名君武帝を得て、空前の黄金期を迎えた前漢にも、やがて衰退の風が吹き始める。西暦8年、帝位を簒奪した王莽は新を樹てた。

アメリカ合衆国国立防疫センターで不審火による火災事故が発生した。消火作業は迅速で、死傷者ゼロ。

病弱で生意気な美少女つぐみ。

刑事が追う、女が逃げる。過去のある男と女が出会ったのは、殺人事件の疑惑の中だった。

始皇帝死後、陣勝、呉広の乱に端を発し、中国大陸はふたたび戦乱の渦にまきこまれた。項羽、劉邦の相次ぐ挙兵。

いまや国際都市になった新宿の片隅で20年近く続いたスナックが店を畳む事になった日に、その女はやって来た。

夏に先だつ幾千年、中国中原に君臨した神々。時代は下り、やがて殷へ。

シャクリと呼ばれるポンプ・アクション6連発銃、ウインチェスター・M12。その銃を手にした男たちのそれぞれの生き方―。

1944年春、連合軍の反攻を前にして、ロンメル将軍はドイツ軍の防衛計画会議をフランスの古城でひらこうとしていた。

1933年刊の本書は、著者としては異色の怪奇幻想譚を中心にした短編集である。

都会からはなれた小さな入江で出会った老人と新婚の夫婦。その夜、老人が見たのは、新婚の2人が殺しあう夢だった。

情報屋のケンドリックから数枚の写真を見せられたのは、八月の暑い盛りのことだった。

陰謀と紛争のただなかに、常に英国情報部の男たちはいた。

スカダーとその女たちに死を。復讐に燃えて過去から蘇った犯罪者が仕掛ける狂気の罠。

1918年、ウィーン、一つの肉体に共棲する双子の兄弟、ヒトラーをめぐる意外な陰謀、うたかたのオペラ…。

転校してきたばかりなのに、知らぬ間に生徒会長候補にさせられた芝奈々子。

失踪したシャンソン歌手を追って軽井沢の別荘で私立探偵真木の見つけたものは?依頼された仕事は終わっても事件の背後に潜む真相を真木は追及し続ける。

「マックス!鱈を失くしちまった!」ジェム伯父がわめいた。

半年前、凄惨な四重殺人の起きた九州の孤島に、大学ミステリ研究会の七人が訪れる。

シカゴの囮捜査官ジンボは犯罪組織に潜入し、ついに影のボスと接触した。マフィア壊滅は目前だった。

多くの死者の想いこもり、少女の亡霊が徘徊するという時計館。訪れた九人の男女を待ち受けるのは無差別殺人。

時は1931年、アメリカでは禁酒法がいまだ幅をきかせていたころ―ケンタッキー州の田舎町マーレットを、フランク・ロイドという男が訪れた。

清流と木立にかこまれた城下組屋敷。淡い恋、友情、そして忍苦。

「役者の卵」戸張美里は、友人の代役で夜中の十二時にオーディションを受けた。

時は足利の末。のちの太閤秀吉日吉丸は大望を抱き、おのが主君求めて、京の都にやって来る。

離婚調停が泥沼化し、わたしは意気消沈していた。ベルリンで開かれる名画展の仕事に飛びついたのもそのせいだ。

