身代りの樹
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身代りの樹の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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これはもはやミステリではなく普通小説だろう。 | ||||
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闇を抱えた登場人物たちがおりなす群像劇である。著者の心理描写が冴えわたるCWAシルバータガー賞受賞作。 主たる登場は、幼い息子を亡くしたシングルマザーでベストセラー作家のベネット、寡婦のウェイトレスの愛人バリー、金持ちにたかるヒモ男のテレンス。 この面識すらない三人の別々の物語が、一つの結末に収斂していくという、著者の技が堪能できる。三人が最後までお互いを知らないというのがすごい! 本作品は、ベネットが精神に異常をきたした過去を持つ母親モプサを迎え入れるところから始まる。この二人愛憎(憎の方が大きい)劇のヒリヒリ感が堪らない。モプサ滞在中に息子の突然死に見舞われたベネット。失意の中、モプサは同じ年頃の幼児を誘拐し連れてきてしまう。混乱するベネットだったが、その幼児が虐待されているのに気づき、返しそびれているうちに愛情を感じるようになる…。 一方、バリーは、愛人キャロルの息子が何者かに拐われ、殺人を疑われている。その子はモプサが連れ去った子だったのだ。警察の執拗な追求をきっかけに、徐々に、混乱するキャロルとの間に溝ができ始め…。 テレンスは、たかり生活に終止符を打つべく大きな詐欺を働こうとしている。一見、誘拐事件と関係のない物語に見えるが、バリーは、彼を誘拐された子の父親と勘違いし、嫉妬に苛まれ、周囲を嗅ぎ回わるようになる。 登場人物それぞれが、すれ違いを演じながら、思いもよらぬ運命に導かれていく。 突然現れたベネットの元夫が、誘拐に気づいてから、物語は大きく動くことになる。ベネットは秘密を隠し通すことができるのか。バリーは容疑を晴らすことができるのか。そして、テレンスは詐欺を完遂するとこができるのか。 それぞれに用意されたオチには、あっと驚くこと間違いなし。 | ||||
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レンデル作品は英語も文の流れも読みやすいので洋書愛好家にお勧めなのだが、話が暗いので気が滅入り頁がすすまないのが玉にキズ!!話が3つに分かれているので始めは読みにくいが、最後の締めは見事で、受賞も納得。主筋のただの扁桃腺で子を亡くしたシングル・マザーのお話しは胸を打つ。精神病歴を持つ母との葛藤も。ふしだらな女に取り付かれた若い男、小心者の女たらしと盛り沢山。レンデルさんはミステリーではなく犯罪心理小説家だろう。犯罪に至る心理、きっかけの説得力が秀逸で(crime novel)、この作品ではその犯罪を誰かが解き明かし、断罪するわけ(mystery novel)ではない。ただ余韻が後を引く秀作。 | ||||
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癖になってしまった在庫のミステリを再読してみようと思い本書ルース・レンデル著『身代りの樹』を手にした。 本書の奥付を見ると1995年5月発行としてあったが、著者ルース・レンデル - Wikipedia で刊行年を調べたら1984年であった。 評者が読んでから20年もなるから読みだしてもまったくストーリーを思い出すことができず、初めて読むように新鮮な気持ちで読むことができた。 スペインに住む精神を病んだ母親が定期健診を受けにロンドンへやってくるからと、ヒースロー空港でこの母親を迎えにきていた女性ベストセラー作家が主人公である。 主人公のベネット・アーチデールの二歳になろうとしている男の子が急死したことから物語は始まる。 この母親が同じ年頃の男の子を、こともあろうに誘拐してきてしまったのである。 喪失感で嘆き悲しんでいるベネットの異常な心理の推移を、著者が巧みに描写することに読者は引き込まれてしまうだろう。 本書に登場する主人公は、このベネットだけではなく、誘拐された男の子の母親の年下の恋人バリーや、誘拐された男の子の母親キャロルの愛人だったテレンスの3人を、著者が多くページを割いて物語を進めていることに気が付くはずである。 本書の解説を書いていた作家の小池真理子氏が、本書がノンジャンルに属するから、ミステリと言えないかも知れないと書いていたが、的確な指摘であると評者も思ったのである。 この物語を著者がどのように終えるかという期待感で最終ページまで読み進んでしまったが、なるほどこのように読者にすべてを委ねて終えていたんだ、と感心しながら読み終えたのである。 物語は、混沌、不条理、陰鬱、などテーマが重く、どうも評者の好みではなかったのだが、登場する人物の心理描写やプロット構成など著者の才能は認めないわけにはいかないだろうと思いながら読了した。 | ||||
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