響を与えたと思われる節が見られる。

    なんといってもまずは宿敵モーガンと主人公ジャックの父親フィリップとの関係だろう。ジャック親子の前に立ち塞がる敵モーガンは太って髪の薄くなった冴えない風貌である。彼はエール大学在籍時にジャックの父親フィリップと知り合うが、その冴えない風貌から常に彼を見下し、小バカにしているように見えた。これがモーガンの心中に澱のように溜まる劣等感による殺意を募らせることになる。

    この2人の関係性は『ハリー・ポッター』シリーズのセブルスとハリーの父親ジェームズとの関係によく似ている。この2人の関係性は本書に原形があるのではないだろうか。

    テリトリーと現実世界とを自由に行き来できるジャックは自分こそがただ1つの存在であることに気付く。かつてテリトリーを発見し、行き来していた彼の父親フィリップはテリトリーの他にも別のテリトリーがあることを感じていた。
    その通り、無数のテリトリーが存在し、その全てが自分の世界のブラック・ホテルに入り、そしてタリスマンを手にしなければ得られない。そんなことは不可能だが、ただ1つの存在であるジャックのみがそれを可能となる。なぜならジャックは唯一無二の存在だからだ。

    毒にも薬にもなる存在、タリスマン。私は核爆弾を象徴していると思った。
    癌に侵され、死にかけた母親を救うためにジャックが求めたのはこのタリスマン。強大な力を持つこの球体が核爆弾を象徴しているというのは荒唐無稽に思われるが、自分なりの解釈を以下に述べたい。

    本書が書かれた1985年は各国が競って核爆弾を所有し、アメリカでは頻繁に核実験が行われていた頃だ。

    他国が持っているから自国も所有して他国からの侵略に対して備え、安心しようとする。それは国にとっては防御力ともなるが、暴発すれば自国をも滅ぼす死の兵器である。
    そしてそれを各国が手放すことで真の平和が訪れる。そして黒い館に至る道のりにある焦土は火の玉が飛び交い、それに触れると放射能に侵されたような症状になることもまたそれを裏付けている。

    ちょうど非核化対策が注目された米朝首脳による初会談の行われた時にこの作品を読んだからそう思ったのかもしれないが、いやそれだけではないだろう。私はまたも本に引き寄せられたのだ。

    最後のむすびの文章が実に憎い演出だ。主人公の名前から私の中にはある物語の主人公のことが浮かんでいたのだが、それはこの2人の作家が意図したことらしい。
    最後にあの有名な作品―マーク・トウェインの『トム・ソーヤーの冒険』―のむすびをそのまま使い、またそれが実にこの物語を結ぶのに似合っている。

    2人の稀代のホラー作家が紡いだファンタジー・アドヴェンチャー・ノヴェルは彼らによる新たな『指輪物語』でありながら、少年少女文学不朽の名作へのオマージュだったのだ。
    読み終えて冒頭を見てみるとそこには『ハックルベリイ・フィンの冒険』からの抜粋があることに気付かされる。キングとストラウヴによるトムとハックの物語。しかしそれにしてはちょっぴり、いやかなり辛口の味付けだったのはご愛嬌か。

    しかしマーク・トウェインが後にハックを主人公にした『ハックルベリイ・フィンの冒険』を書いたように、2人がリチャード・スロートを主人公にした物語を紡ぐかと云えばそれはないだろう。
    なぜならジャックとリチャードには決定的な違いがある。それは異世界を知る喜びを持つジャックに対し、リチャードは異世界に恐怖を抱き、目を背け現実のみを頑なに信じようとしたからだ。幼い頃に消えた父親を追ってテリトリーに迷い込んだリチャードはそこで異形の者に遭遇し、命からがら逃げだし、それがトラウマとなって、一切の物語を遮断することにし、超常現象全てに現実的な答えを見出すようになる。
    物語の面白さを愉しむジャックと物語を愉しめないリチャードという2人の差は本を読む人、読まない人の心の豊かさの違いを示唆しているようにも思える。

    はてさてこの感想を挙げるにあたり、思いつくままに本書から想起される物語を挙げてきた。
    『ハリー・ポッター』、『十二国記』、『西風の戦記』、『指輪物語』、『漂流教室』、そして『トム・ソーヤーの冒険』。
    古今東西の小説やマンガのエッセンスが本書にはそこここに詰まっている。さらにブラック・ホテルでの対決でモーガンが見せる、両手の拇指を耳の奥深く突っ込んで残りの指をひらひらさせて「アッカンベー」をし、その後で舌を噛み切る、滑稽ながらも恐ろしい仕草や彼の腹心の部下ガードナーが呂律の回らない状態で狂い叫んでジャックに襲い掛かるところなどはまんま『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくる個性的な悪党そのものだ。

