死への祈り



※タグの編集はログイン後行えます

※以下のグループに登録されています。


【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

7.00pt (10max) / 2件

7.00pt (10max) / 2件

Amazon平均点

3.67pt ( 5max) / 6件

楽天平均点

4.00pt ( 5max) / 2件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
1pt
サイト内ランク []C総合:983位
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

5.00pt

50.00pt

20.00pt

10.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)2002年09月
分類

長編小説

閲覧回数2,509回
お気に入りにされた回数0
読書済みに登録された回数2

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

死への祈り (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

2006年10月31日 死への祈り (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

ある夜、マンハッタンの邸宅に住む弁護士のホランダー夫妻が、帰宅直後に惨殺された!資産家を狙った強盗の仕業と思われたその事件は、数日後に犯人たちの死体が発見されたことによって決着を見た。しかし、被害者の姪から気がかりな話を聞かされたスカダーは、背後に更なる“第三の男”が存在しているのではという疑念を抱き、事件に潜む闇へと足を踏み入れていく…。姿なき悪意の影にスカダーが挑むシリーズ新境地、待望の文庫化。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

死への祈りの総合評価:7.25/10点レビュー 8件。Cランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

原点回帰であるが昔のようではないマットがいる

今回マットが対処する事件は強盗による弁護士夫婦殺害事件。強盗が入っている間に家主が帰って来て強盗によって殺される。
これはもう1つのブロックのシリーズ、泥棒探偵バーニイ・ローデンバーがしばしば巻き込まれるシチュエーションだが、その場合は軽妙なトーンで物語が進むのに対し、マット・スカダーシリーズでは実に陰惨な様子が淡々と語られ、恐怖が深々と心に下りてくるような寒気を覚える思いがする。この書き分けこそがブロックの作家としての技の冴えだ。

今回はマットとTJの機転で警察組織を巻き込んで大規模捜査網が敷かれる。かつて個人が巨大な悪に立ち向かうためにミック・バルーと云う悪の力を借りて対峙したマットだったが、前作でミックの組織は瓦解し、彼を残すのみとなった。
今回総勢12人も殺害したシリアル・キラーと立ち向かうために組んだ相手が警察組織だったことは元警官であったマットにとって自分の立ち位置が原点に戻ったように思える。

原点回帰と云えばシリーズも15作目になって、マットは更なる過去へ対峙する。それはシリーズが既に始まった時から離縁関係にあった元妻アニタと彼の息子マイケルとアンドリューとの再会である。

既に2人の息子は成人となって働いている。齢62となったマットの元妻アニタが心臓発作で亡くなったことを息子の電話で知らされる。
決してシリーズに大きな影響を与えていたわけではない、元家族との意外な形での再会はしかしスカダーにとってもはや遠い日の追憶でしかないことを悟る。
2人の息子の内、次男のアンディは危うい橋を渡るような生活を送っている。長男のマイケルにたびたび無心をしては職を転々とし、そして今回もまた会社の金を横領した廉で警察に突き出されそうになっている。それはかつて警官と云う職に就きながら、心に傷を負うミスを犯して身持ちを崩してしまったマット自身の姿とどこか重なる部分がある。彼も元父親としてアンディに横領金の肩代わりを半分担い、その金でアンディは事を免れるが、マット自身も云っているようにそれが最後になるとは思えない。アンディの厄介事はこれからも続きそうだ。

敢えて証拠を残して警察や探偵に誤った方向へ捜査を導く。証拠から導かれるロジックが完璧であればあるほどそれを信じて疑わなくなる。
これはエラリイ・クイーンが抱えた“後期クイーン問題”から連綿と続くテーマである。現代のシャーロック・ホームズと云われているジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズでも既にこの問題に直面し、ますます捜査の難度と物語の構造の複雑さは増してきている。
まさかこのシリーズでこのようなテーマに出くわすとは思わなかったが、長らくミステリを書いていると作家はこの問題に直面する運命にあるのだろうか?

さて私がこのシリーズを読み始めて足掛け2年4ヶ月の付き合いになる。既に本書までは既刊だったため、シリーズを1作目から本書に至るまで通して読むことが出来たが、この2年4ヶ月という凝縮された期間であっても本書を読むにここまで来たかと感慨深いものを感じるのだから、シリーズを1作目から、もしくは有名な“倒錯三部作”からリアルタイムで読み始めた人々のその思いはひとしおではないだろうか。

本書で語られているように、マットが断酒してから18年の歳月が流れ、作中での年齢は62歳と既に還暦を超えてしまっている。

しかしマットは登場当初の、人生に打ちひしがれた元警官の無免許探偵という社会的には底辺に位置する人々の一員であったが、15作目の本書では元娼婦の妻エレインが蓄財した不動産収入でニューヨークでマンション暮らしをし、安定した生活に加え、エレインが趣味で始めた画廊からの収入もあり、マットは探偵業を気が向いた時に営むといった、人が羨むような生活を送っている。
もはやホテルの仮住まいで定職に就かず、毎日アームストロングの店に入り浸ってアルコールを飲み、時折訪れる人のために便宜を図るように幾許かの金で人捜しや警察が扱わない事件の掘り返しを請け負い、依頼金の1割を教会に寄付して過去の疵を癒す慰みにしている、人生の負け犬のような彼の姿はもはやそこにはない。陰の暮らしから日の当たる世界へ出たマットの姿をどう捉えるかは読者次第なのだろう。

