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長いお別れ



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長いお別れの評価: 4.36/5点 レビュー 290件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.36pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全290件 61~80 4/15ページ
No.230:
(5pt)

一人称の人物描写

合間を見つけながら時間をかけて完読。主人公のマーロウの視点で物語は進んでいくが、情景や人物描写のディテールが面白い。それはつまり、チャンドラーの観察眼がどれだけ優れていたかということだろう。過剰な演出や場面を省略しているにもかかわらず、人物の淡々とした動きだけでドラマを完成させている。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.229:
(5pt)

うーん

やっぱこれはもともと名作ですしね。いいにきまってますよね。映画の方ももう一度作られるといいんだけどな。映画はラストがよくないですよね。ただ、原作にない猫の缶詰買いにゆくところはいいな。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.228:
(4pt)

男らしい、の一つの典型

ふとしたきっかけで知り合った男がいた。その男は妻殺害後自殺する(とされる)が、

主人公はこの男になぜか惹かれ、その経緯に疑問を抱き、力強く動いて、万事に立ち向かう。

その過程で、女を惹きつけるが、ジメジメした関係にはならず、後にひきづらない。

正義感あり勇気あり、でも、クールでドライな感じが、読者にウケるのだろう。

終わり方もよかった。その男のために奔走したのに、あっさりと終わりを迎えるというか、

ベタベタな再会を望まなかった。その執着しないところは、男として純粋にかっこいい。

女性的な男が増えている昨今、男らしさについて考えてみるのも一興だ。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.227:
(5pt)

清水 俊二氏が一枚上手か

何年ぶりかで村上春樹訳を読み直してみることにしました。一回目と違い、じっくりと熟読です。すると小さな疑問が。

以下に本文(早川書房刊 単行本 p.9)から引用します。( ) 内は私の補足説明です。

 (ホテルの駐車場で酔いつぶれていた男を介抱していると、やってきた)白服(の駐車係)は私の顔を見てにやっと笑った。「お客さん、人がいいね。俺だったらそんなやつは道ばたに放り出してとっとと行っちまいますがね。(中略)このとおり弱肉強食の世界だ。ボクシングで言えば、人はなるたけクリンチに逃げて、いざというときのために力を蓄えておかなくちゃならんってこと」
「そうやってここまでのしあがったわけだ」と私は言った。
 相手はしばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた。しかしそのときには私はすでに車を出していた。

…なぜ白服が怒ったのか?いまひとつ腑に落ちなくて原文を見てみました。

 The white coat grinned at me. ”Okay, sucker. If it was me, I'd just drop him in the gutter amd keep going. (中略) The way the competition is nowadays a guy has to save his strength to protect hisself in the clinches."
"I can see you've made a big success out of it," I said.
He looked puzzled and then he started to get mad, but by that time I was in the car and moving.

 こうして比べて見ると、実は「白服」がかなり無礼な口のきき方で、初対面の主人公に話しかけてきたことが判明します。 sucker とは suck (チュウチュウ吸う=しゃぶる) + er (~する人)、つまり、優しめに受け取れば「大人の体で中身は赤ん坊」ぐっと下品に取れば「☆ンコしゃぶり野郎」です。(昔、名作カルト映画 TWINKLE TWINKLE KILLER KANE のVHS版字幕で見た sucker の絶妙に上手な和訳が「おしゃぶり野郎」でした。実に腕のいい翻訳家です。)白服のひとこと目は「お客さん、~」ではなかったのです。原文のニュアンスでは「おい、青二才、~」ぐらいでしょうか。全く失礼な奴です。さらに彼の発言の中には himself を hisself と言っている部分が見受けられます。かなり教養に欠けているか、または、すごくワルぶって喋るチンピラ風な人物であることがここからうかがわれる仕掛けになっています。そんな無礼極まる奴に、なかばケンカを売られた具合になった主人公は、ハードボイルド(固ゆで hard-boiled 卵が、温泉タマゴと違って、ゆさぶってもビクともしないのと同様に、たとえ目の前で殺人が行われようとも、いかなる非常事態に直面しても動じない精神を備えている)ですから、冷静にやり返すのです。「まあ見たところ、あんたはその《クリンチ》とやらで、まんまとがっぽり成功を手にしただろうからね」つまり、酔っぱらいを介抱するふりをして、悪いやつは、そのすきにつけこんでふところからたんまり何かしらちょうだいするもんだ、あんたもそのクチだろう、と返した訳です。「白服」は、すぐにその皮肉を理解できなかったので、「しばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた」ということだと、私は原文から読み取ります。

