「きみはとんでもないことをやってくれたな」国有地払い下げにからむ汚職事件の内偵に目鼻がつこうとしていた矢先、警視庁捜査二課の中津刑事は上司に呼び出され、国土庁長官の愛人に強姦罪で訴えられたことを知らされた。

十年前に謎の首吊り自殺を遂げた父・耕之介が残した四行詩が、朝比奈耕作の運命を変えた。

大阪と札幌を二十一時間で結ぶ豪華寝台特急トワイライトエクスプレス―その最後尾に設けられた夢の特別スイートは『動くホテル』とも称され、通常の手段では切符はまず手に入らない。

闇に葬られた「ジュラシック・パーク」事件から六年。科学が夢を実現させたかに見えたパークは崩壊し、恐竜も滅び去った。

予定日になっても調査旅行から帰らない古生物学者レヴィンの身を案じた工学者ソーンは、衛星電話で呼び出した。

道に迷ったジェネットはトラックが突進してくるのを呆然と見つめた。絶体絶命。

消えた1億円と女性バラバラ死体の謎、3年前の迷宮入りの事件の真相が今、明かされる。切断死体に秘められたメッセージとは。

夏の海が吼えていた。灼けつくような陽をあびて、私は教会の葬礼に参列した。

内田家の墓前に供えられた心当りのない花。不審に思うセンセだが、浅見は隣の財田家から移しかえられたものと推理した。

今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう―たぶん。

「それで―誰が夏子姉さんを殺すの」―中華料理店の一室で張り込み中の片山刑事の耳に飛び込んできた、聞き捨てならない言葉。

忘れないで。―私が生きていたことを。

旅行雑誌の記者、小池南海子が取材先の諏訪湖で消息を絶った。

美しい死体は刑事を走らせる。北アルプスで発見された女性の凍死体。

本書は、謎の犯罪者・恐怖王と探偵作家の大江蘭堂が対決する表題作の外、好物の探偵小説と落語が混じり合った「盗難」、ミニ「パノラマ島奇談」といった趣の「地獄風景」を併収。

東に人の弱みを探してゆすり、西でネタを拾って小説を書き、南に薄倖の少女を救い、北では美女を侍らせての豪遊……やることなすこと図に当たり意気揚々の影男。

錯綜する謎、息を呑む展開、思いがけない結末…。

私立探偵・野崎は、ある日、吉野真理子という女から、失踪した老父の捜索を依頼される。

伊集院大介、倒錯の性の世界に踏み込んで自殺事件の謎を解く。

連合赤軍が浅間山荘事件を起こし、日本国中を震撼させた1972年冬―当時学生だった矢野布美子は、大学助教授の片瀬信太郎と妻の雛子の優雅で奔放な魅力に心奪われ、彼ら二人との倒錯した恋にのめりこんでいた。

