あの顔は、殺人事件の被害者にそっくり…。

昭和40年代の初め。わたし一ノ瀬真理子は17歳、千葉の海近くの女子高二年。

都内で小さなPR会社を経営する俵谷慎介のもとに、郷土史家を名乗る老人がふいに現れた。

海底の船に残る毬藻のような頭蓋骨、飢饉の悲劇をいまに伝える紙片、文人の葬儀に必ず現れる老女…。

このままでは、殺される―ある朝、シーツについた小さな血の染みをみつけて、ローズはそう口にしていた。

逃げた先の街でローズが見つけた不思議な絵は、異世界への入口となった。描かれているのは神殿の廃墟を見下ろす女性の姿。

古い祖母の家。草々の生い茂る庭。

膨張した変死体は、皮膚が透け、鮮血の中に白骨が見え、どろどろの脳が眼窩から溶けだしていた。

東西の壁が崩壊したベルリンで、日本の剣道の防具が発見された。

父の国であるドイツの現実に、次第に幻滅を覚えてゆく香田。

痴呆老人を収容する病棟で、ある「理想」が実験段階に入った―感動の嵐の中で最後に待ちうけるミステリーの衝撃。

帝都・東亰、その誕生から二十九年。夜が人のものであった時代は終わった。

酷寒のシベリアの町ノヴィ・ウレンゴイは、外国企業が支配しマフィアが暗躍する無法地帯だ。

わけもなく他人に怖れられる恐怖。

「吾輩は猫である。名前はまだ無い」この一行に、大きな謎が仕組まれていたとは―。

その子の眼に光が宿るのは、施設で飼っている豚の世話をする時だけだった。そして、食用とするためにその豚が連れ去られた時…。

休暇で京都を訪れた十津川警部が、愛宕念仏寺で見かけた寂し気な美女。

沖縄の女を渉猟する男。女衒のヒモと無垢な少女の交情。

幼い息子を踏切事故で亡くしたメンリーは、娘ハナに恵まれた今も罪悪感に苛まれ続けている。

浜名湖畔の料亭「花ずみ」。ある日、名女将の後を継いだ旬平から、妻の通子に奇妙な電話が入る。

頭を使うか、体を使うか…。妻の座と店の主導権をめぐって、二人の女は火花を散らす。

米連邦準備制度理事会(FRB)前議長のチャールズ・ブラックは、国際会議出席のためスイスに到着するや突然、逮捕された。

四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。

「不幸の手紙」が事件の発端だった。手紙を受け取った雑誌編集者・典子の周辺で、奇怪な事件が続いた…。

警視庁機動捜査隊・音道貴子。

夫婦と、息子ひとりの3人家族。どこにでもある、新興住宅地の平穏で幸福な一家だった。

始まりは深夜の電話だった―。七年前に別れた息子が誘拐された。

過疎化に悩む町が仕掛けた捨て身の町おこし運動。それに青春を賭けるプータローの若者。

鮮血にまみれ、白骨があらわになった死体!自らの肉体を切り刻む女!魔の奇病が突如出現し、日本はパニックに陥る。

CIAの天才的暗殺者コナーは、南米での任務を終えた後、大統領から直々の電話を受けて再び不可能な任務に挑むことになった。

ボブはヴェトナム戦争で87人の命を奪った伝説の名スナイパー。

自分のミスでボブを逃がしたFBI捜査官のニックは、真犯人は別にいると考え、独力で捜査を続けた。

EU(欧州連合)版FBIともいうべきユーロポール。

すべてを投げ出し、あてもなく彷徨った。傷だらけのギャンブラーに出会うまで―。

工業デザイナーを目ざす私、昆虫に魅入られた写真家のロバ、不安神経症を乗り越え、医者を志す愛子、美容師として活躍する曜子。

マンションの真下に住む赤い髪の女。銀行員の自分とはまったく別世界の人間だと思っていたのに…。

チン・シャンの計画が、新世紀の合衆国の存在自体を脅かすことが判明した。

湖底に沈む無数の死体―。

フェミニストの美人心理学者が惨殺された。

アレックスと親友のLA市警刑事マイロの捜査は、怪しい中絶医に辿り着いた。被害者はそのクリニックの仕事を請け負っていた。

異端信仰の嵐が吹き荒れるルネッサンス前夜の南仏で、若き神学僧が体験した錬金術の驚異、荘厳な光の充溢、そして、めくるめく霊肉一致の瞬間…。

一人の男が逮捕された―いかなる罪で?男の過去へと物語は収斂していく。

弁護士クリスにテレビ・インタビュアーのメアリから電話が入った。

正当防衛かそれとも謀殺か―。全米が見守る中、予審が開始された。

その夜またモスクワの路地裏に転がった死体からは、髪の毛とボタンが奪われていた。

大統領就任式典に沸く韓国のソウルで無差別爆弾テロ事件が発生。

身長185センチのウラと小柄ながら敏捷なイケ。「史上最悪のコンビ」と渾名された二人の共通点はその凶暴さにある。

死が村を蹂躙し幾重にも悲劇をもたらすだろう―人口千三百余、三方を山に囲まれ樅を育てて生きてきた外場村。

村は死の中に弧絶している―忍び寄る死者の群。息を潜め、闇を窺う村人たち。

自衛官だった弟の自殺が信じられない姉。部下の死に戸惑う上官。

南アフリカの刑務所からテロリストが脱獄した。

日本最大の貯水量を誇るダムが、武装グループに占拠された。職員、ふもとの住民を人質に、要求は50億円。

盆市で大工が拾った迷子の男の子。

ある高校に密かに伝わる奇妙なゲーム。「六番目の年」、それは怖ろしい結末を迎えて…。

七年の服役後、ピアスは最後のヤマを踏んだ。強盗嫁業の誇りを賭けて。

夫の態度が急に変わったのは浮気、それとも?美人女優とキスした夢から喜んで目覚めると…!終電間際の駅で連続して死傷事件が起きた理由は?添加物に汚染されていない究極の自然食品を探したら…。

