画商の罠
- クリス・ノーグレンシリーズ (3)
- 学芸員 (7)
- 美術ミステリ (55)
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
美術学芸員クリス・ノーグレンシリーズ3作目にして今のところ最終巻。 | ||||
| ||||
|
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
骨董小説という高雅な小説の伝統が明治からあるそうである。これは古物、美術品、骨董品を主題とし、その真贋だとか、所在はどこかとか、美術品が謎の主体になって主人公が右往左往という内容で、近くは細野不二彦「ギャラリーフェイク」もそうだろうし、謎ではなくて美術品に関する断想という趣の洲之内徹「気まぐれ美術館」なんかもそのジャンルに広く言えば包括できるのではないかと思う。 ミステリでは陳舜臣「漢古印縁起」などもそれにあたるだろうし、黒川博行「絵が殺した」とか、江戸川乱歩の少年探偵団ものとか、怪盗アルセーヌ・ルパンものはやたらと美術品が盗まれるが、ここら辺も広く見れば骨董小説と見えなくもない。 本題を離れてウロウロとその周辺をぶらついているのは、この小説が確かに殺人はあるしその謎解きもあるけれども、正統的にミステリと言うにはあまりにも余裕がありすぎて、骨董小説として「真作なの?贋作なの?」と読者である私が楽しく迷う時間が長く、あんまりミステリとして読む感じではなかったからだった。 すなわち… 美術館の学芸員クリス・ノーグレンが「レンブラントの絵を寄贈してあげる。その代わり鑑定は一度だけ、肉眼でするだけで判断せよ。寄贈してから5年間は【レンブラント作】として美術館にかかげること」と条件付きのエサをぶら下げられ、ところがその申し出をしてきたのが札付きのユカイ犯の画商ルネ・ヴァシーで、もしかしたら真っ赤な贋作を掴まされて「そんなのも判別できない事象専門家の目が節穴の集団」と笑いものにされるか「本物だったのに偏見に惑わされたばかりに断ったリトルハート」か、どちらにしてもあざ笑われ、専門家のメンツまるつぶれという前門の虎・後門の狼の罠に引っかかるる…というこの内容が、レンブラントやその弟子だとか、そもそも17世紀では工房で絵を作っていたから画家本人の絵と言えるのか、と、20世紀の「画家」崇拝の傾向をチクリと批判しつつ、レンブラント没後は「徒弟修業」の成果として、「二代目レンブラント」式にそっくりの絵を(当時ではむしろ折紙付きで)堂々と売り、また愛好家も寧ろそれを「レンブラント風世界観の絵」として喜んでそれを買い求めたとかの17世紀の美術事情がスリルとサスペンス調で解説されるので、その解説がまた読ませる楽しい娯楽として成立しているものだから、ミステリというより美術ものの歴史小説でも読んでいるようだった。 とはいえちゃんと20世紀の殺人小説の義務を果たして(笑)殺しも謎解きも展開するのだが、そのラストでは現代美術界のタブー「ナチスに略奪されたユダヤ人の財産だった絵画を、半世紀後に被害者の子孫たちが名乗り出て返還を要求」というおなじみの悪夢が展開し、しかもそれまで快刀乱麻を断つがごとく鮮やかに解決。 この小説自体が工芸品のようにみごとにピシピシと将棋の棋譜のようにすべての伏線がラストで解決され、むしろつくりもののような完成度だった。 しかし主人公クリスの性格の良さとヒロイン・アン・グリーンの魅力で不自然さはなく、また最後まで読み通すことでこのトラップを仕掛けた画商の精神の複雑怪奇さがしみじみと良い味を出してきて、深刻ではなく娯楽としてこの一幕を仕掛けてきた画商ルネ・ヴァシーの悪意のない怪物ぶりにつくづく感嘆。 このシリーズ、もっと続いてくれないか。 と思ったが、発表は1993年で2023年現在からはなんともう一世代前。 ここからがもっと凄いのだが、著者アーロン・エルキンズ(1935-)は2023年現在88歳でご健在。 しかしもう年齢的に新作は難しそう…なのでこれはこの著者の最大のお楽しみ、という事になってしまいそうで、そこだけ、このシリーズはここで終わりな所だけが唯一の欠陥と言えようか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「パナマ文書」が喧しいが、ナチス・ドイツが掻っ払って行方不明になっていたモジリアニの絵の持ち主が判明し「悪意の第三者」認定となり20億円で元の持ち主の手に戻ることになった。 エルキンズの手慣れた予定調和が心地よい。筆力が有るし翻訳も原典の印象を崩さず良い感じです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
シアトルの美術館学芸員クリス・ノーグレン・シリーズ第三弾。 今回クリスは、フランスに飛びます。 ヴァシィという画商が、レンブラントの絵をシアトル美術館に寄贈するという。 ただし、科学的な検査はしていないという。 画商の狙いはなんなのか? これを推理するのが楽しいです。 クリスは画商の狙いを解明することができるのか。 そして、レンブラントの寄贈を受けるか受けないか。 1作目、2作目とくらべても一番面白かったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
シアトルの美術館学芸員クリス・ノーグレン・シリーズ第三弾。 今回クリスは、フランスに飛びます。 ヴァシィという画商が、レンブラントの絵をシアトル美術館に寄贈するという。 ただし、科学的な検査をしてはいけないという。 画商の狙いはなんなのか? これを推理するのが楽しいです。 クリスは画商の狙いを解明することができるのか。 そして、レンブラントの寄贈を受けるか受けないか。 1作目、2作目とくらべても一番面白かったです。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 4件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|