ただマットの生活も変われば彼の捜査方法も変わったのも確かだ。TJにパソコンを与えてから人捜しも市井の人々の間を逍遥することで不意に得られる奇妙な縁から全てが繋がっていく、そんなマットならではの方法ではなく、インターネットによってアーデン・ブリルという本名か偽名かも解らぬ名前を手掛かりに犯人を特定していくようになる。

そして犯人もまた闇サイトでの評判を愉しみにするサイコパスと、現代的な犯人像なのも特徴的だ。いや“倒錯三部作”から既に時代に添った犯人像をこのシリーズは描いていたと云えるので、これは本書での変換点ではない。

ともあれマットが裕福になり、エレインとの夫婦生活が充実していくにつれて、このシリーズ特有の大切なペシミズムやムードが失われていくような気がするのは私だけだろうか。

相変わらず読ませる物語であることは認めよう。
しかし上に書いたようにかつて読んでいたようには私の中に下りてくる叙情性といったような物が薄れているのは確かだ。
しかしそれでも私はいいと思う。エレイン、TJ、ミックと彼を慕う人々の中でマットが事件と対面していくのもやはりこのシリーズの特徴であるからだ。

さて次の『すべては死にゆく』は未だ文庫化されていない。このシリーズ全作読破のために一刻も早い文庫化を望む。
しかしブロックの新作は文庫で出ているのになぜこの作品だけ文庫化されないのだろうか?気になって仕方がない。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

「処刑宣告」は難しかったですが

こちらの方が読みやすかったですね。
ミステリーとしても、分かりやすいし、人さまにも勧めやすい?かもしれません。
ローレンスブロック氏の小説は二作目ですが、これからも続けて読んでいきたいですね。


ももか
3UKDKR1P
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.6:
(3pt)

店じまいを始めました。

店じまいを始めた印象のシリーズ15作目。私は「政治家よりも医者を信用しない」が信条なんで精神科医を虚仮にする内容だけは痛快でした。特にペットのエピソードは秀逸。突然にして初めての犯人目線の数章の違和感はとてつもなくでかい。
死への祈りAmazon書評・レビュー:死への祈りより
4576021869
No.5:
(2pt)

セレブになったスカダーはイメージできない。

ローレンス・ブロックのマット・スカダーもので、読んでいないものを読もうと少し前に『処刑宣告』を読んだ。
 「少しネアカになったスカダー」と、そのレビューのタイトルに書いたのは、多少マット・スカダーのイメージに違和感を覚えたからである。
 一年ほど前にスカダー・シリーズ最期の17作目『償いの報酬』を、読んだが、ミック・バルーと酒場で昔の事件などを、夜明けまで語りあう設定には、それなりにブロックの筆の冴えを感じたのである。
 が、本作『死への祈り』には、評者の期待するマット・スカダーは消えてしまっていた。
 セレブになったスカダーというと語弊があるかも知れないが、ジャズハウスへ行くマットは、イメージできるが、妻のエレインと、度々クラッシック・コンサートや洒落たレストランでディナーを楽しむなど、どうも評者のスカダー像から外れているのです。
 人は、歳とともに変わるものであろうが、長年続くシリーズもの小説の面白さを持続するには、今一つブロックさんに、マッド・スカダーを、それなりに進化させてほしかった、と読者の我がままを書いておきたい。
 本作『死への祈り』は、冗漫なストーリー展開で進みながら謎を究明してゆくマッド・スカダーの描写には、往年のスカダーの迫力も陰影も垣間見ることなく物語は終えている。
 他のかたもレビューで指摘していたが、犯人のサイコパスが唐突に一人称で語る挿入も頂けない。
 本作のエンディングも、余韻を残そうとの、著者ブロックの意図が成功しているとは評者には思えず、よくある通俗ミステリ小説のように感じてしまったのです。
 評者が、このシリーズで未読なのは、『すべては死にゆく』だけとなったが・・・。
死への祈りAmazon書評・レビュー:死への祈りより
4576021869
No.4:
(5pt)

買い忘れていた新作を格安で購入

マット・スカダーシリーズは大好きですが、しばらく小説自体を読んでいなかったため、格安で購入できて楽しみました。
死への祈りAmazon書評・レビュー:死への祈りより
4576021869
No.3:
(5pt)

お気に入りの作家です

ローレンス ブロック 好きにはたまらない一冊です。夜のお供に最高
死への祈りAmazon書評・レビュー:死への祈りより
4576021869
No.2:
(5pt)

静謐なタッチに漂う”死”

もはやミステリーの範疇には収まらない作品。主役が探偵(免許はないが)だというだけだ。この作品では、ブロックは犯人探しにそれほど興味を持っていないと思われる。実際、犯人へは意外なほど簡単にたどり着いてしまう(捕まえられないけど)。ブロックの主眼は、被害者の娘、元の妻を失ったスカダーなど家族・身近な人を突然失った人たちの戸惑い、混乱を描くのに置かれている。静謐なタッチのなかで淡々と進む全編に漂う“死”に深く考えさせられる。近作では『死者との誓い』に次ぐ傑作といってもいいだろう。
死への祈りAmazon書評・レビュー:死への祈りより
4576021869



その他、Amazon書評・レビューが 6件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク