償いの報酬



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    初公開日(参考)2012年09月
    分類

    長編小説

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    償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

    2012年09月21日 償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

    マット・スカダー・シリーズ。禁酒を始めてから3カ月が経とうとしていた。いつものようにAAの集会に参加したスカダーは、幼なじみで犯罪常習者のジャック・エラリーに声を掛けられる。ジャックは禁酒プログラムとして、過去に犯した罪を償う“埋め合わせ”を実践しているという。そんな矢先、銃弾を頭部に撃ち込まれ何者かに殺されてしまう。スカダーはジャックの遺した“埋め合わせ”リストの5人について調査を始めるが…。名作『八百万の死にざま』後をノスタルジックに描いたシリーズ最新作。 (「BOOK」データベースより)




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    償いの報酬の総合評価:8.57/10点レビュー 14件。Bランク


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    全4件 1~4 1/1ページ
    No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
    (7pt)

    スカダーシリーズとしては、ちょっと物足りない感もありますが

    年をとったスカダーも魅力的ではあります。
    昔話を聞いているというよりも、若かりし頃のスカダーがすぐ目の前にいるような気がして(ここが作者の腕なんでしょうが)
    話自体が生き生きとしていて、「今」の話を聞いているようでもありました。

    スカダーの魅力は何といっても相手との会話です。
    エレインの話題がほんのちょっとだけ出てきましたが、片方のジャンもなかなか妖艶でした。
    私が読み落としたのか、どうかはまだハッキリと調べていませんが、若い男の子の話題がなかったような・・・。tjです。
    もう一度駆け足で探してみようと思っています。

    ももか
    3UKDKR1P
    No.3:
    (8pt)

    あの頃のあの女性に思いを馳せて乾杯

    マット・スカダーシリーズ17作目の本書はなんと時代は遡って『八百万の死にざま』の後の事件についての話。
    幼馴染で犯罪者だったジャック・エラリーの死についてスカダーが調査に乗り出す。マットが禁酒1年を迎えようとする、まだミック・バルーとエレインとの再会もなく、ジャン・キーンがまだ恋人だった頃の時代の昔話だ。

    AAの集会で再会した幼馴染ジャック・エラリーの死にマットが彼の助言者の依頼で事件の捜査をするのが本書のあらすじだ。

    マットは警察という正義の側の道を歩み、翻ってジャックはしがない小悪党となってたびたび刑務所に入れられては出所することを繰り返していた悪の側の道を歩んできた男だ。

    かつての幼馴染がそれぞれ違えた道を歩み、再会する話はこの手のハードボイルド系の話ではもはやありふれたものだろう。そしてマットが警察が鼻にもかけないチンピラの死を死者の生前数少なかった友人の頼みを聞いてニューヨークの街を調べ歩くのも本シリーズの原点ともいうべき設定だ。

    今回の事件は禁酒者同士の集まりAAの集会で設定されている禁酒に向けての『十二のステップ』のうち、第八ステップの飲酒時代に自分が迷惑をかけたと思われる人物を書き出し、償いをする活動がカギとなっている。ジャックがその段階で挙げた人物たちに過去の謝罪と償いをしていたことからそのリストの5人が容疑者として浮かび上がる。

    しかし彼らの中には犯人がいないという意外な展開を見せる。
    さらに容疑者の1人の元故買屋マーク・サッテンスタインが殺され、ジャックの助言者グレッグも殺される。マットはジャックの部屋から第八ステップで書いたジャックの全文を見つけ、ジャックがかつて行った強盗殺人の顛末とそこに書かれたE・Sなる相棒の存在に気付く。

    そしてマットも意外な形で真犯人の襲撃に遭う。ホテルの部屋に戻るとそこにバーボン、メーカーズマークの瓶とグラスが置かれ、さらにベッドのマットと枕に同じバーボンがぶち撒かれ、部屋中一帯にアルコールの臭いが充満していたのだ。
    禁酒1年目を迎えようとする直前でマットはまたもアル中になるのかと恐怖に慄く。禁酒中のアル中を殺すのに刃物も銃もいらないのだ。ただそこに強い誘惑を放つアルコールがあればいいのだ。 本書の原題である“A Drop Of The Hard Stuff(強い酒の一滴)”だけでも十分なのだ。

    しかしなぜここまで時代を遡ったのだろうか?
    ブロックはまだ語っていないスカダーの話があったからだと某雑誌のインタビューで述べているが、それはブロックなりの粋な返答だろう。

    恐らくは時代が下がり、60を迎えようとするマットがTJなどの若者の助けを借りてインターネットを使って人捜しをする現代の風潮にそぐわなくなってきたと感じたからだろう。
    エピローグでミック・バルーが述懐するようにインターネットがあれば素人でも容易に何でも捜し出せる時代になった今、作者自身もマットのような人捜しの物語が書きにくくなったと思ったのではないだろうか。

    しかしそれでもブロックはしっとりとした下層階級の人々の間を行き来する古き私立探偵の物語を書きたかったのだ。
    それをするには時代を遡るしかなかった、そんなところではないだろうか?

