ピアノ調律師の一藤麻衣子には、秘密があった。

民生委員の千加子は、「レインボーハイツ」とは名ばかりの、くすんだ灰色のマンションをたびたび訪れる。

一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。

謎の骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見つけた家具職人・豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。

がんで余命半年と宣告されたヤミ金業のマキ子。落ちぶれた取り立て屋の乾。

祖父と父が日々女を連れ込む、通称・たらしの家で育った庭師の雅雪は、二十歳の頃から十三年間、両親のいない少年・遼平の面倒を見続けている。

何度も同じような悪夢を見る。それはさまざまな女をいたぶり殺すことでエクスタシーを覚えるという夢だ。

タワーマンションが建ち、人口が急増する街で古くから続く花屋を営む桜子。

優秀でありすぎるが故に引きこもりとなった18歳の堤隆太の前で、突然手首を切った女性。

ここは青い夜露に濡れた甘い匂いの土の国ー狂気の恋に落ちた女子高生、奇妙な絵の修復を依頼された女、不治の病に侵された男、謎のケモノと少年、死んだ人間が見える女…都市の真ん中の城山の周辺で不可解な悲劇に見舞われる人々。

友人と旅行代理店を経営している四十二歳の鞠子は、十一歳も年下の男と付き合っているが結婚する気はない。

上場企業『ザイゼン』の社長財前彰太は、妻の由布子、娘の美華と三人で幸福に暮らしていた。

ホラー&ミステリの宇佐美まことのデビュー作。受賞作を含む7篇を収録。

労働者相手の娯楽の街として栄えた多摩川市は、貧困、暴力、行くつく先は家庭崩壊と、児童相談所は休む暇もない。

『雪の鉄樹』で話題の著者による、衝撃のミステリー。

毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。

認知症になった益恵を、二十年来の友人アイと富士子が最後の旅に連れ出した。それは、益恵の人生の足跡を辿る旅。

鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也(かけいまさや)に届いた一通の手紙。

大阪の港町で居酒屋を経営する藤太の元へ、中学の同級生・秋雄が少女ほづみを連れてきた。

鄙びた港町にある銭湯、みなと湯は地元で暮らす昭和世代にとっての密かな憩いの場だ。

とある山荘で会社経営者の妻と8歳の息子が転落死した。夫は無実を主張するも、容疑者として拘束される。

第13回小説現代長編新人賞受賞作。 長野の冬は長く厳しい。

他人の家とは何かが「ズレて」いる――。

白昼の駅前広場で4人が刺殺される通り魔事件が発生。

警察のあきれた怠慢のせいでストーカー被害者は殺された!? 警察不祥事のスクープ記事。

警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。

友人と旅行代理店を経営している四二歳の鞠子は、十一歳年下の男と付き合っているが結婚する気はない。

「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の〈私〉は驚愕する。

誘拐×時効、二度敗北した静岡県警。三度目の機会は、ないはずだった。

かつて乙霧村で、戸川稔という男によって一家五人惨殺事件が引き起こされた。

初読はミステリ、二度目はホラー。この島の謎に、あなたもきっと囚われる。

三姉妹の長女・百合が次女を殺した。

東京五輪プレマラソンで大規模な爆破テロが発生。救急救命士の向井圭吾は地獄絵図と化した現場で救助活動にあたる。

母は死に、父は人を殺した――。

すべては、乙女のいびつな欲望から始まった ――衝撃のラストが待つ背徳のミステリー その朝、双子の老姉妹が手に手をとり、崖から飛んだ。

山深い寒村の旧家・蒼具家では、「盆に隠れ鬼をしてはいけない」と言い伝えられている。

孤独を愛する人気作家が突然の断筆宣言。担当編集者は作家の住む地方へひとり、向かった。

どうすれば、気持ちが伝わるのだろう? 出会ったことは、運命だったのか? この感情は、恋なのか、ストーカーなのか――。

大手製薬会社社員の藤井賢一は、不祥事の責任を取らされ、山形の系列会社に飛ばされる。

その女を、入れてはいけない。入れれば最後、家はたちまち食い尽くされる。

マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。

大阪で鷹匠として働く夏目代助。ある日彼の元に訃報が届く。

我が家を地獄につきおとしたのは、母でした――娘の口から明らかになっていく、母の異常犯罪とは。

想いは人知れず、この世の終わりまで滾り立つ―。死んでもいいと海を漂う茉莉香に、虚空を彷徨う大鷲が語りかける。

中学時代、いじめと病に絶望した野々宮恭子は 従姉妹の蒲生美智留に命を救われた。

昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上とコンビを組むことに。

内見したマンションはおしゃれな街のおしゃれな造り、環境も間取りも条件も申し分ない。

この違和感の真相を見破れるか? 一気読み&再読必至のダークミステリ! 僕は自分から何かを奪う人間を許さない――。

森二が刑務所を出た日、塀の外で二人の「兄」が待っていた―。

『ジェノサイド』の著者、11年ぶりの新作! マスコミには決して書けないことがある―― 都会の片隅にある踏切で撮影された、一枚の心霊写真。

家庭も仕事も行きづまっていた梅宮正樹は、妻子と要介護の母を連れ、田舎町・睦間に移り住む。

逼迫した戦況を一変させるという陸軍の軍事機密「カンナカムイ」をめぐり、 軍需工場の関係者が次々と毒殺される。

その物語は、人を殺す――。

十七歳の洋子は佐久間という工員の青年と恋に落ちる。だが仲間二名が殺害される事件が起き、犯人と疑われた彼は姿を消す。

元裁判官で、現在は大学教授を務める梶間勲の隣家に、かつて無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。