葡萄園の骨



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初公開日(参考)2014年01月
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長編小説

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葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

2014年01月24日 葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

どこへ行こうと、スケルトン探偵ことギデオン・オリヴァーを迎えるのは骨なのか。イタリア・トスカーナ地方の山中で発見された、二体の白骨死体。一年ほど前に失踪していた葡萄園経営者夫妻のものだ。状況から見て、不倫を疑った夫が妻を射殺してから自殺したものと警察は考える。だがたまたま夫妻と知り合いでもあったギデオンが白骨の鑑定をしたことから意外な事実が次々と明るみに!謎が謎を呼ぶ人気シリーズ最新作。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

葡萄園の骨の総合評価:7.22/10点レビュー 9件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

やはりこのシリーズこそ現代科学ミステリだ

刊行を心待ちにしているある特定の作家の作品、もしくはシリーズ作品というのが誰しもあるだろうが、人類学者“スケルトン探偵”ギデオン・オリヴァーシリーズは私にとってそんな作品群の1つであり、刊行予定に『~の骨』のタイトルを見た私は思わず快哉を挙げてしまった。
なんと前作から3年ぶりの刊行である。これは『洞窟の骨』から『骨の島』までの4年ぶりに続くブランクの長さであり、しかも『骨の島』以降ほぼ1年に1作のペースで刊行されていただけに、作者エルキンズの年齢も考えると―なんと78歳!―シリーズは終了してしまったものだと思っていたので本当に本作の刊行は喜びもひとしおなのだ。

と、長々とこのシリーズをいかに私が待ち侘びていたかをつらつらと書いてしまったが、そろそろ本書の感想に入ろう。

物語の舞台はイタリアはフィレンツェ。しかし物語の中心はそこから車で約40分ばかり離れたワイナリー<ヴィラ・アンティカ>で、そこでワイナリーを経営するクビデュ一族が事件の容疑者たちとなる。

今回も例によってギデオンの骨鑑定から事件の謎が明らかになる。いや実際はイタリア憲兵隊によって処理された事案がシンポジウムの講師として招かれたギデオンの骨鑑定によって逆に謎が深まるのだ。

山奥で発見された二体の白骨死体は1年前から行方不明になっていたクビデュ夫妻の物だった。60mもの高さから落ちたであろう遺体の骨の損傷は激しかったが、遺体には両方とも銃で頭部を撃ち抜かれた形跡があった。夫の遺骨が妻の遺骨に覆いかぶさるようになっていたことから、夫が妻を殺害した後、自分も自殺して頭を撃ちぬいた衝撃で崖から転落したと事件は処理されていたのだが、ギデオンの鑑定でまず妻の死因は崖から落ちたことであり、頭を撃ち抜かれたのは転落後の事であった。つまり犯人と目される夫は妻を崖から突き落とした後、崖を駆け下り、銃にて止めを刺した後、もう一度60mもの高さの崖をよじ登って、崖の上で自分の頭を撃ち抜いて転落するという、なんとも珍妙な状況が推測されるのだ。

しかし火葬されて荼毘に付されたとされていた夫の遺骨があることを知り、その骨を鑑定することでさらに新たな事実が判明する。

即ち夫は妻が死ぬ前に死んでおり、更に死んでから数週間経った後、崖から転落した、更にはその際に何者かによってジャケットを着せられた可能性がある、と。つまりここで2人を何者かが殺した可能性が高まるのだが、なぜ夫の死体は数週間も放置されて崖に落とされたのかというこれまた理解不能な状況が生まれるのだ。

3年間の沈黙の末に刊行された本書はそれだけにギデオンの骨の鑑定を存分に振るっている。特に今回は2体の崖下の白骨死体をギデオンが鑑定することで二転三転事実が覆されるといった充実ぶり。

特に事実が覆る2回目の鑑定ではまたもや興味深い骨に関する知識が披露される。

即ち骨も樹木と同じように枯れ木と若木の状態では損傷の仕方が違うということ。生きている人間の骨が折れるのは体液と脂肪が染み込んで湿った組織に覆われている為、枯れ木のようにポキンとは折れず、弾力があって折れ曲がってしまい、折れる時も片側が裂ける、つまりポキンと折れるのは死んでしまった人間の骨だそうだ。
これは外科医の先生は常識的に知っているのかもしれないが、今回初めて知った。そしてこれにより2体それぞれの白骨体の損傷から遺体の時間差が解るのだ。