「あの世」に入れず、失われし魂を求めて「この世」に戻ってみると…。

なぜ自分にこの親、この兄弟姉妹なのか。いつもやたらとベタベタしているのに、実はバラバラだったりする。

タフでクールな女コニーと、まじめで理性的な男ハリーは、カリフォルニア警察の特別プロジェクトに携わる警官。

おまえを夜明けまでに殺してやる、チクタク、チクタク…。

ロバート・ルイス・スティーヴンソンが秘かに書き溜めていたというサモア版『新・宝島』。

ロサンゼルス都心部に完成間近の25階建ての「グリッドアイアン」は、エレベーター運行から空調・照明・掃除・警備、尿検査による従業員の健康管理まで、全てをコンピュータで管理するインテリジェント・ビル。

ある朝目覚めると、大学生で「篠井有一」だった僕は、見知らぬ部屋で若い女になっていた。

根来忍者の頭領・左甚五郎を追って鬼九郎たちは会津へと向かった。

ゆすりたかりに押し込み、殺しで、獄門となるはずだった囚人・音次。が、市中引廻しの最中に、なぜか縄が解けて脱走する。

時は18世紀末、老中・松平定信のころ。蝦夷地では、和人の横暴に対する先住民の憤怒の炎が燃えあがろうとしていた。

英雄譚の調べに導かれるかのごとく起こった蝦夷の勝算なき戦い。だがその炎は目梨地方全体を覆うまでには至らなかった。

惣長人サンキチが和人の薬を飲んだ直後に急死し、国後の蝦夷の間には和人との戦いを望む声が一気に高まる。

ウォール街の大手法律事務所。30万ドルを超える年収。

奇妙な話だった。雑誌記者広川が殺されたとき、彼の部屋でなぜか猿の啼き声がしたという。

秋の気配がひときわ深まった、酒呑童子ゆかりの丹後・大江山で、明子の友人の妹が岩場から転落死した。

盲目の元音響技師ハーレックは鋭い聴覚を駆使して、身内が巻き込まれた誘拐事件を解決に導き、一躍英雄となった。

両親が同時に家出をして「子子家庭」になってしまった坂部家の大黒柱は、小学六年生にして主婦役をつとめる律子。

杉林で発見された二体の白骨。その片方は行方不明の姉だった。

教会を離れた私が性の遍歴から帰還すると、襲撃を受け障害者となったギー兄さんは、遙かに大きな存在となっていた。

肉親もろとも家も工場も焼失し、仮設住宅にも恵まれず、ローンに苦しむ市民をよそに、不正融資、損失補填を摘発された銀行や証券会社を次々に脅迫、巨額の金を要求し、強奪する一味が出現した。

無茶苦茶な誘拐事件だった。身代金が金塊二トン(時価32億)。

都内に高級クラブ等を所有する伊勢商事社長、36歳の伊勢孝昭は暴力団に会社の経営を任されていた。

ネヴァダ州の砂漠にある寂れた鉱山町。太古の昔に鉱山の地底深く封じ込められた正体不明の何かが、静かに息を吹き返した…。

自立できない夫との生活に疲れた女は逃げ場を求めた。しかしそれが彼女の「脱線」の始まりだった…。

臨床心理医アレックスと恋人ロビンは、南海の孤島にやってきた。島に住む老医師から臨床データの整理を頼まれたのだ。

島の将来を託そうと、老医師が息子のように世話してきた看護人ベンが、殺人容疑で逮捕された。

天網恢恢疎ニシテ漏ラサズ!が口癖の、風車の親分こと御用聞の浜吉。

若き日の過ちを償いたい、将来を誓い合いながら、心ならずも裏切った恋人に償いをしたい。

見事に初勝利を果たした千代延義正は、1938年南仏・ポーで開催されるレースに向け、トレーニングに明け暮れていた。

盗聴、盗撮、カーチェイス…。最新の装備と最高の技術を駆使した調査により、恐るべき情報犯罪の全貌が姿を現した。

打ち捨てられたネイティヴ・アメリカンのコミュニティ。貧窮の極にある家族や仲間のために、ラファエルはある仕事を選んだ。

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。

村人やジャーナリズムの攻撃がつづく一方、教会では、活気あふれる伊能三兄弟や、改悛したかつての糾弾者など、賛同者が次第に増えていった。

新宿・職安前の託老所は、居場所のない老人たちを日中だけ預かる施設。そこでは入所者の首吊り自殺が立て続けに発生していた。

新人ガウアーは、任務の遂行直前に中国当局に拘束されてしまったが、チャーリーの教えを忠実に守り、獄中生活に耐える。

冷戦が終わって、上司も変わった。チャーリーは新人ガウアーの教育係を押しつけられ、憮然とする。

百年近く生きたお祖母ちゃんの死とともに、その魂を受け継ぎ「救い主」と見なされた新しいギー兄さん。

金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。それはメルヘン執筆。

どうせ国にくれてやるくらいなら…。

第二次大戦直前、世界中にキナ臭い空気が漂う1935年。左翼運動に挫折しパリにやって来た、子爵家出身の日本人青年がいた。