    そして忘れてならないのは『死者との誓い』で病で亡くなったジャンとの別れの物語だろう。
    お互い幸せを感じながらもどこかで負担を感じつつある2人。暗黙の了解であった土曜日のデートが逆に自由を拘束されるように感じ、デートに行けない理由を並べだす。これといった理由もないが、どこかで2人で幸せに暮らす情景に疑問を持ち、避け合う2人の関係。
    大人だからこそ割り切れない感情の揺れが交錯し、そして決別へと繋がる。どことなく別れたジャンとマットの関係をきちんと描くのもまたブロックがこのシリーズで残した忘れ物を読者に届けるために時代を遡って書いたのかもしれない。

    2013年からシリーズを読み始めた比較的歴史の浅い私にしてみても実に懐かしさを覚え、どことなく全編セピア色に彩られた古いフィルムを見ているような風景が頭に過ぎった。
    私でさえそうなのだから、リアルタイムでシリーズに親しんできた読者が抱く感慨の深さはいかほどか想像できない。これこそシリーズ読者が得られる、コク深きヴィンテージ・ワインに似た芳醇な味わいに似た読書の醍醐味だろう。

    物語の事件そのものは特にミステリとしての驚くべき点はなく、ごくありふれた人捜し型私立探偵小説であろう。
    しかしマット・スカダーシリーズに求めているのはそんなサプライズではなく、事件を通じてマットが邂逅する人々が垣間見せる人生の片鱗だったり、そしてアル中のマットが見せる弱さや人生観にある。

    そして物語に挟まれるマットが対峙した過去の事件のエピソード。そして最後のエピローグで本書の物語に登場した人物や店のその後がミックとの会話で語られる。それらのいくつかはシリーズでも語られた内容だ。
    とりわけジャンの死は。

    古き良き時代は終わり、誰もが忙しい時代になった。ニューヨークの片隅でそれらの喧騒から離れ、グラスを交わす老境に入ったマットとミック2人の男の姿はブロックが我々に向けたシリーズの終焉を告げる最後の祝杯のように見えてならなかった。

    しかし私のマット・スカダーは終われない。『すべては死にゆく』を読んでいないからだ。
    二見書房よ、ぜひとも文庫化してくれないか。私にケリをつけさせてくれ。


    ▼以下、ネタバレ感想

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    Tetchy
    WHOKS60S
    No.2:
    (5pt)

    禁酒探偵

    リアム・ニーソンのイメージが強いです。

    わたろう
    0BCEGGR4
    No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
    (8pt)

    ベテランの話芸に酔う

    終わってしまったと思っていたマット・スカダーシリーズの復活! それだけでも驚きだが、74歳になったスカダーがミック・バルーに思い出話を聞かせるという構成の妙に脱帽した。さすがに74歳でN.Y.での探偵稼業はきついとみえて、そこで編み出したが炉辺夜話ということで、スカダー45歳のときの物語が展開される。
    ストーリーは、幼馴染を殺害した犯人を探す話で、探偵ものとして十分に合格点の出来なのだが、読んでいるうちに犯人探しはどうでもよくなってくる。なにより、スカダーの人間性、人生観、他者とのかかわり方、恋人との関係の感じ方などが深く心を打ってくる。
    読み終わったらスカダーをもっと身近に感じるようになる、シリーズファン必読の一冊だ。

    iisan
    927253Y1
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.10:
    (5pt)

    読まずにはいられません。

    まだ、読み始めたばかりなのですが、ローレンス ブロックさんの本は中毒性があって、読まずにはいられなくなるので、困ります。人気作家の作品は、全て読みたくなるので、これからも少しずつ、ローレンスブロック本を読んでいきたいと思います。
    償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)より
    4576121235
    No.9:
    (5pt)

    償いの報酬

    マット・スカダー・シリーズ。禁酒を始めてから3カ月が経とうとしていた。いつものようにAAの集会に参加したスカダーは、幼なじみで犯罪常習者のジャック・エラリーに声を掛けられる。ジャックは禁酒プログラムとして、過去に犯した罪を償う“埋め合わせ”を実践しているという。そんな矢先、銃弾を頭部に撃ち込まれ何者かに殺されてしまう。スカダーはジャックの遺した“埋め合わせ”リストの5人について調査を始めるが…。
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    No.8:
    (5pt)