 このペースで500頁ちょっとを読み進めるとなると…気の遠くなる時間を要しますね。やはり、この先はサクサクと行く方がいいかもしれません。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.226:
(5pt)

原書も並べて読んでみると

何年ぶりかで読み直してみることにしました。一回目と違い、じっくりと熟読です。すると小さな疑問が。

以下に本文(早川書房刊 単行本 p.9)から引用します。( ) 内は私の補足説明です。

 (ホテルの駐車場で酔いつぶれていた男を介抱していると、やってきた)白服(の駐車係)は私の顔を見てにやっと笑った。「お客さん、人がいいね。俺だったらそんなやつは道ばたに放り出してとっとと行っちまいますがね。(中略)このとおり弱肉強食の世界だ。ボクシングで言えば、人はなるたけクリンチに逃げて、いざというときのために力を蓄えておかなくちゃならんってこと」
「そうやってここまでのしあがったわけだ」と私は言った。
 相手はしばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた。しかしそのときには私はすでに車を出していた。

…なぜ白服が怒ったのか?いまひとつ腑に落ちなくて原文を見てみました。

 The white coat grinned at me. ”Okay, sucker. If it was me, I'd just drop him in the gutter amd keep going. (中略) The way the competition is nowadays a guy has to save his strength to protect hisself in the clinches."
"I can see you've made a big success out of it," I said.
He looked puzzled and then he started to get mad, but by that time I was in the car and moving.

 こうして比べて見ると、実は「白服」がかなり無礼な口のきき方で、初対面の主人公に話しかけてきたことが判明します。 sucker とは suck (チュウチュウ吸う=しゃぶる) + er (~する人)、つまり、優しめに受け取れば「大人の体で中身は赤ん坊」ぐっと下品に取れば「☆ンコしゃぶり野郎」です。(昔、名作カルト映画 TWINKLE TWINKLE KILLER KANE のVHS版字幕で見た sucker の絶妙に上手な和訳が「おしゃぶり野郎」でした。実に腕のいい翻訳家です。)白服のひとこと目は「お客さん、~」ではなかったのです。原文のニュアンスでは「おい、青二才、~」ぐらいでしょうか。全く失礼な奴です。さらに彼の発言の中には himself を hisself と言っている部分が見受けられます。かなり教養に欠けているか、または、すごくワルぶって喋るチンピラ風な人物であることがここからうかがわれる仕掛けになっています。そんな無礼極まる奴に、なかばケンカを売られた具合になった主人公は、ハードボイルド(固ゆで hard-boiled 卵が、温泉タマゴと違って、ゆさぶってもビクともしないのと同様に、たとえ目の前で殺人が行われようとも、いかなる非常事態に直面しても動じない精神を備えている)ですから、冷静にやり返すのです。「まあ見たところ、あんたはその《クリンチ》とやらで、まんまとがっぽり成功を手にしただろうからね」つまり、酔っぱらいを介抱するふりをして、悪いやつは、そのすきにつけこんでふところからたんまり何かしらちょうだいするもんだ、あんたもそのクチだろう、と返した訳です。「白服」は、すぐにその皮肉を理解できなかったので、「しばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた」ということだと、私は原文から読み取ります。
 このペースで500頁ちょっとを読み進めるとなると…気の遠くなる時間を要しますね。やはり、この先はサクサクと行く方がいいかもしれません。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.225:
(1pt)