阿浦衆とその末裔たちの秘密に挑む海上タクシー「ガル3号」。闇に響く短・短・長の警笛。

東京郊外の老人ホーム、ダイヤライフ多摩の入居者七名は、アニメーション業界の草分けとなった夢多き人々だ。

藪原法律事務所の居候弁護士、朝吹里矢子。駆け出しの彼女にとっては毎日が新鮮な“事件”だ。

初詣客で賑わう京都・北野天神の殺人事件。日本画家の沢木と舞妓の小菊が事件の謎を追う。

モース主任警部にとって、他人が担当していた事件を途中から引き継ぐのは、あまり面白いことではなかった。

彼を殺したことを告白します…枕元にいた映画監督のトマスを神父と誤り、死の間際、老人はそう囁いた。

心中か、殺人か。交錯する謎を追い、歴史を遡る若き国文学者の苦悩と推理。

観音浄土での往生を願い、死を覚悟で熊野那智から旅立つ補陀落渡海。

新宿署刑事・鮫島―犯罪者は、恐れを込めて呼ぶ、「新宿鮫」と。

“宗教法人炎矢教団総本部”この教団から娘・葉子を連れ戻してほしい―というのが今回の僕への依頼であった。

もと消防署だった建物を購入した男は、施設の一部として残った「見張り塔」から、毎日写真を撮りつづけた。

あの高野山での死闘から7年―アキラ、久遠、空海の3人が力強く甦った。

愛する女は死に男は罠に落ちた。雨にけむるシンガポール「白楼夢」の日々。

新幹線に乗り遅れたと、東京駅から新潟までタクシーを飛ばした女は、好物のはずの夕食の蕎麦をなぜ残したのか?―「乗り遅れた女」。

舞台はパリ―放蕩生活を送った祖父の足跡を追って、僕はここにやって来た。

「これはひどい」凄惨な光景に、熟練の鑑識が目を背けた。

凄惨な殺人現場に残されていたのは、そこにいるはずのない自分の指紋と血で書かれたメッセージ。

売れない純文学作家サド・ボーモントには、世間に知られていないもう一つの顔があった。

1914年、内戦の続くメキシコで、革明軍の指導者パンチョ・ビリャと渡りあった日本人青年がいた。

「空海が密かに唐より持ち込んだ、“四殺”を封印せよ」闇世界の始末人、孔雀明王美空に、高野山から秘命が下った。

あらゆる悪が正気を飲み込もうとするグリーンリバー刑務所。完全に秩序を失った囚人たちの反乱は、痴情から始まった。

第二次大戦前夜―。

原因不明の突然死を追うルポライターがたどりついたのは呪詛にまみれた一本のビデオテープ。

相模屋の店先で雪駄(せった)が一足盗まれた。上野山下の助五郎親分は、懸命に追い、下手人・仙八を挙げた。

一流商社のエリート課長・松代小弥太は、週末になるとサングラスによれたコートという出で立ちで“名探偵”に変身。

岡っ引きの勘兵、人呼んで悪勘兵は色事にかけては浪花一の事情通。ある日、同心鮫島様のお呼びで奉行所の門をくぐった。

少女マンガ『ローウェルの密室』の作中で密室殺人事件が発生。

人形に隠された手紙が明かす眠れる殺人、人生のほろ苦さをリリカルに描く青春ミステリの佳品。第六回鮎川哲也賞佳作。

日本最大の貯水量を誇るダムが乗っ取られた。人質は発電所員と下流域の市町村。

江戸時代から遊郭を営んできた一家をめぐる殺人予告。狂死した遊女の怨霊祓いの夜、はたして二つの殺人が…。

それぞれの結婚式二時間前、運命的な出会いをした航平と愛永。

二流講演屋と蔑まれながら、屈辱的地方回りを続ける河合清重は奇妙な物を拾得した。それは一挺の拳銃だった。

「ダムの底から死体が」赤かぶ検事に奇怪な報が飛び込んだ。

もっとも大きな謎は、もっとも近い人間の中にある―真実に近づくにつれ、自分が何も知らなかったことに気づかされるスターン弁護士。

杉原爽香、二十二歳の夏。

東京・新宿の公園で爆破事件が発生、多数の死者が出た。犠牲者のなかに「私」の、ただひとりの女性、ただひとりの友人がいた…。

宇治・三室戸寺で、月夜の紫陽花園を撮影していたアマチュア写真家・宮川茂一郎が殺された。スカーフの遺留品…現場には女性が。

全財産を持ち馬にかけて失敗したチャールズ・ラスリンは、優勝馬の持ち主で未亡人のケイトに雇われ、やがて年上の彼女と結婚して快適なカントリーライフを楽しんでいた。

11人もの女性をレイプして殺した挙げ句、死に顔に化粧を施すことから“ドールメイカー(人形造り師)”事件と呼ばれた殺人事件から4年―。