またこの骨の弾力性ゆえに、生きている人間の頭蓋骨は頭部が何か硬い物に押し当てられた状態で銃で撃たれても、それによって骨が支えられて外側に射出せずに角のように突出した形で留まることもあるらしい。

また高い所から落ちた時に足から着地すると衝撃で下半身の骨が砕け、背骨が頭蓋骨にめり込んで脳髄まで達する、といったような新たな骨の知識を今回も得てしまった。

さらに物語の最終局面になって二つ目の殺人事件が起きる。勘当されていた継子のチェザーレが過剰薬物摂取による死亡と思しき状態で発見されるのだ。
正直この事件は物語に変化をつけるための蛇足かと思ったが、後にこの事件で犯人が絞られることが判明する。いやあエルキンズの小説は実に無駄がない。

またエルキンズのストーリーテラーぶりは健在。
冒頭の1章でいきなり昔ながらのワイナリーを経営するクビデュ一族の家族会議によって読者は陽光眩しいイタリアの地に招かれることになる。そしてそんな家族のやり取りを通じてクビデュ家それぞれの人となりがするっと頭に入ってくる。この1章で既に読者の頭の中にはこの憎めないイタリアのワイナリー一家が住み込んでしまうのだ。

家長でありワイナリーの経営者である父ピエトロはこよなくワインを愛する男であり、彼には3人の息子がいる。

長男のフランコはワイナリーの実質的な経営を担っており、父の後継ぎとしてワインの勉強に努力を惜しまず、新しい手法や設備を導入してワイナリーの発展に力を尽くすが知識一辺倒の性格で効率主義者であり、ワインを“自社”商品としてしか見れない。

次男のルカは父親のピエトロと同じようにワインをこよなく愛し、昔ながらの製法にこだわり伝統を守ろうとしていたが、ワイナリーを継げないことを悟ると身を引いて第二の人生として妻とレストランを経営しようと計画している。

三男のニッコロはワインは好きだが、知識や愛情は持っていない。しかし持ち前の人の良さとその二枚目ぶりから凄腕のバイヤーとして経営を支えている。
そしてピエトロの妻ノーラの連れ子としてチェザーレがいたが、ライバルワイナリーに勤めることになったことで勘当されている。

と、まあこんな個性的な面々がたった20ページ足らずの1章で実に生き生きと描かれるのだ。

そんな素晴らしき血肉を得た登場人物たちの中に真犯人がいるのは何とも切ない限り。

しかし今回はそれでも物語としては冗長に過ぎたという感は否めない。
この二体の崖下の白骨体を二度の鑑定で事実を二転三転させる趣向は買う物の、とにかくギデオンの語り口によってじらしにじらされたように思えてならない。ギデオンってこんなに回りくどかったっけ?などと思ったくらいだ。

加えて観光小説の一面も持つこのシリーズだが、今回はそれが特に顕著。特にイタリア語が今回はまんべんなく散りばめられており、読むのにつっかることしきりで、更にはこれが特にページ数を膨らましているように感じた。
取材の成果を存分に発揮したかったのだろうが、これではイタリア旅行の費用をとことん経費で落とそうとしているようにも勘ぐってしまうではないか。

とまあ、下衆の勘ぐりはさておき、今回もギデオンの骨の鑑定を愉しませてもらった。
昨今ではジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズやドラマ『CSI』シリーズなど、鑑定が活躍するシリーズが活況を呈しているが、古くからあるこのスケルトン探偵による骨の鑑定はそれらブームとは一線を画した面白味があり、エルキンズの健在ぶりを堪能した。

さて作者の年齢を考えると次回作が気になるが、ここは素直に一ファンとして次のギデオンの活躍を心待ちにしておこう。


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No.8:
(1pt)

ギデオンの講釈を省略して訳したろ!

