殺人展示室
- 博物館 (17)
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殺人展示室の総合評価:
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PDジェイムズの小説は難しくてあまり波に乗れない?ものが多かったのですが | ||||
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殺人をテーマにした個人設立の博物館、そこでは過去の著名な犯罪で使われた道具だの凶器だのが展示されており、そこでその犯罪史上著名な殺人を模したような形で起こる殺人が… と、いう道具立てがこの小説の本筋なのだが、この作品で何作目かのジェイムズ作品読書体験となる筆者は、当初から感じていた感想がますます強化されてきた。 P・D・ジェイムズは、ミステリ小説としてではなく、普通小説として読んだ方がわかりやすい。それぐらいミステリ以外の人間観察(イギリス式ユーモアをまぶしてあります)、自然描写、心理分析が展開されるので、確かに「アガサ・クリスティを継ぐイギリスミステリの新・女王!」という宣伝惹句がなければ筆者、ジェイムズを読むことはなかったので、ミステリは必要不可欠のスパイス要素なのだが、これまたじつは女王様にとんでもないことをいう様だが、ジェイムズはあまりミステリとしては巧緻ではないと思う。 詭弁…推理小説最後の10ページ と、筒井康隆「乱調文学大辞典」にあるが、これほど筒井式ではないにしろ、ジェイムズのミステリは、ダルグリッシュの直観で行間を読み、文脈を見出して犯罪の真相を読む体のストーリーが多いので、もしかしなくても、もっと緻密な時刻表的プログラムを作る著者だったら、もっと厳密な犯行をさせるだろうし、ジェイムズ本人ですら、その行間の読み方によってはまったく違う犯罪と犯人を構築できたのではないか、というある種のスキマというか解釈の余地が見受けられる。 もちろん白痴を誇る筆者、ふんふんなるほどと唸りながら「詭弁」に引き込まれるのであるが、もしかしたら厳密なミステリファンであったら一番大事にするであろうその謎解きは、ジェイムズにおいてはその犯人の背後に潜む背景の書き込みの前には「まあ、ミステリですので犯人と謎は必要ですわよね」的にけっこう表面的に操作されてしまいそうな感じがある。 今回、そのけしからぬ印象を強化するのは(ミステリ部分にはまったく関係しませんが)登場人物の一人が主催する大人のいけない交際クラブで、ジェイムズ作品にはこうした婚姻外の乱交的関係が(全作品ではないが)頻発する。 人生では濃厚かつ具体的肉体関係が重要、と考えていたのではないか、と思わせるものがあり、そうした関係性もまた英国式の皮肉と観察をもって詳細に記述されるのだが、この肉食的なセックス観念は普通小説としてもかなり異質なものである。 なので…それはそれとして楽しめましたので(念のため…大人向け官能小説的な内容は一切ありません。ジェイムズが問題にするのはそうした関係がもたらす人生の多様性にあり、行為の描写は全くありませんのでご安心…またはそうしたニーズをお持ちの向きは、専門の作品をお求めください)ますます普通のイギリスの現代小説を読む、とまあこういう感じで通読しました。 内容は、結末で我らが主人公アダム・ダルグリッシュに熱愛スクープ!?の気配があり、作品の中身で取り上げられていた交際クラブとまことに対照的で、ジェイムズはその対比をするためにこの展開を持ってきたのかしら、と思うとイギリス式のユーモアはいよよ冴えわたるような気がするのであるが…(読みすぎかしら) そういう意味でも、まことに面白かったです | ||||
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元々ジェイムズの作品には、後味の悪いものが多いのですが、 その中でも特にという感じ。上流階級の退廃というようなものも、ありきたりな感じがしてしまいました。別にこの作者の作品でなくても、あまりにもよく見るモチーフだなと思って。しかし、これが評判が高いそうで、上流階級の退廃とか妄執愛とかって、みんな好きなテーマなんでしょうか? 被害者達も、生前けして幸せとは言えないような人物達ばかりだったというのが、よけいやりきれなさが強い。自分と他人の境界がなさ過ぎだよ、いいかげん、こういう何回忠告しても、結局現状を変えられないで、刻々と事態が悪化していくのにも関わらず、手をこまねいたまま、現状を維持する事しか できないタイプの人間となんて、いいかげん距離を置いたらと、歯がゆく思ってしまうような、 人物もいたし。(それでおよそこの手の人々は、忠告の数々を結局何一つ 実行しようとしないで、いつまでも同じ相談ばかりを繰り返り、けして次の段階に進めない。) 殺人の動機も、犯人の妄執的動機なので、ただただ不快感だけが残った。 また、犯人の妄執愛の対象が、これまた私があまり好きになれないタイプの人物という事もあり。 それから、作中で展開される、残された人物に与える苦しみから考え、自殺は攻撃行動の一種というのには、賛同する所がある。 私も、以前から、ただ自殺者というだけで無条件に同情されるべきのような、 タリーのような意見には賛同し難いものがあり、ネヴィルの意見の方に、賛同する所があった。 確かに、このように、何でも感情で考えるタリーのような人にとっては、厳しいと感じられる見方なのかも知れませんが。 しかし、現実を見てみると、絶望だけが理由ではなく、 どう見ても、周囲の人間に対して、大きな苦痛を与える復讐の意図を持って自殺したとしか 思えないケースも、しばしば見られるように思う。 今回、全体的に好きになれない人物ばかりだったのも、 辛かった。このタリーも、私からすると、人が良過ぎて、むしろイライラしてしまう程だったので。 このように、私としては、あまりいいと思えない作品でした。「死の味」は、いいと思ったのにな。 ただ、この巻で、どんなハードな状況に置かれても、毅然とし、冷静さを失わないケイトが、 ある場面において、珍しく赤くなる所が、可愛かった。また、火事のエピソードで、彼女が気丈なだけでなく、脆い所も持った女性である所も描かれ、今回も、そんな彼女に対するダルグリッシュの 優しさが垣間見えたのに、前巻からの新たな女性エマの登場で、決定的な感じのダルグリッシュの 発言などもあり、このままだとダルグリッシュとケイトの方は、残念な事に なりそうで、よけい読後に気が沈みましたね。 | ||||
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本書の舞台は小さな博物館。個人的な趣味から博物館を開いた創立者マックス・デュペインの後を継ぎ、三人の子供が理事をつとめているのですが、どうも仲が良くないらしい。そしてある日、理事の一人が車の中で焼死体となって発見されるというショッキングな事件が発生します。その状況は過去に起きた殺人事件と酷似していました。ダルグリッシュが捜査を進めるなか、再び殺人が! 傑作推理小説『策謀と欲望』『死の味』などで知られる英国ミステリー界の重鎮が82歳を迎えて書いた小説ですが、P .D. ジェイムズの筆致とエネルギーは健在です。 | ||||
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ダルグリッシュ警視のシリーズ最新作です('05年2月現在)。今回は、博物館が舞台になっています。登場人物は少ないのですが、相変わらず濃い人間模様でまさに帯のとおり「ダルグリッシュ翻弄さる」のです。殺人事件を通して「人間とは何か、生きることの意味は何か」を読み手に問う作品で「英国ミステリの女王」の人間的な奥深さを感じました。スピード感やエンターテイメント性はあまりないので「皆さん、是非!」とお勧めできませんが、こっそりと「面白いですよ」と本好きな方に。ダルグリッシュ・ファンの方、最後の最後まで気を抜かないでください。殺人事件よりびっくりすること請け合いです。 | ||||
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