コンクリート・ブロンド事件は、公式には未発表のドールメイカー事件の手口に似ているため、捜査班は警察内部に近い人間による模倣犯罪であると睨む。

MKAテレビ局のベテラン事件記者が、自宅のデスクに突っ伏して死んでいた―死因は心臓発作。

発見された団地でないとしたら、赤ん坊はどこに住んでいたのか。

深夜。丘陵地帯を車で流していたデッカーは、不審な動きに目をとめた。

クレア・マロイは「ディポー書店」の店主。

一本のビデオを見た直後謎の死を遂げた男の解剖を担当した安藤は、人類の存在をも覆す暗号を発見した!!　神の啓示“リング”に抗う人間、最後の叡知。

札幌の歓楽街ススキノで便利屋をなりわいにする「俺」は、いつものようにバーの扉をあけたが…今夜待っていたのは大学の後輩。

北国の街、久寿里。一年の半分は霧に、冬は雪と氷に閉ざされた所だ。

一見無関係に思われた三件の殺人事件。だが現場に残された口紅のケースが同じことから、同一犯の可能性が。

円形の敷地の中央ではお堂がゆっくり回転していた。その四方に同じ形の四つの館という奇観の高槻邸。

長崎を、一瞬のうちに火の海に沈めた原爆は一発だけのはずだった。ところが予備の「第三の原爆」が不発のまま投下されていた。

元刑事で私立探偵の橋本は、ある女性から河西弘という男を探して欲しいとの依頼を受け城崎へ向った。

今やリゾート・マンションが林立する名作「雪国」の街、越後湯沢。その一室で美貌の芸妓・由美の絞殺死体が発見された。

大富豪美宗門康則の双子の娘に惨劇。

美しい杉苔で有名な尼寺月心庵で、異様な死体が発見された。

’60年代の反戦運動の元闘士ペリー・ヒルダリーが通り魔に撃たれ死亡した。

好奇心が強すぎて神学校の落ちこぼれになっていたわたしは、教授からある課題を与えられた。

本格ミステリーをトリック別に分類したアンソロジーの密室編。大乱歩から新本格派までを網羅。

クリッ、クリッ、クリッ、マニ車の回る音とともに秘めた過去が暴かれる恐怖の一瞬。

若手刀鍛冶の角松一誠は、99歳の孤独な師匠酒泉渉の訃報を聞き、岡山にかけつけた。

推理作家でニュースキャスターでもある麻沙子は、道成寺を取材中に殺人事件に遭遇。

雪のように白い肌と鋭い目、びっしり生やした髭面―それが総美学園中等部三年A組の担任として赴任してきた北薗雪夫先生だった。

親の借金のかたに、豪商近江屋駒吉のもとへ妾奉公に出されたお咲は、肌に極彩色の刺青を入れられ、駒吉の欲望の餌食にされる。

いかがわしいグリーティング・カードを作って暮らしているアート・ドッジは、離婚歴のあるプレイボーイ。

母なる大洋より生み落とされた狂える波動物体は、ついに本能の赴くまま、破壊を繰り返し始めた。

東京から青森まで―緑まぶしい五月の国道四号線を完全装備の自転車でツーリングする中年グラフィク・デザイナー、桐沢風太郎。

灯がついた刑事部屋には、誰の姿もなかった。半開きのロッカー、散乱した吸殻、音だけの無線。

オレはガンではないか。―経営者としてわずか2年半、夢と志を賭けた事業なかばにして倒れた男の無念の生涯。

本名は岩切鍛治。通称“春団治ダンさん”。

十二指腸潰瘍手術後の患者が、長い廊下を病室に運ばれる途中に容体が急変、死亡した。

新劇出身の役者・永井光三、人気コラムを持つ演劇評論家・大木良二、酒場のマスター・井木荘一。

新劇出身の役者・永井光三、人気コラムを持つ演劇評論家・大木良二、酒場のマスター・井木荘一。

江馬淳二は交通事故で記憶喪失になる直前、看護婦殺人事件の犯人を目撃していた。

青森県の十二湖駅で女性タレントが誘拐された。日本海沿いを走る五能線の無人駅での犯行だった。

天使の快楽と引き替えに、沢村は音楽家(ギタリスト)の命である指を失った。

万年夜勤刑事から失踪人課の長へと変ったパウダー警部補だが、状況の悪さはそう変らない。

すべての子どもは、文法の基本原理を生まれつき持ちあわせて誕生するが、3歳までにどのように天才的に言葉を習得するのか。

1995年度アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長篇賞受賞作。