泥棒はスプーンを数える



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    初公開日(参考)2018年09月
    分類

    長編小説

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    泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))

    2018年09月20日 泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))

    四半世紀の時を経て書き続けられた、泥棒探偵バーニイ・ローデンバーシリーズの最終巻が遂に刊行! 相棒キャロリンとの小粋な会話や、愛猫ラッフルズ、悪徳警官レイも健在。最高の話題作。(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    泥棒はスプーンを数えるの総合評価:8.10/10点レビュー 10件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    老人の一人語りを聞くが如く

    泥棒バーニイ・ローデンバーシリーズも本書が最終作だそうだ。
    “だそうだ”というのはブロックはこれまでも最終作と思しき作品を著しながら、思い出したように続編を書くからだ。しかし御年80歳であることを考えるとさすがにこの謳い文句は本当のように思える。

    今回の話はとにかくいつもとは異なる。軸となるストーリーはあるものの、そこに至るまでがいつもより長く、余分なエピソードや蘊蓄の量がかなり割り増しされているのだ。

    軸となる話とはミスター・スミスなる謎の人物からフィッツジェラルドの『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の生原稿、そしてアメリカ独立宣言の署名者の1人バトン・グインネットを象徴したボタンの意匠を施した使途スプーンの所有者からの盗みと並行してレイ・カーシュマンが担当する泥棒による富豪の老婦人殺害事件の捜査の手伝いだ。

    実際本筋のバーニイが謎の人物ミスター・スミスから依頼された最初の盗みを始めるのが80ページ目辺り。そしてお馴染みの宿敵、刑事のレイ・カーシュマンがバーニイに疑いを掛けた泥棒による老婦人殺人事件を持ち掛けるのが120ページ目辺り。更に本書の題名となっている使途スプーンを盗む計画が動き出すのは190ページ目辺りと、実にとびとびに物語は展開する。そしてこれら約4~70ページの間隙で語られるのはバーニイの女友達で時々盗みのパートナーを務めるペット美容師のキャロリンと繰り広げる多数の蘊蓄とエピソードで彩られた、あっちこっちに脱線する会話なのだ。
    それらは時に冗長に感じられながら、ブロックお得意の会話の妙味が込められていて面白いのは事実。

    物語はこのキャロリンとバーニイ2人の行きつけの店<バム・ラップ>で飲みながら取り交わされる会話が中心となっていると云っても過言ではない。その内容は多岐に亘り、昨今の書店経営事情、注目の作家の話や同性愛者であるキャロリンが語る同性愛者への社会の対応の変化―彼女は同性婚の承認を求める運動に参加していたらしい―、さらにこれに加えて謎めいた依頼人ミスター・スミスの自分の熱狂的な蒐集癖に纏わる逸話の数々も盛り込まれる。
    自分の本名がバートン・バートン5世であることからボタン蒐集に熱を挙げていた彼はやがてボタン(英語読みではバトン)と名の付く物ならば何でも集めることになった。勿論彼のボタンコレクションもかなり稀少な物が多く、アメリカが選挙運動のために記念ボタンを作っていることや十二使徒の像をあしらったスプーンの存在と最高の銀細工師によるものもあり、それを模した特注で作らせた15本セットの13の植民地を象徴する当時の市民の鑑みたいな人物をあしらったものまで存在すること、そしてそれがまた銀細工師の話や歴代アメリカ大統領の逸話と大統領選そのものの逸話などを呼び込み、話はどんどん膨らんでいく。

    さてそんな蘊蓄と脱線で彩られたシリーズ最終作。中身はそれでも本格ミステリばりの内容となっている。

    事件の謎解きをバーニイは自分の店で関係者一同集めて、さながら昔の本格ミステリのように行う。その前にレックス・スタウトのネロ・ウルフシリーズを読み直して、どういう風に進めればいいのかを参考にするのが面白い。

    そう、上でも少し触れたが、本書はミステリ作品が色々取り上げられている。

    ミスター・スミスが来たときはバーニイはディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズの1冊を読み耽っており、我々と同じように事件が解決しても残り40数ページ残っていると油断が出来なかったり、アメリアが毎度危機に陥るが結局は助かって、次作へと続く、そういうことが解っていながらも騙される。それも解ってはいるのだが、と。

    またマイクル・コナリーのボッシュシリーズも読んでいるようだ。書名は明かされないものの、ボッシュが刑事を辞めて私立探偵になった頃の作品とあるから『暗き聖なる夜』か『天使と罪の街』のどちらかだろう。面白かったがボッシュはどうにもやりにくそうにしていて警察に戻って三人称で語ってもらう方がよさそうだ、なんてニヤッとする感想まで述べている。

    またミステリ以外でもジョン・スタインベックは名高いが今では『二十日鼠と人間』以外ほとんど手に入らないことなども触れられている。

    これらは多分に作者本人の心情や感想だろう。従ってブロックが今どんな作品に注目しているかが解るというものだ。

    また昨今の書店経営事情の困難さを象徴するかのように本書が幕を開けることにも触れておきたい。

    最初の客がバーニイの店でタイトルが解らないけれども、ずっと探していた本を見つける。恰も購入しそうにレジに来るが、タイトルをアマゾンで調べると電子書籍化されてて、そちらの方が13ドルも安く手に入るので止めることにしたと云って出て行く。

