画商の罠



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初公開日(参考)1995年02月
分類

長編小説

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画商の罠 (ハワカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)

1995年02月28日 画商の罠 (ハワカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)

わたしが勤める美術館に、フランスの画商がレンブラントの絵を寄贈するといってきた。だがその男は美術界の異端児で、事前の科学的な検査は認めないという。寄増は受けるべきか。恋人と過ごす休暇を犠牲にして、わたしは絵を鑑定するためフランスへ赴くが、そこで殺人事件に巻きこまれようとは…好調、美術館学芸員クリス・ノーグレン・シリーズ第三弾。 (「BOOK」データベースより)




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画商の罠の総合評価:9.60/10点レビュー 5件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

次回作を大いに期待したい佳作

美術学芸員クリス・ノーグレンシリーズ3作目にして今のところ最終巻。
今回の舞台は芸術の国フランス。よくよく考えると絵画をテーマにしたミステリで舞台といえばすぐにフランス、パリという図式が思い浮かぶが、3作目でようやく登場というところが意外といえば意外。まあ、深い意味は無いんだろうけど。

さて今回もなんとも面白いシチュエーション。クリスの勤めるシアトル美術館にフランスの画商ヴァシィがレンブラントの絵を寄贈するという申し出があった。しかし真贋鑑定の科学的検査はしないこと、そして美術館の目立つところに「レンブラント作」として展示することという非常に悩ましい条件が付けられていた。
こんな面倒な仕事が回ってくるのがクリスで、彼はこの申し出のためにフランスに飛ぶが、やはりそこでも殺人事件に巻き込まれるというお決まりのパターン。
御決まりなのだが面白いのがこの作家の作品のいいところで、今回は美術に造詣の深い作者ならではの仕掛けが散りばめられている。

まず画商ヴァシィの人となり。魅力的なキャラクターはエルキンズの専売特許だが、これがけっこう問題児で、腕はいいが今まで色んな騒動を起こしてきた人物だというところ。そんな人物が、真贋鑑定はしてはいけない、一番目立つところに作者名付で飾れというのだから、信頼していいのかどうか非常に不安なところ。もし贋作だった場合は真贋を見極められなかった美術館の沽券にも関わり、評判も落とすから、こんな危ない橋は渡りたくないというのが正直な気持ちだが、集客力の強いレンブラントの作品を、無料で頂けるのは美術館としても魅力的なわけでなんとも判断に困るというのが容易に窺える。
さらに今回作者が上手いのは寄贈する作品の作者をレンブラントにしたところにある。と、さも私が美術に精通しているように書いているが、実はこの作品にこのレンブラントの作品を扱う際に陥りがちな罠について述べてあるので、そっからの受け売り。
本書にも書かれているが、レンブラントは実は工房を持っており、弟子達が師匠レンブラントの技法を真似して書いた作品が多々あり、しかもその作品にレンブラント本人がサインまでしているので、非常に真贋が見極めにくい画家だというのだ。だから世に蔓延っているレンブラント作と冠された絵画は到底レンブラント1人が一生に描ける分量をはるかに超えているらしい。こういう薀蓄は堪りませんね。
まあ、そんな背景を見事ストーリーに溶け込ましてヨーロッパ美術の歴史の暗部も盛り込みつつ、読み終わった時にはなんだかいっぱしの美術通になった気がした。
本書はミステリの部分よりもやはり薀蓄やその辺のサブストーリーが琴線に触れたので、ちょっと評価は高くなっている。

さて冒頭に述べたように本書を最後にこのシリーズは続編が書かれていない。その後別の主人公を使って『略奪』という邦題の美術ミステリを発表したがこちらは本格ミステリ風味が薄れ、サスペンス色が濃くなっており、既出のクリスシリーズのイメージが先行して、なんともちぐはぐな印象を受けた。
美術、絵画をテーマにした作品となると、ナチスによる掠奪品、贋作疑惑、盗難事件と意外にヴァリエーションは少ないと思われるが、私が読んでいたマンガ『ゼロ』はそんな制約の中で多数物語を発表しているので、アイデア1つで面白く書けそうな気がする。
もしエルキンズがこのシリーズをもう1作書くとしたら、例えば日本の浮世絵を扱ったミステリを書くなんて、非常にワクワクするのだが、どうだろうか?


Tetchy
WHOKS60S
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No.4:
(5pt)

驚くべき諧謔を弄ぶ、大人の奇巧に満ち溢れた良質な快作

骨董小説という高雅な小説の伝統が明治からあるそうである。これは古物、美術品、骨董品を主題とし、その真贋だとか、所在はどこかとか、美術品が謎の主体になって主人公が右往左往という内容で、近くは細野不二彦「ギャラリーフェイク」もそうだろうし、謎ではなくて美術品に関する断想という趣の洲之内徹「気まぐれ美術館」なんかもそのジャンルに広く言えば包括できるのではないかと思う。