朗読者をなんとかしてくれ…。

話は最高に面白いが、早乙女太一氏の朗読が聞くに耐えない。
早乙女氏に直接文句を言いたいのではなく、彼を起用した側に苦言を呈したい。
餅は餅屋ということを意識して、
ちゃんとした朗読家やアナウンサー、声優を使うべき。
高校生の国語の朗読レベルを18時間も聞かされるのは拷問だ。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.224:
(5pt)

面白かった

長いけれど引き込まれて読んでいるうちに終わります。
様々な要因がからみ合って、あっと思うようなところに向かいます。
こういう本が良い本なんでしょう。
村上氏の翻訳も楽しみました。
「はんちく」なんて言葉、良く思いつきますよね。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.223:
(5pt)

【読めば判る!】フィリップ・マーロウの生活と意見【清水俊二訳】

本作品は映画化もされており、傑作ではありますし、あらすじも面白いです。しかし本作品の力点は、読者が一緒に謎を解くためにストーリーがあるのではなく、それを通じて、主人公フィリップ・マーロウがどう思い行動するかという点が素晴らしいのです。私はだからこの本を時折取り出しては何度も読むことになります。しかしいくら「素晴らしい」とここで力説しても、多分どうやってもあなたには伝わらないでしょう。だから、あなたにはこんな一節を読んでほしいのです。

「このまま邸を出て、事件から手を引こうかとも考えたが、そんなことはできるはずがなかった。そんなことができるくらいなら、私は生まれた町に住みついていて、雑貨屋ではたらき、店主の娘と結婚して、子供を五人つくり、日曜の朝には子供たちに漫画ページを読んできかせて、子供たちがいたずらをすると頭をひっばたき、小遣(こづかい)をやりすぎるといって妻といい争い、ラジオやテレビのくだらないプログラムを見せるからだと妻を叱りつけているにちがいなかった。金もたまっていたかもしれない。小さな町の小金持らしく、八室の家に住み、車庫には車が二台、日曜ごとにチキンを食べて、居間のテーブルの上には《リーダーズ・ダイジェスト》がのっかっていて、ポートランド・セメントの袋のような頭脳(あたま)を持った人間になっていたであろう。そんな生活はだれかにまかせよう。私はよごれた大都会の方が好きなのだ。」清水俊二訳

フィリップ・マーロウの世界観には、痛みと孤独と美意識が貫かれており、上述のようなきら星たる言葉が、本作品をぎっしり埋めつくしています。英語など殆どできないのに私は英語版まで買い求め、清水俊二さんの翻訳を頼りに辿っていきますが、清水俊二訳の的確で素晴らしいこと。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.222:
(5pt)

読み始めたら止まらない

ロバートBパーカーのファンですが、レイモンドチャンドラーも面白い。他の作品も読みたくなりますね。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.221:
(5pt)

死神≒マーロウ説

伊坂幸太郎の『死神の精度』を思い出します。フィリップ・マーロウという「窓口」に次から次へと押し掛ける人々(悪党が多い)。ちょっとズレたやつ(死神、マーロウ)に対する人々のリアクションから、逆にそのズレ具合を味わう小説。読者が死神を、マーロウを、人生の指針(~参考?)としたがる点でも似ています。死神≒マーロウ説。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.220:
(5pt)

