骨を弔う
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プチ・ホラーなミステリ小説を。 小学生のころに5人でやった行い。 とあるきっかけで30年前のあの時をたどってみることに。 5人はそれぞれに悩みを持ちつつ、それぞれの道を歩んでいた。 ”過去の出来事が今に作用し何かを変えるのかも”という。 それはもしかして、”希望”なのか。 | ||||
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最後の第六章の話の展開が、胸にぐっと来るものがあって、目頭が熱くなりました。 実はこの最終章で、話の序盤で仕掛けられていた種(たね)が開花し、そのポイントをスルーしていた読み手は「えっ! そうだったんだ!」と驚くことになってます。ですが、幸運にも(不運にも?)、わたしはその種に気づいてしまった。でもっ! 著者・宇佐美まことが話に潜ませたこの仕掛けは、わたしには心地よいものでした。「いつ、あのサプライズが発動するかな」とでもいった、何か倒叙ミステリでも読んでいくみたいなわくわく感がありましたね。 囚われた現在にもがくなか、小学生時代に起きたある出来事の謎を解きほぐしていく登場人物たち。そのなかでも、本多豊(ほんだ ゆたか)とその父親との、ぎくしゃくした関係が変わっていく辺りの話に、特に妙味を感じました。 本文庫の巻末の「解説」は、今から二ヶ月前の2023年1月19日に永眠された北上次郎氏。 この解説の最後で北上さんがおすすめされている宇佐美まことの二作のうち、未読の『愚者の毒』が気になるなあ。これは、読まなあかんな。ちなみに、もう一冊の宇佐美まことおすすめ本は、『展望塔のラプンツェル』。これは面白かったな。 うん。解説の最初の一行で北上さんの言うてるとおり、《宇佐美まことは面白い。》p.391 | ||||
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昔小学生の頃、一人の女の子がいけ好かない理科の教師を困らせるために骨格標本を 山に埋める。これを行ったのは本人の真美子とあと男の3人と女の子1人の合計5人。 そして30年後、川が氾濫しその標本が姿を現す。だが、そのグループの1人である豊は 考える、おかしい、自分たちが埋めた場所はもっと山奥でこの標本が出てきた場所では ないと。ひょっとすると自分たちが埋めたのは標本ではなくて本物ではないのか。 彼は今はバラバラに暮らしている仲間たちに声をかけて真相を探ろうとする。仲間たちは それぞれ40歳の中年男女となって人生の辛酸を舐めているものもいる。彼らは自分たちが 埋めたものは何かという真実探しの旅に出る。この設定と、登場人物たちが中年になって 人生の辛さから抜けられない焦りをそれぞれの視点から描くという発想が巧い。 そして真実らしきものにたどり着くが、真美子はもう白血病で死んだということを知って しまう。だが、この作品の面白さはこれからだ。最後の数ページは、温かくておもい切り おしゃれだ。希望を感じながら終わるエンディングは何とも言えない。宇佐美まことの筆力を 見せつけられた気分だ。 | ||||
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結論から言うととてもよかったです。意外と酷評が多いのにびっくりしました。力作だと思います。 作者の作品は、「入らずの森」「虹色の童話」「死はすぐそこの影の中」と読んできました。どれも人間の心の闇を描いたイヤミス、そして地方を舞台にしたどこか横溝正史的なホラー・ミステリでした。 作者の作品は暗いと思い込んでいたので、この「骨を弔う」をラストまで読んでびっくり。まさかこんなに明るいなんて。恐怖と闇で怖がらせるだけでなく、深い内容、そして人間に対する信頼感に満ちていて、作品のスケールが一回り大きくなりました。見事に脱皮したという印象です。 地元の名士たちが理科の授業参観に来る直前に骨格標本を盗み出し、傲慢な教師に恥をかかせてやろうとした小学生5人組。そのうちの1人豊は、30年後になって増水で崩れた河川敷から骨格標本がみつかったという新聞記事をみつけ、怪訝な思いにかられます。自分たちが盗んだものは山の中に埋めたはず。まさか埋められた骨格標本が2つあったはずはない。では自分たちが埋めたものはいったい何だったのか?まさか本物の骨では・・? ずっと独身で職も転々とし1人暮らしの豊。人もうらやむ議員の妻だが、実態は夫に暴力を振るわれ、義父母にもお飾りとしか思われていない京香。引っ越し後、白血病にかかり過酷な闘病をした真美子。東北で結婚し妻の実家を継いで民宿を経営、幸せに暮らしていたのに、家も家族もみんな津波で奪われてしまった正一。東京で恋人と暮らして広告代理店に勤め華やかな生活を送っているのに、何かが足りないと感じる哲平。 彼らが30年前の出来事を思い起こし、本当に起きたことは何だったのかを探り始めます。それは人生に惑う彼ら自身の自分探しでもありました。 それぞれの事情や心情は現実感に満ちて、1人の身の上話だけでも1本の小説になりそうです。どの人物にも共感できる部分があって話に引き込まれました。 途中から明らかになってくる真実は凄惨です。真相は途中でなんとなくわかってしまいますが、人間ドラマの占める比重が大きいのでそのあたりはあまり気になりませんでした。今までの作品と違って、非現実的なホラー(ほめ言葉でもありますが)の要素はありません。すべて足が地についた現実の物語です。 意表をつくラストと意外な人物の登場にはびっくりしました。あの陰鬱な作風だった宇佐美まこと氏がこんなウィットに富んだ”遊び”をするとは。この部分は賛否両論あるようですが、作者の茶目っ気を感じて思わず笑みが出てしまいました。 希望に満ちた終わり方で後味はとてもいいです。作者の言葉通り「この世界はまだまだ捨てたものじゃない」という実感がこみあげてきました。 | ||||
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ストーリーの展開がとても魅力的で一気に引き込まれました。 主人公が一人設定されているのではなく、登場人物一人一人の人生、細やかな心情や外からは窺い知れない深い部分が丁寧に描かれている群像劇。 一見、普通の中高年に見える登場人物たちが一人一人様々な苦しみや葛藤、迷いやトラウマを抱えつつもがきながら一生懸命生きている姿に、知らず知らずのうちに共感し胸が熱くなりました。 四国の田舎の狭い地域に限定された濃密なドロドロした人間関係と子供達のとある冒険の関係が次第に明らかになり、大人になった子供達の人生に大きく関わって変化させていく展開は一気読み! 人間の醜さや愚かさ、いやらしさ、支え合い助け合える人間の強さ、罪と罰と赦しなど、様々なテーマを内包しつつ、抜群のリーダビリティでグイグイ読ませます。 最後の最後まで驚きの展開が用意されていて、思わずニヤリ!最後まで楽しめたし、希望を感じる結末に読後感も良かったです。 しかし残念なのは、午後のメロドラマというか、火曜サスペンス劇場?的なあまりにも古くさい男女のからみのシーンの多さ……。あれさえなければ、またはもっとすっきりとクールな描写であれば、他の人にも薦めたいのですが、特に若い子に薦める気がしません、、、。 せっかくのストーリーを台無しにしちゃってると思うんです…。そこがとても残念。 魅力的な謎があり、一見田舎なのにそこに深いドラマもある、一人一人の登場人物の成長物語にもなってるのだから、クリスティの作品のように普遍的な作品にもなりえるのになぁ、もったいない…。(勝手な感想、すみません) | ||||
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