古代史研究家が謎の言葉を遺して殺害された。犯行現場は完全な密室だった。

武家を捨て、放蕩者として裏世界を垣間見た男が、直面する事件に潜む人間の業を知った時…。傑作時代小説。

ふとした出来心で、追い詰めた強盗から金を受け取り、目こぼしをしてしまった浜吉親分。

わたしは33歳になり、新しくできた住居に引っ越した。

ロンドンの下町で貧しい野菜売りの家に生れたチャーリー・トランパーは、祖父から譲られた手押車を唯一の資本に商売を始めた。

ニューヨークのデパートを見学したチャーリーは、チェルシー・テラスに“一軒で何でも揃う店”を作ろうと決心した。

西沢芳恵の一人息子が、団地のベランダから落ちそうになったところを間一髪、救った恩人・佐原。

父が不審な交通事故死をとげ、大学生の“僕”はそのときから「僕を知る」旅に出た。

この本は、いろいろな「謎」を含んだ物語ばかりを十一編ほど集めたものです。それも、とびきりの謎ばかりです。

清新、楽しい。ひたすら面白く、今なお新しい、時代小説の正統。

アメリカ兵器産業界の大物と石油王による陰訪が始動した。

石油資源は確実にあと数年で涸渇する―モスクワとヒューストンで、二人の男がその不吉な予見に怯えていた。

息抜きがてらビターソーンと二人きりの時を過ごそうと、セーラはアイアソン埠頭の家を訪れた。

ビリングスゲート家の貴重なロールス・ロイスのクラシック・カー・コレクションのうちの一台が忽然と消えてしまった。

美しい女を争って剛剣がうなり、おのが愛を守ろうと女の“秘剣”が舞い、女敵討ちの悲しい剣が奔る。秘剣仇討ち小説集。

死霊、生霊、鬼などが人々の身近で跋扈した平安時代、妖しのものを相手に陰陽師安倍清明が親友の源博雅と挑むこの世ならぬ難事件

1638年、天草のキリシタン反乱を支援する奇妙な集団が現れた。

虫売りを生活の足しにしている浪人の妻・紀乃は、いつしか我が身をもひさぐ運命に(表題作)。

「典侍どの短夜でござる」月山の典侍はおそるおそる障子戸を開けた。足許に神宮左之助の生首が置かれていた。

新宿角筈村に剣術道場を構える老剣客・日影一念は、臨終の床で、なぜか二人の内弟子、白根岩蔵と成子雪丸に、自分の遺体と共に秘伝の書を土中に埋めよと言い残す。

道場を出奔し、名を変えて諸国を巡っていた白根岩蔵は、江戸に戻って金貸しの食客となる。

ライバルの死と引換えに得たノーベル賞。先端医学の独走がもたらした闇を暴く。

スター・ウォーズ時代をめざしてレーザー兵器開発にしのぎを削るソ連の“輝く星”プロジェクトと米国の戦略防衛構想。

「枢機卿」から送られたフィルムが、KGBの手に渡ってしまった。その身に危険が迫る。

将来を嘱望されている新進ピアニストの三郷夕鶴は、父・伴太郎の誕生会に間に合うようにと夕方の家路を急いでいる時、後から尾けて来た男に「旦那さんに」と紙切れを渡された。

