カーテン
評判
カーテンの評価:
4.33/5点 レビュー 48件。 A ランク
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1〜15 1/1ページ
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カーテンの評価:
4.33/5点 レビュー 48件。 A ランク
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とは言え、単独の推理小説としての評価は微妙で、これまで読んだことがなかった。
老人となった二人の寂しさ、特にヘイスティングスと末娘のジュディスとのやりとりに見えるように、彼のオツムの劣化はさらに進行していて、前半は(クリスティー作品としては)リーダビリティが低くてつまらなかった。
しかし読了して思うのは、やはり見事ということ。
『竜臥亭幻想』のように、アホアホのヘイスティングスに最後の活躍を譲っても良かったと思わないでもないが、人の心を見据えるポアロは、『スタイルズ荘の怪事件』と同じように冴えわたっている。
二十数年前、26歳の著者に創造された初登場のポアロは、すでにベルギー警察を引退していたのだから、著者53歳で書かれた本作品でのポアロは80代を迎えていた筈だ。
しかし老衰著しいポアロへの労りはあるものの、著者の病床の女性への目線は辛辣だ。
病弱のフランクリン夫人に対して、ヘイスティングスの娘ジュディスは「大騒ぎしてみせるのが好きなだけ」と薄情だし、ミス・コールは「病気を楽しんでいるんですわ」と冷ややか、アタマの一文だって、クレイブン看護婦の夫人を評する台詞である。
ジュディスに至っては、役に立たない人はこの世から取り除くべきだなんていうラディカルな思想を口にする。
すべて同性に対する評価というのがポイントで、十二分に自立できたクリスティにとっては、他人に依存しながら操ろうとする態度が我慢ならないのかもしれない。しかし後遺症に生活レベルがグンと落ちたわたしにとっては、病気を“楽しんでいる”と思われるのはかなりイタい。
しかし何と言っても、1943年に書かれた作品を、著者が86歳になった1976年まで世に出さずに温存していたのだから、なんともはやすさまじい……。
1943年というと、前作『スタイルズ荘の怪事件』が第一次世界大戦の真っただ中の1916年に書かれたのと同様、本作の作中時期も1943年近辺と思われるが、見た目上の舞台は、いつものように田舎ののんびりした暮らしで戦争の影は見えない。【注1】
いまだノルマンディー上陸作戦前ではあるが、バトル・オブ・ブリテンの空中戦やザ・ブリッツと称されるロンドン大空襲は、は1940年~41年だったから、英国的には一息つけるようになっていたということか。【注2】
なにもしないで傍観しているのかという例えに、チェンバレンではなく、第一次大戦当時のアスキス首相を挙げているのが、進行形の戦争関連は未だ総括されていなかったということで、興味深い。
【注1】戦時国債がどーのという記載があった。
【注2】ノルマンディー上陸作戦は1944年6月6日。スターリングラード攻防戦で、独軍が降伏してソ連が勝利宣言したのは、その一年前、1943年2月2日。