村上の手にかかると 「ハードボイルド性を有する刑事コロンボ」 が 「人間味を顕在化させた ゴルゴ 13」 に変身する

清水 俊二訳『長いお別れ』(早川書房)にくらべて、村上の翻訳『ロング・グッドバイ』(早川書房)は、明らかに原文からは離れているが、読者(わたし)は、村上のほうを 約(訳)1.5倍 くらい楽しむことができました。
  翻訳でどこまで《意訳》が許されるのか? 原著英文にない単語・語句を―――日本語の言い回しの際に―――どこまで加えてよいのか? 英単語の意味を英和辞典からどこまで離れて良いのか? そこは知る由もありませんが、すぐれた翻訳者がひとたび「35年以上も昔の、清水氏の翻訳より、圧倒的にすばらしい作品を創ってやろう!!」と、心に決断すれば、このようになるのだ・・・・・ということがよくわかりました。
  これが「娯楽小説」というカテゴリーにあるのも―――意訳する際の、気分的障壁の高さが低くなる―――それを可能にした一要因だと思う。たとえば、村上が愛してやまないカーヴァーの小説では、このような《意訳》はしなかったし、できなかったでしょう。
  いずれにせよ、村上により、この小説が単なる「娯楽小説」ではなく、文学性を付与された作品になったことは確かである。村上の後出しジャンケンで有利なことは明白ですが、村上は、「どうだい、自分の翻訳は清水より優れているだろ?!」ということを示したかったわけではなく(少しはあるでしょうが)、チャンドラーを単純な「娯楽小説家」のカテゴリーに、ともすれば、入れられていることに疑義があったのでしょう。

【清水と村上の訳は物語のどこを切り取っても、大きな空気感の違いを感じとれるが、以下に、清水と村上の翻訳の違いを明示している、2例を示す:村上のチャンドラーに対する愛・敬意が感じられる】
① 第11章、主人公マーロウとギャングのボス、メネンデスとの緊迫のやり取りの部分を少し長めに抜粋してみた。

《清水》『長いお別れ:ページ110、9行目から』
「これを忘れてる」と、私はデスクをまわりながらいった。
「半ダースも持ってるんだ」と、彼はひとをばかにしたような口調でいった。
  私は彼のそばへ行って、ケースをさし出した。彼の手がそれを受けとろうとした。「こいつも半ダース食らうか」私はそういいながら、彼の腹を力いっぱい殴りつけた。
  彼は悲鳴をあげて、からだをまげた。シガレット・ケースが床に落ちた。彼のからだがうしろにさがって、背中が壁にぶっかった。両手が苦しそうに前後にゆれた。呼吸が苦しそうだった。額に汗がにじみ出てきた。
・・・・・・
・・・・・・
「お前をみそこなったよ」と、彼はいった。
「この次は拳銃を持ってこい――――でなければ、おれをチンピラと呼ぶな」
「ピストルは用心棒に持たせてある」
「そいつを連れてこい。そばから離すな」
「お前はなかなか怒らない奴だな、マーロウ」

《村上》『ロング・グッドバイ:ページ125、末尾から2行目から』
「忘れ物だ」と、私は言って、机を回り込んだ。
「そんなものは半ダース単位で買っている」と彼は馬鹿にしたように言った。
  私はメネンデスのそばへ行き、ケースを差し出した。彼は何気なくそれに手をのばした。「こういうのも半ダース単位でどうだ?」と私は言い、相手の腹の真ん中に思いっきりきつい一発をたたき込んだ。
  彼はうめきながら、身体を二つに折った。煙草ケースが床に落ちた。壁にもたれかかり、両手をぴくぴくと前後に痙攣させた。肺に空気を吸い込もうとしてあえいでいた。汗が流れた。
・・・・・・
・・・・・・
「そんなに肝っ玉あるとは思わなかったぜ」と彼は言った。
「次は銃を持ってくるんだな。そうじゃなければ、私をはんちくと呼ぶな」
「俺は銃を持つ人間を雇っている」
「じゃあそいつをそばから離すな」
「お前、腹を立てるのにやたら手間のかかるやつだな」