自らが所属する英秘密情報局に追われる身となったバーナード・サムソン。

西沢並子と木村政子は、高校・大学が同じの親友同士。

転がる石のようにしか生きられない男の空しさと疲弊を、実験的な文体と構成で描く10篇のハードボイルド。

ニュー・オーリンズには雨が多い。メキシコ湾から吹き上げる風が、湖沼地帯を湿らせる。

〔神君御免状〕をめぐる争いで、

徳川家康より与えられた「神君御免状」をめぐる裏柳生との争いに勝ち、松永誠一郎は色里・吉原の惣名主となった。

市井の人々の悲哀をつつみ、今日も「しぐれ町」は明け暮れる――。 再会、借金、深情け。

歯科医が殺された。亭主殺しの犯人は必らず妻、を捜査の信条とする大貫迷警部は、井上刑事を連れ歯科医夫人の逮捕に向かう。

激動する1990年、世界経済は恐慌へ突入。日本は未曽有の危機を迎えた。

世界恐慌を迎えた1990年、世界には奇妙な動きが相次いだ。日本でもパニックとクーデターが誘発する。

熱砂の西サハラ、苛烈な日差しの下に飛び交う銃弾と砲弾、謀略、殺戮、戦闘、裏切り、サバイバル…。

話を聞いた瞬間、タリーは耳を疑った。亡命を求める東独諜報部の大物が、身柄を預ける際の要員に自分を指名してきたというのだ。

藩の名刀を奪い、役人を斬って薩摩藩に逃げ込んだ侍を上意討ちにする命をおびた矢作次郎八と岡田久馬。

短い旅に出た老執事が、美しい田園風景の道すがら回想する、古き良き時代の英国。

バレー部エースの由利子、役者志願の旭子、富豪の令嬢・香子。花園学園に通う3人組は、それぞれ一芸持った高校2年生。

音澄陶磁の御曹子・忠行の結婚披露宴にどこからか忍びこんだ黒猫が、卓上に飛び乗り不気味な鳴き声をあげた。

正次が「灰色熊」に与えられた仕事は、西サハラの砂漠の中にある小さな鉱山を敵の攻撃から守ることだった。

あの「灰色熊」のような男になりたい。

「眠そうですね、ケリングさん?」ビターソーンがこちらを見て微笑んだ。

コンピュータの性能を飛躍的に向上させる鉱石ブルー・ダイヤモンド。

深夜、覆面をして、酒に酔った侍に喧嘩をしかけては、髷を切ったり川に投げ込んだりして楽しんでいる男装の女剣士。

ハープの夕べに、愛がめばえ、シンバルの夜は、恐怖に凍る。行間からメロディが聞こえてくる愛とホラーの連作集。

魔風（まかぜ）渦巻く品川宿に揃いもそろった極悪人。邪剣閃（ひらめ）く、妖剣躍る。

芸術を愛し、血を見ることの嫌いな神出鬼没の怪盗S79号―。その手口は摩訶不思議と言うほかはなかった。

マイアミでリゾートホテルを営むジョージ・モランは、宿泊客の話から、かつての自分の恋人が健在であることを知り、思い立ってカリブ海にあるドミニカの首都、サント・ドミンゴに飛んだ。

『長いお別れ』で出会った大富豪の娘リンダ・ローリングと結婚した、私立探偵フィリップ・マーロウは、高級リゾート・タウン、プードル・スプリングスの豪華な新居に落ち着くことになった。

貧困の底から、功なり名遂げた樽見京一郎は、殺人犯であった暗い過去をもっていた……。

貧困の底から、功なり名遂げた樽見京一郎は、殺人犯であった暗い過去をもっていた……。

如才ないリアリストであるためリア王と渾名される三高生・伊場富三が下宿先の鍵のかかった倉の中で毒殺されていた。

四国の森の奥深く、時の権力から独立した一つのユートピアがつくり出される。

儀式の夜、侍女は仰向けにされて司令官を待った。その精液を受け、妊娠を待った。

言葉巧みに真実を隠蔽しようとする官僚たちに、苛立つターナー。

東西ドイツ再統一の気運高まるボン。今そこの英国大使館から職員が1人、機密書類とともに姿を消した。

養子に入った武家の妻にへきえきしていた男が、初めて連れていかれた谷中の茶屋の女に魅せられ、武士の身分を捨ててしまう表題作。

子供たちの父は、チャンドラーだった。その友は、フィリップ・マーロウだった。

現代の気鋭作家たちの新たなストーリーに乗って、フィリップ・マーロウの心と時代が躍動する。

ロンドンのビジネス街にあるささやかな煙草屋の二階に、切手商が間借りしていた。

唯野仁，早治大学の名物教授にして実は隠れた新進作家．彼は，大学のグロテスクな日常をのり切りながら，その講義で壮観な文学理論を展開して行く．「大学」と「文学」という二つの制度＝権力に挑んだ衝撃の長篇小説．

流れ出した原油が夜の帳のように広がる海岸で、美しい女が鳥の死骸を抱いて泣いていた。女の名はローレル・ラッソ。

結婚の記念に人を殺そう。とんでもない夫婦もいたものだ。

御用人の佐藤欽之助は、妻を通して琴の稽古友達だった女から、夫の仕官の世話を頼まれる。