月白
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| 終戦直後の混乱期を舞台にしているため、戦争について描いた小説と受け止めるむきも多いようだが、これは別に反戦とか平和とかの物語ではないと思う。戦争を知らない世代に向けて書かれた作品と感じる人もいるかもしれないが、もはや戦後ではないと言われたのが 1956年、その翌年に生まれた著者とて戦争を知らないわけで、終戦後の悲惨な時代の経験を次代に受け継いでいこうなどというモチベーションも特にないはずだ。殺人犯がすぐに逮捕されることもなく、残忍な犯行が繰り返されるという設定が不自然とならないように戦後混乱期を選んだだけであり、描かれているのは、人としての尊厳を傷つけられたときの怒り。時代に関係なく、現代でも同様のシチュエーションであれば感じるであろうシンプルな激怒だと思う。我が子を一方的に殴打されたとき、自分や知人がレイプされかけたとき、知人の財産がすべてうばわれたとき、親族が死においやられたとき、そんなときにわきあがる怒りは時代を問うものではないだろう。この小説を読んで、「戦後は荒廃していたんだね~」なんて感想を持つ人は呑気すぎると思う。現代でも、子どもがリンチを受けたり、レイプされたり、全財産を奪われたりする事案は 戦後期と同じように起きている。そんな被害を受けたとき、激情にかられて相手を殺したいと思う人は少なくないだろう。その怒りを悪と決めつけることができるのだろうか。 これは戦後の物語ではない、北川フサは現代人の心のなかにいる。 | ||||
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| 宇佐美氏の新作を発売前から期待していたが、どうも残酷残忍な内容ではなかろうかと思い買うのを敬遠していた。 皆様のレビューが強烈ではなさそうなので、読んでみた。 自分は年なので、戦後の混乱期の話はよく聞いていたほうだと思う。混乱期の話はやはり「はだしのゲン」を思い出してしまう。 主人公の目線、戦中戦後現代を生きてきた老人の目線での文章はさすがに読ませる内容だった。ただどうだろう?危ういところでヒーローのような登場の仕方をする殺人者になぜか違和感をおぼえた、その部分が作品全体の「色」を明るくしていると自分は思った。この作は最初から「月白」の色のように冷たく辛い話で通したほうが良かったのではと思う。 | ||||
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| 終戦直後 上野の地下道 いつも空腹 生と死のぎりぎりの狭間で生きる浮浪児 不器用で直情、真っ当ではない正直、戦争に翻弄された一人の女性 冷たい世間への憎しみ… それは震える少年を見下ろす月は寒々しい白だった… | ||||
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| 戦争を知らない年代の人こそ読むべき。自分も。 | ||||
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| 息もつかずに読み通しました。 ミステリーとしても面白かったですが、戦争と人間についていろいろ考えせられました。 宇佐美まことの本はいつも人間の深い部分を洞察して表現していると思います。 | ||||
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