    2人のホラーの大家がタッグを組んだ本書には物語を愛し、その力を信じる2人の情熱が込められている。
    色々書いたが、本書は愉しむが勝ち。それだけのアイデアが、多彩なイマジネーションが溢れている。
    そう、本書そのものがタリスマン―本を読む者へのお守りであり、読者を飽きさせない不思議な力を持っている。


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    No.10:
    (3pt)

    トールキンに影響されたファンタジーかも

    本作はピーターストラウブとキングの共作。
    読むたび、ああ、お互いにアイデア出し合ったなと分かる分面、内容ですが、些かストーリーが未消化な感も致しました。
    後に二人は「ブラックハウス」も発表していますが、読んで見ての主人公の少年の成長ぶり、ラストがもう少しなあ、という感想です。
    ストラウブはキングと違い純文学、ダブルスーツ、キングのロック好きとは違っています。ストラウブのゴーストストーリーの繊細さ、また、キングのスタンドバイミーともに展開、入り組んだストーリーは確かに魅力的ですが、ホラー仕立ての要素が薄く、おそらくまだまだ手探りの段階と思われます。
    母と子、親子の絆を追いかける描写はよく書けているので初心者には最適かも。
    タリスマン〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:タリスマン〈下〉 (新潮文庫)より
    410219309X
    No.9:
    (1pt)

    何これ?

    可だったから仕方なかったのですか、ヨレヨレ、カバー無し。
    紙屑同然じゃないですか。
    そりゃ一円だったので文句言えませんが、せいぜいパラフィンかなんかで包装しといて。
    出品者さん、わかりますか。
    これ商品に値いしませんよ。
    もっとも読み手の泣きどころだから、返品はしませんが。
    困ったなあ。
    タリスマン〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:タリスマン〈上〉 (新潮文庫)より
    4102193081
    No.8:
    (5pt)

    MOTHERの原点として

    ゲームシリーズ「MOTHER」の着想源として糸井重里氏が度々名前を出すこの作品。昔読んでハマりました。よく指摘される長い。冗長だという部分はMOTHERファンの下敷きがあったからかRPG感覚で、あまり気になりませんでした。
    確かにMOTHERに近い部分がそれとなく見受けられます。ヒロインが不在のナイトメアモードのMOTHERという感じ(これだけ長い旅をしているのに女性が母親ぐらいしかまともに登場しないのは何故だろう)です。

    全体として、王道の少年の成長物語・冒険物のエッセンスとキングらしいダーティなアメリカ、恐怖が混ざり合った作品です。
    それを素晴らしい融合と見るか、両者が喧嘩して浮いていると見るかは人それぞれだと思います。
    タリスマン〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:タリスマン〈上〉 (新潮文庫)より
    4102193081
    No.7:
    (1pt)

    ファンタジーではある

    現実世界と「テリトリー」を行き来して旅をするファンタジー。
    母親は死にそうだし、行く手は始終困難しかないというナイトメモードのため読んでてストレスがたまる。
    その割にカタルシスもあまりないから読者に"救い"はない。
    共著ということで他のキング作品に見られる詳細描写がなくスッキリ読めるが、なぜかキング独特の饒舌な言い回しや表現もない(訳者の問題か?)ため読んでて楽しくない。
    少年成長記という面を持つが、なんせ道のりが過酷な割りに行き着く先が不明すぎて読み進める原動力がドンドンそがれてしまう。
    中盤の「出会い」によってある程度ページめくりが軽やかにはなるが・・・・・・。
    少年の日の青春や郷愁を感じたいならITやスタンドバイミー等を素直に読めばいいと思う。
    ダークタワーファンでもなければ無理して読む作品でもない。
    この文は共著のせいなのか訳者のせいなのか・・・・・・。
    ブラックハウスはいずれ読むことになるだろうが心配。
    タリスマン〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:タリスマン〈上〉 (新潮文庫)より
    4102193081
    No.6:
    (4pt)

    長いのはもう仕様だから

    ひたすら冗長ともいえる描写が続いて、あーもう、読むのやめようかな…
    という葛藤と戦ってしまうのは、私がファンタジーものが苦手だから。
    しかし、キングの作品だから、という一心で読み進めました。

    病床の母親を救うため『タリスマン』を求めて冒険に出る12歳の少年。
    キング流ファンタジーなので、ダークな描写も満載で、12歳には酷すぎる、
    悲しすぎるのではないかという試練が次々と主人公と仲間たちを襲います。

    学生の頃に一度読みましたが、いい大人になって読み返してみたら
    自分が息子を持つ身だからでしょうか、胸が熱くなるものがありました。
    タリスマン〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:タリスマン〈上〉 (新潮文庫)より
    4102193081



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