この訳者の日本語にしては やけにスルッと読めるんで「おかしい」と感じたら、途中の頭蓋骨の突出骨折を説明する部分がゴッソリと省略されている。スケルトン探偵シリーズからギデオンの解説を省いたら皆のレビューが異常に悪いのも理解できる。
ギデオンが頭蓋骨骨折の蘊蓄を語った部分はこうである。「大後頭孔周囲は非常に骨が分厚いが更に側頭骨岩様部は厚い。だから大後頭孔と周囲の骨がリング状に頭蓋骨の中にめり込むんだ。頭蓋は人体の中で唯一外骨格つまり大事な大脳を守る骨が外側に位置している。脳の硬さは小児でゼリー状でこの年齢ならプディングと同じ程度だ、下から強い力が高速度で圧縮するように大脳底面にかかると大脳の直撃損傷(直接損傷)coup injuryが起きると同時に頭頂骨や側頭骨の最も弱い部分に圧力が急激に掛かる。するとここが外側に飛び出す。この部分は反衝損傷 contrecoup injuryを起こすから血腫(凸レンズ状の血の塊)を形成する。この血液の染みは一年程度では落ちない程の痕跡を残す。大後頭孔からペンライトを当てると ほらこの通リ赤紫〜茶色の広範な出血痕が認められる。ところでジョン、君にはクープとコントラクープの出来方について教えたよね?」という部分がゴッソリ落ちている。どうみても「わざと」だ。この訳者は日本語がご不自由なことは知っていたが不誠実だとは思わなかった。蛇足だが「直撃損傷(直接損傷)coup injury」「反衝損傷 contrecoup injury」を医学部の学生は何度も繰り返し教わる。2年生で「脳解剖・中枢神経解剖」3年生で「法医学」4年生で「脳外科」5年生で「神経内科実習」等々それだけ大事な事象なので繰り返し教わるものだ。訳者が誠実であれば身近な医療従事者のアドバイスを受ければ斯様な醜態を晒さずに済むはずである。
葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕Amazon書評・レビュー:葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕より
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No.7:
(5pt)

いいね

有り難うございました。とても良い商品です。またよみたくなる商品ですね。
葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕Amazon書評・レビュー:葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕より
4151751122
No.6:
(5pt)

Great!

”スケルトン探偵”のキャラクターと見事な推理が魅力です。 イタリアのトスカーナへ旅する前に読んで、旅行が一層楽しくなりました。
葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕Amazon書評・レビュー:葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕より
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No.5:
(3pt)

タイトルも内容も惰性としか思えない…

定評ある作家の新しい作品ということで薦められて読みましたが、正直がっかりでした。
まず、旅行案内・グルメ・ワイン関連の記述が多すぎて、頁が2倍くらいになっている感じ。
やたら要らない修飾を施して原稿料稼ぎ?かと思わせるくらい本筋と関係ない話題が出てくるので辟易しました。

また、翻訳のタイトルは内容とは無関係に、過去の「~の骨」と合わせただけの惰性で付けたような題名で、味もそっけもない感じです。
元版の原題は何か意味がありそうで、微妙な原題のニュアンスが伝わってくる訳でないように思います。
この印象は、タイトルだけでなく本文の翻訳にも散見されます。
一部には良訳との評もあるようですが、私個人の印象は、それほど良い訳とも思えませんでした。
まぁ悪くない程度の、普通の訳じゃないでしょうか。

ミステリーとしてはまったく納得できない推理で、説得力はあまり無いような…。
結局、前半の謎がまったく収斂させられていません。
それから、「伏線」はほとんど無くて、ご都合主義な事実や「証拠」が突然現れるのです!びっくり、というか、そりゃ~ないよ!

期待せずに読めば、イタリア旅行&グルメ案内としては楽しいかも。
また、アメリカン・ジョークとはこういうものかと知るには参考になるかも知れません。
ある知人は、これは「コージー」の一種だから、「ミステリーとしては、どうなのか?!」と目くじらを立てるのは大人気ないと忠告してくれました。
気持ち良く読書出来れば価値があるといえますね。
私の趣味には合わなかった、というだけです。(期待し過ぎたのかも?)
葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕Amazon書評・レビュー:葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕より
4151751122
No.4:
(3pt)

パターン化しています

イタリア美食紀行と化しています。かなりのお年ですから、新作が出るだけ十分です。
葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕Amazon書評・レビュー:葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕より
4151751122



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