② 第53最終章、主人公マーロウと死んだはずのテリーの、本当の別れのシーン。

《清水》『長いお別れ:ページ536、2行目から』
「何もかもわかっているんだ、テリー。君はいろいろな意味でいい人間なんだ。ぼくは君に批判をくだしているわけじゃない。いままでだって批判なんかしなかった。ただ、もういままでの君とはちがうというだけのことだ。ぼくが知っていた君は遠くへ去ってしまった。しゃれた服を着て、香水を匂わせて、まるで五十ドルの淫売みたいにエレガントだぜ」
「芝居だよ」と、訴えるような口調でいった。
「芝居を楽しんでいるんだろう」
彼は唇をまげて、さびしそうに笑った。

《村上》『ロング・グッドバイ:ページ539、7行目から』
「それはよくわかっているよ、テリー。君はいろいろな意味でとても感じのいいやつだ。私は何も君の是非をはかっているわけじゃない。君を責めたことなど一度もない。ただ君はもうここにはいない人間なのだと言っているだけさ。君はずっと前にここから消えてしまったんだ。今では素敵な服を着て、香水をつけて、まるで五十ドルの娼婦みたいにエレガントだよ」
「こんなものただの見せかけだ」と彼はすがりつくようにいった。
「しかし、その見せかけを楽しんでもいる。そうだろう?」
彼はあきらめたように力を抜き、苦い微笑みを口もとに浮べた。攣
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.219:
(5pt)

村上春樹訳ではシリーズ最初の翻訳だが、シリーズでは6作目で最高傑作と言われる作品

フィリップ・マーロウ シリーズ6作目であり
シリーズの中で最高傑作と言われている。

話の筋はミステリということでネタバレしないために
触れないレビューとして、
これからフィリップ・マーロウ
のシリーズを読む方へ役立つことを書きますね。

本書を読んで「村上春樹の文章のようだ!」と驚いたのだが
チャンドラーの文体を村上春樹が学んで真似たのだから
こちらが元ネタだったんですね。

本書には村上春樹の50ページほどの解説文もあり
こちらも楽しめる。

いまとなってはフィリップ・マーロウの長編 全7作品ともに
村上春樹が翻訳してます。

なので、フィリップ・マーロウのシリーズ順に読むことができます。

一方、村上春樹が翻訳した順番はシリーズ順ではありません。
おそらく村上春樹が好きな作品順なのかと思います。

読む順番としては、シリーズ順でなくても大丈夫なので
(前作のネタバレとかは作中にない)
最高傑作と呼ばれる本作から読んでも平気ですし、それがオススメです。

ちなみに
村上春樹が翻訳した順番は下記の通り
ロング・グッドバイ(6作目)
さようなら、愛しい人(2作目)
リトル・シスター(5作目)
大いなる眠り(1作目)
高い窓(4作目)
プレイバック(7作目)

村上春樹 翻訳順で読むのも良いかもしれません。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.218:
(4pt)

何度でも。

清水俊二氏の訳を若い頃から何度も読んで、これは言わば私の座右の書なもので、
村上春樹氏は優秀な小説家でありチャンドラーのよき理解者だということは百も承知ですが、
オリジナルのイメージが壊れるのが怖くて長らく読みませんでした。
しかし、そろそろ老眼の度も進んできて、読み残したものはないか、と考えているうちに、
おっかなびっくり手に取りました。
で、どうだったか、というと「うーむ、なるほど」と思った部分と、「いやここは清水さんでしょ」
という部分と半分半分かな。結論としては読んでよかった、と思います。
なんじゃこの訳は、という翻訳小説が多い中で、どちらも掛け値なしに名訳であることは間違いありません。
あるいは、訳者の違いを味わえる原文の味の深さを改めて知った、ということでもありましょうか。
しかし、この本でもう一つ私が非常に感銘を受けたのは、村上氏が書いた長文の「あとがき」です。
これは「村上春樹のレイモンドチャンドラー論」ともいうべきもので、氏のチャンドラーに対する思い、
訳にあたっての考えがまるでほとばしるように滔々と語られ、これを読むと、読み終わったばかりのこの小説を
すぐさま最初からまた読み直したくなります。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.217:
(5pt)

