泥棒は哲学で解決する



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初公開日(参考)1983年01月
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長編小説

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泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)

1995年03月01日 泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)

こいつは時価五十万ドル、いやそれ以上か―私たちは忍び込んだコルキャノン邸で、世界に五枚しかないという超希少コインを手に入れた。たった一時間の仕事としては上出来だ。と喜んだのも一晩限り、翌朝コルキャノンの妻が撲殺死体で発見され、なんと私に殺人容疑が。その上、第二の殺人が起こり、問題のコインが消えるにおよんで、私は犯人捜しに乗り出すことに。(「BOOK」データベースより)




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泥棒は哲学で解決するの総合評価:7.57/10点レビュー 7件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

本格ミステリ風味を踏襲

泥棒探偵バーニイ・ローデンバーシリーズ第4作目。
前作『泥棒は詩を口ずさむ』から引き続きバーニイは古書店店主を営み、友人の犬の美容師キャロリンは前作の事件がもとで彼の泥棒稼業のパートナーとなって一緒に盗みを働いている。

そして泥棒に入った家でまたもや殺人事件が起き、バーニイは容疑者になってしまうが、今回は逮捕されず任意同行と云う形で警察署に引っ張られるものの、生き残った被害者への面通しで別人だとされるのが今までとは違うところ。
つまり今までは警察に捕まりそうになったところを寸でのところで逃げ出し、世間から隠れながら事件を解決するという手法だったのだが、本作では証拠不十分として釈放され、警察からの嫌疑を受けながらもいつも通りの古書店主としての生活をして犯人探しをしているのがミソ。これが今まで行動の不自由さゆえに物語が停滞しがちだったこのシリーズの欠点を見事に補っており、通常よりも物語に躍動感があるように思えた。

今回バーニイが巻き込まれる事件は時価20万ドルはすると云われている「リバティ・ヘッド・ニッケル貨」で発行がされていないはずの1913年付のたった5枚しか現存していないとされる幻の硬貨を巡る殺人だ。バーニイが入る前にすでにターゲットのコルキャノン邸には泥棒が入っていたが、硬貨が隠されていた壁金庫は開放されておらず、彼はまんまと効果をせしめ、買い手が付いたら山分けと云う条件で故買屋に渡してその場を去るが、コルキャノン邸には強盗による暴力で妻が死に、さらに故買屋は何者かに殺され、バーニイの許には硬貨を引き渡すよう謎の人物から脅迫を受けることになる。

とまあ、通常であればバーニイは非常に危ない橋を渡っているのだが、なぜかそこには陰鬱なトーンはなく、バーニイの語り口でムードは快活軽妙なのだ。
2人もの死人を出しながらも一人の死を巡ってそれぞれの関係者に隠された暗い過去や事実を探るマット・スカダーシリーズの語り口よりも明るいというのが非常に面白い。毎度のことだが、本当に1人の作家が両方書いているのかと信じられない思いを抱いてしまう。
また作中やたらとロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズを揶揄しているのが目に付いた。自身の生み出したアル中探偵マット・スカダーと健康的で現代的な探偵スペンサーとを比較しているのだろう。どちらもネオ・ハードボイルドとして新たな探偵像を描きながらも、スペンサーシリーズの方が当時は売り上げも高かったことに対する作者のやっかみのようにも取れる。こんな健全な探偵が活躍する物語のどこが面白いのかねぇ、とバーニイが代弁しているかのようだ。

さて事件は一つの館に一夜でなんと3組の強盗が入っていることが判明する。
一番目の強盗は部屋を荒らして金目の物を獲っていき、二番目の強盗はバーニイとキャロリンの二人組で金庫を開けて幻の金貨を手に入れる。そして三番目の強盗が帰宅したコルキャノン夫妻と出くわし、二人を昏倒させ、それが元でコルキャノン夫人が亡くなってしまう。

正直この事件の真相は早々に解ってしまった。

だが二番目の殺人、故買屋エイベル・クロウの殺害事件の真相は見抜けなかった。

しかしこのバーニイ・ローデンバーシリーズだが、作者ブロックは意識的に昔の本格ミステリの形式を踏襲して書いているようだ。今回の謎解きは殺害されたエイベルの告別式で事件の関係者を一堂に集めてバーニイが謎解きを開陳するという古式ゆかしきスタイルなのだから。

話は変わるが、故買屋エイベル・クロウがダッハウ収容所から生還したという設定には驚いた。ついこの前に読んだのがバー=ゾウハーの『ダッハウから来たスパイ』でまさにこの地獄の収容所について書かれたノンフィクションだったからだ。またもや本が本を引き寄せるという奇妙な体験をしてしまった。

さて前作に続いてバーニイのパートナーを務めたレズの犬美容師キャロリン・カイザーが前作で恋人だったランディと別れ、なんと犬猿の仲だったバーニイの女友達デニーズと懇意になってしまうという意外な展開。そしてさらにバーニイは今後も泥棒稼業を続けていく意欲を見せて物語は終わる。

次回もまたバーニイは古本屋稼業を続けて本に纏わる小気味良いエピソードを交えながら、泥棒もして奇妙な事件に巻き込まれることだろう。そしてその時のバーニイを取り巻く人々の状況はどんな風になっているのか、楽しみである。
これぞまさにシリーズの醍醐味ではないだろうか。


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Tetchy
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No.6:
(4pt)

更に魅力を増したシリーズ第4作

主人公の泥棒が入った家で殺人が起こり・・・というお話。

シリーズ物の宿命で既視感がチラつきますが、それでも著者のがブロック氏という事で、先の読めないプロットの作品になつており、最後まで楽しく読めました。

普通だと感情移入できない、犯罪者を主人公にしながら嫌悪感をもよおさせず、読後感がいいのも、さすがと思いました。

コインについての雑学も興味深かったです。

更に魅力を増したシリーズ第4作。機会があったら是非。
泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)Amazon書評・レビュー:泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)より
4150774595
No.5:
(4pt)

スカダーより面白いだろうか?

泥棒バーニーは初めて手にします。果たして、スカダーより面白いでしょうか?今のところは?です。
泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)Amazon書評・レビュー:泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)より
4150774595
No.4:
(4pt)

バーニー・シリーズはいつ読んでも面白い。

本書を読み進みながらやはり大昔に読んだ記憶が蘇ってきた。
 すこし調べてみたら、このシリーズのタイトルで思い出すと『泥棒は図書室で推理する』まで読んだようである。
 本書『泥棒は哲学で解決する』も数ページ読みすすみながらディテールは別にしてもストーリーの粗筋をおおよそ思い出してしまった。
 物語の最後になって何者かに殺された個賠屋のエイベル・クロウの追悼式に関係者を全員集めたバーニーが、スピノザやトーマス・ホッブスなどの本から引用して説教しながら犯人に迫っていく場面などあまり記憶になく読み進みながら笑えてきてしまった。
 個賠屋のエイベル・クロウが哲学好きでスピノザに造詣が深い人物だったし、バーニーもなかなか物知りであるから著者はこんなエンディングを設定したのだろう。
 関係者を集めて犯人を追及する場面設定などミステリの古典的手法である。
 が、著者はスカダー・シリーズとは異なり肩の力を抜いて楽しみながら書いていたのだろう。
 本作の欠点はフーダニットものともいえるストーリーだが、後半になって読者にヒントをほとんど与えないバーニーだけの一人よがりの展開をしているところである。
 まあ、既読の本だったがバーニー・シリーズはいつ読んでも面白いから文句は言えないかな。
泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)Amazon書評・レビュー:泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)より
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No.3:
(5pt)

有難うございました。

素早いご対応このたびは有難うございました。また、お願いします。
泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)Amazon書評・レビュー:泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)より
4150774595
No.2:
(3pt)

泥棒は泥棒

 かなり前にふたつのシリーズを1冊ずつ読んで、それっきりになっていたブロック。久しぶりに手に取ってみた。 タイトルでわかるように泥棒が主人公で探偵役なのだけど、ルパンのような雰囲気では全くない。主人公バーニイは、なんというかそれほどたいした悪党でもないし、義賊なんかではもちろんない。だいたい、泥棒をやる動機をちょっと語っていたりするんだけど、それが腹立たしくなるような動機だったりする。ただ、なんというか、憎めないのである。 事件そのものは典型的な巻き込まれ方。やましいところのある仕事をしているのだから、そういう展開になるのはわかる。泥棒がぱっと探偵役になる展開を期待して読んでいるとちょっと拍子抜けした。解決しようと宣言した時には、どうやら彼の頭の中では解決していたらしい。が、そもそも職業が泥棒だから、どうやって班員をやっつける買って問題が残るから、その辺りの手順がおもしろい。おもしろいというか、「?」な気持ちのままバーニイの行動につきあわされて、さいごに、ああそういうことねって思う。その過程は犯人捜しよりもおもしろかった。 泥棒をやるってことへの倫理的な感覚はどうなのかなっていうのが気になるところ。っていうのは、案外さばさばと、告白をしてしまったりするから。泥棒でなければ巻き込まれない事件、泥棒でなければ見つけられない手がかり、泥棒でなければできない解決方法、なんてうまく組み立てられている物語だから、カミングアウトしなくてもかまわない、すっきりとした結末が欲しかった気がする。
泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)Amazon書評・レビュー:泥棒は哲学で解決する (ハヤカワ・ミステリ文庫―泥棒バーニィ・シリーズ)より
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