    また常連のモーグリという男性は大量に本を買ってくれるが、彼はその本を手元に置いておきたいわけでなく、自身がウェブで売るためのせどりをしていることをバーニイは知っている。常連客の1人が亡くなり、その蔵書を売りたいという連絡を受けて家に云ったら、息子が1冊ずつネットで売ることにしたので止めたと断られた。

    ネットの繁栄が実店舗の書店・古書店へもたらす不景気の煽りをバーニイの経営するバーネガット古書店にも訪れていることが描かれている。これが今の書店業界の現実なのだ。

    しかし幸いなことにバーニイは金に困らず、住むところも持っているから古書店主兼泥棒という人生は続いていくことだろう。いやバーニイのような余裕のある人でないともはややっていけないのかもしれない。

    しかし泥棒稼業も厳しくなり、今ではカードキー型のホテルやマンションが増え、鍵開けの技術が通用しなくなってきている。これらは我々一般人にとっては実にいい話であるが、それでも策を弄すれば侵入は出来るように本書では描かれている。
    例えば恰もゞマンションの住民に見せかけて一緒にセキュリティを通り抜けるなど。これは西洋人が見知らぬ人同士でも気軽に声を掛け、話す習慣を持っているからこそできることであり、日本だと他者に対する警戒心が強いため、なかなか通用しないやり方だろう。

    しかしそれでもやはり本書は最終作であるようだ。
    キャロリンが今回の事件をレイ・カーシュマンと共同で解決したことから、泥棒の経験を活かした犯罪コンサルタントとして捜査に協力するという提案をするが、バーニイはかつて自分が愛読していたダン・J・マーロウのアールとドレークシリーズを引き合いに出し、犯罪者のドレークが改心して政府機関で働くようになってからシリーズを読むのを止めたと話す。つまり泥棒はあくまで泥棒であるからこそこのシリーズは面白いのであり、それが正義の側になってしまうともはや違う話になってしまうのだとブロック本人が仄めかしているのだ。

    本書はブロック75歳の時の作品。引導を渡すには頃合いだったのだろう。
    また1つ私が愛読してきたシリーズが終わってしまった。哀しいけれど何事も引き際が肝心で、むしろこれほどのクオリティを保って幕を閉じることが有終の美というものだ。
    つまり本書における数多くの蘊蓄や寄り道はブロックの内なる書きたいことを最大限に放出したことに他ならない。彼の中にある興味あること、書きたいこと、教えたいことを極力多く入れたかったのだ。
    老人が若者に酒を片手に蘊蓄を傾けるかのように、古きアメリカの歴史や昨今の出版事情などを聴くが如く、読むのが本書の正しい読み方だ。

    バーニイよ、物語は終わっても貴方の人生は続くことだろう。ニューヨークで、そして我々の心の中で。


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    No.9:
    (4pt)

    プロットは行き当たりばったりだが、巧みな話術はさすが巨匠の手練

    行き当たりばったりの緩いプロットだが話術の巧みさ、会話の愉しさで全く飽きさせない。名作とか佳作とかでは全く無いし、バーニーのシリーズを初めて読む方には到底薦められないが、ローレンス・ブロックのファンなら必読、そういう一冊。
    泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))Amazon書評・レビュー:泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))より
    4087607542
    No.8:
    (5pt)

    軽妙洒脱とはこのこと

    コメント欄にあまり好評がなかったので迷いましたが、これぞニューヨーク小説!あまり人の声は気にしないことにしました。ニューヨークの雰囲気がとてもよく出ています。
    泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))Amazon書評・レビュー:泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))より
    4087607542
    No.7:
    (1pt)

    つまらなかったです。

    他の人の評価がよかったので、購入しましたが、私にはまったく合いませんでした。いろいろな人と、とりとめのない会話がだらだらと続いたり、それは盗むとは言わないだろうという取得方法があり、(緻密な計画を期待していた私は)本当にがっかりしました。しかも登場者の心情とか、心の動きがうまく伝わってこないのです。そんなわけで、人に「これは面白いよ」とは勧められないのです。
    泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))Amazon書評・レビュー:泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))より
    4087607542
    No.6:
    (4pt)

    久しぶりのR.ブロック

    この人の本には当たり外れがありますが、これは80点位(甘すぎ?)かな。
    泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))Amazon書評・レビュー:泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))より
    4087607542
    No.5:
    (5pt)

    暖かミステリー

    久しぶりのバーニーをしっかり堪能しました。いつものほほんと楽しめるシリーズですが、本作は特に癒され感が充満していました。バーニーシリーズは気持ちがポッと暖かく軽くなる、他とは一味違うミステリーだと思います。
    泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))Amazon書評・レビュー:泥棒はスプーンを数える (集英社文庫(海外))より
    4087607542



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