 ミステリでは陳舜臣「漢古印縁起」などもそれにあたるだろうし、黒川博行「絵が殺した」とか、江戸川乱歩の少年探偵団ものとか、怪盗アルセーヌ・ルパンものはやたらと美術品が盗まれるが、ここら辺も広く見れば骨董小説と見えなくもない。
 本題を離れてウロウロとその周辺をぶらついているのは、この小説が確かに殺人はあるしその謎解きもあるけれども、正統的にミステリと言うにはあまりにも余裕がありすぎて、骨董小説として「真作なの?贋作なの?」と読者である私が楽しく迷う時間が長く、あんまりミステリとして読む感じではなかったからだった。
 すなわち…
 美術館の学芸員クリス・ノーグレンが「レンブラントの絵を寄贈してあげる。その代わり鑑定は一度だけ、肉眼でするだけで判断せよ。寄贈してから5年間は【レンブラント作】として美術館にかかげること」と条件付きのエサをぶら下げられ、ところがその申し出をしてきたのが札付きのユカイ犯の画商ルネ・ヴァシーで、もしかしたら真っ赤な贋作を掴まされて「そんなのも判別できない事象専門家の目が節穴の集団」と笑いものにされるか「本物だったのに偏見に惑わされたばかりに断ったリトルハート」か、どちらにしてもあざ笑われ、専門家のメンツまるつぶれという前門の虎・後門の狼の罠に引っかかるる…というこの内容が、レンブラントやその弟子だとか、そもそも17世紀では工房で絵を作っていたから画家本人の絵と言えるのか、と、20世紀の「画家」崇拝の傾向をチクリと批判しつつ、レンブラント没後は「徒弟修業」の成果として、「二代目レンブラント」式にそっくりの絵を(当時ではむしろ折紙付きで)堂々と売り、また愛好家も寧ろそれを「レンブラント風世界観の絵」として喜んでそれを買い求めたとかの17世紀の美術事情がスリルとサスペンス調で解説されるので、その解説がまた読ませる楽しい娯楽として成立しているものだから、ミステリというより美術ものの歴史小説でも読んでいるようだった。

 とはいえちゃんと20世紀の殺人小説の義務を果たして(笑)殺しも謎解きも展開するのだが、そのラストでは現代美術界のタブー「ナチスに略奪されたユダヤ人の財産だった絵画を、半世紀後に被害者の子孫たちが名乗り出て返還を要求」というおなじみの悪夢が展開し、しかもそれまで快刀乱麻を断つがごとく鮮やかに解決。
 この小説自体が工芸品のようにみごとにピシピシと将棋の棋譜のようにすべての伏線がラストで解決され、むしろつくりもののような完成度だった。
 しかし主人公クリスの性格の良さとヒロイン・アン・グリーンの魅力で不自然さはなく、また最後まで読み通すことでこのトラップを仕掛けた画商の精神の複雑怪奇さがしみじみと良い味を出してきて、深刻ではなく娯楽としてこの一幕を仕掛けてきた画商ルネ・ヴァシーの悪意のない怪物ぶりにつくづく感嘆。

 このシリーズ、もっと続いてくれないか。
 と思ったが、発表は1993年で2023年現在からはなんともう一世代前。
 ここからがもっと凄いのだが、著者アーロン・エルキンズ(1935-)は2023年現在88歳でご健在。
 しかしもう年齢的に新作は難しそう…なのでこれはこの著者の最大のお楽しみ、という事になってしまいそうで、そこだけ、このシリーズはここで終わりな所だけが唯一の欠陥と言えようか。
画商の罠 (ハワカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)Amazon書評・レビュー:画商の罠 (ハワカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)より
4151000852
No.3:
(5pt)

2016年5月末小説がマジになった。

「パナマ文書」が喧しいが、ナチス・ドイツが掻っ払って行方不明になっていたモジリアニの絵の持ち主が判明し「悪意の第三者」認定となり20億円で元の持ち主の手に戻ることになった。
エルキンズの手慣れた予定調和が心地よい。筆力が有るし翻訳も原典の印象を崩さず良い感じです。
画商の罠 (ハワカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)Amazon書評・レビュー:画商の罠 (ハワカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)より
4151000852
No.2:
(5pt)

レンブラント、真作か、贋作か。

シアトルの美術館学芸員クリス・ノーグレン・シリーズ第三弾。
今回クリスは、フランスに飛びます。
ヴァシィという画商が、レンブラントの絵をシアトル美術館に寄贈するという。
ただし、科学的な検査はしていないという。
画商の狙いはなんなのか?
これを推理するのが楽しいです。
クリスは画商の狙いを解明することができるのか。
そして、レンブラントの寄贈を受けるか受けないか。
1作目、2作目とくらべても一番面白かったです。
画商の罠 (ハワカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)Amazon書評・レビュー:画商の罠 (ハワカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)より
4151000852
No.1:
(5pt)

レンブラント、真作か、贋作か。

シアトルの美術館学芸員クリス・ノーグレン・シリーズ第三弾。
今回クリスは、フランスに飛びます。

ヴァシィという画商が、レンブラントの絵をシアトル美術館に寄贈するという。
ただし、科学的な検査をしてはいけないという。
画商の狙いはなんなのか?
これを推理するのが楽しいです。

クリスは画商の狙いを解明することができるのか。
そして、レンブラントの寄贈を受けるか受けないか。

1作目、2作目とくらべても一番面白かったです。
画商の罠 (ハワカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)Amazon書評・レビュー:画商の罠 (ハワカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)より
4151000852



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