ハードボイルドな気分に1人浸りたい誰かへ

"私はロマンティックなんだよ。バーニー。夜中に誰かが泣く声が聞こえると、いったい何だろうと思って足を運んでみる。(中略)だから君は優秀な警官であり、私はしがない私立探偵なんだ。"訳者の熱い想いが込められて2007年に新訳された本書はハードボイルドの準古典とは言え、まったく古さを感じさせない‬。

個人的には、別訳の【グレート・ギャツビー】の印象がとても良かったので、今回あらためて手にとったのですが。ストーリーとしてはなるほど、今となっては、ある意味で【よくある話】なのですが(もっともこちらが元祖と言う方がより正確なのでしょうが)それより、クールで、ちょっとエキセントリック?な語り手役の私立探偵のフィリップ・マーロウの魅力的な台詞はもちろん、登場人物全員それぞれが生き生きと、ありえないほど【よく書かれていて】ページの厚さも気にならずに、ぐいぐいと引き込まれました。(60pにわたって後書きで本書の魅力を語る訳者の真摯な翻訳にも感謝)

訳者の【羊をめぐる冒険】、ドラマ【探偵物語】、アニメ【カウボーイビバップ】などジャンルは違っても多くの追随者や、影響を受けたオマージュ作品が誕生したのも納得の名作ですね。

"さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ。""ギムレットを飲むには少し早すぎるね"花金に、いつもの居酒屋ではなく、薄暗い照明のバーで、ハードボイルドな気分に1人浸りたい誰かに、また村上春樹ファンな誰かにオススメ。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.216:
(1pt)

消防署心の川柳 「読みにくい 小説書くな このアホが!」

この小説は読みにくいです。本当に読みにくいです。拷問にこの小説を読ませる、ということも可能なんじゃないか?と思うくらいの読みにくさです。内容以前に読みにくいのです。例えるなら、あまりにも固い食物を食べて感想を言え、と言われているようなもので、「味以前に食えねーよ!」と言いたいです!みなさんのレビューを拝見させてもらっても、絶賛の嵐なんですが、本当に皆さんはこんな読みにくい小説を最後まで読み切ったんですか?「名作の権威」に押されて、それらしい賛辞を並べている人が多いような気がしてなりません。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.215:
(4pt)

美しいテーマ。しびれる小説。

準古典ミステリーの傑作。とにかく厚い本です。
村上春樹の訳で読んだので、小洒落た文体でジャズのように
心地よく酔えました。
登場人物がやたらと多いし、真犯人を隠すためのミスリードの
仕掛けも多いです。
でも、犯人がたったひとつのことのために、色々と実行
したことが最後に判り、そのテーマの美しさに震えました。
特に最後の数ページはしびれます。最高にカッコよかった。
フィリップ・マーロウじゃなくて、この小説が、です。
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4152088001
No.214:
(5pt)

女子供にゃ分かるまい(・・・言っちゃった)

レイモンド・チャンドラーが描くマーロウ・シリーズの代表作です。
意外なことに本書を読めば、これまでのハードボイルドの概念が覆されます。

【感傷的な友情】
マーロウは、生活も人格も破綻したかのようなレノックスと奇妙な友情を結ぶ。
脅迫し揺さぶる者たちによって、逆に感傷的な深みにはまっていく男の一途さ。

【世相に切り込む】
国家権力・マスコミ・大衆世論・・・退廃したこれら諸問題に辛辣な意見を放つ。
ほどよいところで切り上げたところが、能書きとインテリジェンスの違い。

【男らしさの幻】
マーロウは幾つもの窮地をくぐり抜け、探偵としての本分を果たしてみせる。
偏狭な美学に基づく非功利的な(バカげた)行動を通じて結果的には実利を享受。
昨今では評判の悪い「男らしさ」も、不思議と理にかなった行動原理に映る。