    わくわくするようなマット・スカダーの世界が語られる

    長年の友人ミック・バルーと彼が所有する酒場で夜更けまで語り合うマット。店にはギネス、選りすぐりのシングルモルトが置かれている。ウオーター・フォードのタンブラーでマットはクラブソーダ、ミックはジェイムソン12年物をストレートで飲んでいる。年取った二人の会話からマットの回顧譚が始まる。わくわくするような出だし。ローレンス・ブロックはマット・スカダーシリーズの筆を折ったと聞いていたので、久しく遠ざかっていたが10年振りの出会い。これで17作品すべてを愛読したことになる。
    回顧譚は時系列を飛び越えて昔の80年代に還ってしまった。マットが警官を辞めてそんなに経っていない、まだ最愛の妻エレインにも出会っていない。懐かしい登場人物、刑事のダーキンや情報屋のダニー・ボーイが出てくる。マットの幼友達を殺した容疑者を追い求めて5人まで所在を確かめたが、全員白。物語は半ばにさしかかり佳境に入る。終わってしまうのだもったいないいつものシリーズだ。
    マンハッタンを掌に読み進め遂に終わってしまった。1000ドル出して調査を依頼した人物も殺され、登場人物が次々と消えていく、単純な調査と思いきやマットの身にも危機が迫る。禁酒1年目を迎える前夜、マットが定宿のドアを開けると部屋にはバーボンの臭いが立ちこめメーカーズマークがなみなみと注がれたオールドファッションド・タンブラーが置かれていた。真犯人と自然史博物館で持ち合わせ互いの身の安全を話し合うマット、メキシカン・スタンドオフ(膠着状態)。この場面は本作の弱点になるのではないか。読者はもっとドラマチックな結末を望んでいたはずだ。
    30年前の話はここで終わり。長い長い夜話。ミック・バルーもジェイムソンをエビアンに切り換えた。二人とも年を取った。80年代のマンハッタンを経験しているのでマットの巡回を俯瞰できた。出来ればkindleの英語版と照らし合わせてジョークを楽しみたいものだ。我が身にまだ時間が残っていればの話だが。
    償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)より
    4576121235
    No.7:
    (4pt)

    スカダー・シリーズ最終版だろうと思いながら感慨深く読み終えました。

    ローレンス・ブロックのマット・スカダー・シリーズは、17作あるが評者はその全作品を読んではいない。
     が、大凡の作品は読んだ記憶であり先に未読だった『 獣たちの墓』を読み終え、このシリーズ17作目(2011年)『償いの報酬』(原題: A Drop of the Hard Stuff )を読むことにした。
     本書の奥付を見ると刊行されたのは2012年10月20日初版発行と記してあり、訳者はおなじみ田口俊樹氏である。
     著者ローレンス・ブロックは、1938年生まれであるから本書『償いの報酬』の主人公のマット・スカダーを、74歳として登場させていることにローレンス・ブロック自身の心の襞を吐露するように淡々としてストーリーを語っていく。
     ある夜更け・・・・・という章でミック・バルーと彼の経営する酒場で時を忘れたように昔話を始めるところからこの物語は幕を上げる。
     禁酒を始めて間もなく一年を迎えるころ、AAで幼なじみのジャック・キーンに再会したところからスカダーが大昔の事件を語り始めた。
     ジャックが殺されてから彼の助言者(スポンサー)のグレッグに1000ドルを渡され犯人捜しを始めるスカダーなのだが、意外な方向へ事件が展開してゆく。
     ある早朝・・・・・という最終章で老いを迎えたスカダーとミックが語り合う酒場のシーンで同じ世代のブロックは本書『償いの報酬』を、なんとも言えない余韻を残しながら書き終えている。
     少々退屈であったが、これがスカダー・シリーズ最終版だろうと思いながら490ページもの長編の本書『償いの報酬』を感慨深く読み終えました。
    償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)より
    4576121235
    No.6:
    (3pt)

    あの頃のキレはどうしたのだろうか。

    高名な作家が小説を書く時、1行の真実を云いたい為に、100頁の雰囲気作りをしていると書いていたが、まさにこのシリーズは流れる文章を流れるがまま、淡々と読んでいき、間違っても目を皿のようにして読んではいけない。どうでもよい文章もあるのだ。ただそれらの積み重ねが独特の雰囲気を持ち、スタイルとなっている。

    改めて気付いたのはアメリカという国は、いやニューヨークにはAA(禁酒の会)がいたるところに有るという事だ。私もかなり酒を飲むがアル中ではない。日本にそういう会が有ったとしても、こんなに多くはないだろう。銃社会と関係があるのだろうか。

    時代はマットが禁酒を始めてもうすぐ1年が経とうとしている時期を回想する形式をとっている。AAで、疎遠だった幼馴染と何十年ぶりかで出会うが、その後間もなく銃弾で撃たれて殺される。この犯人をマットが突き止めて行くのだ。

    ただ100頁の雰囲気作りは初期の頃からのファンなので充分堪能するのだが、1行の真実と云うか、終決部分の座りがよろしくない。お茶をにごされたという感じなのだ。

    シリーズ後半辺りから危惧していたが、やはりそろそろ潮時かも知れない。
    償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)Amazon書評・レビュー:償いの報酬 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)より
    4576121235



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