乾いた文体にストイックな独自規範、随所に散りばめられた知性と大人の遊び心。
そして読み終えた後にも、すぐに気になった細部を読み返してしまう中毒性。
私のような中年男の心を捉えて離さない傑作、こんなのめったとお目にかかれない。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.213:
(4pt)

翻訳がすばらしい

今回久しぶりの再読ですが村上春樹先生のすばらしい翻訳(先生は自作小説よりも翻訳の方に数段才能があるように感じました)も手伝って前回以上にこの名作の真価を少しは理解できたかもしれません。本書はあるふたりの男女殺害の犯人を突き止めるというミステリが骨格となっていてそれ自体はとてもシンプルに見えます。しかし600ページにおよぶ丁寧重厚なストーリー構成とユーモアセンスあふれるしゃれたセリフの応酬が格調を一層高めて読みごたえ抜群の仕上がりとなっていました。本書は作者が晩年といえる65歳で発表したまさにいぶし銀の力作といえるでしょう。
本書の最大の魅力は主人公マーロウの人間味のあふれる個性にあるでしょう。酒と女とチェスをこよなく愛する独身中年で離婚がらみの仕事は引き受けない。美しいアイリーンに思わずキスをしたり彼女の誘惑にくらりとなったり。またリンダの色気に我慢できずにベッドイン。女性読者にとってもマーロウは男気があって魅力的にみえるのでしょうかね?ところで本書にはタバコ好き・酒好き(アル中も)が多く登場します。作品発表は1953年で戦勝気分がまだまだ冷めずアメリカ経済の全盛期をひしひしと感じさせます。 
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.212:
(5pt)

買った。よかった。面白かった。

村上春樹訳『The Long Good-bye』を味読しました。よかったです。清水俊二訳『長いお別れ』を読んでからでしたが,村上春樹の文体に馴染んでいるからか,昨今の流行のようなちょっとした言葉遊びやスピンオフに惹かれてか,不覚にも村上訳にはまってしまいました。いろいろと世界が広がっていく解放感がありました。
 何より心を打たれたのは,巻末に記された「訳者あとがき-準古典小説としての『ロング・グッドバイ』でした。訳者村上春樹氏がいかにしてこの小説と出会い,魅了されていったのかが生き生きと語られ,引き込まれていきます。著者レイモンド・チャンドラーや,主人公の私立探偵フィリップ・マーロウへの愛情あふれる筆致によって,また何度でも読み返したくなる魅力をこの翻訳に加えてくれます。
 「チャンドラーの登場人物たちは,……戦わない。ボクサーのように正面きって戦いを挑むことはない。……結局は負け戦に終わるであろうことを知りながらも,彼らは背筋をまっすぐに伸ばし,あえて弁明をすることもなく,自らを誇るでもなく,ただ口を閉ざし,いくつかの煉獄を通り過ぎていく。…大事なのは自ら作った規範を可能な限り守り抜くことだ。いったんモラルを失ってしまえば,人生が根本的な意味を失ってしまうことを彼らは知っているからだ。」(p.610〰611)
 最後が近づいていても,悪あがきをせず自らのスタイルを保ち,「崩壊」の予感を受けとめながら,事態に立ち向かっていく覚悟のようなもの。それは,あるいはすぐれて日本的な死生観にも通じる美学か思いたくなる誘惑にかられています。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.211:
(4pt)

個人主義の孤独がテーマか

破滅的な男に親近感を持ったのか、世話をすることに一時の心の休息を求めようとしたのか、結局は我に返る。
おそらく書かれた当時の50年代のカリフォルニアは繁栄と裏腹にそんな孤独が本格的に始まりつつあったのかもしれない。
一方で、次作のプレイバックでは、多幸感がプレイバックするハッピーエンドだ。
そういった意味で、「長いお別れ」は「陰」ゆえに、日本人に好まれる作品なのかもしれない。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606

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